2013年5月9日木曜日

Perfume:イギリスの一般メディアにどう対処するのか



先日、ロンドンの箱換え(800人から2000人)の様子を見て、もしかしたらロンドンの一般メディアもPerfumeに興味を示すんじゃないか…と書いた。もしロンドンの(Perfumeをよく知らない)一般メディアが取材に来たらどう対処すればいいのか…。今日はそれについて対策を考えたい。長いです。

(ところで私のPerfume論というのは、どちらかと言えばPerfumeをだしにして「(私の知る)西洋というものの謎解きをしよう」という意図なので、そのような前提で読んでいただきたい。西洋に打って出るにはまず敵を知るべし。その予備知識のようなものです。もちろん私の個人的な意見。おっとそれから海外暮らしなので最新のPerfumeのインタビューなどは読んでおりませんので、とんちんかんなことを言っているかも…。)


それではまず、今までのPerfumeのインタビューでの印象を…(すごくイジワルです。でも実際にこう聞こえる)。

「○○国に来れてほんとに嬉しいです。とても感謝してます。外国なのにPerfumeファンが沢山いて、Perfumeのことをこんなに知っていてくださってびっくりしてます。うれしいです❤。うふふふふふふ…。」「○○国に来るのは今回○回目なんですけど、こんなことやあんなことがあってすっごくびっくりしました。あひゃひゃひゃひゃ…。ほんとに○○がすごいです。そうそうそうだよねー❤。○○が面白いです。そうそうそうだねー。あひゃひゃひゃ…うふふふふ…あはははは…。」「えー今回演出も曲もすごいんですけど、もう私達もびっくりで…どうなってるんだって感じでほんとにかっこいいです。スタッフさん達がすごいんです。こんなにすごいスタッフの方々に囲まれてお仕事ができてうれしいです。」「今回○○国に来れてほんとにほんとにほんっとに嬉しいです❤。ありがとう。これからもヨロシクオネガイシマス❤。うふふふふ」

↑さてこれが、イギリスの一般メディアでどう受け止められるか。
 …10点満点中1点です(笑)。

これはしょうがないんです。これがありのまんまの今のPerfumeの姿。Perfumeに罪はない。何故ってPerfumeはあくまでも「日本のアイドル」だからです。「日本のアイドル」ならこれでいい。可愛くて、イノセントで、幼くて、自己主張をせず、謙虚で、無邪気で、純粋で…「日本のアイドル」としてはこれで一切間違っていない。それから、そんな「日本のアイドル」を、そのまんま受け止めてくれるアジアのファン(メディア)に対してもこのあり方は決して間違ってません。

ところが、これが西洋では致命傷になる可能性があるんです。

もしインタビューに来るメディアが「日本の文化専門のオタク・サブカル媒体」であるなら、たぶんこのままでも大丈夫。そのような「特殊な層向けのメディア」ならPerfumeのことを理解して(それなりに魅力的な存在として)受け入れてくれてるだろうからです。ところがもし一般のメディアがPerfumeを(記事を書くに値する)何らかのアーティストグループだと捉えたら、このままでは大変問題。

というのも、上記のような可愛いアイドル風の受け答えでは、プロのアーティストとしての主体性が一切見えてこないからです。これは大変に困りもの。下手をすれば幼稚で馬鹿とさえ思われかねない。


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イギリスという国は知性至上主義の国です。何かに興味を持つと、何から何まで重箱の隅をつつきまわすように調べ上げ、比較検討してあげ足を取り、あらゆる理屈を捏ねて、どんなに不可解なことでもなんとか辻褄を合わせ、納得できればほっとして満足、安心するような国です。超頭でっかちなの。知的創造物だけならともかく、芸術にもそれを求めるのが英国のやり方。理屈ばっかり捏ねてる間に(芸術に不可欠な)情熱勢いをすっかりなくしてしまっても、そのことに気付けないような国です。芸術も理屈で作る国なの(そのため英国産のものはひとひねり面白いものが多いのも事実)。だからアーティストにもそれなりの理屈を求めるんですね。

そんな国は「だいたい」とか「なんとなく」など曖昧なことを嫌います。アーティストの口から「よく分かんない…」なんてとんでもない。馬鹿だと思われておしまいです。たいへん厳しい。イギリスのメディアが基本的に超キッツイのは世界的にも有名。特に音楽関係の評論家なんて「何の権利があってそこまでこき下ろすんだ?」というようないじわるな輩も多い。ほんとうにひどいです。

(そんな現地のメディアが)日本からはるばるやってきてくれた可愛いアイドルに、英国国内のアーティストを見るような厳しい目を向けることはまさかないだろうとは思いますが、あちらの一般メディアというものは基本的にそういうものだというのは知っておいたほうがいいと思う。
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なので対策は…
1.       一切のインタビューを避ける。
2.       今までどおり「あひゃひゃひゃ…」の「日本のアイドル調」をそのまま見せる
3.       なんとか予習をしてPerfumeの立ち位置、存在理由を答えられるようにしておくこと
 
1は、インタビューを受けることに大きな宣伝効果があることも事実なので、避けてしまうのは大変もったいない。だからもし取材が来たら出来れば受けたほうがいい。
 
2のように「日本のアイドル調」をそのまま見せるのも一つのやり方。意志のない操り人形のような日本のアイドルは、アチラにとっては非常に不可解な存在。しかしだからこそ「アジアのキワモノ」の面白味でいける可能性も。あまり尊敬はされないと思うけど。
 
3はあちらに合わせた答え。とにかく真面目にPerfumeの立ち位置、あり方を言葉で説明できるようにしておく方法Perfumeで何がやりたいのかも答えられればもっといい。

…なので、3番の答えの一例を書きます。ここからは個人的な意見ですが、私の思うPerfumeのあり方を書いておきたい。西洋のメディア用の考え方です。


★★★
 
Perfumeのあり方は「(制作側に立つ)アーティスト」でなくてもいい。Perfumeの定義は今までどおり。Perfumeは一流のパフォーマンスアーティストとして存在するけれど、自ら制作やクリエイティブの側にいるアーティストになる必要は全くない。以前「Perfumeはクリエイター達のMUSE(注1)であるべきだ」と書いたのですが、実際にPerfumeというのは、今までも変わることなくそのような状態で存在してきたわけなのだから、それを言葉ににしても構わないと思う。

作曲もしない、歌詞も書かない、ステージセットもアルバムジャケットも、衣装も、ダンスの振り付けも、コンセプトも、一切やらない。ただただカメレオンのように、変幻自在に、自由に、クリエーター達の表現の駒となって一流の表現者になればいいんです。表現者というのもアーティストであることに変わりはない。彼女達が存在し踊ればPerfumeというアート」になるんです。Perfumeは今までもそれでずっとやってきたし、そのあり方こそがPerfumeの限りない可能性を産んできたわけですから。

「パフォーマンスアーティスト」は西洋にも存在するし、それなら理屈っぽいイギリスの記者も納得してくれるだろうと思う。今のPerfumeが、西洋に向けて大人の顔を持つにはこれしかないと思う。大切なのはPerfumePerfumeとして存在するための理由=「Perfumeとは何ぞや?」を説明できるようにしておくことです。


要は、上記のようなPerfumeのあり方が海外のメディアにとって分かりやすいということ。極東からきたアジア人の女の子3人でも「経験を積んだパフォーマンスアーティスト」としてならそれなりの尊敬も得られるかもしれません。

そもそも英国は「スパイスガールズ」を生み出した国なので、アイドルの観念は理解されると思う。ただ西洋では、アジア人にはどうしても「アジア=未知のもの=妙なもの」のタグがついてしまうこと。それに日本のアイドルのあり方が独特で西洋には理解されづらいものである事を考えると、このような説明の仕方は、アチラに理解されるための歩みよりの一つ。

西洋に「日本のアイドル」を定義して説明することのほうがずーっと難しいです。「お歌を歌って踊って、いつもニコニコして、皆に好かれて、皆を喜ばせて、そしてCDやグッズやCMタイアップの商品を買ってもらう存在…?」 アチラの理屈っぽいメディアなら「じゃあなんで皆に好かれたいんだ?」と食いついてくるかもしれません。めんどうです。大人に搾取される可哀想な乙女達だと思われるかもしれません。


奇しくも数週間前、きゃりーぱみゅぱみゅさんがロサンゼルスでの会見で「私は(クリエイティブサイドにいる)アーティストなのでアーティストとして○○○したい。」と自分の立ち位置を明確にしていたのですが、彼女は海外のメディアにとって非常に分かりやすい存在。そもそもご本人がコンセプトありきだし、「COOL JAPAN」なども採り入れて海外に対して自己のプレゼンの仕方も非常に上手い。だけどPerfumeは別のタイプ。

繰り返しますが、Perfumeは「経験を積んだプロのパフォーマンスアーティスト=表現者」として堂々と存在すればいい。凝ったステージセットにダンス。歌わないポップスターという独自の表現方法を選んだことで成功した数々のライブ。良質のポップソングと、そのMusic Videoなど、プロのクリエイター達と作り上げるPerfume独自の芸術表現。3人がPerfumeという芸術の要であると堂々と宣言すればいい。そしてその上で「日本をもっと知って欲しい」とか「日本と海外を結ぶ親善大使になりたい」とか…実際の目標につなげていけばいい。

★★★
 
↑以上、私の勝手に考えたPerfumeのあり方の一例ですが…。


ともかく伝える内容をはっきりと、感情を抑えて淡々と言葉をつなぐこと。ウェットな感情や感傷は西洋には通じないと思ったほうがいいです。叩き上げ十何年の美談も同調してくれないでしょう。極東アジアのアイドルの過去には興味が無いからです。彼らがまず知りたいのは現在のPerfumePerfumeがアーティストとして今何を考えているのか、何をやりたいのか…です。

ご本人達がPerfumeというものをどのように捉えているのかは大変興味深いところ。今後の活動を考えても、アーティストとしてご本人達や制作チームの方々が、一度こういうものをしっかりと考えておくことは必要だろうと思う。

いやーそれにしても楽しみですな…。ステージでヨーロッパの観客を魅了するのは間違いないでしょう。チケットも売り切れ必至。たいしたもんだ。もう既にアチラの興奮が伝わってくるようです。がんばれよぉ~Perfumeちゃん …。


(注1
MUSE(ミューズ)とは
1. any of the nine sister goddesses in Greek mythology presiding over song and poetry and the arts and sciences
2. a source of inspiration; especially: a guiding genius
ギリシャ神話の芸術の女神達。彼女らが芸術家にインスピレーションを与えるといわれるところから、同じようにデザイナーや作曲家などの創作意欲を刺激する女性をミューズと呼ぶ。