2012年5月31日木曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第19回「鳥羽院の遺言」


この、第19回の感想のエントリー、一度UPして、1週間後に消しました。あまりにも辛辣な大人気ない内容だったためです。申し訳ない。その後忙しくて暫くそのままにしていたのだけれど、今でもこの第19回の内容に対して、基本的には同じ感想を持っているので、多少トーンダウンして再度UPすることにした。第20回と21回がとてもよかったので、対比としても残しておきたいと思った。

まだ見てます。家盛決起の男色問題から、あまりのくだらなさに匙を投げたのだが、やっぱり見てました。もうすぐ歴史的な大事件だそうです。そんなわけで話がちょっと進んできたような感じ。再度、時代劇を愛するものとして、この大河ドラマにまたいろいろと言いたい。かなりキツイ事を言っているのでこの大河ドラマを好きな方は読まないでください。


1.       清盛がどんな人なのかさっぱり解らない!
19回目にもなるのに、主役平清盛の人となりがさっぱりわからない。いっつも右に左にふらふらしている。今回もそう。先週、崇徳上皇に「僕は鳥羽法皇のために働くので…」と協力を拒否。そのあと今度は鳥羽法皇が「御所を守れ」と言うと「お断りいたします。」といばりくさって…また拒否。今度は信西が「法皇サイドを守れ、サインしろ」と言うと、「いやだ!みんな仲良くすればいいっ。」それなのに、野蛮な友人源義朝がやってきて「オレはサインしたぜ」と言うの聞くと、うんうん悩んだ挙句、時子が「義朝さんにも家族がいるんでしょうね」と言ったとたんに、サインをする決心をしたらしい…。あげくのはてに、さっきまで「鳥羽パパと崇徳息子は仲良くなってほしい」と言ってたのに、鳥羽法皇の臨終に会いにやってきた崇徳上皇に「もうおせぇよ」と大変失礼な態度で(皇族に)刃物をつきつける…。ぁあああこの人は何者?。非常に大人な事を言うかと思えば、信西と話しをしていてもいきなりキレて器物破損。いったいどういう人? 俳優松ケンさんの力の入りすぎた演技も多少問題ではないかと思っているが、なによりも主人公を優柔不断にフラフラさせている脚本の意図が不明。どうしてあそこまで一貫性のない人物像なのかほんとうに不思議だ。後に滅ぼされてしまう平家だから、そんなダメ清盛でも描くつもりなんだろうか…。だけど、そんな人物が1年間通して主役だとしたら冗談ではすまない。あれだけ一貫性がない主人公を見ていると「しっかりせぇっ!」と腹が立ってくる。主役に魅力がないとドラマを見る気がしない。何とかしてください。

(ちなみに源義朝のシーンだけ本格大河ドラマっぽい。玉木義朝、大変結構。昔から野蛮だった。弟を殺してもへとも思わない。のし上がるために、なんでもやるあくどいキャラがしっかりしている。皇族のことも「もめさせておけばよい。土台はとっくに腐っておる」だって。清盛の10倍くらい頭がいい。むしろこっちが主役。もともと細身の現代青年な玉木君が、非常に野蛮な男に見えるようになった。立派。奥さんも子供を張り倒した。結構結構。昔はこんなものでしょう。この義朝側のキャラがこれだけしっかりしているのに、どうして主役がふらふらしてるのだろう?)

2.       なぜ鳥羽法皇は漫画っぽかったのか?
なぜこの人は、ここまで変なキャラにされてしまったのだろう。なんだかとんでもない漫画キャラになってしまっていた。何かにつけて目をむいて、ウルウルして「きゃぁあああ」ばっかり言ってうろたえている。もうね、ぱぁーんっと横っ面をひっぱたいて「しっかりせぇっ!」と怒鳴りつけたくなる。ああ見えても時の最大の権力者なのだ。史実でもあんな変な人で有名なのかネットで調べたけど、そんな話はないです。どうしてああいうふうにしたのだろう。「いろいろと史実をリアルに再現…」などと制作側は言っているけど、あんなに変だと人間にさえ見えない。宇宙人みたい。ふつうに内気で苦悩する人物でいいと思うのに、どうしてあそこまでデフォルメする必要があったのか。最初は面白いのかと思ったが、最後の最後まであの調子。歴史ドラマの枠を超えていると思う。真面目に歴史ドラマをつくろうとしているのかも疑問だ。史実のご本人に大変お気の毒です。

3.       変なところで唐突にコミカル
今回は、滋子のお披露目の場面。平氏全員が妙にコミカルな現代劇風。あんな無駄な現代ホームドラマの場面があるから、真面目な歴史ドラマが途中で腰砕けになって、見ている側は「ぽかーん」状態。源氏の側が兄弟同士で殺し合いをするような時代に、どうしてああいう場面をいれるのか疑問。そもそも男性の群集が若い女性の品定めをするなど論外。ドラマの全体のトーンが統一されてない印象が残るばかり。

歴史ドラマの様式の一つに、真面目な歴史ドラマの中、息抜きのためのコミカルなシーンの挿入はある。たいてい決まりの道化役が一人二人いて笑わせてくれるもので、大変愛されるキャラ設定だったりする。そんな道化キャラが悲劇の運命をたどるのも定番。そのかわり、ドラマの主役級の役者には馬鹿な事をさせず、話をひっぱってもらう。まあ古い様式なので現在それがいいかどうかは疑問だが、せめて主役級の俳優達には馬鹿な真似をさせないほうがいいと思う。清盛もあっちでガウガウ怒鳴っているのに、こっちでふざけていたりして、これも人物像がよく解らない理由の一つになっている。

4.       人物がリアルじゃない。
以前から、画面をぼけるだけぼけさせてリアルだと主張しているのに、どうして平安時代の女性の髪がドレッドヘアなのだ? それで「美しい娘」だそうだ。冗談だろうか。平安時代の美人なんて、髪、髪、髪、何をおいても長い艶やかな髪が第一なのに、NHKさんは何をやっているのだろう。これは何事かとオフィシャルのサイトにいったら人物デザインの方が「ぼくは美しいと思う」などと…。しかしこれはどう考えても賛同できません。どういうつもりか知らないが、ああいう意味不明のルール違反をするだけで、歴史好きの視聴者をどんどん無くしていることに気付かないのだろうか。

それに、皇族に嫁ぐようなお姫様の滋子が「まっぴらです。」「私は私の好いたお方の妻となります。」だって。おまけに、あっかんべー。これも論外。そもそも女性がああいうふうに晒されるのもありえないでしょう。片方でリアルリアルと言っていながら、肝心の人物の外見や行動が全然リアルじゃないことをどう説明するつもりだろう。

5.       人物の行動がリアルじゃない。
そもそも、皇族に刃物を向けるとは逆賊の扱いになると思うのだけど、覚えているだけでも今回で3回目(もっとあったかも)。どうしてあんな行動をとらせるのだろう。リアルリアルと言っている割に、なぜあんな行動がそのままにされているのが理解不可能。時代考証の方は何も言わないんだろうか。

6.       台詞の意味が不明
それで崇徳上皇に「私には私の守るべきものがある…」と、言うのだけれど、あの場面のあの時点で崇徳上皇にそれを言うことの意味は無い。前後とのつながりが不明。崇徳上皇も清盛が何を言っているのか解らないだろう。ナレーションで「情を捨て苦渋の決断をした」とあったが、なんだかもやもやとしてなんの苦渋だったのかも解らない。ほんとに不明なことが多い。上記で言ったような、コミカルシーンにエネルギーをつかうくらいなら、こういう台詞の詰めをきちっとやって欲しい。



いろいろときつく書いたけれども、このようないろいろな点で今回のドラマに賛同するのは難しい。もちろん私の個人的な私見なので、これが一般論だとは思わないが…しかし。こう書き連ねてみると、例えば「リアル」の言葉一つをとっても、どうもバランスがとれていないのではないか。あれだけこだわってリアルと言っているのなら、人物の設定も台詞も行動もリアルにしてもらえないだろうか。


反対に前代未聞の漫画風大河に徹底させるのならそれでもいい。鳥羽法皇宇宙人にドレッドヘア滋子、左右ふらふら時々キレる清盛、なんだかわいわい楽しそうな平家一門…パイレーツオブ瀬戸内海…そこまで腹をくくっているのならそれでもいい。しかし「リアル」の言葉だけで本格大河を臭わせているのがどうも詐欺っぽくていけない。私以外にも多くの人が混乱しているのではないだろうか。いったいぜんたいこの大河、何がやりたいのだろうと…。これからも視聴者(視聴率)と制作側の意地の張り合いで1年間が過ぎてしまうような気がする。なんとかしていただきたい。


最後に、毎年大河ドラマを習慣で見ている既存の視聴者には、真面目な歴史物語を見たい層がたくさんいる事を忘れないで欲しいと思う。過去30年以上にわたって大河ドラマを見続けているファンもたくさんいるのだ。現在の制作の方々が生まれる前から、大河ドラマを見続けている方々もいる。大河ドラマの基本は歴史を語る歴史ドラマ。現代風にアレンジするのもいいかも知れないが、そうすることによって固定の視聴者をなくす可能性があることも考えていただきたい。