能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2018年1月28日日曜日

映画『スター・ウォーズ 最後のジェダイ/Star Wars: Episode VIII - The Last Jedi』(2017):これもまた王道エンタメなのだろう






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Star Wars: Episode VIII - The Last Jedi2017年)/米/カラー
152分/監督:Rian Johnson
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旦那Aがどうしても見たいと言うので一緒に見に行った。8作目です。スターウォーズ・シリーズは(前回の感想でも書いたように)ワタクシ全く理解が出来ないので、何も期待せず、何も文句を言うつもりもなく、ただただ見に行ったのですが…。
 
意外に
面白かったかも。

映像がとても
綺麗だった

相変わらず何が起こっているのか人物達が何を言っているのか
全くわからなかった
けれど、それでも十分楽しめた…と思う。


最初からストーリーがわかるとは思っていなかったので(それはこちらの問題でもあるので)ストーリーに対しての文句は無い。それにしてもワタクシ、英語を日常で使うようになってからもう20年も経っているのに、内容が全くわからないと人物達が話している英語も全くわからないのねと気付いた。発見です。このスターウォーズの英語はたぶん「スターウォーズ語」なんだろうな。本当にわからないもの。最初の宇宙をバックに出てくる黄色の文字から、何のことやらさっぱりわからなかった。すごいね。

ところが、つまらないわけではないのがまた興味深い。

CGのお祭りのように映像がすごい。ほぼ23分毎にゴージャスな映像が出てきてびっくりします。すごく綺麗。

「うわーうわーすごいなーキレイダナー」…と1分間ほど楽しんで、人物達の会話が始まると(理解できないので)ちょっと眠くなる…と思うと、また3分後に「うわーうわーすごいなーキレイダナー…」そして、また会話が始まるとまた休憩。

そんな状態で2時間30分を乗り切った。

これはきっとジェットコースターに乗るのと同じタイプのエンタメなんだろうね。

「うわーっっ…(休憩)…うわわわーっ…(休憩)…ほおおおおっすげーっ…(休憩)…ほー綺麗だなぁ…(休憩)…うわー…」

それだけで2時間30分を過ごす映画。
それはそれでいいのだろう…と思った。

それぞれの場面がすごくゴージャスで、いかにも(後で発売される)ゲームの画面になりそうなのがまた露骨で大変よろしい。この映画のシリーズはゲームソフトでの収入もすごいんだろうと思います。これはそういう映画なのねきっと。


ところで余談ですけど私個人的には、昨今の賞取りシーズンでノミネートされた頭でっかちの映画に比べるとこちらの方がずーっといいと思います。私は『Lady Bird』も『The Shape Of Water』も全然好きじゃない。私は今のハリウッドで、ポリコレとかシリアスな社会問題ものとかアート風インディー風の癖のある楽しくない映画ばかりが評価される風潮がいいとは全く思わないので、単純エンタメに徹しているこの映画がなんだか良く見えてきたのは正直なところ。

映画ってそもそもエンタメなんだもの。映画を見るたびに毎回説教されたり教育されたくないし考えさせられたくもない。今年のアカデミー賞のリストは本当につまらない(ほとんど見ていない…いいのもあるだろうとは思うけれど)。ヒュー様の『The Greatest Showman』が選ばれないだけでももうダメダメだと思う。


スターウォーズシリーズのストーリーを理解するのはもう諦めた。しかし映像の綺麗さや豪華さはとにかく凄いのでそれだけでも十分楽しめる。様々な生き物たちも面白いし、派手に燃える宇宙船も、白い地面の赤い砂も綺麗だったし、最後の波動砲みたいなのもすごいよなぁ。

ジェットコースター映画、いいじゃないですか。
マーク・ハミルさんの宝石のような青い目もとても綺麗でした。

それにしても今のハリウッドのCGの技術がこんなにすごいのなら、もっと普通のSF映画も作ればいいのにとも思う。アーサー・C・クラークあたりの真面目なSFを原作にしていいSF映画がいくらでも作れそうなのにね。ちょっともったいない。

ところで海亀はまだスターウォーズ・シリーズ5作目を見ていない。


映画『スター・ウォーズ・フォースの覚醒/Star Wars: The Force Awakens』(2015):SWブランドを楽しむ



2018年1月25日木曜日

NHK大河ドラマ「西郷どん」第3回「子どもは国の宝」 1月21日放送



今回良かったのは江戸のケンワタナベと竜雷太さんのシーンです。さすが大河という感じ。いいわ


★あらすじ
薩摩の下級武士と農民達は苦しんでいる。西郷家も借金。島津斉彬は薩摩藩の密貿易を幕府に報告。責任を負って調所広郷は自害。お由羅騒動。


今回は話の時間の配分を間違ったんじゃないのか。薩摩の下級武士と農民の(出口の無い)苦しみばかり見せられて、上の方の政治や島津家の話がほとんど描かれていないのがつらい。お由羅騒動もいきなり始まっちゃった。前回も今回も借金や農民の話に尺をとりすぎだと思う。

江戸の島津斉彬と調所広郷のシーンはとてもいい雰囲気なんだけれど、肝心の西郷さんの話に違和感。その違和感はなんだろうと考えた。たぶん熱すぎる演技。

最近の大河ドラマって皆よく怒鳴りますよね。

どうしてなのか。みんなガミガミよく怒鳴る。やっぱり『半沢直樹』の悪影響だろうか。違和感がありますね。

去年の『直虎』も感想を書くのを止めた(最後まで見るだけは見た)第一の理由は、若い役者さん達がガミガミ怒鳴ってばかりで嫌になったからなんですよ。苦痛。うるさくてしょうがない。

この回の西郷さんも風間パパもよく大声を出す。しかし現実に普通の人ってそんなに大声を出さないものだと思う。だから気になり始めるととても気になる。

あ、そうだ…それに西郷家は武家なのに商人に土下座するのかな?これも違和感がありますね。変じゃないのかなぁ。


先日の『龍馬の遺言』の雰囲気がちょっといいなと思ったのも、たぶん俳優さん達が無駄に大声を出していないから。あのドラマは落ち着いた時代劇の雰囲気がよかったです。


この大河ドラマのIndexのページを作ってないのは、まだこれからどうなるか…わかんないから。途中で止めてしまうのならIndexを作っても無駄になる…というわけでまだ様子を見ている段階なのです。

今週は調所さんが自害。来週は赤山さんが切腹だそうで。いい雰囲気の役者さんがいなくなるのが悲しいわ。


 

2018年1月23日火曜日

NHK スペシャルドラマ『龍馬の遺言』・感想



年の初めに放送されたNHK時代劇を2つ見た。一つは正月時代劇の『風雲児たち』。もう一つはスペシャルドラマ『龍馬の遺言』。この二つのドラマがそれぞれ正反対の印象だったのが面白い。
 
言いたいことをまとめるなら
・『風雲児たち』はスターを見るドラマとしては面白いけど歴史ドラマとしては中身も面白味も無い。
・『龍馬の遺言』は歴史ドラマとして面白いけれどペースが遅くて眠くなる。

…以前からどうやったら大河ドラマを復活できるのか…などとと考えているのだが、その答えはこの二つの正反対のドラマの間のどこかにあるのではないかと思った。

それぞれの感想を書いていこう。

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●『龍馬の遺言』感想

録画をしばらく前に視聴。このドラマの日本での放送は去年の1229日。

いや~難しかった。海亀は実は幕末をよく知らない。途中でちょっと眠くなった(睡眠不足)。

しかし歴史ドラマとしてはかなりいいドラマだったのでは。龍馬さん周りの歴史をよく知らないので、このドラマの内容が唸るほどいいのかどうかはわからなかったけれど、真面目な歴史ドラマとしての雰囲気はとてもよかった。このドラマの演出は近年の大河ドラマとは全然違いますね。静かで穏やかなドラマなので少し眠くなったけれど内容は興味深い。(居眠りしたので)途中でわからなくなったがどうしても内容が知りたい…というわけで録画を3回見直した。理解できたと思う。面白かったです。


★あらすじ
龍馬の最後の30日の様子。龍馬の計画。そして暗殺。その後、その暗殺は誰がやったのか…の種明かし。


俳優さん達が大声を出さず呟くように芝居をする。それがすごく良かった。静かなドラマ。『半沢直樹』以降に増えた無駄にうるさいドラマとは全然違う。今どきこんなに静かな雰囲気のドラマは珍しいのではないか。すごくいい。

内容も真面目。内容は歴史のみ。キャラクターの人となりを掘り下げることも、ギャグに逃げる事もない。女性は一人も出てこない。資料を元にした真面目な歴史ドラマなのだろう。視聴者はある程度の歴史の知識がないと難しいかもしれない。いや元々このドラマは最初から歴史ファンだけのために作られたドラマなのだろう。

俳優さん達が歴史上の人物達を淡々と演じている。実は数名の有名な方を除いて馴染みのない役者さんも多い。どの俳優さんもスター性だけで売っている方々ではないのだろう。しかしそれがとてもいい。どの俳優さんも演じる歴史上の人物(役)が前に出ていて、俳優さん個人が前面に出ていないのがとてもいい


このドラマの役者さんのあり方は、三谷さんの『風雲児』とは正反対ですね。

三谷さんのドラマは、俳優さん達一人一人をスターとして輝かせるタイプのドラマ俳優さん個人の個性ありきで、その上にドラマが乗っているような演出。俳優さんに目が行くから内容が薄くてもとりあえず面白く見られる。しかしギャグや俳優さんの個性が邪魔になって歴史ドラマとしての面白さが見えなくなってしまう事も多い。

それに比べて、このドラマの芝居はあくまでも歴史上の人物を演じて物語りを伝えるためのもの。俳優さん達は個人の色を消しているようにさえ見える。近年のドラマはこういう静かな演技、演出がとても少ない。だからとても新鮮。


演出のせいで全体に役者さん達が地味なんですよ。そして静かだから眠くなる…ところが(内容を知りたかったので)3回も見直したら、見れば見るほど面白くなった。これは歴史ドラマのあり方としてちょっと考えどころかもしれないと思った。

歴史ドラマとしては、大変いいドラマのあり方なのかも。


とても静かで派手に気を引く演出ではないので、おそらく長期の大河ドラマなどには向かないのだろうと思う。しかし単発の歴史ドラマとしてなら十分可能性はあると思う。こういうのをまた時々見たいと思う。スターありきではなく俳優さん達が役を真摯に演じ、静かな演出で、歴史上の物語を見せるためのドラマ。歴史好きを唸らせ、視聴者に歴史を学ばせ、目を開かせて、考えさせてくれるような真面目な歴史ドラマ…を、時々単発でやって欲しい。


このドラマの坂本龍馬(新井浩文)は淡々と飄々とした人物。つかみどころが無い。穏やかな物腰なのにちょっと目が怖い。何を考えているのかわからない。ミステリアスな人物の設定なんでしょうね。詐欺師だと言ってますね。面白いです。

龍馬の新井さん以外にも伊藤さん、宇梶さん、筒井さん…と有名な方々は出ていらっしゃるのですが、それ以外の脇役の俳優さん達もいい雰囲気でした。渋い中根雪江(苅谷俊介)。不気味で怖い中村慎太郎(山本浩司)。どっしり西郷吉之助(井之上淳)は似ている。木戸準一郎(佐渡山順久)はイケメン…。演出のせいなのか皆さん全員が渋い…とても大人な役者さん達に見えた。ちょっと昭和の時代劇みたいな感じ。

★ネタバレ注意
龍馬は松平春嶽を新政府のトップに推していたが、その意図を誤解して幕府の旗元・永井尚志が龍馬を暗殺するというストーリー。

この辺りの歴史をよく知らないので、ちょっと調べようと思います。ドラマを見て史実を調べたくなるのがこういうドラマのいいところ。歴史を知るきっかけになるようなこんなドラマがまた見たいと思う。


NHK 正月時代劇『風雲児たち』蘭学革命篇・感想



年の初めに放送されたNHK時代劇を2つ見た。一つは正月時代劇の『風雲児たち』。もう一つはスペシャルドラマ『龍馬の遺言』。この二つのドラマがそれぞれ正反対の印象だったのが面白い。

言いたいことをまとめるなら

・『風雲児たち』
スターを見るドラマとしては面白いけど歴史ドラマとしては中身も面白味も無い。
・『龍馬の遺言』
歴史ドラマとして面白いけれどペースが遅くて眠くなる。

…以前からどうやったら大河ドラマを復活できるのか…などとと考えているのだが、その答えはこの二つの正反対のドラマの間のどこかにあるのではないかと思った。

それぞれの感想を書いていこう。


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●正月時代劇『風雲児たち』
 
録画していたドラマ。
 
これ、三谷幸喜さんによるドラマで、登場人物達がことごとく『真田丸』に出ていた役者さん達なんですね。それだけでも面白かった。いや実はそこが一番面白かった。
 
★ネタバレ注意
ストーリーは単純。時代は江戸中期。蘭方医の前野良沢と杉田玄白が「解体新書」出版するまで。杉田玄白のアイデアでオランダの解剖学書「ターヘル・アナトミア」を翻訳して出版するのだが、完璧主義者の前野良沢が入稿直前に「まだ完全な訳ではないので私の名前を載せたくない」と言いだし、「解体新書」は彼の名を載せることなく出版される。

原作の『風雲児たち』とは、1979年に始まったみなもと太郎氏の歴史ギャグ漫画だそうです。長いシリーズから「解体新書」のエピソードをとりあげた。


それにしても配役だけでほとんど満足できたのがドラマとしていいのかどうかわからないけれど、とにかく『真田丸』づくしでした。最初はその事を知らなかったので、新しい役者さんが登場するたびに「あ、おこうさんだ、内記さんだ、板部岡さんだ、真田のパパだ、長宗我部さんもいる」といちいち喜ぶ。だって2016年は『真田丸』の登場人物達の似顔絵を一年間描いてましたもん。みなさんよ~く覚えてます。そこが一番楽しかった。

冒頭から「これは大河ではない(有働さんナレーション)」とありましたが、まぁ軽いエンタメドラマですね。そのとおりそのとおり。でもこれはこれで楽しい。原作はギャグ漫画だそうなので最初から重苦しい歴史時代劇でないのは明らか。楽しければそれでいいし、実際とても面白かったです。


しかしこういうドラマを見ると、あらためて私がいかに大河ドラマにこれとは違うものを求めているのかというのもよくわかる。もっと真面目にやって欲しいんですよ。大河ドラマには(このドラマと比べて例えるのなら)昭和の劇画調の重苦しい雰囲気を求めているんですよきっと。「明日のジョー」とか「巨人の星」とか「ゴルゴ13」とか(←どれも読んでいないけれど)…昭和の漫画は手塚治虫さんの漫画だってかなり暗くて重苦しかった。根性とか努力とか忍耐とか規律とか礼節とか…かなり重苦しい「思い込んだら試練の道を行くが男のど根性」←こういうやつ。ひゃ~歌詞を書くだけでも苦しい。

重厚大河とか本格大河なんて実際そういう重苦しさがあってこそではないのか。しかし今の若い世代の人達はそんなの見たくはないんですよね。

今回の三谷さんのドラマもかわいいんですよ。歴史的なリアリズムはゼロ。重苦しさも一切無い(役者さん達は大変素晴らしいけれど)。きっともう時代が違うのだな。時代が違えば人々がドラマに求めるものも変わってくる。今はほどんどの視聴者が「根性」や「努力」「忍耐」の話なんて見るのもめんどくさいんだろう。まぁそういう時代ということだ。

近年今まで何度も大河ドラマを見ては「軽い軽い」と文句ばかり書いていたんですけど、もう文句を言っても無駄なんだろうなとも思った。もう重厚な歴史大河ドラマが作られることは二度と無いのかも。それなら感想を書く側もそれを受け入れなければならないのだろう。

このドラマが面白かったからこそ、なんとなくそんなことを思った正月時代劇でした。


2018年1月22日月曜日

映画『シェイプ・オブ・ウォーター/The Shape of Water』(2017):『スプラッシュ』の2017年版ダーク編


 


 
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The Shape of Water2017年)/米・加/カラー
123分/監督:Guillermo del Toro
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去年の年末に鑑賞。

まぁ…これは『スプラッシュ(1984)』ですね。人魚がダリル・ハンナちゃんだったのが、今回はリアルに不気味な半漁人に替わった。男女の役割もひっくりかえって人魚が男になった。恋をするのは人間の女性。うー…。

これもファンタジーなんですよね。しかしこれは納得できない。

キモチワルイ映画。


★あらすじ
60年初期。研究施設に送られてきた半漁人と掃除係りの女性が恋に落ちる。


この映画、アメリカの批評家の間ではものすごく高評価。Rotten Tomatoesでは去年の一時期94点。現在92点。だから見に行った。その高評価の理由はどこにある?


●いいところ

・セットと雰囲気がいい。
凝ってます。ちょっと前のアート系フランス映画や英国映画にありそうな演出。テリー・ギリアム、ジャン=ピエール・ジュネあたりを思い出す。光や色合い、雰囲気がいい。一目見て「あ~狙ってるな」と思う。

・主役はほぼマイケル・シャノン
怖い悪役なんですけどすごい迫力。ユーモアのかけらもない嫌な男。悪の大魔王。このマイケル・シャノンという俳優さんはとにかく迫力がすごい。お顔はホアキン・フェニックスに似ているのにホアキンさんのような柔らかくて弱い部分が全く見えない。この映画でもゴリゴリに悪い人になりきってる…それが凄い。…実はあまりにも悪い印象なので俳優さんに興味が湧いてTV出演のインタビューを見てみたら超面白いお茶目な人だった。驚き。ファンになりそう。

・全体に演技が上手い
ほぼ全員上手い。マイケル・シャノンさんの他にも役者さん達は皆上手い。主演のサリー・ホーキンスさんが喋れない役なのに演技だけでも観客の涙を誘う。全体のレベルが高い。

・半漁人を演じた俳優さんのカラダのバランスが素晴らしい。
カラダが綺麗な人っているのね。この俳優さんダグ・ジョーンズさんはこの監督さんと組んでいつも被り物をする役で有名だそうです。


★ネタバレ注意


●残念なところ

・ユーモアがゼロ
設定が似ていると書いた『スプラッシュ』は全編がユーモアに溢れていたんですよ。どうせファンタジーなら可愛くておかしい方がいい。しかしこの映画は妙にシリアス。それに暴力描写も多くて痛い。テーマがファンタジーで演出も漫画っぽいのに、全体に重苦しい雰囲気でユーモアを感じにくいのには違和感があった。雰囲気に馴染むまで時間がかかった。

・薄っぺらいラブロマンス
ロマンスが簡単すぎ。最初の出会いは女性が水槽に近づいていって半漁人にゆで卵をあげただけ。それだけで半漁人が急に手話を理解し始める。簡単すぎ。異質の者達が恐る恐る徐々に徐々に近づいていって理解しあうプロセスが殆どない。女性は怖く無いのかな?ゆで卵をあげたら次は音楽を聴かせて…もうお友達。異質の者と友情を育むのならもう少し繊細なプロセスを見せて欲しかった。

・仲良しになる
一番の問題はここ。ちょっと無理ですよね。出会いのロマンスの描写(友情を育むプロセス)が短いから簡単にそちらに行ってしまうのも納得が行かない。いやそれ以前に魚…鱗…冷たい…むむむむりだわ。脚本が男性のせいなのか…どうも女性の事がわかってないのではないか。どう考えてもいやだ。会話もできないから相手の事が理解も出来ないのに。要はイノセントな友情に性を持ち出すから問題なんですよ。微笑ましい友情に留めておけば納得できたと思う。『E.T.』も『未知との遭遇』も…友情だけで十分じゃないか。Hを話にとり入れるのならもう少しユーモアが欲しい。この映画は品がなくて不快これも『スプラッシュ』に軍配があがる。あれは微笑ましくてかわいかった。

・結構痛い場面が多い。
おばちゃんには痛過ぎ。

・猫 😿

・余計な話が多すぎる
老齢の男性が会社からクビになってイラストレーターの仕事をしている…ゲイだからアウトサイダー…詳しく描いているんですけど必要性を感じない。孤独な男性だという情報は脚本でほのめかすだけにして、その時間を本題の半漁人と女性の出会いの描写に使って欲しかった。細々と散りばめられた他のエピソードの数々も…どうも納まりが悪い。

・狙いすぎの妙な雰囲気
カメラワークも演出も狙ってますね。これはアートな映画ですよ…という感じ。ジャン=ピエール・ジュネ監督…『アメリ』を思い出す…主役の女性がちょっと妙な子。悪役は極端な極悪人。ロシアのスパイはいい人。肝っ玉オバチャンの同僚。結構痛いグロ描写。不必要に多い性的な描写。バスルームの水タンク化も嘘っぽい。…キャラも演出も全体に漫画っぽい。しかしユーモアに欠ける。
『アメリ』はちょっと妙な感じがユーモラスな映画全体によく馴染んでいた思うけれど、この映画はどうも納まりが悪い。妙だからアート風というのも違うと思う。


うだうだ文句ばかり書きましたけど、要は世間の評価があまりにも高いので期待しすぎちゃったのよ。しかしこの映画が92点で『Greatest Showman』が55とは…おかしいですよね。プロの批評家達にとって「いい映画」とは何なのだろうと考えさせられる。ほんとに。

私はこの映画をいいとは思わない。なんだか全体にやたらと不快に感じた。キモチワルイそれに演出ばかり凝っているけど内容は結局『スプラッュ』じゃん。しかしダリル・ハンナちゃんの人魚のほうが可愛いかったし、あの映画はもっと夢があったよねぇ…と思ってしまった。ファンタジーは馬鹿馬鹿しいほどファンタジーらしくあってくれたほうがいい。『スプラッシュ』の最後のトム・ハンクスは竜宮城で幸せになっただろうなと思ったもの。

この映画のイライザさんはアマゾンのジャングルであの半漁人の嫁になったら苦労しそうだわねと思った。