2015年10月26日月曜日

映画『オデッセイ/The Martian』(2015):2億2530万キロの孤独…火星のぼっち・マット君を救え


 
-----------------------------------------------------------------------------
The Martian2015年)/米・英/カラー
144分/監督:Ridley Scott
-----------------------------------------------------------------------------

 
先週はスピルバーグ、今週はリドリー・スコット。贅沢な季節です。アカデミー賞を狙ってのタイミングでしょうか…ここのところ急に高評価の映画が増えた気がする。

さてこの映画…よかったですよ。なんだか泣けた。単なるエンタメ映画とわかっているんだけど、エンタメそのもので泣けることもある…そうだそうだ。どこで泣けるかは見た人にもよると思います。私はジェシカ・チャスティンちゃんのキャプテンに泣けた
 

顔がね、映画館を出た後も
こんな風。目尻のあたりが暫くヨレヨレする。涙はそんなに出ないのに。
 
 
★以下ちょっとネタバレ注意
 
女優のジェシカ・チャステインさんが素晴らしかった。彼女のことは以前から好き。…そういう女優さんや俳優さんて時々いるんですよ。小さい役なのに気になってしょうがない人。カリスマなのか上手さなのかも分からないのになぜか気になる。私が以前見た彼女の映画は2011年の『ツリー・オブ・ライフ/The Tree of Life』と『The Help/ヘルプ』だけ。それでもこの二つの役がまったく違うタイプだったので驚いたのを覚えている。
 
この映画も全く違うタイプ。なんと宇宙船の船長さん。クルーを率いるリーダーです。場面もそれほど長いわけではないんだけど、本当にかっこよかった。マット・デーモン君を助けに行く決断をし、クルーを率いて火星に向かう。今年38歳だそうですが、こんなに知的で頼りになる冷静なリーダを演じられるとは。かっこいい…。彼女が船内から「助けるわよ…」とマット君に話しかける表情で涙が出た❤❤❤❤❤❤❤❤❤素敵素敵素敵。
 
 
★あらすじ
 
時は2030年代。宇宙船アレス3のクルーが火星に送られるが、任務中に火星の砂嵐に巻き込まれる。やむなく火星を脱出することになるが、クルーの一人・マーク・ワトニー(マット・デーモン)が事故で火星に残されてしまう。マークは生きていた。さてマークは生き延びる事が出来るのか。人類は彼を救う事ができるのか。
 
 
これは娯楽映画です。原題は『火星人』。一人火星に残されて自給自足で生き延び、文字通り火星人になってしまった男ということか。火星のロビンソン・クルーソーですね。日本版のタイトルが『オデッセイ』とはなんと雰囲気ばかりで意味不明のタイトルか…。
 
さてリドリー監督でSFと言えば『エイリアン』を思い出す。あれからもう36年も経ったなんて。あれから比べると宇宙船の船内の様子も随分変わりました。今回の宇宙船は内部が白くて綺麗です。
 
もちろん話の内容は『エイリアン』とは全く違うんだけど、
宇宙、事故、危機、予測不可能な事態、孤独、極限。諦めない、ハラハラドキドキ、大丈夫なのか? これはどうなるんだろう。ドキドキ、あ~また問題発生。どうする? ドキドキ…など、
宇宙で人間が極限状態になる話と思えば共通点が無いわけではない。こういう映画を撮らせるとリドリー監督は本当にいい。やっぱり『エイリアン』の監督だと納得する。だから安心して見られます。必ずドキドキさせてくれる。ディザスター・ムービー(パニック映画)の王道。大変素晴らしい。
 
 作中ところどころ…ガムテープとビニールシートでドアの修繕が出来るのか?とか…なんでそこを爆発させるのよ?とか…多少の疑問点はありますが、まあそういうところを細かくつつくのは無粋…気になりますけどね。しかしこういう話はSF宇宙映画の浪漫浪漫浪漫…フィクションとして楽しむべし。
 
『エイリアン』と違うのは、主人公の敵はモンスターではなく、火星の環境と孤独、そして自らの生存の可能性。少ない資源でどこまでいけるのか、いつまで生きられるのか…それを科学者のマット・デーモン君が必死で探し出そうとします。本当に必死です。ほとんどの普通の人にとっての極限無理ゲーを、彼はなんとかクリアしようとする…そこが見所。私ならまず最初の30分ぐらいで諦めていたと思う。
 
そしてもう一つの大きな違いは、マット君には地球から助けの手が差し伸べられるんですね。しかしそれも簡単なことじゃない。火星に再度行くだけでも莫大な費用と長い時間がかかってしまう。危険も伴う。地球上でも「たった1人のためにどこまで…?」なんて生々しい会話もあったりする。うわー大変よ。そんな地球側の話にもドキドキさせられる。
 
いろんなことが決まっていっても、そこはもちろんパニック映画、すんなりと丸くは収まらない。いろいろと問題が出てくる。
 
ここで手を差し伸べるのがとある国です。1997年のSF映画『コンタクト』で同じような問題に助け舟を出したのは日本でしたが、最近こういう映画での日本の影は多少薄くなったかもしれません。ほぼ20年前に比べて、ある国がいろんな意味でパワープレイヤーになったのは事実で、この映画にもそれが反映されています。人類の共通の目的の為にいろんな国が協力し合うことは理想。映画でのこういうメッセージはいいことです。
 
そして俳優マット・デーモン君。もちろん素晴らしい。たぶんこの役のために体重を増やしたり減らしたりしていると思う。冒頭に自分で怪我の手術をする場面での一人芝居からドキドキしてひきこまれる。自らの行動を記録する為にカメラに向かって話しかけながら、全編一人芝居。一人でも落ち込まずに妙に元気がいいぞ。最後に、火星上空の宇宙船内のキャプテンから話しかけられて泣く彼の泣き顔で、またこちらも泣く。…そうそうこの場面で目尻がヨレヨレになった。
 
なんだかいろいろとまとまりのない感想ですが、パニック映画の感想なんてこんなもんでしょう。いろんな場面で、あーこれはいかん…うわー痛いな…はーよかったよかった…ぁーまた問題か…うわー大変…もったいないなぁ…あーまた問題…ほーそうかそうか…おおすごいね…おーいいね…うはーかっこいい…涙涙…。なんだかわけもわからず感情を揺さぶられて目尻がヨレヨレになる…のがこういう映画の醍醐味。
 
面白かったです。あまり深みのある映画ではないけどSF映画としてドキドキできて楽しい。適度にリアルで面白いと思ったらNASAのお墨付きだそうです。
 
さてGloria Gaynor「恋のサバイバル」David Bowieの「スターマン」はわかるけど、ABBA「恋のウォータルー」はなんでや?ドナ・サマー姐さんもあるぞ。これから15年以上の未来に彼らはなぜDiscoを聴いているのだろう。