能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

この度の能登半島地震で 被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。 一日も早い復興をお祈りいたします。 ★NHK による様々な支援情報 能登半島地震 義援金・支援金の受け付け始まる 窓口まとめ 【随時更新】 https://www.nhk.or.jp/shutoken/ne...

2014年1月14日火曜日

映画『Her/世界でひとつの彼女』:星新一の近未来2013年版



 -----------------------------------------------------------------------------
Her2013年)/米/カラー
126分/監督:Spike Jonze
-----------------------------------------------------------------------------


人間とA.Iの恋。あー…これはね、SFの永遠のテーマだな。いかにも星新一さんが書きそうな話だ。…そうそう星さんが60年~70年代にショート・ショートSFを書いていた頃は、今のようなスマホもPCもインターネットもiPadも無かったんですよね。当時のこの手の話は、人間とロボット…コンピュータらしきものとの関係の話でした。

一昨年、映画『素敵な相棒~フランクじいさんとロボットヘルパー/Robot and Frank』を見たときに、人間とロボットのもっと現実的な関係を描いた映画を誰か撮ってくれないものか…と書いたんだけど早速出ましたね。今回はロボットではなくオペレーション・システムの声です。機械の声と人間との関係。

近未来の設定ですが、これみよがしのSF風ではなくいかにも普通の風景。たぶん今から20年、30年後の未来という感じかな。歩いてる人の服装も、街の風景も今と殆ど変わらない。普通。ものすごくリアルなほんのちょっと先の近未来の設定だと思う。


主人公は離婚寸前の寂しい会社員ホアキン・フェニックス。このお方もオジサンになりました。普通のさえないオジサン風。さて問題のOSガールの声の主はスカーレット・ヨハンソン。この女優さんのハスキーな声がセクシーなのかどうかは私にはよく分からないが、セクシーな声を見た目がセクシーと言われる女優がやることもなかろうに…。私はこのおっぱい女優があまり好きではない…。

それはともかく、これはワタクシすごく好きなテーマ。まさに星新一さんが今の時代に書きそうな話…いや彼はHな話は書かないんでしたな…。それでも十分に星さんの描くライトな近未来の雰囲気はあると思う。こういう機械と人間の話は今でもドキドキする。


内容の感想に行く前に、まず映画として面白いところ、いい所を書きとめておきたい。

1. ホアキン・フェニックスが上手い

今年のコメディ・カテゴリーのゴールデン・グローブ主演男優賞はデカプリオが取ったらしいですが、まーあのレオ君の『Wolf of Wall Street』のぶっちぎれ演技ならしょうがないでしょう。しかしね、このホアキンさんはいいですよ。ものすごく自然。ものすごくリアルな寂しいオジサンです。奥さんと別居中でもまだ未練タラタラ。忘れられないのね。仕事は手紙の代筆業(?)。客のために手紙を創作して書き上げるお仕事。一日中コンピュータに向かって誰かへの手紙を入力する。そして帰ってきて家で一人ゲーム。ああ…いかにもリアルにいそうな悲しいオヤジだ。間違いなく内気なギーク(オタク系)の中年なのだけど決して憎めない。可愛いぞ。イイ奴じゃないか。なんか…理解できるわこの人。若い女の子には単にキモイおっさんかもしれぬがワタシは大丈夫。お友達になってもいい。ともかく、このホアキンさんが2時間延々と一人芝居をする。相手はイヤホンから聞こえてくるOSの声なので相手がいないんですね。だから彼がずーっと宙に向かって一人芝居をしている。でも上手い。ちょっと泣ける。本当に表情豊かですごいと思う。もし今年デカプリオが頑張らなかったら主演男優賞はこの人だったろうと思うくらい上手い。

2. とても近い近未来の風景が面白い。

近未来と言っても銀色のスーツなんて出てこない。今の都市の生活と一見殆ど変わらないんだけど、よく見るといろんな細かい違いが見えてくる。この映画はそんなリアルな近未来の演出が非常に上手いと思う。

①なぜか男性のパンツ/ズボンのウェストの位置が高い
すごく変。お臍から10㎝くらい上の位置にウェストがあるのでとても変。ほぼ全員がそんなパンツをはいている。ウェストの位置以外は全て普通。だからますますウェストの位置に違和感がある。時代が変われば流行りも変わるということだろう。こういう微妙な服装の違いこそがリアルな近未来。
 
②ちょっと近未来の仕事環境・住環境が面白い。
主人公の働く会社は仕事の内容から見ても、それほど最先端ではなくて普通の中小企業っぽいんだけど仕事場はおしゃれ。今の最先端なIT企業のオフィスが入ってそうな仕事環境。要は世の中が今よりもちょっとだけ進歩しているので、普通の会社も小洒落た感じになったんだろう…という感じ。それに普通のサラリーマンの主人公の住環境もおしゃれ。どうも2000年あたりに流行ったような一面ガラス張りのお洒落な高級マンションに住んでいるんだけど、そんな物件(現実で2014年の今現在は)まだ彼みたいな普通の会社員には住めないだろうと思う。この主人公のような普通の会社員がこんなところに住めるというのも、世の中がちょっとだけ進んだことの設定なのだろうと思う。

③街が清潔
街の風景も今と同じ。だけどとても清潔な感じがする。人もちょっと少ないかも。ウェスト位置の高いパンツを履いたギーク(オタク系)な人達がイヤホンのOSと話しながらゴミ一つ落ちていない通路を歩く風景はやっぱりちょっと変。もうすぐ実現しそうなリアルな近未来の日常の風景だろうと思う。電車に乗ると乗客全員が携帯をいじっていて個々の世界に没頭している東京の風景とどこか似ているかも。

④いろんなツールが面白い
どこも一見普通なんだけど、人物達が当たり前に使っている日常のツールはとても進歩してます。3D画像を部屋の一面に投じたゲームの画面。PCらしいものにもキーボードは無い。ほとんどのコマンドは音声認識されるので人物は常にOSに話しかけている。いろんな場面で(今はまだ技術的に不可能だろう)最先端のツールが出てきて面白い。将来はこんな風になるのかも…などと面白かった。(地味だけどリアルな)近未来の様子がよく考えられて丁寧に作られているのがとても楽しい。


全体的にとてもいい映画。編集も音楽も情緒的ですごくいい。ホアキン君の一人芝居も本当に素晴らしい。表情だけであんなに繊細な演技ができるなんてすごいと思う。こういう人の心をテーマにした映画は記憶に残ります。アクションばかりのSF映画には求められない深み。最後はちょっとしんみりさせられる。見終わった後、後ろの客席からいくつかの拍手も聞こえてきました。


★ちょっとネタバレ注意

さてそれでは問題の内容について…。ここからはワタクシの独断と偏見に満ちた愚痴です。いや…もっとこうして欲しかったなーという意見。

えー正直…うーん…期待してたのとちょっと違ったかな…という感じ…。決して悪くは無い。十分に楽しめた。特に上に書いたようなリアルなちょっと先の近未来の様子は本当に面白かった。話の設定も面白いし、いい題材であることは間違いない。

問題は肝心のオペレーション・システムと主人公のオヤジの関係。いやOSの設定・あり方がちょっと違うかな…という感じ。要はこのスカーレット・ヨハンソン声のOSが、あまりにも人間過ぎてつまんない。もっと機械には機械らしくしてもらわないと…SFロマンを感じない。

内容には触れませんが、このOSが最初から普通の女なんですよ。完成され過ぎているの。それが面白くない。このOSには、まだ生まれたばかりだから簡単なことも分からなかったり、ちょっと間違ったりとか…そういう初期にありがちなユーモラスな可愛げが全く無い。こういうA.I (Artificial Intelligence)って、話しかければ話しかけるだけ持ち主の言葉を学習して人格が形成されて成長していくものだろうと思うんだけど、このOSは最初から大人の完成された女。だからつまんない。このOSが最初はもう少しイノセントで、ホアキン君が教えながら学習させていくような話ならいいのにと思う。育てるのが面白いのに。

だからA.Iと人間との関係を描いた面白味=SFのロマンを感じない…。要は、OSがあまりにも人間そのものなんで、人工のA.Iである必然性をあまり感じないんですよ。

(内容的にあるにはあるけれど)話しかけて学習させていく経過もあまり無く、あってもそれほど微笑ましいものではないのも残念。教えていく内容もちょっとつまんない…。結局A.Iと仲良くなって行き着くところはそこかい?的なガッカリ感もあったりする。結局そこか…アメリカ的なダイレクトさなんですかね。結局みんなそこが知りたいの?

それに何よりもこのOSに機械的なもどかしさが全く無いせいで、彼らの関係がいつの間にか人工物A.Iと人間の関係に思えなくなってくるのも問題。OSがあまりにも普通の人間らしいので、どこかにいる人間の女の子と話しているみたいに思えてしまう。まるで(決して会うことの出来ない)海外在住のガールフレンドとの電話での遠距離交際と同じに思えてくる。それも問題。OSである必要ないじゃん。

それ以前にそもそもワタシには、ああいう人工のA.Iがここ20年、30年であれほどの自意識や肉体性、創造力や独立心を持つほど進化するとは思えませんもん。無理だと思う。それもちょっと醒めた理由。旦那Aは理系の人なので「可能だ」と言ってましたが、いや私はそうは思わないぞ。まだまだ早すぎる。

そんなわけで、寂しいホアキン君がOSと出会って明るくなってくる様子は良かったんだけれど、だんだんOSが身勝手になってくると興ざめ。「そんなのありかよ…」的にちと醒めてしまいました。


だってさーA.I.のガールフレンドなんて、イノセントで忠実でちょっと抜けてて可愛くて何でも言うことを聞いてくれて思い通りになってくれてナンボなんじゃないのぉ? それで可愛いA.I.ちゃんにだんだん人間が中毒になってのめりこんでいって抜けられなくなって、最後はいろいろとおかしくなって悲劇が訪れるなんていう話を期待してしまうけどな。そういう話のほうが星新一さん的な怖いダークなSFのロマンを感じるけどな…。

やっぱこういう話はアメリカはだめなのかなぁ…。行き着くところがああいう結末というのもなんだかなぁ…と思いました。しかしこれは私のワガママ。

それでもね、やはり映画としては面白い題材だと思う。良く出来た映画。これからもこういうテーマの映画はどんどん出てきて欲しい。

 

2014年1月13日月曜日

NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」第2回「忘れえぬ初恋」



なんか…面白かったです。すごく大河っぽい。うんうん。あまり奇を衒った感じもしないし普通なんだけど、見たいところはしっかり見せてくれて気持ちがいい。合戦とかね。よく撮れてますよね。話もすごく単純なんだけど分かりやすくて…TVドラマ時代劇という感じでいいと思います。

妙に映像に凝り過ぎた映画風でもなく奇抜な漫画っぽいわけでもなく、かといって文芸調でも勘違い芸術枠でもなく、すんなりとTVの時代劇ドラマとして面白かった。去年の前半は超真面目な大河でしたから今回はサラッと戦国ものでいいのかも。

岡田さんはいいな…。顔がイイのは言うまでも無いことですが、アクションが出来るのがいい。馬を操る様子も殺陣も決まっていたし身体がよく動く俳優さんなのね。男臭くて時代劇が似合う。まだ30代前半なのにチャラチャラした感じもないし、すごくいい感じ。かっこいいです。このままイケメンアイドルであることを暫し忘れて、思いっきり戦国の猛者らしく汚れてくれれば尊敬するわ。ちゃんとハゲ月代ヅラも被ってね。ヨロシク。

結局、戦国時代のドラマは合戦シーンさえ決まっていればそれなりに満足できる…という証みたいな回でした。合戦シーンはきちんと描いてましたよね。まだまだ地方の小競り合いという小さい戦の感じもいいと思う。こういう感じでだんだん規模が大きくなっていく合戦シーンをきっちり撮っていけば戦国大河として面白くなると思う。


全体的に、台詞に深みがあるわけでも無いし、場面場面のつながりが特に上手いわけでも無いけど、それほど不自然な感じがしないのは、分かりやすい話でグイグイ次に繋げていくからでしょう。

話が分かりやすいんです。

若い官兵衛君、親分の小寺家に人質奉公。先輩にいびられる。親分のマダムは綺麗でエロい。親分にも可愛がられる。初陣。官兵衛君初陣なのに全軍を救って勝利。お手柄。先輩は面白くない。でも死体累々は怖いぞ。爺ちゃんの家に遊びに行くと可愛い彼女おたつちゃんがいる。その彼女が大人の事情で浦上氏に嫁に行く。官兵衛君悲しんでいたら、赤松家が怒っておたつちゃんが嫁に行った浦上氏に宣戦布告…ああおたつちゃんの運命やいかに!!!

ここまで分かりやすければドラマ的には十分。あとは演出でじっくり見せてくれればいいと思う。十分楽しかったです。官兵衛君の周りのむさいオッサン達も戦国らしくてなかなかよかった。赤松さんは「帰ってきたウルトラマン」だな。近年ウルトラマン・ジャックと言うそうだ。


そうだな…一つ残念なのは、官兵衛君、この時代には16歳なんですよ。近年の大河の子役が12回目で消えてしまう事を見ても、大人の事情だろうとは思うのですが、岡田さんは16歳には見えないですよね。演出上、岡田さんに似た高校生ぐらいの若い俳優さんを連れてきて成人するまで演じさせたらよかったのにな…とも思った。

おたつちゃんとの雨宿りなんて、まんま大人の男と若い娘の情事ですもん…はははは。二人が無理に別れさせられてもあまり可哀想な感じがしない。若い男の子ならもっと悲しい感じが出たと思う。赤松氏との合戦での機転の早さも、若い俳優さんのほうが将来の天才軍師を予感出来ていいと思う。まあいいですけどね。岡田君はイイ男なんで…まあいいや。


初回で懸念した江口信長さんもいいんじゃないかな…大きい人なので迫力がありますね。顔がどうも信長の雰囲気ではないんだけど、これから演技で押し切ってほしい。竹中秀吉の「おやかた様命」も微笑ましくてよかったです。

しかしながら今回一番印象に残ったのは高岡早紀さんのお紺様…ふふふ。

2014年1月8日水曜日

Perfume:紅白でふなっしーと遊ばなかったPerfumeが民放でたかっしーと遊んでいた件



ネタ到来!


 
 
紅白では孤高のPerfumeさんでしたが、民放の番組『めちゃ2イケてるッ!』では芸人さん達とがやがややってたみたいです。おもしろいですね。

ところでこの番組内で、出演時の衣装で踊ったSweet Refrain はとても可愛かった。
 
 
 
 

2014年1月6日月曜日

NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」第1回「生き残りの掟」



うむむ…これは…脚本が弱いかも。

いや…まだわからんけど。
 
この第1回を見る前に、NHKさんの番宣なども見たんですけど、役者さんの意気込みは期待できそうなんですよね。まず主演の岡田准一さんは大の歴史好きだそうです。これは期待できる。
 
いい歴史ドラマをやるには、役者さんにある程度の知識や知性が必要。過去の大河ドラマで、明らかに歴史に興味のないアイドルまがいの女優さんが、自分の演じる人物にたいしてトンチンカンなことを言っていたのを見てびっくりした事があるのですが、案の定、彼女の役作りはまったくだめでした。アホは演技に出ます。歴史に無知な役者さんに歴史上の人物をやらせてはいけない。特に若い女性はひどい人が多い。
 
それを考えれば、今回の岡田さんは期待できます。インタビューでも官兵衛のことにお詳しくて、そんな彼の知識は演技に活かされるだろうと思う。武芸をやったり乗馬をやったりもされるそうで楽しみ。
 
それに岡田さんは濃くていい 睨み付けると目がいい。今までは2030代前半で可愛かったのかもしれないけど、彼はおそらく4050代のオヤジになると素晴らしくいい顔になるはず。こういう男っぽい顔は時代劇にはいいですよ。初めて見る人なので楽しみ。
 
 
それからこのドラマ、何が目玉って…竹中秀吉でしょう! ワタクシ竹中直人さんの18年前の大河ドラマ『秀吉』のファンです。このブログにも過去に感想を書いた。あのドラマは竹中さんだけというよりも他の人物達の配役が素晴らしかったというのが大きいのですが、ともかくあのドラマは本能寺の変までは傑作だったと思う。面白かった。あの秀吉が帰ってきたかと思うとそりゃー期待せずにはいられない。
 
今回も一瞬出てきたけど、竹中さん18年前から全然変わってなくてびっくりした。ええーお若いなぁ…体形も全く同じ? …さて18年前の『秀吉』は、本能寺の変を境に失速してしまい、後半はなんとなくバラバラなエピソードが並べられた感じだったので、もし今年の大河で本能寺の変の後の秀吉の話をじっくりとやってくれるのであれば、もうそれだけで大興奮!白髪が増えるにつれどんどん黒くなる老いた秀吉の後半の人生を描いて、竹中秀吉の完結編を見せてくれたらそれだけで完走できる!…と、ちょっと期待してます。
 
 
さて、そんな期待はともかく、今回の第1回はどうだったのか…?
 
ちとあやしい…まだわかんない。初回なのに盛り上がりに欠けましたね。なんというか…所々でここ数年の残念大河作品を髣髴させるノリや印象が感じられたのはチト不安。それが演出なのか脚本なのか配役なのかはまだよく判らない。脚本はちょっと不自然な言い回しや流れが気になった。
 
今回を見てあれっと思ったのは、『平清盛』の漫画っぽい演出に『天地人』のファンタジーな感じ、それに予告や番宣で感じた(奥さんとの)甘い恋愛話? 戦国時代なのに「命を大切に」なんてどうよ? 小田原城へ一人で交渉に出向いたら、散々矢を射掛けられて一つも当たらないなんてどうなの? 冒頭に意味も無く幼女を殺すのもいかんだろ…。演出のノリがあやしい。ちょっと不安。
 
しかしまだ分かりませんね。戦闘シーンは野外ロケでお金をかけているしいいと思う。竹中秀吉の健闘を祈る。本格男大河希望。
 
…と思ったら来週はいきなり「忘れえぬ初恋」うわぁ…。
 
…似顔絵はドラマへの愛の表現なので様子が落ち着くまで描けません。



2014年1月5日日曜日

映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート/The Wolf of Wall Street』:デカプリオのお尻(笑)




-----------------------------------------------------------------------------
The Wolf of Wall Street2013年)/米/カラー
180分/監督:Martin Scorsese
----------------------------------------------------------------------------



面白かったです。

いやーびっくりしました。まー下品です(笑)。元気一杯。これフィクションのコメディ映画じゃなくて実話なんだそうです。真面目に事実の再現をしてるだけなのに、あまりにも極端な話なのですごくおかしい。うわーっうわーっといろんな意味でびっくりしてたら3時間が過ぎた。ノンストップで全力疾走の豪快な映画。

この映画を決して子供に見せてはいけない。若くて純粋な恋人同士も一緒に見に行かない方がいいと思う。両親と週末に見に行くなんてとんでもない。だってものすご~く気まずくなりますもん(笑)きっと。絶対ダメです。デカプリオ君の女性ファンも覚悟した方がいい。決してステキなレオ君ではないです。びっくりするかも。

こんなに沢山の裸は久しぶりに見た。おっぱいも沢山よ。久しぶりに70年代の裸がいっぱいな映画を見た気分になった…と思ったら、監督はマーティン・スコセッシ大先生じゃないですか…やっぱりね。こんな映画いまどき若い監督さんで撮れる人いないでしょう。勇気あるなぁマーティン先生。

しかしね、アメリカの大衆も実はこんな吹っ切れた映画を待っていたのかも…。実はこの映画、こんなに下品なのにアメリカでものすごく高評価なんです。これにもびっくり。まあいろいろと圧倒される映画です。大変下品なので真面目な人には向きません。お下劣注意!


ストーリーは、主人公Jordan Belfort/ジョーダン・ベルフォートの成功と墜落。金融業界で真面目に働くつもりだったのに1987年の株価の大暴落でベルフォートさんは職を失う。レベルを落として怪しい株のブローカーの職についたとたんに才能を発揮。法律違反ぎりぎりの取引で瞬く間に巨額の富を築く

いくら才能があるとはいえ、そんな危ない橋ばかりを渡ってなぜそんなに成功したのか私にはよく分からなかったが、この映画、そんなことはどうでもいい。だってこの映画、彼がどうやって成功したかの真面目なサクセスストーリーではないからです。

この映画の主題はズバリ野心と欲望! 一人の男が欲望を真剣にとことん追及したらどんな風になるのか…の実話を忠実に再現したもの。主人公のベルフォートさんは自らの欲望にものすごく正直。ものすごくマッチョな欲望…出世欲、成功欲、物欲、性欲、征服欲、支配欲…金で買えるものならなんでもあり。まーすごいわね。だから面白い。


こんなお下品な映画は久しぶり。最近のハリウッドはこういう冒険をしませんよね。よくスタジオが許したもんです。それにこの話が実話だからまた驚き。70年代はロックスターが酒・薬・女と桁外れのオイタをしていたのをメディアでも見かけましたが、いまどきこんな人物がいるとは…いや映画の題材にならないだけでこういう人はいつの時代もいるんでしょう。

そんなオイタな男の実話をこれほどまでに上手く再現できるのは、あの荒々しい70年代を生きたスコセッシ監督のようなジジイ世代以外にありえない。御年71歳。まだまだいける! 今でもこんなに刺激的で生々しい映画を撮れるなんて恐れ入ります。この映画で一番すごいのは、スコセッシ監督ご本人の活力とエネルギーであることは間違いないでしょう。

マーティン先生も近年の小粒で安全な映画を見て我慢が出来なくなったのかも。70年代は今よりももっとギリギリの映画が多かったですからね。この映画もいろんなシーンで70年代の映画にあったようなギリギリの生々しい迫力を感じた。ジジイの撮る映画の圧倒的なパワー。昔の時代の人はすごいですね。


ともかく、大金持ちになったベルフォート/デカプリオ君が欲望の赴くまま思いっきりやってくれます。26歳で49億円だそうです。豪快。地味な奥さんを捨てて下着モデルと結婚。豪邸、下品なパーティー、女、酒、薬、ヨット、女、薬、ヘリコプター、薬、フェラーリ、女…と欲望は果てしなく続く。最初はびっくりするけれど、だんだん慣れてきてものすごくおかしくなってくる。下品なのにも慣れます。ああ男とはなんとアホな生き物なんだろう…(笑)。

決して真面目に何かを学ぶための映画ではないし、またこのような映画に眉をひそめて下品だと非難するのも無意味。もともとそういう映画なんです。ただただ怪物のように膨れ上がった自らの欲望に飲み込まれる男を見て「うへ~すげーもんだな…ははははは…」と笑う映画。メジャーな映画なのに、こんなに下品でおかしな映画もめったに無いでしょう。3時間も見ていると最後はあきれて言葉もなくなります。圧倒される。

テーマがテーマなので見る人を選ぶだろうとはいえ、どんなに品のない場面でも決して気持ち悪くなったり気分が悪くなったりするほどではなく、全てをユーモアで包んだ娯楽作品としてまとめられているのは流石。大御所監督の余裕だろうと思う。それもすごいです。

しかし極端にマッチョな男臭い話なんで、いくらデカプリオ君が主役でも上品な女性ファンには決してお勧めしません。


デカプリオ君もよくここまでやってくれました。演技とは真剣勝負…演技なのに演技と思えない程の役者根性。素晴らしい。こんな役者さんだとは知らなかった。大きな拍手。顔が子供っぽいんであまり好きではなかったけれど、ずいぶんオヤジ臭くなりましたね。いい顔になってきた。

奥さん役の女優さん・マーゴット・ロビーさんもものすごく綺麗。目が覚めるほど綺麗な女優さんが……ほぉーすごいなぁ。このオーストラリア出身の女優さんはまだ23歳だそう。究極の美人。バービーちゃんみたい。ほんとうに綺麗です。目の保養。その他の俳優さん達も真剣。役者さん達は全員素晴らしい。

マシュー・マコノヒーさんが最初の10分ぐらい出てきますが、いきなりはまり役。このキャラも非常に下品でとてもおかしい。大笑い。彼は田舎のさびれたオヤジをやるよりも、こういう軽薄なアホキャラをやったほうが最高に面白い。しかし彼も年をとったな。

この映画、日本でももうすぐ公開されるそうですが、さてこの超お下品な台詞の数々を、どのようにして字幕や吹き替えにするのかは見物だと思います。こんなの…どうするんだろう…(笑)。