能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2012年8月22日水曜日

NHK BS時代劇『薄桜記』第6回 用心棒




面白いです。テンポが良くてポンポンポンと話が進んであっという間に終わってしまう。やっぱり脚本が素晴らしい。今回はコメディっぽい場面が多かった。

 
またまた言葉に痺れる。「捕縛されたのか。早計でした。詮議に及ばず。滅相も無い。戯言を申すな。釈然とせぬ。」いちいちかっこいい。こういうのは時代劇の様式言葉で、時代劇なら普通に使われても珍しくないと思うのだけど他のドラマではどうなんだろう。近年はあまり聞いた記憶が無いかも。こういうのは私も意味は分かっても自分からは出てこない言葉。改めて注意して聞くと、こういう言葉が時代劇の格式を紡ぎだすんだなと感じる。いいですよね様式美。

 
 
紀伊国屋の江守さんと典膳の山本さんのやりとりは楽しい。やっぱり言葉の職人芸。

 紀伊国屋:(刀を)お返しいたします。
 典膳:わしに恥をかかせるのか。
 紀伊国屋:や、とんでもない。
 典膳:紀伊国屋にめったな物は贈れぬ。精一杯見栄を張ったのだ。
 紀伊国屋:おこころざしは、しかとこの胸に染み入りました。
 典膳:困ったな。
 紀伊国屋:お刀は武士の魂でございます。どうぞお大切になされませ
 典膳:丹下典膳に脇差は無用じゃ。
 紀伊国屋:は?
 典膳:2本刺しても腕は1本じゃ。
 紀伊国屋:やや…ぐっ(笑)…1本とられましたな。(←この場面のカメラの位置が可笑しい)


痺れる。演じるお二人もとても楽しそう。見ていてすごく楽しい。この後の場面ではなんと女性が逆立ちをしてましたヨ…。

 

お豊ちゃんはさなぎ太夫になって再登場。予想に反して再会は至極平和なもの。彼女も紀伊国屋さんに囲われて比較的幸せなんでしょうか。しっかりと自分の運命を受け入れている様子。安っぽくお涙頂戴でないところが流石だなと思う。そうか…遊女=不幸だなんて現代人が安易に考えることですね。時代柄、自己の運命を受け入れて堂々と優雅に微笑むお豊ちゃんのほうがずっとかっこいい。典膳先生も嬉しそう。そうそう紀伊国屋さんが、さなぎ太夫を典膳に紹介するときに「お臍の周りに黒子が3つあるそう…」と言う台詞もいい。こんな会話で場面にが出る。上手い。

 

新しいキャラも登場。口入れ屋の白竿屋長兵衛。口入れ屋の意味の説明も台詞の中でされているんだけどとても自然。鳶職や人足の請負をわりつけ…などというのを縄張り争いに絡めてサラサラッと説明。

高嶋政伸さんがまた上手いの。牢屋での下卑た笑い。へぇへへへへ…。だけど牢屋を出るとばりばりの実力者というのがありありと分かる。話をしていても目が怖い。口入れ屋に火消し。街のちょっと怖い実力者なんでしょうか。迫力満点。最後の火消しの場面はすごくかっこいい。

彼の場面でいろんな時代背景の説明もされた。全てが自然な台詞。「ごろつき」の謂れ(ひとかどの親分や侠客は五郎という名を好んでつけやす…)「お犬様」への文句で生類憐みの令。「由井正雪か」で幕府転覆願望…。由井正雪は思わず調べてしまった。ああ勉強になるわ…それも楽し。

 
お三さんも素晴らしい。なんともいえない女性らしさ。典膳の髯を剃るのもサバサバ振舞っているように見えてとても艶っぽい場面。大人です。色気とは押し倒すばかりではない見本。最後に「あ~らいい男!」というのもいい。


今週は堀部安兵衛がすごく綺麗になった。それから典膳の長屋の皆との別れの場面のコメディもいい。典膳の伯父さんもコメディ要員。「あのなぁ…はっきり言うておくがこの身体で(トントントンと典膳の左の空の袖を扇子で叩く)仕官は無理だぞ…」という時のカメラの位置が可笑しい。もう逐一痺れる。

 
山本さんは相変わらずいい男。背筋がぴしっと伸びてる。片手の納刀!

 
このドラマはほんとに楽しみです。これだけ楽しませてもらえたらもう他のものが全部吹っ飛んでしまう。ジェームス三木さんはすごいです。もうこのお方にいろんなことを教えていただくつもりで正座してこのドラマを拝見したい。それに演出の清水一彦さんというお方は以前大河の「風林火山」をなさった方だそう。1952年のお生まれ。ああやっぱり時代劇の出来る方は世代が違うのか。これは大変。今の40代以降の制作の方は、どうかこういう方から時代劇制作の遺産を受け継いで欲しい。





2012年8月21日火曜日

Perfume 3rd Tour「JPN」DVD 感想



見ました、JPN Tour DVD。ヘッドフォンでがっつり全部見た。面白かった!ホントにいつも幸せにしてくれる。楽しい楽しい。日本全国20万人を動員した今回のツアー。とにかくまた3人娘の成長を見れたのが何よりも嬉しい。3人の表情も充実してます。本人達が一番楽しそうだ。ますますいいグループになったなと思う。ダンスもますます素晴らしい。ステージ上の立ち姿も堂々として客のあしらいもプロ。大人になりました。


今回も前回もずーっと毎回思ってきたのは、あ~ちゃんという人はほんとに生まれついたスターなんだということ。芸能人になるために生まれてきたような華がある。太陽のよう。まぁよくしゃべることしゃべること。いっしょに笑わずにはいられない。彼女が話すとこちらも「うんうん」と頷く。彼女が泣き始めるとまたまたもらい泣きする。彼女が大きな口でゲラゲラ笑うとこちらもなんだか嬉しくなる。
声のキンキン具合もすごいです。声の質から人と違う。彼女が話し始めると空気が変わる。温度が23度上がる。動けば動くだけ話せば話すだけ磁石のように人を惹き付ける。すごいです。まるでコメディアンと女漫才師と演歌歌手が一緒になったようなそれはもう大変なカリスマ。全てが陽。ステージに上がると光を放って輝き始める。こんな人はあまりいません。とにかく無意識に目が惹き付けられてしまう。ちょっと別次元のスター性。いつもすごいなと思う。


さてライブ。ショーのスタイルは多少変わりました。アイドルっぽくなった。電飾がおとなしくなったのは全国ツアーに合わせて移動しやすいセットのためでしょうか。昔のようなギラギラ感が減った気がする。最初のあたりは特にそう。移動式の△スクリーンはバラバラになると映像スクリーンとして小さい気もする。正直地味な感じもした。
J-POP歌謡アルバム『JPN』のツアーらしく、ステージもライティングも彼女達の表情も多少アイドル歌謡ショーっぽく感じたのも事実。昔のような凛とした感じは無くなった。『JPN』の空気感そのままの演出なんでしょうか。このツアーが歌謡ショー路線だとしてもまた最近のシングルはハードになってきてるんで、このツアーの演出も一過性のものかもしれません。このライブももう半年前のもの。これからどうなっていくのかな。
ただ私個人的には横浜や武道館のEdgeGameツアーのGAMEなどの大スクリーン映像の演出、武道館オープニングや代々木ミックスのストーリーものの映像、ジェニーのギラギラ電飾映像など、映像と彼女達の組み合わせが面白いと思うので、もうちょっとああいうタイプの演出が見たい気もする。今回「JPNスペシャル」がそういう演出だったけど、プロジェクションマッピングと彼女達の衣装が暗すぎてあまりよく見えずもったいないなと思った。ダンスは素晴らしかったので惜しいと思う。


真摯に真面目にやってきた人達なんですよね。ほんとに小さい時からショッピングモールなどでドサ回りまでやってきた。いつも一生懸命頑張ってきた。いろんな人に頭を下げて何万回も「有難う」を言い続けてここまで来た。辛くても3人一緒だからやって来れたんでしょう。10年間も続く友情。20代で10歳の頃からの友達が続いている人なんて実際はあまりいない。そんな3人の結束の強さも羨ましかったりする。いまどきこんな美談はあまりない。長い間一生懸命努力してきたことを堂々と隠さず「がんばってやってきたからここまで来れた。私達に出来るならあなたにも出来る。」と前向きなメッセージを常に送り続ける彼女達はほんとうにステキです。

MY COLOR」はいい歌。ちょっと泣いた。Puppy Love」もやっぱりいい。




2012年8月19日日曜日

映画『ダークナイトライジング/The Dark Knight Rises』:ユーモアは大切です



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The Dark Knight Rises2012年)/米英/カラー
165分/監督;Christopher Nolan
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駄作です。お金だけかけた爆弾アクション映画。



ネタバレ注意

最初はね、飛行機でのアクションはかっこいいと思ったんですよ。スゲーという感じで引き込まれた。…なのに10分もしないうちに眠くなった。それから1時間ぐらいなんとしても眠るものかと必死。次第にストーリーも分からなくなった。だってあのダースベーダーまがいの悪役のおやじの声が大変聞きづらいのだ。半分ぐらいから覚醒したけど、今度はちっともバットマンが出てこない。最後まで早く終わんないかなーと思いながら見終わった。寝ちまったのに文句ばっかり言うのはいけないと思うが、問題はストーリーだけではないと思うのでとりあえず書きます。辛辣です。



問題はですね、

1. ストーリーがこじつけっぽい。ありゃりゃ展開
まず旦那Aが大変憤慨していたので、途中で眠ってしまった私のせいだけではないらしい。ほとんどストーリーとして意味を成さないらしい。人物の心理的な深みも行動の理由も一切無い。すべて大げさなアクションのための唐突な展開だったらしい。

2. バットマンは普通の人がラバースーツを着ているだけ
昔のバットマンシリーズでは、ワイヤーを引っ掛けてぶら下がってくれたり、高い所から飛び降りてくれたりしたと思うんだけど、この映画のバットマンは普通のマッチョなオヤジなだけ。リアルな人間ということなんだろうけど、あれじゃ格闘もやりにくかろう。ラバースーツ脱いじゃえばいいのに。マジックがない。

3. バットマンが出てこない
ほとんど人間クリスチャン・ベールが悶々とするばっかり。バットマン=スーパーヒーローの見せ場がほとんどない。

4. コミックブック・ヒーローの面白みが皆無
19891992年のTim Burtonのバットマンは面白かったです。色んなところに散りばめられたユーモアが良かった。おかしくてちょっと不気味。全部嘘っぽいのがコミックブック風で魅力的だった。そんな中で活躍するマイケル・キートンのバットマンはセクシーで艶があった。見てて楽しかった。クリストファー・ノーラン監督はあまりにも真面目過ぎて無粋。キャラクター設定がちっとも粋じゃない。

5. キャットウーマンのアン・ハサウェイはミスキャスト
普段は優等生お嬢様風のアン・ハサウェイが、ビッチなアクションスターをやっているのは見ものだったけど、どうも魅力が足りない。これも監督のせい。もう少しキャラにを持たせて欲しい。昔キャット・ウーマンをやったミシェル・ファイファーはスーパーセクシーで超ステキだった。

6. 悪役が魅力的でない
これは好みなのでしょうがないです。ハンニバルレクターを持ってこられても困ったもんだ。スーハー言ってて何を言ってるのかも分からない。

7. 原爆がいけない!
原爆を持ち出すのに、道路にゴツンゴツンぶつけて引き摺ったら危ないだろー! それにたった1分間飛んだだけで原爆を放射能の影響の無いところまで持っていけるわけが無い(怒)。



全て監督のせい。このクリストファー・ノーラン監督とはことごとく相性が合わないらしい。英国人らしく真面目に真面目に映画を撮っていつも高く評価されている人なんだけど、正直ちっともいいと思わない。2000年の『メメント』はすごいと思ったけど、あれ以来頭でっかち風な映画ばっかりで全然面白くない。『インセプション』は訳がわかんなかった。『バットマンビギンズ/Batman Begins』はなかなかいいと思ったけど、今思えば面白味に欠けていた気もする。あまり記憶に無い。『ダークナイト/The Dark Knight』は見なかった(これが傑作らしいのでこれが一番の私の問題)。


私の世代はTim Burton監督のコミカルなバットマンシリーズが面白かったものだから、ついつい比べてしまうのもしょうがない。Tim Burton監督のバットマンは楽しかった。ユーモアが色んなところにあって不気味でもすごく魅力的だった。キャラクターもそう。マイケル・キートンのバットマンは、うちに帰れば洗練された紳士だったり、女性にも優しかったりした。あんな怖い格好なのにセクシーですごく魅力的。艶があってステキでした。


だけどこのクリストファー・ノーラン監督のバットマンは、単なるマッチョなオヤジ。真面目すぎて全然面白くない。見ててつまんない。アメコミのスーパーヒーローなんて魅力的でナンボなのにこの監督はそれが全く解っていない。漫画のキャラをリアルな人間にしてどうする。バットマンが爆発ばっかりのアクション映画に成り下がってしまった。最初の『Batman Begins』ではこの真面目さが新鮮でいいかと思ったけど、この暗~い陰鬱な雰囲気でシリーズ化されるとさすがに飽きる。ユーモアのかけらも無いようなバットマンは全然面白くない。


昔のバットマンのマイケル・キートンが、他の役の時はそれ程の大スターでもなかったのに、バットマンであんなに素敵だったのはBurton監督の腕。クリスチャン・ベールは普段は超いい男なのに今回のバットマンで魅力のかけらも無いのは全てノーラン監督のせい。この監督の人物描写は本当に無粋。


旦那Aによると、ストーリーも散々だったらしい。ドラマにドラマを重ねたような展開に見えて実は内容の展開に全く必然性がないらしい。そう言えば最後のオチもいきなり唐突だった。なんだか必要も無いストーリーを切り張りしたような話だそう。旦那Aは超怒っている。もうこの監督の作品は見ないらしい。


というのもアメリカの映画データベースサイト(IMDB)では、この監督の作品は常に超高得点をマークしているからだ。今回もそれに釣られて見に行ったけど結果は散々。もうみんな目を覚まして正直になってもいいと思う。頭のいい監督が真面目にお金をかけて作ったように見えて、実はアクションと爆薬のこけおどしばかりの駄作。特にあそこまでキャラクターをつまらなくした罪は非常に大きい。この監督には人物が描けない。たのむから『007』には絶対に手を出さないで欲しい。


追記:うわぁぁあああ!今度のスーパーマンのリメイクにもノーラン監督はライターとしてかかわっているらしいぞ。うわやだなー…アメコミものにはもう関わって欲しくないのに…。

Pebbles - Mercedes Boy (1988)



バブル直前?
 
Pebbles - Mercedes Boy (1988)

Album:  Pebbles
Released: Jan 1, 1987
This Compilation ℗ 1987 UMG Recordings, Inc.


まだかな。バブルのカオリがし始めた頃? よく覚えていない。だんだん忙しくなってきてじっくり音楽を聴く時間も無くなってきた頃。いちいちチャートで何が売れているのかを気にするわけでもなく、とりあえずラジオなどで鳴っている音楽が聞こえてくるという程度。もちろんCDを探して買うわけでもなし。その時期に聴いて聴き流して忘れてしまった曲のひとつ。

そんな忘れてしまった昔の曲を動画サイトなどで見つけるとちょっと嬉しい。この曲もそう。ほぼ忘れてました。CDを買ったわけでも、アーティストのファンになったわけでもないので曲以外の情報を全く知らないのだけど曲だけは心に残った。それはそれですごいなと思う。

いかにも80年後期っぽい音でずいぶん時代を感じますが、ちょっと懐かしい。


2012年8月18日土曜日

Herbie Hancock – Chameleon (1973)



ファンケー!


 Herbie Hancock – Chameleon (1973)
Album: Head Hunters
Released: Oct 13, 1973
 1973 Sony Music Entertainment Inc.
 
かっこいいっす。もしかして1973年でトランスをやってたようなもの?延々と聴く。私は作業用に聴いたりもする。アルバム「Head Hunters1973年。私もまだ子供だった。そんな大昔なのに今聴いても全然古くない。超かっこいい。同じ調子を延々と繰り返す感じも近年のダンスミュージックとあまり変わらない。まったりと延々踊れる。すごいなー…いや、でもリピートばかりで飽きるとも思います。そんなところも似ている。
 
私は真面目なジャズ聴きではないので、正直即興のキーボードをうるさく感じるところもあるんです。5分過ぎあたりから(ウリュセー!)。だけどこのベースが延々と鳴ってるとそっちのグルーブばかりを聴いてしまうんで、とりあえずうるさくってもいいかな…と身体を揺らしてしまう。止まらない。ベースもノッてきてだんだん速くなる。
 
740分からちょっとリズムが変わります。ここからのリズムもいい。835秒あたりからの流れるようなベースと軽やかなキーボードが綺麗。なんだろう30代半ばでちょこっと聴いたアシッドジャズあたりのノリに似てるのかも。ほんとに全然古くないと思う。身体も左右に揺れる。でも近年の打ち込み音楽よりちょっと複雑。1310秒過ぎから元の旋律に戻ります。
 
この曲を初めて聴いたのは、たぶん90年代の終わり頃にジャズクラブでとあるサックスプレーヤーが、このベースラインをサックスで演奏してるのを聴いたとき。当時はこの曲だと知らなかった。おおっファンキーでかっこいいなと思った。そのあたりから歌の無い音楽も少しだけ聴くようになった。奥が深い。

2012年8月16日木曜日

NHK BS時代劇『薄桜記』第5回 豪商紀文



こちらの日本語ケーブルTVでもBS時代劇『薄桜記』をやっている。どうやら日本と同時進行らしい。毎回自動録画したものを見ているが今週5回目だった。

初回から脚本がいいと思った。早速クレジットを見るとジェームス三木さん。このお方は昔『独眼竜政宗』を書かれたんですね。それに『葵徳川三代』とか本格大河時代劇の大御所。私は昔時代劇を見なかったので作品をきちんと見たことはないのだけど、時代劇ファンになってからこの方のお名前はネット上でもよくお見かけした。なんとこのドラマ、ジェームス三木さん脚本の時代劇なのだ。これは嬉しい。



さっそく第1回から見ている。ああ言葉のレベルが全然違う。このドラマは江戸元禄時代の話で言い回しも江戸の時代劇の様式美にのっとったものだと思うのだけど、まず言葉に痺れる。「狼藉を働いた」とか久しぶりに聞いた気がする。細かい台詞回しにいちいち痺れる。今回第5回は紀伊国屋さんのウサギと亀の掛け合い、それに浅野(津川さん)と上杉(草刈さん)の編集バトルが面白かった。言葉の職人芸のよう。すごく面白い。なんだかこんな風に時代劇の言葉で心を動かされるのって久しぶりな気がする。

全体の雰囲気もすごくいい。地味なの。だけどそれがいい。主人公丹下典膳と元嫁千春のシーンはしっとりとしてとてもいい。第1回目からいいと思ったが5回目でますます良くなってきた。

ほんとに微かなものなのだけど山本耕史さんの千春を見る表情がなんとも言えない。この二人にはケミストリーがあると思う。すごくいい。山本さんは今年の大河ではマンガのキャラのようだったが、このドラマでは落ち着いていて男らしくてすごくいい。声もいいのだと初めて気付いた。この俳優さんはバラエティなどで見かけると実年齢よりも若くてそれが欠点にもなりかねないと思ったのだけど、いやいい俳優さんですね。顔は若いのだけど、この役では非常に落ち着いて見える。背も高くて姿勢もよく全身のバランスが綺麗。この人もどこか細胞から綺麗で清潔な感じ。こんなに魅力的だとは思わなかった。千春さんを見る目は非常に優しいです。

千春さんの柴本幸さん。最初誰だか分からなかった。あの『風林火山』の姫様だとは全く気付かなかった。当時は若すぎたのか非常に表情が硬くて、潔癖な感じはしても女性的な柔らかさが皆無でどうしたものかと思っていたが、今回はなんと優しい女性になったんだろうと思った。女性は化けますね。表情がほんとに柔らかくなった。ちょっと昭和な感じのする美女なのはお母様の真野響子さんに似ているからだろうかと思う。はにかんだ感じや初々しい感じ、一途な感じが実にいい。目に涙をためながら典膳を見つめる表情では思わずほろっとさせられた。初回は明るい無邪気なお嬢さんという感じだったけど、今の思いつめたような表情もいい。佇まいが時代劇にすごくいいと思う。近年に多い目ばかり大きい小顔の現代的美人の女優さんには絶対に出せない雰囲気がある。時代劇にあう女優さんだと思う。こういう女優さんがいるととても嬉しい。

話はいかにも江戸の人情物らしいです。原作は全く知らないけど既に雰囲気にはまってしまった。演出もカメラワークも奇をてらっておらず普通なのだけど、そのため台詞や芝居に集中出来て落ち着いて見れる。もちろん今年の大河と比べて言ってます。

結局は脚本に尽きると思う。演出が普通でも俳優さん達の演技や表情で話を紡いでいるので、人のドラマとして惹きこまれる。一見地味なドラマだけどしっとりと落ち着いて見れるのがとても楽しい。

私は普段から多少日本文化にホームシック気味なので、好みが近年の一般的な時代劇のスタイルよりもずっと保守的ではないかと思うが、このドラマはとても楽しんでいる。何よりも脚本に痺れる。どこか古きよき時代の日本の時代劇という感じなのだ。千春さんの静かな佇まいも、丹下典膳の古風で律儀な性格もすごくいいと思う。とても懐かしい感じ。

まわりのキャラもいい。堀江安兵衛はコミカルで憎めない役。可愛いお豊が身売りするのもいかにも江戸の人情話。これから涙かな。それから大昔はバタ臭くて人気だった草刈正雄さんが、すっかり時代劇俳優になったのも面白い。この人にも渋みが出てきた。それに今回第5回目は、津川雅彦さんや江守徹さんなど大御所も登場。なんだか俳優陣からしてレベルが違うのかも。気合が入ってます。すごく楽しみ。



このように丁寧に作られた時代劇を見ると、ますますこういう古典的な日本のものを大切にして欲しいと思ってしまう。俳優さん達の殺陣を見ても(私は本当の殺陣を知らないのだけど)正しい殺陣が出来るのはそれだけで文化。着物の裾捌きもそれだけで文化。正しいお茶のいただき方も着物の着方も全部文化なんです。例えば殺陣でも所作でも決まっているだけで時代劇のドラマにも深みが出ると思う。

昔は日本全国で男の子達が普通に剣道を習っていたもの。だから今の中年以上の俳優さんなら殺陣もそれなりに出来る人が多いだろうと思う。そういう子供のための伝統芸を学ぶ機会は今もあるのだろうかと心配になる。これから日本はこういうものを本当に大切にしていって欲しい。こういうものこそ西洋がどんなに真似をしても真似出来ないからです。世界でグローバル化が進むからこそ日本の伝統を見直して欲しい。




2012年8月15日水曜日

Tatsuro Yamashita – Sparkle (1982)



時には日本の音楽を。



Tatsuro Yamashita – Sparkle (1982)


高校の頃になんでこのレコードを買おうと思ったのか忘れたけど、この山下達郎さんの『For You』と竹内まりやさんの『Miss M』を同時期によく聴いた。当時はQueenに始まって洋楽ばっかり聴いていたのだけど、YMO関係とこの辺りはよく聴いた。ところで山下さんと竹内さんはこの何年か後に結婚したのでまた驚いた。

ギターが超かっこいい。それにこんなに気持ちのいいコーラスもなかなか無い。コーラス部分になると、全然音が取れなくても「ひーろがるっ」「せっかいわっ」「ふっしぎなっ」「う~うー」と歌わずにはいられない。

山下さんは、バブルの頃にCMのクリスマスの歌で超有名になったので興味が無くなってしまったのだけど『For You』のアルバムはその後もよく聴いた。レコードが聴けなくなったら、CDも買って聴いた。今でも時々聴く。名盤中の名盤。