能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2013年8月1日木曜日

NHK大河ドラマ「八重の桜」第30回「再起への道」



やっと追いついた。会津戦争の回は、私個人の学びもあったので、話の筋や台詞を逐一詳しく書いていましたが、戦争も終わったので少しペースを落とします。

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●まずあらすじ
会津戦争終結から半年経った18693。アメリカ、マサチューセッツ州の大学で新島譲(オダギリジョー)が日本の明治維新での混乱を心配している。「復讐がなければいいが…。」(←西南戦争?)

八重ちゃん(綾瀬はるか)とその家族は、米沢藩の知人宅に身を寄せている。今は反物を売って日々を過ごす。戦争の傷痕は大きく、八重ちゃんは今でも時々悪夢にうなされる。知り合った会津の女性・千代の住む商家を訪ねるが、千代は今でも死んだ夫の仇を討つと言う。(←西南戦争?)そこへ現れた商家の主人。実は千代は妾としてその男に囲われの身だった。

69518、東京の飯野藩邸では、松平容保親子の命を救う代わりに家老・萱野権兵衛(柳沢慎吾)が切腹。萱野「戦で奪われたものは戦で取り返すのが武士のならい。」(←西南戦争?)

同日、函館の幕府軍も降伏。その数日前に新撰組の土方(村上淳)も戦死。頼母(西田敏行)「わしは生きる…わしらの会津を踏み潰してった奴らがどんな世の中作るのか、この目で見届けてやる。」

東京・護国寺、会津藩士謹慎所にてお家再興の話。陸奥の国下北三万石。名前は「斗南」。逆らう藩士達を山川大蔵(玉山鉄二)が説得する。大蔵は斗南藩の大参事に。梶原平馬(池内博之)は戦争を指揮した償いから全ての役職を退くと言う。前年68年の10月には平馬が大蔵の弟・山川健次郎(勝池涼)を長州へ逃がしていた。

6910。米沢の八重ちゃん一家の元へ大蔵が尋ねてくる。「斗南」で会津藩再興があるので八重ちゃん達にも来てほしいとの話。尚之助(長谷川博己)も行くと言う。それを八重ちゃんは断る。「もう暫くこうして生きていたい。」

19703。雪の中、会津藩士達と家族が斗南へ向かう。
京都では覚馬(西島秀俊)が歩けるように回復していた。

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いやー辛いですね。まず最初の場面から会津戦争終結の半年後とあったので「ああ戦後の具体的なキツイ描写は避けたんだろうな…」と思った。八重ちゃん一家は会津を離れ、米沢藩の藩士宅へ家族で居候。ようやく落ち着き始めて一見穏やかなんですが、そんな日々でもやっぱり辛い…という状況。
 
(私は良くは知らなかったのですが)ネット界隈をうろうろすると敗戦の後の会津藩(城下)のキツイ状況というのもいろいろと出てきまして、そのようなものを映像で見せても辛いばかりでドラマとしては苦しいものがある。そのため主人公のその後の話として、敗戦直後の話はバッサリと切り捨てたんだろうと思った。
 
(敗戦直後の場面を)切り捨てたとは言っても、人物達の心には会津戦争の傷痕がまだまだくっきりと残ってます。八重ちゃんはシェル・ショック状態で、夜中にも悪夢にうなされてますし、物静かなうらさんは仕事に没頭することで全てを忘れようとしている。佐久ママも旦那様と息子2人を亡くして(←覚馬のことは知らない)気落ちされているんですが、決して泣き喚いたりはしない。気持ちを押し殺しているんでしょう。みねちゃんが気丈に振舞っていますが、みんな本当に辛いのを我慢して頑張っているんですね。
 
死体や、怪我人、捕虜の苦しみ、女性達の災難などを映像で見せることなく、八重ちゃんや千代さんの精神的な辛さで戦後を表現したのは上手いと思う。こういう見せ方のほうがずっと心に響きます。
 
特に千代さんのエピソードは辛い。今まで苦労を知らない藩士の奥方だった女性が、他藩の商人の妾になって生き延びようとしている。士族の女性がいかに誇り高く育てられたかを考えると、信じられないほど辛い話ですよ。またこの商人の男がいやな男で「会津の女のカラダは…」と言い始めた時には目を剝きましたよ。驚いた…昭和の時代劇みたいじゃないか(笑)。よく今の時代のドラマでこんなエゲツない言葉を言わせたもんだとびっくり。今年のNHKさんはすごいな…拍手。こういう話は実際に多くあったんだろうと思います。リアルに辛い話。
 
 
男達には男達の辛さがある。菅野権兵衛さんは負け戦の責任を取って切腹。別れの場面は悲しかったです。柳沢さんの泣き笑いの表情がなんともいえず悲しい。柳沢さんご本人がすごくいい人っぽいから特に悲しい。
 
先日似顔絵でいろんな顔がある…と書いた山川大蔵殿のシーンも多かったです。米沢藩の八重ちゃんを訪ねてくるところは史実なんでしょうか。この人はやっぱり八重ちゃんが好きなんですかね…?(もちろん史実ではないですが)。よく触るしなぁ。しかしこんなに八重ちゃんが好きな設定なら尚之助さんが亡くなった後の再婚は大蔵殿でいいんじゃね…と思ってしまいました。だってこんなに思ってくれてるし顔も悪くないし…。女性はとことん惚れてくれる男性と結婚したほうが幸せですよ。(←史実にはまったく関係ないけど)
 
この週で平馬くんともお別れでしょうか。大きな目のこの俳優さん大好きだったけどな。(スタジオパークも見たけど、やっぱり池内さんは大きな目がステキ )ところで二葉さんはどこいった?
 
さてそもそも大蔵殿が八重ちゃんを訪ねてきたのも、青森の斗南藩で会津藩を再興するので八重ちゃんにも来て欲しいということだったんだけど、八重ちゃんは行かないんですね。尚之助さんが行くのに、どうして行かないんだ…という疑問が残りますね。これはどうも上手く説明できてなかったですよね。この先八重ちゃんは京都に行ってしまうし、おまけに他の人と再婚してしまうわけで、どうも分からない。ちょっと尚之助さんが可哀想な気もする。いろんな台詞がカットされたんでしょうか。
 
 
さてこれからどういう展開になるんでしょう。尚之助さんとの夫婦の感じが良かったからなぁ…。お転婆で男勝り、気が強くてはねっかえり娘の八重ちゃんと、彼女を温かく見守る心の広い大人の男・尚之助さんの組み合わせがとても良かったもんね。あの二人が別れるのは本当に残念。
 
冒頭に新島(オダギリ)譲さんが出てきましたが、さてこのお方はどうなんでしょ。硬派で古風な大人の日本男児・尚之助さんがあまりにも良かったからな…難しいですよ。ぼそぼそと英語を話す声を聞いても「腹に力をいれんかいっ!」と思ってしまう(笑)。私はバターの国の人と結婚したので、日本人でバタ臭いアメリカかぶれの人にはあまり興味が無いのだ ワタシ…やっぱ大河ドラマの男は、ふんどしをキリリと締めた昔気質の日本男児がいい! 会津には、容保公、大蔵君、平馬君、官兵衛君に、神保さん親子や土佐さん、林さん、権八パパ、秋月さんに伝五郎先生、それに尚之助さんと古風でステキな男がいっぱいいましたからね。ああいう古風な日本男児の方がいいわ。無骨で不器用、怒ると怖いけど心は優しい昔の日本の男がもっと見たい…。
 
しかし今後八重ちゃんも京都ではケーキを焼いたりするそうな…さてどうなることやら。
 
京都の覚馬君はもう目が見えないみたいです。時栄さんがかいがいしくお世話してますが、それを見て「あぁこの二人はもう…」と思ってしまう。覚馬「見えなくても花を愛でることはできるようだな…」(←オイ…笑)
 

 

2013年7月30日火曜日

NHK大河ドラマ「八重の桜」第29回「鶴ヶ城開城」


今回もまずストーリーから。

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●1968915
新政府軍総攻撃2日目。東北諸藩は次々に降伏している。城内にはもう食料が無い。砲撃の続く中、八重ちゃんの父・権八(松重豊)は食料を確保しに城を出る。

男達は軍議中。米沢藩からの書は会津も降伏するようにとのこと。食料さえあれば…冬になれば…という者もいれば砲撃の凄まじさに「冬まで城がもつとは思えぬ」という者も。(←冬までもってもやっぱり負けると思う、戦力の差が…)

大蔵の妻・登勢の死。そこへたまたまやってきた弟健次郎(勝地涼)を理由なく責める大蔵(玉山鉄二)。もう皆精神的に追い詰められている。それを見る容保公(綾野剛)「秋月…」

夜も砲撃は続く(←すごいです)。八重ちゃん(綾瀬はるか)と尚之助さん(長谷川博己)の会話。「会津は…八重さん、あなたは強い」「そんなら尚之助様もすっかり会津のお国の人だ」「んだなし…」

密命を帯びてひそかに城を抜け出す秋月さん(北村有起哉)を八重ちゃんが護衛。スペンサー銃の7連発。

庄内の新政府軍・薩摩藩陣所では西郷どん(吉川晃司)が「こん犠牲に答えにゃならん…新しかこん国は…」

●917
総攻撃4日目。容保公「何もかも戦で燃やしてしまった。代々築き上げてきた会津の誇りまでも汚した…」そこへ照姫(稲森いずみ)「ご立派なご決断と存じ上げまする」

新政府軍・土佐藩陣所。秋月、土佐藩士達に嬲られながら「急いでくれ。正式に降伏が受け入れられるまで、今藩士達は必死に、今、この時を死ぬ覚悟で皆戦っておるのだ…」その様子を挟んで、城外で戦う官兵衛(中村獅童)の姿、八重ちゃんの父権兵衛が被弾、城への砲撃、子供達も城内で戦っている。(←これらの場面はドキドキしました) そして板垣退助(加藤雅也)登場「降伏の嘆願に来たかい?」

城内に被弾した権八が運び込まれる「米を運んできたぞ。…八重、ぬしゃわしの誇りだ。皆を守れ。」家族に囲まれて権八絶命。

●920
総攻撃7日目。秋月が城へ帰ってくる。降伏の嘆願は受け入れられ城への砲撃がやむ。

●921
女性達へは照姫から降伏の内容が伝えられる。開城・降伏式ののち、殿、大殿は謹慎所へ。15歳に満たぬ者、60を越す者、女性はおかまいなし。藩士達は猪苗代で謹慎。女性達は皆泣く。

男達の中に八重ちゃんも加わっている。容保公「罪は我が一身にある。この上はこの一命をもって会津を、皆の行く末を守る。何があっても生き延びよ…」そこへ八重ちゃん、

「恐れながらお殿様は間違っておいでです。何があってもお殿様には生きていただかねばなりませぬ。私は何度考えてもわからね。天子様のため、公方様のため尽くしてきた会津が、なじょして逆賊と言われねばならぬのか」男達が泣く。「会津の者なら皆知ってる。悔しくてたまんね。死んだ皆様は会津の誇りを守る為に命をつかったのです。どうかそれを無駄にしねえで下さい。ほんとは日本中に言いてえ。会津は逆賊ではねえ。だけんじょ、それを証明できるのは殿様しかいねえのです。だから何があっても生きてくだせえまし。」皆泣く。殿も泣く。

二葉さん(市川実日子)の書けない文字。照姫様が代わりに筆をとる。大きく書いたのは「降参」。無言で落ちる涙。

●922
降伏の白旗が掲げられる。城外では官兵衛が泣きながら崩れ落ちる「わしは認めん、まだ戦える…」

降伏式は城の正面で。その後、容保公は妙国寺にて謹慎。

その夜、八重ちゃんが一人壁に歌を刻む
「あすの夜は 何国のだれかながむらむ なれし御城に 残す月かげ」
母・佐久「明日からどうすんべな…城下は全部焼かれちまったな…」謹慎所へ男達と共に行くつもりの八重ちゃんを母は止める「おまえはたった一人の娘だ」。

●923
女性は皆、城の掃除をする。二葉さん「戦に負けても誇りは失っちゃなんね。綺麗に渡さねば会津のおなごの恥だ。」

鶴ヶ城開城。土足で上がる官軍が磨き上げられた廊下に気付く。

会津の男達が集められている。官兵衛も戻ってくる。皆が民謡を歌い始める。八重ちゃん、尚之助さんに「懐かしいな…祝言の日。あんさまのくれた紅は結局赤すぎてつけていくとこがなかったなし…」すると尚之助さんがいきなり「女だ。女がまぎれているぞ。」引き離される八重ちゃん。部屋を出る男達。硬い表情のまま背を向ける尚之助。(←これが最後なんだろうか…)

城に戻った八重ちゃんが一人。「消えた。何もかも。」一人泣く。「そんじも空は変わらねえのか…」(←八重ちゃんの表情で泣ける)
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はぁ…戦が終わりましたね。今回は編集が良かった。秋月さんが嬲られている時の台詞と、官兵衛や権八、城内の子供達の様子を被せた場面はドキドキしました。
 
スペンサー銃で7連発を撃ちまくる八重ちゃんもかっこよかった。もうこの際平和とか言ってる場合じゃないもの…このドラマ。戦うなら強いほうがいい。八重ちゃん強いです。
 
権八さんが亡くなってしまって悲しい。あー…これはこたえる…いいお父さんだったよな…(涙)。こういうあっさりした突然のさよならは後でじんわりとこたえる。
 
降伏の内容が女性達に伝えられた場面はまるで昭和の「玉音放送」。昔、戦争を体験したうちの家族が終戦当時大泣きしたと言ってました。敗戦ではただ泣くしかない。
 
それから容保公を囲んだ男達の場面での八重ちゃんの言葉は本当に素晴らしかったです。大河ドラマの歴史に残る名台詞かも。最初は私も正直「また女が出しゃばって…これだから女が主人公の大河は…」などと思いながら見ていたのですが、内容を聞くにつれて気持ちが逆転。感動して泣けました。綾瀬さんが素晴らしい。
 
女があの時代にああいうことを言うなんて史実としてはあり得ないです。しかしあの彼女の言葉は、他の男の藩士達が言いたくても言えなかった本音ですよね。男達には誇りや意地もあるし、絶対忠誠心から殿に逆らうこともできない。彼らにああいう本音があったとしても「自らの命で責任を取る」と宣言している藩主の前では決して言えないでしょう。ああいうぶしつけな本音(死なないで殿は絶対生きてください)は、窮屈な男の階級社会の外側にいる女の八重ちゃんだからこそ言えたこと。それに八重ちゃんは、自らも一兵士としてバリバリに戦ってきたんで、他の男達にも一目置かれているんですね。だから誰も彼女を止めなかった。むしろ皆一緒になって泣いている。…そしてあの言葉こそ、会津の方々が後世に、世界に向かって言いたかったことだろうと思います。ドラマの脚色だとはいえ、あれを主人公に言わせるとはすごい脚本だと思う。ほんとに感服いたしました。
 
城を明け渡す前、女性達が城を掃除する場面もいい。立つ鳥跡を濁さず。いいですよね。これは日本人独特の美学じゃないかと思います。外国人には分からないと思う。このドラマはこんな小さな場面がすごくいい。本来「美しい日本」とは、こういう細やかな感性や礼儀、けじめ、人への気遣いや思いやりなど、昔はあたりまえだった日本人独特の美学や美意識のことを言うんだと私は思う。このドラマには今までにも日本らしい美しい場面が数多くありました。今の日本ではこういう美学はまだ生きているんでしょうか。
 
尚之助さんに止められて、八重ちゃんは謹慎所に行けなくなりましたが、史実では謹慎所に向かう途中で見つかって城に戻されたらしいです。これはいずれにしても無理だったと思う。所詮女は男とは違いますからね。下手すればとんでもないことになりかねない。彼女の身の危険もあるし、他の会津藩士達にも迷惑でしょう。それにしても尚之助さんとはこれきりなんだろうか…。この夫婦が別れるのは実に残念。

ともかく会津戦争は終わりました。これほどまで丁寧に、会津戦争終結までの歴史を会津の視点から描くドラマも少ないだろうと思います。細かなエピソードを、時間を追ってひとつひとつリアルに、臨場感溢れる演出で、尚且つ人物達の心、魂まで再現したこの大河ドラマには、今までになかったほど心を動かされました。感動しました。この歴史の大きな転換期を再現してくださった脚本家の方、NHKのスタッフの方々、出演者の皆様には深くお礼を申し上げたい。今まで全く知らなかった歴史を学ぶことができました。感謝しております。
 
ともかく一段落です。八重ちゃんマラソンはまだまだ続く…。

 

2013年7月26日金曜日

八重の桜:山川大蔵殿の研究


感想が1週間遅れているのですが(早く追いつかなくては)…新しい明治の時代に行く前に研究しておきたいお題がありまして…。『八重の桜』ももう30回で、出演者の方々もいろんな表情を見せて下さっていますが、この大蔵殿ほど顔の変わる方もあまりいません。いつも似顔絵は1度だけですが、このお方だけは1度きりではもったいない。それで特別にページを設けることにしました。

●山川大蔵殿の研究

まず、若い頃の大蔵殿は八重ちゃん大好きの優しい若者。
 
ところが、おロシアにいかれてから急に鼻息が荒くなりました。何を学んでいらしたんでしょうか。
 
官軍との戦いも佳境に入ると経験値を積んだ自信からドヤ顔になり、
 
軍事総督になってますます威厳を増し、

 
最後は超怖い人。燃えていますね。

男前な熱い男・大蔵殿は、八重ちゃんが京都に移った後も活躍されるのでしょうか…。


 

2013年7月24日水曜日

NHK大河ドラマ「八重の桜」第28回「自慢の娘」



戦いは続きます。今回も篭城戦の続き。全員が必死です。

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●1968826、27
彼岸獅子を従えて入城した山川大蔵(玉山鉄二)が軍事総督に任命される。軍議では敵に占領された小田山をどう取り返すかの話し合い。その頃八重ちゃん(綾瀬はるか)は銃の調整。「もう(弾が)これしかねえ…」

 城の外では西郷頼母(西田敏行)と息子が城を出ようとしている。国境の萱野権兵衛へ伝言を届けるという。八重ちゃんが「ご家老様はお逃げになるのか…お城を捨てるのか…」と問い詰める。「人にはそれぞれ道がある」と言葉少く背を向ける頼母。なおも訝る八重ちゃんに「恭順を唱えることのほうが今はむしろ勇気がいる」と秋月(北村有起哉)が諭す。城では一人容保公(綾野剛)が呟く「頼母…生きよ

 城内では女性達が玄米を握る「一粒も無駄にしてはいけねえ。」そこへ娘子隊の帰還。照姫(稲森いずみ)のもと中野竹子(黒木メイサ)らの死が伝えられる。八重ちゃんの母(風吹ジュン)「一緒に生きてた人が一人ひとりいなくなるな…」八重ちゃん「戦だから立ち止まってはいかんけ…」。そこへ砲撃の音。

 小田山から砲撃が始まる。桁違いの威力のアームストロング砲らしい。八重ちゃんのアイデアで大砲の火薬を増やして小田山に打ち込む。成功。そこへ父権八(松重豊)が現れる「北出丸で鉄砲隊を指揮したそうだな。山本家の名に恥じぬ働きであったと聞く。よくやった。」なおも大砲を指揮しようとする八重ちゃんに権八は城内を鎮めるよう言いつける。

 城内の女性達にも容保公が声をかけて廻る。鳴り響く大砲の音。城内に打ち込まれた砲弾の爆発を八重ちゃんが消しとめる。すぐに八重ちゃんは砲弾の火消しの方法を女性達に指導。

容保公が八重ちゃんを呼ぶ。砲弾の火消しを説明するようにとのこと。砲弾は信管を濡らせば爆発をとめることが出来る。なお弾の中には鉄片が入っており、それが飛び散ることで周りを破壊する。八重ちゃん、子供の頃の追鳥狩の思い出とともに「役に立ちたいと思っていた。…一人また一人と共いる仲間を亡くしますが残った者達で力を合わせ会津を守るお役に立ちたいと存じます。」と殿に伝える。容保公「八重、女も子供も皆我が家臣。共に力を尽くせよ。

城内の女性達、子供達が飛び散った砲弾の弾(鉄片)を集める。それを溶かして鉄砲の弾を作る。女性達「(鉄砲の弾も)怖くねえな…」
 
その様子を遠くから見つめる父権八。「一度も認めてやんなかった。おなごが鉄砲の腕だけ磨いても何一ついい事はねえ。いつか身を滅ぼす元になんべ…そう思うてた。んだけんじょ、八重が鉄砲を学んだことは間違いではなかったかもしんね…。闇の中でも小さな穴が一つ開けば光が一筋差し込んでくる。」(チビ八重ちゃんの映像)「その穴を開けんのが八重の鉄砲かもしんねーな…」(←嬉しそう) 権八、八重ちゃんと目があうと無言でうなずく。
 
●828
小田山に敵の大砲がずらりと並ぶ。砲撃は増える一方。敵は日々兵力を増している。「今のうちに囲みを破り兵糧と火薬を運び込む道を開かねば…、なんとか米沢藩とつなぎをとらねば…」そこで佐川官兵衛(中村獅童)が早朝出撃すると申し出る。

その夜、容保公の前で官兵衛の出陣の儀式。危ない戦になるため官兵衛も覚悟を決める。「もとより命は捨てる覚悟で出陣いたしまする…必ず囲みを破り米沢への道を開きまする。それが出来ねえ時は城に戻らぬ覚悟…」

●829
朝(卯の刻・午前6時)官兵衛が寝過ごした(←笑)。出陣が遅れたため苦戦を強いられる。その後、城内では子供達が凧揚げ。それを日向ユキ(剛力彩芽)が郊外から見る「八重姉様だ…お城はまだまだ大丈夫だ…」

京都では覚馬(西島秀俊)のもとに岩倉具視(小堺一機)が会いにきている。覚馬の建白書『管見』を読んだらしい。「新しい国の形が全部ここに書いてある。死んだらいかん、また会いまひょ…。」

●914
新政府軍の総攻撃が始まる。砲弾が雨のように降り注ぐ。撃ち込まれる砲弾は一日2000発。近くに落ちた砲弾を山川登勢(白羽ゆり)が消しに行く。消し止めたと思った瞬間爆発。登勢を抱きかかえる八重ちゃんの上にもまた砲弾が降り注ぐ。天井に穴が開いた。
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凄まじいです。特に最後914日の新政府軍の総攻撃の様子は、短いながらも怖いシーン。登勢さんの負傷と共に非常にショッキングな最後でした。
 
今回も826日から914日までの篭城戦の様々なエピソードを細かく描いています。前回、前々回に比べてだんだん砲撃が激しくなる様子もリアルで本当に怖い。城内にいる人々の必死な様子が伝わってきます。子供達もたくさん城内にいたんですね。家老達・男性達の顔が険しいのに比べて、女性達は、食料を用意している場面や弾を作る場面でも、誰かの引越しか何かのように和気あいあいとしてるのがかえってリアル。普通の人達(女性・子供・老人)がそのまま城で戦ってるんですね。それにあらためて驚かされます。だからこそ心を摑まれます。もし私があそこにいたら…と考えずにはいられない。
 
以前から(一般的には無名の女性を主人公にしたため)「主役がなかなか出てこない」とか「容保の桜、会津の桜でいいじゃないか…」という意見もネット界隈では飛び交っていたようですが、今のこの篭城戦での八重ちゃんの活躍を見ると、この方が主人公でよかったなと思います。というのもこのドラマでは、いかにも普通の(普通じゃないけど)女性が、歴史の激流に飲み込まれながらも必死で最善を尽くす様子が描かれているからです。八重ちゃんだけじゃない。彼女の友人達の勇気、神保雪さんや中野竹子さん、西郷千恵さん、それに今回の山川登勢さんそれぞれのエピソードも強く心に残ります。戦時に男性が頑張るのはあたりまえ。だけど女性達がそれ以上に頑張っているのを見るともっと心を動かされる。八重ちゃんと彼女の友人達に突然降りかかった事件=女性の目から見た会津戦争。これは「容保の桜」では描けなかっただろうと思う。毎回会津の女性達に心を動かされています。
 
官兵衛さんが寝坊した話は有名らしいですが、実際には米沢藩はもう降伏していたそうで、もし彼が2時間早く起きたとしても、結果はそれほど変わらなかったらしいです。それにしても彼はこの後、会津が降伏するまで城の外で戦い続けたそうで凄い人ですね。
 
ところで今回は容保公がよかった…。八重ちゃんとの場面での言葉もよかったし、官兵衛との場面もよかった。綾野剛さんはお若いのに、全てを背負う殿様の貫禄がありますね。頑張ってくれている部下を信頼する上司の顔なの。いい上司と部下の関係なんですよ。皆、なぜここまでして彼のために戦うのか…が納得出来る。官兵衛や八重ちゃんが切々と自分の思いを伝えるのを聞く容保公の表情が本当によかった。
 
相変わらずいろんな細切れのエピソードがてんこ盛りで、淡々とストーリーが進みますが、この淡々とした感じがかえって史実をリアルに再現しているように思えます。