2018年1月24日水曜日

NHK 正月時代劇『風雲児たち』蘭学革命篇・感想



年の初めに放送されたNHK時代劇を2つ見た。一つは正月時代劇の『風雲児たち』。もう一つはスペシャルドラマ『龍馬の遺言』。この二つのドラマがそれぞれ正反対の印象だったのが面白い。

言いたいことをまとめるなら

・『風雲児たち』
スターを見るドラマとしては面白いけど歴史ドラマとしては中身も面白味も無い。
・『龍馬の遺言』
歴史ドラマとして面白いけれどペースが遅くて眠くなる。

…以前からどうやったら大河ドラマを復活できるのか…などとと考えているのだが、その答えはこの二つの正反対のドラマの間のどこかにあるのではないかと思った。

それぞれの感想を書いていこう。


---------------------------------------------
●正月時代劇『風雲児たち』
 
録画していたドラマ。
 
これ、三谷幸喜さんによるドラマで、登場人物達がことごとく『真田丸』に出ていた役者さん達なんですね。それだけでも面白かった。いや実はそこが一番面白かった。
 
★ネタバレ注意
ストーリーは単純。時代は江戸中期。蘭方医の前野良沢と杉田玄白が「解体新書」出版するまで。杉田玄白のアイデアでオランダの解剖学書「ターヘル・アナトミア」を翻訳して出版するのだが、完璧主義者の前野良沢が入稿直前に「まだ完全な訳ではないので私の名前を載せたくない」と言いだし、「解体新書」は彼の名を載せることなく出版される。

原作の『風雲児たち』とは、1979年に始まったみなもと太郎氏の歴史ギャグ漫画だそうです。長いシリーズから「解体新書」のエピソードをとりあげた。


それにしても配役だけでほとんど満足できたのがドラマとしていいのかどうかわからないけれど、とにかく『真田丸』づくしでした。最初はその事を知らなかったので、新しい役者さんが登場するたびに「あ、おこうさんだ、内記さんだ、板部岡さんだ、真田のパパだ、長宗我部さんもいる」といちいち喜ぶ。だって2016年は『真田丸』の登場人物達の似顔絵を一年間描いてましたもん。みなさんよ~く覚えてます。そこが一番楽しかった。

冒頭から「これは大河ではない(有働さんナレーション)」とありましたが、まぁ軽いエンタメドラマですね。そのとおりそのとおり。でもこれはこれで楽しい。原作はギャグ漫画だそうなので最初から重苦しい歴史時代劇でないのは明らか。楽しければそれでいいし、実際とても面白かったです。


しかしこういうドラマを見ると、あらためて私がいかに大河ドラマにこれとは違うものを求めているのかというのもよくわかる。もっと真面目にやって欲しいんですよ。大河ドラマには(このドラマと比べて例えるのなら)昭和の劇画調の重苦しい雰囲気を求めているんですよきっと。「明日のジョー」とか「巨人の星」とか「ゴルゴ13」とか(←どれも読んでいないけれど)…昭和の漫画は手塚治虫さんの漫画だってかなり暗くて重苦しかった。根性とか努力とか忍耐とか規律とか礼節とか…かなり重苦しい「思い込んだら試練の道を行くが男のど根性」←こういうやつ。ひゃ~歌詞を書くだけでも苦しい。

重厚大河とか本格大河なんて実際そういう重苦しさがあってこそではないのか。しかし今の若い世代の人達はそんなの見たくはないんですよね。

今回の三谷さんのドラマもかわいいんですよ。歴史的なリアリズムはゼロ。重苦しさも一切無い(役者さん達は大変素晴らしいけれど)。きっともう時代が違うのだな。時代が違えば人々がドラマに求めるものも変わってくる。今はほどんどの視聴者が「根性」や「努力」「忍耐」の話なんて見るのもめんどくさいんだろう。まぁそういう時代ということだ。

近年今まで何度も大河ドラマを見ては「軽い軽い」と文句ばかり書いていたんですけど、もう文句を言っても無駄なんだろうなとも思った。もう重厚な歴史大河ドラマが作られることは二度と無いのかも。それなら感想を書く側もそれを受け入れなければならないのだろう。

このドラマが面白かったからこそ、なんとなくそんなことを思った正月時代劇でした。