2016年7月22日金曜日

NHK大河ドラマ「真田丸」第28回「受難」 7月17日放送



秀次さよなら回。秀次君可哀想だ。新納さんいい役者さんですよね。純粋で陽気、ノンポリで明るい芸術家肌。みんなに愛される可愛い秀次君。殺生関白とは正反対だったけれど、この秀次君は可愛かった。繊細で傷ついた表情もいい。新納さんよかったです。おつかれさまでした。


…と役者さんはよかった…と書いたところで、ドラマの内容を考える。私はね、やっぱり三谷さんと相性が悪いかも…大河ドラマの脚本家としてですけど。

というのも、この秀次とその家族の処刑の史実は、おそらく秀吉に関する歴史のなかでも特に悲惨で残酷なエピソードだと思うのですが、このドラマはとにかく軽い。こういう重い話はたとえ「全体に軽いドラマ」だといっても軽々しく扱って欲しくない。というわけでちと文句。

画面を残酷にしろというわけではない。血なんて一滴も見せなくてもいい。だけど多くの人が残酷なやりかたで殺されたのであれば、その悲惨さや陰惨さを周りの人々の反応で感じたい。悲惨なものは悲惨だとドラマの中で認識したいんですよね。

今回の秀次の自害はともかく、その後の30数名の家族の処刑なんてとんでもない話よ。秀吉は自分の甥の家族を惨殺しているんです。この秀吉は異常だし、周りだってその陰惨さに震え上がって当然の事件。陰惨で苦しくて悲しくて…それにいつ秀吉の怒りの矛先が自分に向くかわからない恐怖…。こういう状況なら、信繁や石田君、寧さんや茶々さん、片桐さんに平野さんあたりが、もっと追い詰められた反応をしていなければおかしい。きりちゃんなんて秀次の家族30数名の中の一人だったかもしれない。

ところが今回のドラマでは、秀次の死から家族の処刑が執行されても、誰も顔色一つ変えていないのね。皆「困ったね」ぐらいの反応。そんなわけないじゃん。

もう一度言う。悲惨な話はごまかしてはいけない。処刑の現場なんか一切みせる必要はなし。しかし周りの人物達にはもっと強い反応をして欲しい。これは非常にショッキングな史実なんです。これがいかに恐ろしい事なのかを見せないと…、この秀吉がコントロール不可でいかに恐ろしい人物なのかが見えてこないのね。全く実感がわかない。

だから秀次君とその家族の死も直ぐに忘れられてしまう。ドラマとして全く記憶に残らない。それはドラマとして大きな問題でしょう。


三谷さんが重苦しいドラマを好まないのがこれでよくわかりますね。歴史の人物達も歴史のどんな話も、現代劇風に置き換えて、現代人がわきあいあいと楽しく演じる話になってしまう。これでは大河ドラマとして面白くない。

しつこく言いたくないんだけどまた『軍事官兵衛』と比べてみる。私はあのドラマは人物描写に深みが無くて面白くないと過去に何度も書いた。しかしそれでもあのドラマでは、荒木村重の謀反のあたりは悲惨な史実の再現がよくなされていたと思います。村重が城を捨てた後、城内の家臣が全て処刑され、その後奥さんのだしさんも子供達と共に斬首される。悲惨です。あのドラマでは悲惨で残酷でものすごく可哀想な史実を、村重の苦悩などを見せて真っ直ぐ描いていたと思う。だから心を動かされた…。

一方『真田丸』の今回の秀次の話には、悲惨さをほとんど感じない。ものすごく軽い。あんな酷いことが起こったら誰も普通ではいられないはずなのに、皆平気な顔。だからドラマに深みがない。

 

…というわけで文句ばかり書きましたけど、この調子で『真田丸』は最後まで行くんだろうと思います。全てが軽い。これはもう好みの問題ですね。コメディは好きだけれど、史実で悲惨な話を悲惨に伝えられないのなら、歴史ドラマの面白さはないと思う。せっかくの秀次君のいい表情がもったいない。きりちゃんのあんな馬鹿な反応なんてあきれて物も言えない。信繁も、秀次の家族を数日前に処刑した秀吉に、わざわざ生き残った秀次の娘さんの話をする?どうせ外国に逃がすのなら、彼女の話を秀吉にする必要もなかろう。不自然。辻褄が合わない。ああいう小細工もつまらない。
 
助佐さんはちょっと嬉しかったですけどね。『黄金の日日』は好き。秀次の娘に関する話は、もう死んだことにして隠密にルソンに逃亡させた方がよかったと思う。
 
な~んてまた重箱の隅をつつく。
 
いつもなんだか三谷さんの凝り過ぎ、いじり過ぎの脚本に文句を言ってますね私。春日さんの死をめぐる話に辻褄が合わないと文句を言い、室賀さんの死の後のきりちゃんの行動が不自然だと文句を言い、梅ちゃんの死をめぐる右に左に揺さぶった脚本に文句を言い、今回も秀次の死をめぐる意外な展開に辻褄が合わないと文句を言ってる。これは相性が悪いんだろうな…。
 
もっと歴史を素直に見せて。
 
 
★あらすじ
秀次が追い詰められて自害。秀吉激怒。秀次の家族全員を処刑。

●内容

○秀次
・拾誕生。秀次は逃亡。
・秀次、密かに大阪城にきりをたずねていた。
・信繁、大谷さんに相談。大谷さん発病。
・信繁、秀次に聚楽第へ帰るように促す。
・その夜、秀次は真田屋敷へ。
・翌日、信繁が秀吉に呼ばれる。
・秀次はキリシタンなのか?
・もう石田は秀次のことを知っている。
・信繁、秀次のことを秀吉に報告。
・その間に、秀次は高野山へ逃亡。
・秀吉に報告「謀反の疑いということにして高野山に蟄居させたという事にしよう。その後連れ戻せば言い」←秀吉は怒っていない。事を大きくせずにすまそうとしている。
・秀次に報告「明日迎えに参ります」
・翌朝、福島正則が迎えに来た。
・秀次「いつからか人を信じぬようになってしまった。悪い癖だ」
・秀次の涙。←これは悲しい。いい表情。拍手。
・秀次自刃。←キリシタンなら自殺はしないのでは。
・秀吉激怒「目をかけてやったのに。わしを怒らせたらどんなに怖いか孫七郎に見せてやる」
・寧「あの子はもう死にました」
・秀吉「秀次は謀反で命令で切腹させたことにする。三条河原に首をさらし、妻と子供、ことごとく殺せ。謀反人の身内じゃ」その妻子の数30人以上。聚楽第も取り壊し。←さっきまで秀次を救おうとしていたのに、この心変わりは極端。こんなことするわけがない。周りの反応も薄い。これが一番違和感があった。
 
○たか
・聚楽第の秘密の教会に、秀次の娘たかが隠れていた。
・さっそく信繁のゴリ押し「大谷の娘を正妻にして、秀次の娘を側室にしたい」←たかのことは秀吉に言う必要なし。頭を使って策を練ったように見えて、実は全く無駄な行動。
・秀吉にダメだと言われると(←あたりまえだ)、また秀吉に向かって怒鳴ってゴリ押し。おかしいですよね。秀次の妻子をあれだけ殺した秀吉なら、逆上して「たかは死罪。お前も切腹しろ」と言いそうだ。
・現実味のない変な展開のせいで、小日向さんの素晴らしい演技が無駄。
・きりちゃんは論外。ショックを受けて寝込むぐらいの反応でいい。なんだかみ~んな反応が軽い。重みがゼロ。
・たか、驚くきりちゃんに「そういうこととあいなりました」なんだよぉそれ。信繁は、きりちゃんにたかの事を報告する必要もなし。
・納屋助佐衛門。助佐は懐かしいな。ルソンのツボは『黄金の日日』でも出てきましたね。
・たかをルソンに逃がす。
 
○その他
・真田ママの出自コント。つまらない。
・おこうさんは強くなりましたね。女の戦い。おこうさんは元々真田の身内ですね。
・信幸はまだもらった官位のことをうだうだ言ってる。細かい。
・徳川、秀次の問題に「面白くなってきた」
・秀吉に死の影。