能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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この度の能登半島地震で 被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。 一日も早い復興をお祈りいたします。 ★NHK による様々な支援情報 能登半島地震 義援金・支援金の受け付け始まる 窓口まとめ 【随時更新】 https://www.nhk.or.jp/shutoken/ne...

2017年2月5日日曜日

レディ・ガガ姐さんのスーパーボウル(2017)ハーフタイムショー!





毎年恒例でございます。ショーがさっき終わった。本日アメリカは25日・日曜日。アメフトには全く興味が無いのでゲームは見ていないのですが、毎年ハーフタイムショーだけは見る。

今年はガガ姐さんです。

ワタクシはね…ガガさんにはどうも気持ちが入らないのよ。嫌いじゃないんです。ニューヨークの生まれのお嬢様が、強い意志でぶっとんだアートポップスターをやってるのもいい。ご本人も気さくでとてもいい人らしいです。多くの社会貢献活動もやっているらしい。インタビューなどで話す声の感じもお嬢さんっぽいし、このお方を嫌いになる理由は無い。キャラとしてはたぶんかなり好き。

なのに彼女は彼女のスター性ばかりが記憶に残って、音楽・曲が記憶に残らない。それは問題。歌は上手い。ドスの効いた声もいい。だけど曲が記憶に残らない。「Born This Way」がマドンナの曲にそっくりなのも印象がよくなかった。

衣装や、MVやステージでのぶっとんだスーパースターぶりが現代の若い女の子達の憧れの対象になっているのは、おそらく30年前にマドンナが若い女の子の間で大変な人気だったのに似ているんだろうと思う。


Lady Gaga - Lady Gaga's Pepsi Zero Sugar Super Bowl LI Halftime Show



 しかしカリスマは流石です。今回のショーも派手派手。まー本当に派手。最初にガガさんはスタジアムのトップで歌う。いい声。空には星?星の色が…形が変わる。それからガガさんはケーブルに釣られて地上に降りてきた。ステージ上には大勢のダンサー。小さめのステージを囲むファンにはライトを持たせてそれも演出の一環。これはどうやってリハーサルしたんだろう。

曲は有名どころ…私はよくは知らない。一番良かったのは、冒頭の歌いあげ。それから真ん中あたりでピアノを弾きながら歌ったバラード。ガガさんのような声は、この曲のように昔ながらのスタンダードな曲の方が向いてますよね。歌声を聴かせるタイプのバラード。彼女にはわらわら踊りながら歌うよりも、こういうタイプの曲の方が似合ってると思う。思わず聴きほれました。ファンの持つライトの演出も綺麗でしたね。

彼女はとにかく必死。一生懸命、持てる力を全て投げ出してなりふり構わず真剣全力投球で歌って踊っているのが大変素晴らしい。カリスマのスーパースター。やっぱり特別なお方ですね。

最後にクレジットが…
DRONES POWERED BY INTEL

おおおおおおおっおいっ
冒頭のあの空の動く星はドローンだったのかよっ!?
すげぇええええっっっ!!!
 ↓
 
 

2017年2月1日水曜日

NHK スーパープレミアム『漱石悶々』・感想



★完全ネタバレおおいに注意

日本では去年の1210日に放送されたもの。こちらでの放送はお正月明けだったと思うが、昨日もう一度録画を見直した。

夏目漱石が悶々とするドラマ…ふふふ。

夏目漱石さんが亡くなったのは49歳だったそうだ…おお。彼の『吾輩は猫である』が出たのが39歳だったそうなので、彼の作家人生はわずか10年。ほぉーなんと短い…。そんなことも今まで知りませんでした。ちょっとびっくり。

漱石さんは作家になる前、ロンドン滞在中に神経症にかかったらしい…そのあたりの気持ちがわからないわけではないので親しみを覚えたこともある。漱石さんの本にはそのロンドンにいた時にハマって、ワタクシも彼の有名な本を何冊か読んだ。


このドラマはそんな夏目さんの48歳の時の恋だそうだ。片思いですね。漱石先生が美女への妄想で悶々とするお話。妄想が膨らみすぎてほとんど独り相撲。オジサン不器用だわ。ほほほ。


お相手は宮沢りえちゃん…京の祇園のお茶屋「大友」の女将・磯田多佳さん。綺麗です。宮沢りえさんはいい女。本当にいい。小さな口の上にすっと通った細い人中が色っぽくていい。皮膚が薄くて大人顔。いい女。

その綺麗なお多佳さんに豊川悦司/漱石先生がデレデレする。最初から最後までお多佳さんを想って悶々とする。


最初の出会いから夏目先生の緊張がおかしい。コチコチに緊張してる。不器用なのね。お多佳さんが「吾輩は下戸である」と言えば、漱石先生が早速ニヤニヤし始める。スケベオヤジの顔だ。

2日後、漱石先生は自ら多佳さんに電話をかける。「お多佳さんかい?夏目です。どうも先日は。その…。よかったら今夜、遊びに来てくれませんか?では待っています。」ふふふふふ漱石ウキウキ。「咲かぬなら咲かせてみましょう紫陽花の花…」とつぶやく。

お多佳さんがやってきた。一緒に食事。漱石ニヤニヤ。うん。うん。嬉しそう。ところがお多佳さんは邪魔者(加賀正太郎を)を呼びたいと言う。そこで漱石先生は目を伏せる…「お多佳さん、…しかし今日は、私は誰に催促されるでもなく自らの意志で電話をかけた。なぜだと思います。…話したかったから。」おおっ。「もっとあなたと話したかったからです」いいぞっ先生GO!「二人っきりで、あなたと話しをし、もっとあなたを知りたいと思ったからです」おおっいいぞっ勇気あるな…お多佳さんが怯えている。…お多佳さんの「先生?」で現実に引き戻される。笑

邪魔者の登場に先生は大変機嫌が悪い。加賀君は胃も丈夫。その加賀君が先生にお願いごとを言い出す。それに答えて不機嫌な先生「チンチラデンキ 皿持てこ 汁のましょ」(←笑)イジメ、パワハラだ…これも妄想…漱石先生の悪い顔。

その帰り際、多佳さんからデートのお誘い「先生、晴れて暖かかったら、うちと北野さんへ梅見に行っておくれやすやろか?」漱石嬉しい。漱石ウキウキ。

「晴れたらお多佳さんと梅、晴れたらお多佳さんと梅、晴れたらお多佳さんと梅…」と呟きながら梅の絵を大量に描く。←爆笑

当日は快晴。お多佳さんを待つ先生。来ない。なぜだ…なぜだ…なぜだ? 人力車で京都観光に一人出かけ、オムライスを食べて「まずいっ!」
…東京に帰ると言う。

「春の川を 隔てて おとこ おんなかな」

面白かったのはここまで。妄想がおかしくて、漱石先生がおかしくて何度も膝を叩いて笑った。ははははははは。豊川さんも楽しんで演じていらっしゃいますね。おかしい。


胃痛で苦しんでいる時に訪ねてきたお多佳さんに,(妄想で文句を言ったように)実際に文句を言えればよかったのよね。でも漱石さんは言えないのだね。まぁ不器用「あなたのせいですよ。あなたが二日も訪ねてくれないから寂しくてこんなに悪くなってしまった。」おお、それが言えるなら文句だって言えるじゃないか…。

先生、若いきんちゃんにキャア… ステキヤワァ…と言われてまんざらでもないのも面白い。漱石デレデレ。嬉しそう。

その後の、多佳さんのお店や、岡本橘仙さんあたりの話で中だるみ。漱石先生から話がそれると面白くなくなる。お多佳さんの「黒髪」は漱石先生への想いなのか。橘仙さんとお多佳さんが親しいのはわかるけれど、橘仙さんは嫉妬してるの? それに漱石先生が病気のためにお多佳さんの「大友」で一晩過ごす場面も、まさか襖一枚を挟んで男女が隣同士で眠ることはないだろう。襖一枚で分けた隣の部屋ってほとんど同じ部屋にいるのと同じですからね。ものすごく無防備。あの場面は不自然なのではないのかなぁ。もっと遠くの部屋が空いてなかったんだろうか。

お多佳さんの「風流ぬす人」を読む場面では、内容から漱石先生がお多佳さんと橘仙さんの仲を知るということなんだろうけれど、なんだか残念だわ。橘仙さんが全然魅力的じゃないのも困りましたね。邪魔者。漱石先生もかわいそうだけれど、やってきた奥さんに八つ当たりはいかがなものか(笑)。


漱石先生が東京に帰ってきた後で、お多佳さんにうだうだくどくどくどと説教手紙を書くのもいただけない。口で言えなかった本音を、文章にしてくどくどと文句+説教。なんだなんだなんだなんだなんだ? んまーしちめんどくさい男やね。んまー本当にめんどくさいわ。この手紙って実話なのかしら? 知りたいですねぇ。漱石先生はめんどくさい男ですわ。そんなきつい手紙を書くぐらいなら、直接文句を言った方がいいのになぁ。しかし文豪ならそれも愛嬌。お多佳さんも涙涙で説教手紙を受け入れているんだろうけど、もともと先生が嫌いじゃなかったのね。だってこのお手紙、とてもまわりくどいけれど、

愛の告白

だもの。しかしこのタイプは私はダメだわ。先生くどいわ。(^_^;)\


漱石先生は困った男ですねまったく。この説教手紙を書いた頃の漱石先生は、もう今の私より年下ですもん。びっくりです。このお方は色々と最後までこだわりを捨てられなかったのかな。面白い本も書いているからユーモアのセンスはあるんだろうに。55歳ぐらいまでお元気なら達観して(生きることも)もう少し楽になったかもしれないのに。

それにしても真面目不器用な消極的堅物中年オヤジの、女性への妄想デレデレは見ていてとても面白いのだはははは。このドラマも前半がとても面白かった。豊川さんのニヤニヤデレデレだけでドラマ全編やってほしい。


漱石先生が黒猫を飼っていたことを最近知ったので私は嬉しい。やっぱり親しみがわく。

ところで若い頃の漱石先生のドラマ『夏目漱石の妻』は見逃してしまった。見たいですねぇ。


つい思いついて岩波文庫の夏目漱石作品集のセットをアマゾンで購入! 以前から未読分の文庫を買い足そうと思っていたところ。これでコンプリートできる。ひゃ~~~っ!\(^o^)/

2017年1月31日火曜日

お猫様H:猫と休む





やっぱり風邪をひいてしまったのでござる。トランプ氏の就任式の頃に38度の熱が出て4日間平熱に戻らなかった。前回の「オバマさんありがとう」のエントリーを書いてからうだうだ寝てました。
 
毎年1月、2月に必ず風邪をひく。今回は旦那Aからうつったらしい。それにしても熱が出ると疲れる。咳もなかなか止まらない。年を取って弱くなったんだろうか。この時期はいっそのこと冬眠した方がいいのかもしれぬ。結局今年も1月いっぱい何もせずに過ごした。
 
毎日ソファーでだらだらしているとお猫様がやってくる。のしのしとひざ掛けを踏みしめるように足元から上がってきて、腿の辺りをふみふみ、そのままどっかと倒れこんで眠り始める。なんともうれしい…幸せである。しかし4キロの猫は重い。足が痺れる。最初はぬくぬくと温かく気持ちいいが、だんだん熱くなってくる。ひざ掛けの下で汗をかくのだけれど、せっかく寝ている猫を起こすのもかわいそうなので動けない。そうやって34時間が過ぎる。
 
そろそろ起動しよう。


2017年1月22日日曜日

オバマさん、ミシェルさんありがとう❤❤❤



先週の金曜日に、もう次の大統領が決定してしまったわけだけれど、
オバマさんご夫妻に感謝です

オバマさん2009年から8年間どうもありがとうございました。


海亀が米国に移住したのは2008年。その年の年末、オバマさんはアメリカの大統領に選ばれた。驚きましたよそれはそれは…それはもう本当に嬉しかった。

…(それ以前に)10年間暮らした英国で学んだことはとても多く、実際に「私は英国に大人にしてもらった」と今でも英国には大変感謝しているわけですが、(今だから言える)実は欧州白人のアジア人に対する扱いにちょっと疲れたかなというのもあったわけで…。

そういうこともあって2008年にアメリカに移住してきて、その年の年末に

アメリカ合衆国で初めての
アフリカ系の大統領

が選ばれた事が私は本当に嬉しかった。心から(涙)。

その時滞在していた部屋でTVを見ながら、その場にあった紙に赤と青のペンでアメリカの国旗を描き、割り箸に貼り付けて涙を流しながら振り回し、旦那Aにあきれられ…。私は嬉しかったのだ。ほんとに。

やっぱりさすがアメリカや
アメリカは違う
アメリカに来て良かった(泣)

あれから8年。
 

…私はオバマさんご夫妻が大好きなのよ。いつも仲良し。いつもにこにこ見つめ合って、冗談を言って笑い、いつもベタベタ。演説をすれば天才的なカリスマのオバマさんが、ミシェルさんの前ではなんだかおとなしいニコニコおじさんになるのもいい。子供達の前では優しいお父さんとお母さん。家族に囲まれたオバマさんが本当に幸せそうに笑うのもいい。苦労人のオバマさんはおおらかなミシェルさんに本当の幸せを貰ったんだろうと思う。理想の夫婦。
 

時間が経つにつれてオバマさん以上にミシェルさんももっと好きになった。ハーバード出の才媛にも関わらす、TVのトークショーに出演して歌ったり踊ったり買い物に出かけたり腕立て伏せをしたりコントをやったり、いつも親しみやすく明るくておおらかで…。ファースト・レディの彼女がそのように親しみやすく振舞うことで国民に影響力を持つことを誰よりも理解していた方で…アメリカの子供達に野菜を食べるよう指導し、ホワイトハウスには様々なエリアから子供達を招待して政治に親しみをもたせ、軍人の家族を支援し、女の子達の教育を向上させるため活動し…。
 

オバマさんご夫妻は、お二人とも人として素晴らしい。こんな方々が大統領夫妻になることはもう暫くないのかもしれない。オバマさんが特殊。良すぎて特殊。(今回選ばれた新大統領を見ても)オバマさんはやっぱり奇跡だったのかもしれないとも思う。もうこんな大統領はあらわれないのかもしれない。
 

政治家が選挙のために綺麗ごとを並べるのは当たり前。しかしオバマさんは心からアメリカを良くしようと努めた方。私欲ではなく、真に弱い者の味方であろう、困っている人々を助けよう、人々をより良い方向に導こうと常に考えてきた方。人種問題を過去のものであると真に人々に信じさせることができた方(アフリカ人の父親を持ち母親の白人家庭で育ち+家族にアジア人も多数、出身は人種問題がほぼ存在しないハワイ)
 

オバマさんは正しい人。真摯で真面目な苦労人。それを支えるミシェルさんも大変な努力家。お二人とも努力をして階段を登ってきた方々。だから全ての国民の真の目標、理想になれた。お二人を見ているだけで、アメリカの知性と良心を信じる事ができた。

海亀はホワイト・ハウスを去ったお二人が名残惜しくて、今でもTVの録画用HDに年末から録画したオバマさんのインタビューを残したままにしている。暫く消せないと思う。

オバマさん8年間おつかれさまでした。
感謝してます。ありがとうございました。


 

2017年1月19日木曜日

映画『フェンス/Fences』(2016):頑固オヤジにしっかり者のお母さん・力強い傑作






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Fences2016年)/米/カラー
139分/監督:Denzel Washington
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ヴィオラ・デイヴィスさんに主演女優賞を!…おっと助演女優のカテゴリー? そうかデンゼルさんの方がよく喋ってたもんね。もちろん彼が主役ですね。しかしこの映画の真の主演はヴィオラさんのローズお母さんだと思う。素晴らしいです。

…いや、デンゼルさんのトロイお父さんもすごいですよ。すごい迫力。ああこういう人は昔の日本にも実際にいましたね。昭和の頑固な雷オヤジ。ものすごくリアル。


デンゼル・ワシントンさんが監督+主演のこの映画は、もともとオーガスト・ウィルソン/August Wilsonによる1987年の舞台劇。劇は同年Pulitzer Prize for Dramaを受賞。その後2010年にデンゼルさんとヴィオラさんでブロードウェイにて再演(なんと贅沢な)。この映画はそれを映画化したもの。

舞台劇らしく登場人物は少ない。全員で7人。登場人物が少なくても脚本がしっかりしているので違和感はない、それぞれの俳優さん達が素晴らしく演技も自然。実は最後まで舞台劇が元になっていたと気がつかなかったほど。最後にクレジットが流れて登場人物の数か少なかったことに驚かされた。

シンプルな話です。登場人物が出てきて、会話をして物語が進んでいく。シーンも家の中のみ。全て会話で話が進む…のに映画として見ても全く不自然じゃないのがすごい。どんどん話に引き込まれる。
 

★ネタバレ注意

家族の物語です。シンプルなストーリー。時は1950年代の米・ピッツバーグ。登場人物は、負けん気の強い頑固オヤジに、真面目な若い息子。しっかり者のお母さん。ミュージシャンを志す(お父さんの前の彼女との)息子。お父さんの会社の同僚。そして病気の伯父さん…。

最初は独特なアクセントの早口な台詞を聞き取るのに苦労したが、次第に言葉の言い回しや響きに慣れてくるにつれて、…これはちょっと昔の日本の家族の話みたいだと思い始める。会話の内容をそのまま昭和の日本にもってきても馴染むのではないか。


トロイさんは清掃会社に勤める53歳。声が大きくてよく喋る。所謂ワンマン頑固オヤジ。我が強くプライドも高い。若い頃一度はスポーツ(野球)を志したが断念。昔はワルで臭い飯を食った時期もあった。それでも男気に溢れ若い頃はきっといい男だったに違いない。ローズお母さんはそんなトロイお父さんに惚れたのね。

しかしオヤジは頑固。腹を決めたら意固地。自分の意見を意地でも曲げない。息子達にも一方的に自分の考えを押し付ける。ティーンの息子コーリィが「大学でアメフトをやりたい」と言えばダメだと言う「そんなものはやめちまえ…どうせ白人に差別される」しかし息子は納得しない。そこでオヤジと息子は喧嘩。息子が「父さん、どうして僕が嫌いなの?」と問えば「俺は親としての責任を果たしてきたんだ。わかったか」と怒鳴る。甘ったれたこと言ってんじゃねぇ…と言わんばかり。

(若い頃の女性との間に生まれた)現在30代の息子リオンにも厳しい。彼はミュージシャンを目指しているんだけれど、時々金欠になってお金を借りに家へやって来る。それを見て「おまえもそんな風にふらふらしてないできちんとした仕事につけ。うちの会社に口を利いてやってもいい」と毎回説教。


頑固親父の言うことは絶対。彼は彼なりに息子を愛しているんだけれど、優しい言葉をかける前に説教を始めてしまう。「ダメなものはダメ」と頭ごなしに叱りつけるからティーンの息子は反発してしまう。こんな親子は昔の日本にもいましたね。

そんな親子を優しいお母さんがとりなして日々は過ぎる。トロイの会社の同僚で友人のボノさんは金曜日の仕事帰りにいつも家に立寄って雑談。時々戦争で傷を負ったトロイの兄ガブさんもやってくる。みんなの集まる家庭をローズお母さんがしっかりと守る。

そんな風に話は進んでいくんだけれど、途中で「事件」が起こる。そこから話は一気に急展開。


その「事件」からローズお母さんが輝き始める。最初は父と息子…男ばかりの話だと思っていたのに、途中からこのお母さんの話に変わっていく。前半で皆の諍いをとりなし、皆を迎え入れて穏やかに笑っていたお母さんの人生が徐々に見えてくる…心を奪われます。

健気な昔の女。夫を支える古風な女…一見後ろにひっこんで見えていたローズお母さんは、実は幸せを自分の意志で摑んで自ら作ってきた女性。決してワガママな夫に振り回されるだけの弱い女性ではなかった。不当に扱われれば夫にも強く立ち向かう。辛いことがあってもそれを自力で幸せに変えていける強い女性。彼女はきっとどんな状況でも幸せを作り出していける。

彼女の夢はシンプル。好きな男と結婚して安定した家庭を作ること。すがすがしいほどにシンプルだけれど彼女にとっては確実な幸せ。その幸せを実現するためにコツコツと人生を紡いできた。綺麗に整えられたキチンとダイニングの様子でそれがよくわかる。そんな彼女の生き方に改めてはっとさせられる。

だからトロイさんのような男も彼女に惹かれたのね。若い頃に荒れていた彼も、彼女のおかげで安定した幸せな生活を送れるようになった。そんな安定した人生を息子にも歩んで欲しい…いや自分よりももっともっと大きく成功して欲しい…息子たちには夢ばかり追って(昔野球でうまくいかなかった)自分のようにはなって欲しくない。だから息子たちにも(安定しない)スポーツや音楽はダメだと説教をする。それは親心。

トロイお父さんにはよくわかっている…安定した生活のありがたみは十分にわかっている。しかし彼にも心の弱さがあった…。

…「事件」の内容を話した後で、ローズお母さんにガチに怒鳴られるトロイお父さんの「ああ…ヤバイ…」という表情が大変素晴らしい。


最後の場面、ローズさんが家族に囲まれている様子にとても感動する。彼女はきっとこれからも家族に囲まれ、皆に大切にされて年を取っていく。彼女の家は家族の集まる場所。いつかそれぞれの子供達も家族を連れてやってくる。彼女は自ら幸せを作り出す。そんな奥さんを持ってトロイお父さんもきっと幸せだったに違いない。この映画は彼女の生き方に静かに感動する映画。

いい話です。私が女だからこういう見方をするのだろうけどローズお母さんはいい。映画が終わった後も、彼女の今後を考え、彼女の家族の未来を考え、これからどうなるだろうと思いを馳せる。余韻が残る。そんな映画は近年珍しい。


それにしても舞台劇の映画化はいいものが多い。脚本が熟成されているからなのだろう、ほぼ人物達の会話だけで感動できるのはすごいことだと思う。よく練られた脚本に役者さんの力技。こういうタイプの映画は大袈裟な演出がなくても脚本と演技だけで人を感動させることができる。とても贅沢な芸術だ。

年を取ったせいなのか、近年どうも映画作品のアラが見えやすくなって映画そのものを以前ほど楽しめなくなったような気がするのだか、この映画は本当によかった。いい劇は心に響きます。いつまでも余韻が残るいい映画。

それぞれの脇役のキャストも素晴らしい。友人のボノさん、それにトロイさんの兄ガブさんのお二人は2010年の舞台でも共演しているそうだ。

いい脚本の芝居を丁寧に映像化した素晴らしい映画。久しぶり心に残った映画。一見地味だけれど、とても力強い映画です。この映画に賞をとって欲しい。


ちなみにタイトルのFENCES(柵)とは、
トロイさんにとって死神から自分と家族を守る柵であると同時に、息子に対する距離(心の壁)。またローズさんにとっては愛する家族を守る彼女の意志を示しているらしいです。


2017年1月17日火曜日

お猫様H:今年の猫



新年も、もう18日ですか…
こんにちは
尻尾が長い
お目目ぱっちり
なでなで
 
海亀はまた風邪をひきました。
毎年恒例ですな。参ったね。今年は旦那Aも珍しく熱でダウン。いったいどこからウィルスを貰ってきたんだろう?
 
海亀はアメリカの強力ビタミン剤 Airborne®という奴を飲んで、なんとか熱を出さないように頑張ってます。効いている気がする。