能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2017年1月5日木曜日

紅白歌合戦観戦記 2016/12/31



あけましておめでとうございます。

紅白の事を書かねば年が明けぬ…。今年は感想を書くのをどうしようかとも思ったのだけど、やっぱり書こう。紅白歌合戦とは、海外在住にとっては「今の日本を知る窓」。日本で何が流行っているのか、日本の若い人達はどんな曲を聴いているのか、誰がスターなのか、どんな演出が可能になったのか…。

紅白は年末のお祭りですからね。紅白を見てうだうだと夜を過ごすことで、なんとなく新年を迎える心の準備ができる。というわけで今回も旦那A1231日の夜に視聴。1回目は家事をしながらだらだらと見て、感想を書くために年が明けてからもう1回録画を視聴。

今回2回目に見た時は、改めて音楽をきちんと聴こうと思った。全曲ヘッドホンでガッチリ聴いた。お笑い枠も面白かったけれど、なんと言っても紅白は歌の祭典。エンタメとして、歌合戦として、できるだけいい所を見ようと思った。というわけで感想。まずは歌以外から。

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★お笑い枠

今回も周りのうだうだが多かった。そんな感じはここ数年続いてますね。私は嫌いじゃないんですよ。ただ打ち合わせが足りなかったのか、お笑い枠が歌合戦の流れの中で浮いていた感じはありました。ゴジラもタモリ&マツコ、ピコ太郎も個々は面白いのに、なんとなくそれぞれが勝手にやっていた感じ。審査員もびっくりしてるし流れに馴染んで無かった。こういうのはどうすればいいんだろうなぁ。

…それでもお笑い枠は嫌いじゃない。タモリ&マツコ夫婦は面白かった…でも最後は席にたどりついて欲しかった。渡辺直美ちゃんはいつも毒カワイイ。ピコ太郎も可愛い…ピコちゃんは沢山出てましたね。くまモンもかわいい…けん玉が似合う。司会のお二人は無難…おつかれさまです。むしろ紅白に武田真一アナウンサーが出ていたのが意外。このお方はコチコチに真面目で誠実そうなのがいい。いいお声。結婚したらいい旦那様だろうなぁと思う(おっと既婚だそうだ)。NHKのビンテージ昭和なアナウンサーという感じがいい…ゴジラマイクも面白かった。

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★歌合戦

さて歌の感想ですが、今回はなんとなく盛り上がりが足りなかったかも。どうしてでしょう。ヘッドホンで全部聴いたので、今回はそれぞれの感想を書きます。基本的に紅白はお祭りなので甘くポジティブに…。

若い人のポップス枠、アイドルグループ枠、アーティスト枠、演歌枠が競い合うのが面白い。ワタクシはもう30年以上洋楽しか聴いていない西洋かぶれの海外在住なので、日本の歌は殆ど聴かないのですが、「紅白だからこそ演歌が嬉しい」というのは確かにあります。やっぱり演歌の方々はお歌が上手いんだ。1年に1回しか聴かないから演歌がすごく新鮮でいい。歌が上手いのは基本。歌手の方々の声の技に痺れる。
演歌は日本のSoul music

前回の紅白の感想には、ベテランの方々の演目がマンネリでつまらないと書いて、いっそのことジャンルを越えて誰かのカバーをやった方がいいんじゃないかと書いたんですけど、今回は数名の方々がカバーソングをお歌いになってました。ゆずさんが坂本九さんの歌「見上げてごらん」、福田こうへいさんの「東京五輪音頭」や、島津亜矢さんの「川の流れのように」は曲に馴染みがあってよかった。演歌の上手い方々にはもっとジャンルを超えてジャズのスタンダードなんて歌って欲しいかも。しかし坂本冬美さんの「夜桜お七」や石川さゆりさんの「天城越え」はやっぱり聴きたいし…カバーソングも簡単にやればいいとは言えないのかなぁ。

そんなわけで今回のハイライトは、
・坂本冬美さんの「夜桜お七」
・石川さゆりさんの「天城越え」
椎名林檎さんの「青春の瞬き」
 


★曲別

1 関ジャニ:オープニングが明るくていい。
2 Puffy:この曲はたぶん聴いた事がある。昔の曲ね。
3 AAA:これも全員でお祭り。
4 E-Girls:ダンスが上手い。みんな綺麗で揃ってます。良質のEDM。ただ見せ方やスタイルに新鮮味がないのが問題。
5 欅坂46:歌詞の「似たような服を着て似たような表情で」…というのはAKB系への皮肉か。みんな可愛いですね。このグループはお若いのかな。
6 三山ひろし:演歌枠最初。紅白は演歌があってこそ。歌声が気持ちいい。直前のくまモンがけん玉を成功させたのが可愛かった。
7 山内恵介:このお方はお顔が綺麗ね。女の子みたい…あ、貴公子か。衣装の演出も楽しい。乃木坂ダンサーズも雰囲気に合っていて面白かった。
8 miwa:中学生のコーラスと一緒に。アコギ一本で雰囲気を作れるのはたいしたものだ。コーラスも綺麗です。
9 Sexy Zone:このグループの名前を聞くと毎回旦那Aが笑いだす。床が綺麗。いい歌。
10 天童よしみ:ベタなド演歌。安定の上手さ。しかしこのお方にこそジャズのスタンダードとかポップスを歌って欲しい。1人ダンサーはいらないですね。
11 SEKAI NO OWZRI:狼やウサギ人間がかわいい。雰囲気がいい。昔のJellyfishを思い出す。
12 市川由紀乃:若いアイドルの多い近年の芸能界の中で、演歌の女性はみなさん大人なんですよ。古典的な大人のいい女。それも貴重。いいと思います。綺麗な方ですね。
13 三代目 j soul brothers:この光る100人のダンサーの演出はすごい。歌も上手い。キャッチーなEDM。しかしこの手の音楽はK-popとどう違いをつけるのかが課題。
14 香西かおり:後ろのクラゲとバイオリンはいい。歌も味があっていい。橋本マナミさんのダンスはいらない。歌のじゃま。しかし橋本さんは本当に綺麗だ。彼女は大人のいい女枠の女優さんをなさるといい。
15 椎名林檎今回の一番の発見曲。知らなかったです。演出もいい。AyaBambiのお2人と椎名さんの3人で黒い衣装で立つ迫力…エキストラ…P-マッピングとCG(?)の演出も素晴らしい。いい曲です。バンドも素晴らしい。椎名さんの高音の声はかなり耳障りが悪いと思う(ごめんなさい)。しかし馴染めば味になって聴こえるところが面白い。崇高な世界感。ここだけ空気が変わって別番組。椎名さんはアーティスト。
16 福田こうへい:お祭りの演出。賑やかで紅白にふさわしくて楽しい。お神輿の上は怖いだろうな。
17 絢香:しっとりといい声。
18 郷ひろみ:これはさぁ…この二人はデキてるね(笑)という演出でした。今回の紅白の一人ダンサーはどれも全く要らないと思うんだけど、このカップルだけはよかった。郷さんが若い女の子をカワイイカワイイと思ってる様子が露骨に出ていたのがよかった。熱いな。微笑ましい。バラードもいい曲です。
19 V6:最初の歌い始めの坂本昌行さんはとてもいい声。上手い。よく伸びるいい声。
20 水森かおりP-マッピングの富士山衣装がすごい。翼も生えた。
21 いきものがかり:安定の上手さ。いい声。高音が綺麗。
22 ゆず:坂本九さんのカバー曲。やわらかい。プラネタリウムが綺麗。
23 RADWIMPS:今時のバンドの音。メロディーが単調。
24 乃木坂46:衣装が綺麗。声が弱い。
25 福山雅治:輪の照明が上下するのがいい。アミューズ円形ステージ。ライブ楽しそうやね。
26 島津亜矢:美空ひばりさんのカバー。こういうよく知られたスタンダード曲は歌手の方のご本人の味が出て面白い。ひばりさんとは全く違うけれど島津さんも気持ちいい。
27 RADIO FISH:キャッチーだけど2012年の「江南スタイル」と構成も雰囲気もかなり似てますね。演出は騒がしくて楽しい。
28 西野カナ:ドレスが可愛い。これはみんな結婚式で歌うのかな。
29 桐谷健太:全国の皆さんとコーラス。
30 AI:オクラホマミクサー?なぜだ? アイさんは本格ソウルの歌える数少ない日本の歌手だと思います。がさがさっとした大坂のおばちゃん風な声がいい。和製チャカ・カーンを目指して欲しい。
31 AKB48:まさかAKBを褒める日が来るとは。欅、乃木坂と見てきて、やっぱりAKBは格が違うと思った。華やか。会場がパッと明るくなるのがすごい。彼女達はそれぞれひとりひとりが周りを蹴落としてのし上がってきたスターなんだろうね。全員ゴリゴリの競争心が生々しいエネルギーになって出ていて面白い。みんなエゴがむき出しだからダンスも揃っていない(笑)それが面白い。「君はメロディー」は超キャッチーなとてもいい曲…アメリカからは公式MVが動画サイトで見られないのでブロックを外して欲しい。私は秋元氏のアイドルビジネスには全く賛同できないけれど、AKBはさすがに華があると思った…なるほど。今回1位に選ばれた山本彩さんは、声がハスキーでロックバンドで歌っていてもおかしくないような声。
32 五木ひろしAKBをバックに本格演歌。熱唱です。男性の演歌歌手の後ろにAKB系のバックダンサーは華やかで悪くないと思う。
33 KinKi Kids:剛さんはいい声。昭和な響きの曲だ。
34 Perfume Perfume3人のことは今も大好きなの。しかしライゾマさんの演出は嫌い。毎回とにかく幾何学模様がうるさくてしょうがない。演出の技術がいかに凄いのかを見せるためにPerfumeをダシに使っているように見えるから困る。主役はPerfumeです。もっと女の子達を綺麗に見せる演出家を他に連れて来い。Perfumeが好きだから辛口になる。本当にいいダンサーのグループなのにいつももったいない見せ方。曲も弱い。そもそもリップシンクは紅白の会場には向いていない。ワンマンの年越しライブをやって、作り上げた演出で中継をしたほうがいい。
35 星野源:この方の声はとても心地よい。
36 大竹しのぶ:美輪さん枠。歌手というよりもエディット・ピアフを演じて歌っていらっしゃる。普段の大竹さんと全く別人。女優の歌。
37 坂本冬美:この曲は定番。上手い上手い。ダンサーはいらない。「夜桜お七」は何度聴いてもいい。途中のギターがジェフ・ベック風。
38 TOKIO:ボーカルが安定していない。しかしこの歌は誰が歌っても難しいと思う。
39 松田聖子:綺麗な声。美しい。結局私達は聖子ちゃんの声が好きなんだろうね。54歳でこの声は驚異的だ。演歌じゃなくてポップス枠でこれだけ上手いのは貴重。まーなんと綺麗な声だろう。(…あれっリップシンク疑惑もあるらしいぞ)
40 X Japan:声が苦しい。速い。こういう曲がBABYMETALの「アモーレ」の速いアレンジの元ネタなんだろうね。
41 高橋真梨子:いい声。年齢を重ねても心地よい声がある。大人。
42 The Yellow Monkey:この有名なバンドを初めて聴いたわ。いかにも古いタイプのROCK BAND。まったり味があっていい。ライブハウスで聴きたい。
43 氷川きよし:本格演歌。ビンテージな昭和の演歌だ。
44 宇多田ヒカル:この方はもっと上手いはず。
45 石川さゆり:すごいな。演歌歌手の力技。情念「うそでも抱かれりゃ暖かい」おおぅ。この曲はバックにファンキーなベースが鳴っている。「舞い上がりぃ~」の唸りで旦那Aが喜ぶ。
46 嵐:松本君は歌が上手い。嵐はトップ・スターの余裕。こういうグループは5人もいるのに、なぜコーラスでハモらないの?他のグループももっとコーラスをハモればいいのに。相葉君が最後は泣いている。お疲れさまです。よくがんばった。拍手。

2016年12月29日木曜日

映画『モアナと伝説の海/Moana』(2016):美しい海に泣く




Auli'i Cravalho - How Far I'll Go (2016) 

 

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Moana2016年)/米/カラー
107分/監督:Ron Clements, Don Hall, John Musker, Chris Williams
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DisneyCGアニメにハズレなし。
綺麗です。とても気持ちのいい映画。

ここのところ海亀は毎回映画を見るたびに、このブログでの感想を書くことを考えてしまって、どうも理屈で映画を見る癖がついてしまった。いかんなぁと思う。映画は真っ白な頭で素直に見るべきなんですよね。それなのについつい考えながら見てしまう癖がついてしまった。脚本は巧みかな…俳優さんは上手いかな…演出は上手いか…雰囲気はいいか…? 先日の『Jackie/ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』でもあれはこれは…と考えながら見てしまった。

ところがこの映画は、

単純に楽しめました。

近年のCGアニメ…ディズニーやワーナーのものはどれも質が高くて、なにも心配することなく楽しめる。この映画を見ている最中にふと思った「あ~なんて綺麗なんだろう。なんていい歌だろう…あれ、ワタシこの映画を楽しめてるぞ。この瞬間がとても楽しい…」
 
難しく考える必要はない。そういえば以前CGアニメの『Zootopia』ではワタクシずいぶんいろいろと小難しい事を書いてましたが、この映画は単純にいいお話。あまり考えなくても楽しめるお話だと思った。
 
なんだろう…私は太平洋の人々が好きなんだな。ポリネシアの文化も伝統も大変リスペクトしているんですよ。南の島…美しい海に何千年と生きてきた人々へのぼんやりとした憧れ。だからこの映画は最初からいい印象。

いい映画でした。

勇敢な女の子モアナちゃんが、島の民を救う為に一人大海原へ旅に出るお話。半分神様のマウイさんと共に使命を果たす。お話は単純。あまり凝ってはいない。米国の辛口の批評家は「いかにもディズニー様式でどこかで見たような話ばかりの映画だ」と言っていたけれど、それを言うのは無粋。だってこの映画、大変素晴らしいもの。

海がとても綺麗です。
綺麗な海に泣ける
ふぁ~っと頭の中が真っ白になる。

ジブリの『ナウシカ』と『もののけ姫』がほんの少し入っているかも。

CGアニメに対して採点が甘くなるのは事実。この映画は現代の技術ならCGと組み合わせて実写映画化も可能だろうと思う。しかしもしこの映画が実写で作られていたら、私はきっとこれほど喜ばないだろう。

アニメーションだから素直に感動できる。
アニメにはアニメの魔法がある。


カワイイ
主人公のモアナちゃんの声は、ハワイの高校生アウリィ・クラヴァーリョ/Auli'i Cravalhoさん16歳。ご本人もとても可愛い。スタジオが太平洋中を探して見つけ出した輝く才能。彼女には中国・アイルランド・ハワイ・ポルトガル・プエルトリコ人の血が流れているそう。ディズニープリンセスを演じる声優として史上最年少だそうだ。まっすぐに伸びる美しい声です。初めてとは思えないほど堂々と主演。大変素晴らしい。大きな拍手。アウリィちゃんありがとう
 

 

2016年12月27日火曜日

映画『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命/Jackie』(2016):凝り過ぎた演出・頑張りすぎの女優




 
 
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Jackie2016年)/チリ・仏・米/カラー
100分/監督:Pablo Larraín
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Jackie…伝記というよりも「事件」に関する映画。
 
ジャクリーン・ケネディ(後のジャクリーン・オナシス)=ジャッキーは60年代初期のJ.F.ケネディ大統領の奥さん。米国上流階級の出身で美しく上品。24歳で12歳年上のジョン・F・ケネディと結婚し、196031歳でアメリカのファースト・レディとなる。
 
19631122日、夫婦ともにテキサス州ダラスに到着。空港からのパレードの最中に銃撃され夫はジャッキーの腕の中で命を落とす。彼女は34歳。その「事件」の後の1週間を「LIFEマガジン」のTheodore H. White氏による彼女へのインタビューで振り返る。
 
描かれた内容は、
 ・1962年のファースト・レディによるホワイトハウスのツアーの
  テレビ放送映像の再現
 ・1963年の夫の「暗殺事件」
 ・夫ジョン・F・ケネディ大統領の国葬
 ・司祭とジャッキーの会話
 ・夫の死から1週間後、ジャッキー自らの発案でのインタビュー


★ネタバレ注意

実験的な映画です。いかにもオスカーを取る気で作ってる。最初の一音…弦楽器の大きな音から非常に不快で普通の映画じゃないなとすぐに思う。

ナタリー・ポートマンの熱演に次ぐ熱演。彼女もオスカーを狙っている。しかし私はこの映画を見て、改めて彼女はいい女優さんじゃないのかなと思った。

…演技が硬すぎる。肩に力が入りすぎ。いつも同じ顔。Black Swanの時もStar Warsのパドメの時も常に顔が強張ってる。彼女御本人の知性がいつも見えてしまうのが問題なのかも。頭のいい女優さんが一生懸命演技をしてます!…という感じ。

毎回そう。この映画でもジャッキーさんのアクセントを真似て、そっくりの話し方をしているのに、どうもしっくりこない。映画全編でジャッキーさんを演じているというよりも、物まね大会を見せられている気になる。心が入っていない。ナタリーさんご本人が消えていないのね。
いつも
「演技してますよ」
と見せ付けられている気になる。女優さんとしてそれはいかんだろう。どうしてなんでしょうね。テクニックは十分にあるんだけど役になりきっていない。
 
 
ジャッキーさんのように、現代人でメディアでもよく知られた人物を演じる…その人物になりきるというのはどんな女優さんにも難しいのだろうと思う。1962年のホワイトハウスのツアーの(テレビ放送の)元の映像Youtubeにあったので見たけれど、ジャッキーさんとナタリーさんとは全く違う。
 
…ジャッキーさんはいかにも育ちのいいお嬢さん。物腰が柔らかい。ホワイトハウスの歴史的な遺産、芸術品を嬉しそうに語るジャッキーさんは明るく朗らかでまた同時に落ち着いていて上品。…このお方がなぜ現代にいたるまでファッションアイコンなのかがよくわかる。素敵なのは彼女の全身から醸し出される上流階級の優雅さ上品さ。当時のアメリカの女性達は、彼女をプリンセスのように見て憧れたんだろうと思う。
 
ナタリーさんの物まねはその足元にも及ばない。ごめんね。
 
…最初からキリキリキリキリ神経衰弱にかかったように病的に表情が硬くどこか自信がなさそうにおどおどして深刻でまったく魅力的じゃない。せめて「事件」前の彼女は朗らかに優雅でなければ。ナタリーさんは頭がよすぎて演技を考え過ぎてしまうんじゃないのか。

 
映画そのものも実験的。場面場面の時間が前後している構成。異常なほどの顔へのクロスアップ…いつも顔の半分か切れているぐらいカメラが人物達に寄っていく。不快で神経に障るような音楽…。
 
ジャッキーさんが「事件」の後ホワイトハウスに帰ってきてもスタッフが全くいないのは不自然じゃないのか。たった一人でモデルみたいに色んな服を着て考え事?不自然。変だわ。
 
 
わかっているのよ。あのような形で夫を亡くす事がどれだけ恐ろしい事なのか。そしてその後の1週間、ジャッキーさんがいかに毅然と振舞ったのか。夫の国葬を豪華なショーにプロデュースし、自らは悲劇のヒロインとなり、夫のホワイトハウスでの日々を英国の「アーサー王伝説」のキャメロット(後述)になぞらえてJFKの「美しい伝説」を作りあげるまで、彼女がどれだけ強くあったのか。
 
そこなのね。34歳の女性が、想像を絶する状況で夫を亡くし、その後どれだけ気丈であったか…という映画なんですこれ。そこに焦点を当てているから最初から空気が張り詰めている(ように作っている)。大変重苦しい。
 
ナタリーさんの演技もコチコチに硬い…たぶんそれは全体の雰囲気によるもの。なんというかなぁ…この映画、
頑張りすぎ
という感じ。
 
ジャッキーさんの映画なのにジャッキーさんの育ちのいい優雅さも上品さも見えず、女優さんも最初からキリキリ緊張して重苦しく過剰演技。構成も凝り過ぎ。演出も暗い。しかしあそこまで不気味にしなくてもいいのに。ちょっとホラー映画みたい。
 
 
それでも、暗殺のシーンではゾッとする。一瞬映る車中のジャッキー/ナタリーさんのゆがんだ顔で全ての文句が消えてしまう。怖いシーン。想像を絶する。こういう事が実際に起こったという事実があまりにも大きくて、映画の凝った演出や女優さんの無駄な頑張りを全て押し流してしまう。「事件」が起こったその事実に圧倒される。
 
結局、史実に脚色して、いかにも芸術映画らしく見せている事が鼻についたということなんだろうと思う。意図はわかるけれど、あまりいじらなくても史実そのものがショッキングなんだから素直に見せてくれればいいのにと思った。
 
ケネディ大統領の国葬で、幼い息子さんJohn JohnJohn F. Kennedy Jr.が父親の棺に敬礼をする有名な場面も意図的に映さないなんて、あまりにもひねくれ過ぎ。そんな監督のひねくれた見せ方が非常に鼻につく。素直に観客が見たい物を見せて泣かせなさいよ…と思う。見せたい内容は理解できるし素晴らしいけれど色々と狙い過ぎて見せ方を間違った映画。惜しい映画だわ。

それにしてもケネディ大統領の俳優さん(Caspar Phillipson)はよく似ている。弟ボビーさんの俳優さん(Peter Sarsgaard)も悪くない。
 
この映画に出てくる2人の子供…娘さんのキャロライン・ケネディさんは現在の駐日大使。

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キャメロット/Camelot (musical)
英国「アーサー王伝説」を元に描かれたブロードウェイ・ミュージカル。キャメロットとはアーサー王の王国の都。1960年初演。1963年「事件」当時も上演されていた。劇中の最後の歌の歌詞
"Don't let it be forgot, that once there was a spot, for one brief shining moment that was known as Camelot." (忘れずにいよう…昔一瞬の間光り輝いた場所があった…それをキャメロットと言う)をケネディ大統領の時代のホワイトハウスに例え、件のLIFEマガジンの記事では、
“a magic moment in American history, when gallant men danced with beautiful women, when great deeds were done, when artists, writers, and poets met at the White House, and the barbarians beyond the walls held back.”(アメリカの歴史の魔法のような時代…勇敢な男達が美しい女達とダンスを踊りながら、正しい政治を行い、芸術家や文筆家、詩人がホワイトハウスに集い、野蛮人達は壁の後ろでしりごみしている時代)と書かれた。後日記事を書いたWhite氏は、この記事に書かれたケネディ時代のイメージを、事実とは違っていたと述べている。
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2016年12月22日木曜日

SOL3 MIO - Have Yourself A Merry Little Christmas (2014)



美しい声 🎅🎅🎅

 

SOL3 MIO - Have Yourself A Merry Little Christmas (2014)
 
Album:  Sol3 Mio Christmas EP
Released: 01 January 2014

 
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これはこの時期に取り上げようと以前から思ってました。色んな人が歌っているクリスマスのスタンダードなんだけど、声の魅力だけで何度も聴きたくなるのはなかなかない。
 
綺麗な声です。
 
ソレ・ミオ/SOL3 MIOはニュージーランド出身ヴォーカル・グループ。近年は彼等のようなグループをクラシカル・クロスオーバーと言うらしい。
 
3人ともクラッシックを学んだプロのオペラ・シンガーで、2人の兄弟と従兄弟。

  ペネ・パティ/Pene Pati (テナー)
  アミタイ・パティ/Amitai Pati (テナー)
  モーゼス・マッケイ/Moses Mackay(バリトン)


オペラのボーカルはどの人がいいと語れるほど詳しくは無いのだけれど、この方々の声は本当に綺麗だ。お二人のテナーが兄弟で声が似ているせいなのかコーラスが特に綺麗。この曲も145あたりからの3人コーラスが美しい。気持ちよくて何度も聴いてしまう。ちょっとお顔の細いモーゼスさん(歌い始めの人)のバリトンの声が好き。

気さくでフレンドリーでハッピーなのもいい。楽しい。サモア系の方々だそうです。サモアの方々は身体が大きいことで有名らしい。日本の南国にもいそうな親しみやすいお顔。
 
私は太平洋で繋がった人々の心の温かさを信じてます 好き。

 
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