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2023年4月4日火曜日

David Sylvian - Weathered Wall (1984)



Ryuichi Sakamoto – synthesizer/piano



David Sylvian - Weathered Wall (1984)
Album: Brilliant Trees (Remastered 2003)
Released: July 7, 1984
℗ 2003 Virgin Records Limited


しばらくあの頃の時代の事を考えている。
80年代の初期から中頃ぐらい。バブルになる前の時代。

英国のバンド Japan 解散後の David Sylvian さんのソロアルバム『Brilliant Trees』。この曲は坂本龍一さんがキーボードで参加していた。

当時LPレコードを買って曲をカセットテープに落としてウォークマンでよく聴いた。カセットテープで聴くウォークマンのいいところは…アルバムをテープに入れて聴く時に、安易に曲を飛ばすことが出来なかったこと。一旦テープを回し始めたら(いちいち早送りも面倒だから)アルバム全部を聴くことになる。CDの時代のように曲を飛ばすことがないから、アルバム全部を通しで聴くことになる。それがよかった。

このアルバムは全体に実験的な音が多い大人のアートなポップス。妙な音や妙なリズム。特にドラムに妙な音が多い。最初は必ずしも耳障りのいい音ではなかったと思うが、ウォークマンで通しで何度も何度も聴いているうちに次第に音が耳に馴染んでくる。そしてだんだん気持ちよくなってくる。繊細なドラムのアレンジが耳に馴染んだら、最高に気持ちのいいアルバムになった。電車での移動中に何度も何度も繰り返して聴いていた。


Japanの解散の頃からこのアルバムの出た頃、JapanのメンバーとYMOのメンバーがよく交流をしているとの情報が当時の音楽雑誌によく出ていた。David Sylvianさんと坂本さん、そしてDavid さんの弟のSteve Jansenさんが(ドラム繋がりで)高橋幸宏さんと仲がいい…などという記事をよく読んでいた。

あの頃のことを思い出す。

このアルバムは洋盤で買ったのだろうか、歌詞の意味を今回訳して初めて知った。


Weathered Wall
David Sylvian
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あなたは 信じられる人だった
変わりゆく世界の中の 希望の場所
それぞれの瞬間に感じ
あなたの腕の中で過ごした それぞれの年月

一生を生き抜いた人生の後で
この汚れた手には 生命の兆しもない
休む間もなく働き
私はこのような心の中の恐れに立ち向うことはなかった

失われた天国を悲しみ
失われた天国に涙を流す
嘆きの壁の前で


あなたは 皆に信頼される人だった
学ぶ意志のある場所に 命を捧げて
しかしそれは 生きることの本質
心の中に未だ残された年数を数えながら

失われた天国を嘆き
失われた天国に落涙する
嘆きの壁の前で

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Written by David Sylvian, Jon Hassel