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2026年3月5日木曜日

英ドラマ BBC/HBO『インダストリー/Industry』(2026) シーズン4, 第8話まとめ:Both, And …そして感想



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『Industry』 (2026) TV Series-Season 4/英・米/カラー
/約50分・全8話/
制作:Mickey Down, Konrad Kay』
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はぁ…終わりました。やっと。このドラマは私にはわかりにくいので毎回中身を掘り下げてみたけれど、その作業が大変で…すっかりエネルギーを吸い取られてしまった。今もぼ~っとしてる。

今回の第8話はビジネス関連の難しいことが全て終わってシーズンのエピローグ(登場人物達のその後)的なものだったので、簡単にあらすじだけ書いておこう。Wikipediaの英語のあらすじをGoogle翻訳して手を加えたものを載せておく。。






★あらすじ/ネタバレ注意







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最終回第8話 あらすじ

● Tender社のスキャンダル後、労働党政府・産業担当国務大臣ジェニファー・ベヴァンはテレビで政府を擁護する。

● (アフリカ・ガーナ国Tender支社だった)トニー・デイは警察がロンドンのTender社本社を捜索中に逮捕される。

● ヤスミンはヘンリーと離婚する。

● ホイットニーはヘンリー・マックに、自分と一緒にリトアニア国ヴィリニュスへ逃げるよう促し、ロシアがTender社に関与していることを明かし、偽造リトアニアパスポートを提供する。

ヘンリーは最初飛行機に乗るが自らのアイデンティティを捨てることを拒否し、ホイットニーを厳しく罵倒して帰宅するが、そこで警察に逮捕される。

●  SternTao社の…ハーパー、スイートピー、クワベナはTender社の破綻で1億1千万ポンドを稼ぎ、それぞれ200万ポンドを分配し、新しい事務所を模索する。

● ヘンリーは信託義務違反の司法取引を受け入れ、逃亡したホイットニーに不利な証言をする。

● 投資家/ヘンリーのゴッドファーザーのオットーは、暗殺の危険を理由にロシアのことに触れないようヘンリーに警告する。

● ヘンリーから離婚したヤスミンは、改革的右派政党Reform UKの政治家セバスチャン・ステファノヴィッツを推し、パリで彼の資金集めのパーティーを主催する。

● パーティーに招かれ参加したハーパーは、欧州右翼の客たちとの不快な会話と、また彼らを楽しませるために連れてこられたヘイリーをはじめとする若いエスコートの存在について、ヤスミンに詰め寄る。

● ヤスミンは、これは女の子達からの搾取ではなく、彼女達に豊かな生活の機会を提供しているとして自分の行動を弁明し、ハーパーにエリックとDollyのビデオを見せる。

● ビデオを見て動揺したハーパーは、ホテルの部屋に戻りクワベナに「もはや自分の身近な人たちを認識できなくなった」と告げる。

● ヘンリーはノートンの邸宅で自宅軟禁されている…広大な土地でのんびり。

● ハーパーは短編映画『Tender』についてインタビューを受け、将来について思いを巡らせる。

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個々の人物達


ハーパー・スターン/Harper Stern(Myha'la)
よかったですね。前回の最後に私が心配したヤスミンとの夜遊びでの「インサイダー取引きの疑い」にもならず、無事に巨額の収入を得た。ショート投資大成功! 

Tender社株のショート投資が成功した後、ハーパーがエリックの留守電に電話しているのが哀れ。しかし彼女は孤独な人ではあるけれど、これからは成功した会社のリーダーとしてスイートピーとクワベナが信頼できるパートナーになるのだろう。会社の規模も大きくなるのかな?

ハーパーは母親が亡くなったことで何か区切りができたのではないか。今回のエピソードの最後はハーパーが常識のある人物になっているのが面白い。ハーパーはパーティーでの(変わり果てた)ヤスミンとの会話で、ヤスミンを友人として現実に引き戻そうとしていた。今まで彼女は成功のためなら全てを裏切っても平気なキャラだったのに、今シーズンの最後にはハーパーがまともな人物に成長している。


スイートピー・ゴライトリー/Sweetpea Golightly(Miriam Petche)
投資の成功でスイートピーも子供っぽくはしゃいで嬉しそうだ。このシーズンは彼女が大活躍。頭が良くて勇気がある。明るく行動派でかっこいい女の子。感情も表に出やすくてかわいい。好きなキャラ。


クワベナ・バナーマン/Kwabena Bannerman(Toheeb Jimoh)
実はまっとうな青年。ネット上の彼の評価を見ていると「クワベナは軽薄で軽くて…」などの批判も見かけるのだけれど、年寄りの私にはこのシーズンの中で彼が一番まともな人物に見えた。

確かに彼はお調子者で下ネタ大好きで、いつも笑っていて軽薄に見えるけれど、彼の行動を見ていたら…実は根がとてもまともな好青年ではないかと思ってしまった。

アフリカでのスイートピーとの一件でも、最初彼は「隣の部屋にいるから」などと言ってスイートピーの部屋に踏み込む意志はなかったと思われる。スイートピーが鼻血を出してトイレから出てきた時もマイクを投げ出して助けに来てくれた。その後スイートピーが荒れていてきわどい質問をしていた時も、くだけた調子だとはいえ躊躇しながら笑顔で答えていた。

彼は裏表のない(嘘つきではない)とてもまっとうな青年に思える(私のような年寄にはネ)。彼は信頼できる人だと思う。彼の頭がいいのはハーパーが彼をMostyn Asset Management社から引き抜いたことでもわかる。優秀な人なのだろう。彼のように普段は下ネタ好きで軽薄そうに見えても「実はまっとうないい人物」というのはとてもいいキャラ設定。


ホイットニー・ハルバーストラム/Whitney Halberstram(Max Minghella)
生きていた。そして逃げた。第6回で私は彼がアメリカで苦労したリトアニア移民の息子だと想像したが、この第8回ではヘンリーのリトアニアの偽パスポートも出てきたので、ホイットニーもただ嘘つきの米国人の可能性の方が大きいと思った笑。

ま~この人は最初から最後までポーカーフェイスというか…大根というか…よくわからない人物でした。ポンジ・スキームの大犯罪人。とんでもないですね。彼に比べると、周りにいる人物達が全員まともな人間に見えてくる…それほどスケールの大きな悪党。特に女性+若い女の子達をビジネスでの恐喝の道具に使った方法は絶対に許すまじ。もう2度とこのドラマには出てこなくてもいい。飛行機の飛び立つ前にヘンリーに罵倒されて私はとてもすっきりしました笑。結局彼はロシアを頼ったわけだけれど、その後の命がどうなるのかは誰にもわからない。

実はホイットニーとTender社の件で、近年似ている事件があったことをネット上で知った。このTender社と同じような事件がドイツであったらしい。会社の名前は「Wirecard AG」…この会社もオンライン決済代行業者でポルノとギャンブルの決済サービスをしていた。その後同社は不正な業務と財務報告でCEOだったMarkus Braun氏が捉えられ懲役刑判決を受けたが、COOだったJan Marsalek氏が逃亡し、現在ロシアに隠れていてロシアの諜報機関の保護下にあると考えられているそうだ。このシーズンはこの事件を参考にしたのだろう。


ヘンリー・マック/Sir Henry Muck(Kit Harington)
貴族のボンボンで世間知らず。もうどうしようもなくダメな人。現実が見えていないというか情けない人だがなぜか憎めないお殿様。シャワーの中で「He is an Englishman~ ♪」と大声で歌う笑。漫画のように滑稽で子供みたいで憎めない。ホイットニーが後ろに立っているのにお尻を出したまま歌い続けるのはただただ可笑しい。お人好しで他人をすぐに信じてしまうのだろうね。

自分を利用しただけのヤスミンの意図にも全く気付かずに「愛してる」を言い続けて、あ~この人はどこまで気付けない人なのだろう…と少し可哀想にもなる。

ただ彼の最後の砦が…自分の貴族のタイトルだったのにも大笑い。ホイットニーに誘われて、リトアニアの偽パスポートと共に飛行機に乗り込んだはいいが、偽パスポートと英国のパスポートを見比べ…彼の英国のパスポートのSIR E HENRY MUCK BT、R F HENRY DE CHARTLEY NORTON に比べ、偽パスポートには何の称号も無いのを見て何か思うところがあったのだろう…ブチ切れて(口に出来ないような)酷い言葉でホイットニーを罵倒した。大変な権幕で。 … ヘンリ~ 笑笑笑笑笑、笑ったわ。

…そんなに大声でホイットニーを罵倒できるのなら、どうしてもっと早くホイットニーから離れられなかったのよ笑

結局はご先祖様に顔向け出来ないことはこの人には出来なかったということでしょうか。偉大なご先祖様があるから今の自分がある、家名に傷をつけるわけにはいかない、だから「I want to be a better person!!」なのだろう。育ちのいい人の道徳心の基本が見えますね。

結局ノートンおじさんやオットーおじさんに守られて「He is an Englishman~ ♪」を聴きながら釣りをして広大なカントリーハウスでのんびり軟禁生活を送っている。平和やね。第7回で「ノートン卿は力のある人なので頼ればいいのに」とここにも書いたのだけれど結局そうなった。

彼はヤスミンのような異国系の女性ではなくて、素直なイングリッシュローズと結婚して平和に偉大な家系を繋げていけばよろしい。

調べたらヘンリーの本名はSir Reginald Henry Ferrers de Chartley Norton Muck, 11th Baronetだそうで…長い。そういえばMuck家はカトリックだと言っていて(Anglicanじゃないのか)、名前を見るとフランス系なのかな…ノルマン系ならずいぶん古い家系ですね。

ちなみにヘンリーが「For he is an Englishman~ ♪」と歌っていたのは英国のArthur Sullivan and Gilbert and Sullivanによる喜劇オペラ『H.M.S. Pinafore/The Lass That Loved a Sailor』。

それからヘンリーを演じる Kit Haringtonさんは本物の貴族の末裔だそう。調べたらご先祖に16世紀の貴族の肖像画が出てきてびっくり。


ヤスミン・ハナニ/Yasmin Kara-Hanani(Marisa Abela)
…溜息。ヤスミンは堕ちました。犯罪に手を染めた。彼女は数シーズン前から今米国で問題になっているエプ〇タ〇ン氏のパートナー、ギレ〇ン・マク〇ウェル氏に似せて設定されているキャラだったのだけれど、犯罪もそのままのキャラに変わってしまった。

ヤスミンの父親Charles Hananiはレバノン系英国育ち。彼はオックスフォード大を卒業し英国上流階級の社交クラブに属し、出版社Hanani Publishingのオーナー。地中海での休暇中にヨットの事故で死去(シーズン3)。ヤスミンはその彼の娘として育った。

…ヤスミンのキャラ設定がギ〇イン・マクス〇ェル氏と似ている…

マ〇スウェル氏の父親ロバート・マク〇ウェル氏は英国のメディア王。彼女も裕福な家庭で育ち20代には英国社交界の華。父親は彼女を可愛がりヨットにも「Lady Ghislaine」と名づけたという。父親のマクス〇ェル氏は休暇中に大西洋でヨットの事故で急死したそうだ。 …その設定がヤスミンの設定とかなり似ている。

まさかこれほどギ〇イン・マ〇スウェルと同じような道を歩むとは驚き。もう堕ちるところまで堕ちた。ここまで堕ちたらもう今後のシリーズに居場所は無いのか?

このドラマシリーズの様々な人物達の中で、ヤスミンはハーパーと共に残っていたキャラなので…おそらくシーズン5にも出てくるのだろうけれど、ここまで堕ちたら闇が深すぎて…、もしかしたらシーズン5はヤスミンのその後を追う話になるのか?そうなったらもう新しいストーリーは作れないような気がするが。どうなるのか?



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最後に

面白かったドラマ。ひさしぶりにはまった。

それにしてもこのドラマは最初のシーズンからずいぶん話が大きくなった。最初は大卒の新人がロンドンのシティに入って金融界に生存する魑魅魍魎達を観察する…という話だったと思うが、ハーパーの成長がとてつもない…と同時にドラマのスケールも大きくなった。ハーパーがショート投資を行う間に、大企業の大掛かりな詐欺事件を扱い、なんとロシアまで関わってきた。

ドラマの設定の範囲も大きくなっていて…英国の政治とメディアが大企業の詐欺事件に関わってくるのも面白かった。Fintech界新進のTender社と労働党政府の親密な関り。反対派の保守党メディアがTender社の問題を記事にしながら現行の労働党政府を叩く。そのメディアのオーナーは保守党の貴族院のメンバー。複雑なことにTender社はその貴族のメディア王の甥ヘンリーをCEOとして引き入れている…。

そのような政治の党派の争いと詐欺企業が絡むその外側で…ハーパーの投資会社が大儲けをするという話。

Tender社のもう一人のCEOは得体のしれないアメリカ人…オーストリアの銀行の買収で同社にはロシアが関わってきた。そしてその銀行のオーナーは極右。そこに英国の右派政党が今後関わってくるのだろうか。

その上流の社交会界隈にヤスミンがやっと自分の居場所を見つけた。


よく考えられた脚本だと思う。俳優さん達も成長して…いい俳優さん達が沢山。特にヤスミン(Marisa Abela)とヘンリー(Kit Harington )の役者さんは本当に上手い。演技を超えている。

苦しくなるほど情報を掘り下げながら見たけれど、なんとか完走できてよかった。

さてこのドラマは、これからシーズン5がファイナル/完結編で決まったそうだ。それにしても今までの馴染みのキャラがずいぶん消えたのだけれどこれからどうするのだろう。

シーズン5を楽しみに。