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2024年3月3日日曜日

米ドラマ FX『将軍/Shōgun』(2024) Pilot第1話 Anjin :これから楽しみです







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『Shōgun』(2024) TV Mini Series
/米/Hulu, FX/カラー/55–70 minutes
Creators:  Rachel Kondo, Justin Marks
Based on Shōgun by James Clavell
No. of episodes: 10話
Release: February 27, 2024 – April 23, 2024
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米国 FXにて。初回の放送は2月27日。パイロット/第1話を週末に録画で視聴。


まずまず。まだ人物達の紹介で終わった第1話で良いか悪いかの判断はできない。ただハリウッドがお金をかけて1600年頃の時代劇を撮ってくれるのであればそれだけで興味津々。第1話はまずまず面白かった。十分興味は持った。これから楽しみ。


『将軍』はオリジナルの1980年のドラマを高校の頃に見た。内容はよく覚えていない。覚えているのはリチャード・チェンバレンが素敵ねとか島田陽子さんが綺麗ねとかそのような程度。ガイジンさんが日本の女優さんと日本のドラマをやってるのね♪ ぐらいの印象。当時私は日本史に全く興味がなく内容もさっぱり理解していなかった。同作の吉井虎永は三船敏郎さん。

ドラマを見た後でジェームス・クラヴェルの原作も読んだ。ソフトカバーの単行本でざらっとした質感の白い紙に赤と黒のかっこいいデザインのカバー。1冊5 cmぐらいの分厚い本が「上・中・下」の3冊だった。もちろん原作の内容もさっぱり覚えていない。苦労して読んだのに。

それでも記憶に残る作品だ。旦那Aもドラマを覚えているという。原作は読んでいないらしい。今は旦那Aも日本の戦国時代の知識は多少ある。二人でワクワクしながら録画で視聴開始。



早速ストーリーのセッティングは軽く理解した。

簡単に言えば…
(ベースになる歴史は…)秀吉が死去して5大老が末期の豊臣政権の政務を行っていた頃。徳川家康が諸大名と私的婚姻を計画している話が他の大老達にバレて追い詰められる場面が出てくる。なぜか5大老をまとめているのが石田三成のキャラ。そのような状況の1600年、オランダ船に乗ったイギリス人・ウィリアム・アダムスが日本に漂着した


Wikipediaに登場人物がまとめてあったのでメモ。
英語のページに載っていた順で       ● 五大老
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真田広之:吉井虎永 (徳川家康 (1543–1616)) 
● コスモ・ジャーヴィス
 :ジョン・ブラックソーン (William Adams三浦按針 (1564–1620))
● アンナ・サワイ:戸田鞠子 キリシタン( 細川ガラシャ (1563–1600))
● 浅野忠信:樫木藪重 ( 本多正信 (1538–1616))
● 平岳大:石堂和成 ( 石田三成 (1559–1600)) 
● トミー・バストウ
 :マーティン・アルビト司祭 (João Rodrigues Tçuzu (1561–1634))
● 二階堂ふみ:落葉の方 (淀殿 (1569–1615))

● 金井浩人:樫木央海 (本多正純 (1566–1637))
● 穂志もえか:宇佐美藤 -- 戸田広松の孫娘
● 阿部進之介:戸田文太郎 (細川忠興 (1563–1646))
● 西岡徳馬:戸田"Iron Fist"広松 ( 細川藤孝 (1534–1610))
● 螢雪次朗:太閤 ( 豊臣秀吉 (1537–1598))
● 竹嶋康成:村次
● 倉悠貴:吉井長門 ( 松平忠吉 (1580-1607))
● 向里祐香: -- 遊女
● 洞口依子:桐の方 ( 阿茶局 (1555-1637))
● 亜湖:Daiyoin/大夫人・伊与 ( 高台院 (1549–1624))
● トシ・トダ:杉山如水 (前田利家 (1539-1599)) 
● ヒロ・カナガワ:五十嵐
● Junichi Tajiri as Uejiro
● Néstor Carbonell as バスコ・ロドリゲス
● Nobuya Shimamoto as Nebara Jozen
● 祁答院雄貴:竹丸
● 藤本真伍:志津の方
● Haruno Niiyama as Natsu No Kata
● Joaquim de Almeida as Father Domingo
● Paulino Nunes as Father Paul Dell'Aqua
● ヒロモト・イダ as 木山右近定長 キリシタン (小西行長 (1555-1600)) 
● タケシ・クロカワ as 大野晴信 キリシタン (大谷吉継(1558-1600)) 
● Yuko Miyamoto as Gin
● Yoshi Amao as Sera

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これは関ケ原の前の状況ですね。わかりやすく石田三成(石堂和成)を家康(吉井虎永)の「敵」にして五大老(石堂和成 ・吉井虎永・杉山如水・木山右近定長・大野晴信)のトップに据える。そして家康がそれに抵抗している状況。この様子ならこのまま「関ケ原の戦い」がハリウッド方式で再現されるのだろう。これは楽しみ。

㊟史実の五大老:徳川家康・前田利家(後に前田利長)・毛利輝元・宇喜多秀家・小早川隆景(後に上杉景勝)



★ネタバレ注意


パイロット/第1話は主人公の航海士・ジョン・ブラックソーン(ウィリアム・アダムス)の乗ったオランダの商船が日本に漂着するところから始まる。実際にアダムスの漂着したのは豊後(大分県)だったそうだが、このドラマではAnjiroに漂着。そこで浅野忠信の演じる樫木藪重(本多正信)の家臣に捉えられる。

樫木はオランダ船の積み荷を抑えジョン達を酷く扱うが、大阪にいる吉井虎永(徳川家康)からの命でジョンを大阪に送るように命じられる。


興味深いのは当時の欧州の新旧キリスト教の事情が描かれていること。当時1600年頃は欧州のキリスト教徒がカソリックとプロテスタントに別れて争っていた時期(このしばらく後の1618年に新教と旧教による30年戦争が欧州で勃発する)。 そのためカソリック教徒のポルトガル人がプロテスタントの英国人ジョンを嫌う。最初に出てきた司祭はジョンを「海賊だからと処刑しろ」と樫木に進言。それは実行されなかったが、大阪への渡航中(元々はポルトガル船に雇われた)スペイン人の航海士ロドリゲスもプロテスタントのジョンを敵として認識している。かなり辛辣にプロテスタントの英国人ジョンを嫌うカソリック教徒のポルトガル人とスペイン人の描写が面白いと思った。


さてなぜ樫木の元に漂着したオランダ船のことを虎永は知っていたのか?実は樫木の元に送り込まれた虎永の家臣がそのことを伝書鳩で虎永に伝えていた。つまり虎永は樫木を信頼しておらず、樫木の領地にスパイを送っていたことになる。

それにしても設定では本多正信の樫木藪重(浅野忠信)がなぜあれほど異常な人物に描かれているのかが不明。樫木が本田正信なら彼は最後まで家康の側にいるはずなのに。


とりあえず話は面白そうだと興味を持った。これからも見る。見どころは日本の時代劇をハリウッドの巨額な投資でどのように料理してくれるかということ。日本のテレビではできないことをどれくらいやってくれるのか。それが一番の楽しみ。この第1話も荒れた海の上の船の描写は映画のようだった。CGによる俯瞰もいい眺め。


画面の色合いはは全体に青みがかっていて暗くあまり綺麗ではないが、この色合いは…欧州の中世を描いたドラマや映画でもこのような色合いが多いので「中世色」というものか。慣れるしかない。

西洋の時代ドラマ/映画でも、中世を描く作品はことさら暴力描写と性描写が多い。基本的に「中世は野蛮だから」の考え方で、製作はそれを「リアルだ」と言い訳にして大衆に受けるようにショッキングなシーンを描くのだろうと思う。このドラマもいくつかの残酷なシーンや不必要な裸のシーンは我慢しなければならないのだろう。


そんなわけで私が個人的に気になるのは、ハリウッドがどのように日本のなんちゃって歴史ドラマをつくるだろうかということ。このドラマは真田広之さんがプロデューサをなさっていて内容にも目を光らせてくださっていると聞いているけれど、原作が英国人による1975年に書かれた小説ということもあって、やはりハリウッド製作なら飲まなきゃいけない妙なシーンやプロットもあるのではないかと思った。面白がるだけのために、リスペクトに欠けた極端なエキゾティズムが日本人には鼻につく可能性もあるだろう。

それで第1話の妙なシーンを少し
・ジョンが連行されるシーンは第二次大戦時の捕虜収容所か?
・キリスト教信者の頭が突然斬られて吹っ飛ぶ。不必要なグロ。
・樫木藪重の異常性 意味もなく船員がリアルに釜茹でになるグロシーンは不快で不要(原作にあるらしい)
・遊女が若者を組み敷く様子を樫木が楽しそうに見る(無駄なハダカ)
・樫木は一応は大名なのに、南蛮人に挑戦されたからといって(別の南蛮人を)危険を冒してまで自ら助けに行くはずも無し(アフォォ笑)
・樫木が溺れながら意味なく刀を抜く。意味なく自刃?
・皆がすぐにほいほい刀を抜く、抜きがち 無意味
・早速おきまりのハラキリ…しかしそのグロ・シーンは見せなかったのでヨシ


私が大昔にハリウッド製『ラストサムライ』をありがたがったのは、監督と製作全体に日本へのリスペクトを感じたから。あの映画は(たとえなんちゃって時代劇であったとしても)明治維新後に失われゆく武将達の文化を、リスペクトをもってかっこよく描いてくれたから。

もしハリウッドが『将軍』の題材を使って「これが残酷でショッキングで異様なアジアの未開の野蛮な蛮族のなんちゃって中世(近世)・ファンタジー時代劇ですよ」と撮ったとしたら私は醒めてしまう。さてどうなるか?期待しましょう。