CONTENTS

2022年10月17日月曜日

英ドラマ BBC/HBO『インダストリー/Industry』(2022) シーズン2:子猫が人食い虎に成長・面白くなった




 


----------------------------------------------------------------------------
『Industry』 (2022) TV Series-Season2/英・米/カラー
/約60分・全8話/
制作:Mickey DownKonrad Kay』
-----------------------------------------------------------------------------


録画を見終わった。
英国BBCと米国HBOの制作。米国での放送はHBOチャンネルで2022年の8月1日から9月19日まで。

シーズン1では、
5人(―1人)の新卒がロンドンの投資銀行 Pierpoint & Co に入社して彼らがどのように業界で生き残っていくのかを描いた。しかし金融の仕事はほとんど描かれずその雰囲気のみ。若者たちが迷いながら躓きながら生き急ぐ様子がメイン。後半でメンバーが社内の政治に巻き込まれて多少面白くなった。



★ネタばれ注意

シーズン2では
Pierpoint & Co に生き残った3人と退社した1人のその後を追う。
主人公はハーパー。金融の仕事の内容がドラマの筋に絡んでくるのはこのキャラクターのみ。他の3人のストーリーはサイドストーリー(後述)。


Harper Stern
 ニューヨーク出身。上司エリック/Eric Taoの元 Cross Product Sales (CPS) desk でセールス担当


シーズン1から3年が過ぎた。皆入社して3年目。ドラマは、コロナ禍にホテル住まいでリモートから仕事をしていたハーパーが会社に出社するところから始まる。どうやらハーパーは長い間のホテル住まいで居心地が良くなりすぎたらしく、なかなか出社したがらない。そんな彼女を師匠のエリックが叱って出社させるが、同僚は彼女に冷たい。

しかしハーパーにはリモート中に新しい知り合いができた。大取引で知られる業界の有名なヘッジファンドマネージャー 大物ジェシー・ブルーム。彼の存在がその後のハーパーの仕事の軸となる。

ドラマが始まって早々、ハーパーはクライアントととのミーティングをすっぽかしジェシーの講演を聞きに行く。ハーパーはその後もエリックのクライアントを怒らせたりと失敗するが、ある日ジェシーが連絡してきてハーパーは大きな取引を成功させる。ジェシーとの大取引でハーパーは自信を持ち始め、エリックの指示にも逆らうようになる。エリックのクライアントとジェシーとの取引を壊し、その代わりにジェシーとの取引で自分のみが売上を上げる。そのことが次第にエリックの会社での立場を危うくしていく。


このシーズンではジェシー・ブルームとの取引を通してのハーパーの成長を描く。たった入社3年目で彼女がいかに大きなチャンスを掴むのか、それに伴って彼女がいかに自信を持ち、頭の良さと度胸、攻撃性でのしあがり、同時に周りを蹴落とし、業界で力をつけて生き残っていくのか…。

最終回に向かってゆっくりと構築される Amazon/FastAideとRicanの話は面白い。うまいものだと思う。その他にもそれぞれのキャラクターに様々なサイドストリーがあるが割愛。



私はシーズン1の感想で「このドラマは無駄なセックスシーンが多くて邪魔」「若者たちのSex, Drugs & Rock’n Rollを金融業界で描いてそれでよしとした薄っぺらい安いドラマ」などと書いたのだけれど…、

シーズン2はもっと面白くなった。金融業界を描いたドラマとして面白くなった。誇張があるとはいえ金融の仕事ってこういうものなんですかね?と興味を持って見ることができた。ずいぶん勉強になった。業界を知る人にもそこそこ見られるレベルの代物であるらしいから金融モノのドラマとしてそれほど悪くはないのだろう。

それでも(トーン・ダウンしたとはいえ)相変わらず無駄で不毛なセックスは多い。人物達が誰一人として愛のあるセックスをしていない。制作はそれがかっこいいと思っているのだろう(バカですね)。ハーパーとヤスミンは女性なのにあんな風に誰とでも見境なく(同僚とも)寝て、それでまた翌日から普通にまた同僚と仕事ができるものかとあきれる。男が書いた脚本だからだろう。あのようにセックスに感情を全く絡ませないのは普通の人間には無理。要はそれらのシーンは意味のない飾りなだけ。無駄だから早送り。


相変わらずハーパーの上司エリックがいい。彼が一番面白い。飼い始めたかわいい子猫ハーパーが人食い虎に成長したものだからとんだ迷惑を被ってお気の毒。そろそろミッドライフ・クライシスの年齢か。ニューヨークから帰宅して、子供に添い寝しながら一瞬頭に浮かぶ「元カノ」とのやりとり…あれは幻なのか現実なのか(たぶん現実)。とにかくこのエリック・タオを演じるKen Leung さんがいい。いい俳優さん。彼がハーパーを娘のように可愛がる様子が何とも言えずほほえましい。

主人公のハーパーを演じるMyha'la Herroldさんは小柄なアフリカ系のアメリカ人の女の子。小柄な女性が、厳しい金融業界でのしあがり成功していく…一見違和感のあるミスマッチな設定はおそらく意図的なものなのだろうと思う。視聴者は彼女の成長をまるでゲームを見るように眺めてハラハラする。

ハーパーはその小柄なかわいい外見とは反対に、中身は決してかわいらしい人物ではない。このシーズンの彼女はまるで猛獣のように攻撃的だ。あまりにも同僚や、師匠のエリックにまで皆に牙をむくので、彼女はそれで大丈夫なのかと心配になる。

ドラマだからこそ業界の様子を極端に誇張しているだろうことは想像できるが、彼女の行動はたぶん会社をクビ…いや現実の会社だったら間違いなくクビ。というのも金融業界での取引は、結局は人と人との関係で成り立つことが多く、このドラマのハーパーのように人を蹴落とし、裏切って、周りを見ずに一人突っ走るような人物は、結局は業界では生き残れないと言われているからだ。人と人の信頼関係は取引の金額が大きくなればなるほど重要になってくる。

それにしてもハーパーの成功がジェシー一人との関係だけだというのも危ういもの。このジェシーのキャラクターは今後のシーズンにも出てくるのだろうけれど、それにしても彼女の価値がジェシー一人との取引だけというのは危ない。いったん関係が切れたら彼女の価値は無になる。今後のシーズンでジェシーとハーパーの話をどのように繋いでいくのかは見どころ。

ジェシー・ブルームのキャラクターも、彼を演じるJay Duplassさんもとても魅力的。彼御本人は監督やプロデューサーもなさっているそうだ。多才ですね。

さて最後のハーパーのその後はどうなる? シーズン3に期待。


その他のキャラクター達

Yasmin Kara-Hanani
Pierpoint & Co 社員。金持ちの娘。数か国語を話す。美人、父親の富、リッチなサークルの人脈…等々によりForeign Exchange Sales desk からprivate wealth management divisionへ移動。

Robert Spearing
Pierpoint & Co 社員。父親との関係が穏やかではない。自信がなく成績も振るわないが、大きな女性クライアントの懐に入り取引をする。

Gus Sackey
1シーズンの終わりでPierpoint & Co を退社。途中からジェシーの息子の家庭教師に。またMPの元で働くようになり政府の情報を仕入れる。


-------------------------------------
私は金融関連に興味がなくて無知で「Long」や「Short」の意味もわからなかったのだがやっと理解した。メモする。

株で投資とするとして…

Long(買い)=上がったら儲け
自ら安く株を買って、値が上がった時に売り儲けを出す。
一般的な株の投資

   株500円を買う
   → 値上がりして株1000円に
   → その株を売ったら500円の儲け

 あ 検索したら「単に株などを買ったことをロングとはいいません」と出てきた。えダメなの?わからん

Short(売り)=下がったら儲け
株を貸主(金融サービス会社など)から借りてすぐに売る。その金額は貸主に収める。株は借りているのでいずれ買い戻して貸主に返さなければならない。時期を待ち、市場での株価が下がったら株を買い戻す。貸主に株を返し渡していた金額を受け取る。その差額が儲け。

   貸主に借りた株1000円を売って1000円を貸主に渡す
   → 市場の株価が値下がりして500円になった
   → 500円で株を買い戻す
   → 貸主に買い戻した株を返し渡していた1000円を受け取る
   → 500円の儲け 

大変大雑把に言えばこのようなものか。