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2023年7月21日金曜日

映画『ブック・オブ・ライフ~マノロの数奇な冒険/The Book of Life』(2014):キャラクターデザインに魅せられる






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『The Book of Life (2014)/メキシコ・米/カラー
/1h 35m/監督:Jorge R. Gutiérrez』
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テレビのチャンネルをパラパラとかえていたらやっていた映画。すぐに画面の絵に魅せられた。すごく綺麗。早速録画のボタンを押して後から鑑賞。


面白かった。いい話。なによりもキャラクターデザインがいい。木彫りのパーツを針金で繋いだようなキャラクターのデザイン。ただかわいいだけのデザインではないのが個性的で楽しい。画面から溢れる独特の世界に魅せられた。

そうなのだ。ピクサーが悪いわけではないけれどピクサーのキャラクターデザインの魔法は10年ぐらい前に消えたのかもしれぬ。大昔、1995年に『トイ・ストーリー/Toy Story』を見たときは大変興奮した。ホンモノに見えるプラスチックの人形が喋ってる、動いてると感動した。その後に続く虫も悪くない。モンスターも魚も面白かった。ところが初めての人間のキャラ『Mr.インクレディブル/The Incredibles』でほんの少し感じた違和感…

『Mr.インクレディブル』はストーリーは最高にいい。傑作レベル。しかしキャラクターデザインが…なにかおかしい。人間がゴムかシリコンでできた人形のよう。丸い顔に穴がパクパク開いて話し始める。何かが変だ。その辺りから、ピクサーのCGアニメに出てくる人間のキャラクターのデザインに違和感を感じ始めた。みんな動くゴムの人形のようだ。

大変個人的な私の好みの問題だと思うけれど)気になり始めると毎回気になる。そういえば『アーロと少年/The Good Dinosaur』の恐竜にも同じように違和感を感じた。あの恐竜も美しい自然の中で浮いていた。

果ては『インサイド・ヘッド/Inside Out』に感じたキャラクターの魅力のなさ。あのキャラクターのデザインのつまらなさは単に手抜きだろう…あの映画は、ストーリーは面白いのに、あのキャラクターデザインのつまらなさでおそらく二度と見ることはあるまい。


CGアニメのキャラクターデザインは大切。そんなことを、この映画を見てあらためて実感した。


この映画、キャラクターデザインが最高なのですよ。本当に面白い。楽しい。見ていてドキドキする。綺麗。おかしい。ユーモラス。ゴージャス。派手。華やか。なんとも摩訶不思議で怖くて魅力的な世界。

以前キャラクターデザインで興奮したのは『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス/The Nightmare Before Christmas』。あれは本物の人形のストップモーション・アニメーションなのだけれど、キャラクターのデザインは今見ても傑作。ちょっと変、ちょっと妙、ちょっと異様。ちょっと怖い。なんと楽しいキャラクター・デザイン。

(あの『ナイトメア…』ように)キャラクターデザインと世界観に魅せられる興奮と感動を、私はこの『ブック・オブ・ライフ~マノロの数奇な冒険/The Book of Life』で久しぶりに感じた。画面を見ていて「うわ~~」と声の出るほどのワクワク感。これです、この映画の魅力。

画面の魅力だけでも私には70点以上。

その上に、ストーリーも楽しい。わかりやすい。これも重要。わかりやすいのがとてもいい。そしてわかりやすいのに感動もした。ドキドキした。


★ネタバレ注意


あらすじ
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舞台はメキシコ
死後の世界の支配者が二人
…明キャラ・ラ・ムエルテと、暗キャラ・シバルバの対立があって、

彼らの死後の世界の支配をめぐる懸けの駒には人間のキャラ
…闘牛士兼ミュージシャンのマノロ・サンチェスと、戦士ホアキン
そして二人の競争の真ん中に女の子マリア・ポサダ

マノロとホアキンは、マリアとの結婚をめぐって競争をする。

●マノロは芸術家肌の音楽家、しかし闘牛士の家系で将来は勇敢な闘牛士になることを期待されている。
●ホアキンは偉大なヒーローの息子で彼も戦士としてヒーローになることを夢見る。

途中でマノロが死の世界を旅することになる。

彼らの住む町に盗賊の親分Chakalが子分を引き連れてやってきた。
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キャラが皆面白くて魅せられて、ストーリーも比較的シンプルでわかりやすい。2回見たけれど、2回目もやっぱり面白かった。

人以外のデザインもいい。盗賊Chakalの重メタル感が恐ろしい。そして闘牛の重メタル戦車風のデザインが最高。現世の牛も怖いが、死者の世界の骸骨の牛もすごい。それが何百、何千と走り回る様子は圧巻。そして全部がまとまってとてつもない怪物に変わる。恐ろしい。

そして巨大な骸骨牛に対峙するマノロの戦い方は歌を歌うこと。感動した。牛のスケールの大きさに感動。マノロの歌の後の展開にまた感動。すごいなぁ。あれは…何百年と続く闘牛の伝統…死んだ牛たちの魂を慰めたのですよね。そして牛はきらきらとオレンジ色の光にかわる。とても感動したわ。いい話。


死後の世界も『リメンバーミー』と同様、キラキラと大変美しい。メキシコの人々にとって人が亡くなった後に行く世界はこんなに綺麗なイメージなのですね。すごいな。

そしてまた『リメンバーミー』と同様、死後の世界は現世と同じように存在していて、人が亡くなるとすぐに死後の世界に移動、過去の家族に会えることになっている。この映画でも、マノロのお父さんとお婆ちゃんがすぐにやってくるところでちょっと笑った。あのお婆ちゃんがなんともいえずかわいい。

ユーモアもいい。見ていてくすくす笑う。かわいかった二人の男の子が、顎の大きな大人の男に変わるのもいいデザイン。いい男が綺麗な女性に求愛する様子も大人ね。マノロがバルコニーのマリアに歌いかけるシーンが素敵。最後の敵 Chakal との戦いもドキドキした。素晴らしいエンタメ。

音楽もいい。ポップソングが沢山出てきたけれど効果的でいい。Radiohead「Creep」には驚いた笑。映画のオリジナル曲 Diego Luna の「I Love You Too Much」がすごくいい歌。


『リメンバーミー』に比べるとシンプルでわかりやすい話だと思う。『リメンバーミー』は展開が多くて大作のイメージがあるのに比べると、この映画はコンパクトな印象。ほぼ90分で短めだが、うまくまとまっていて私はそれも魅力だと思った。わかりやすいから映画全体が記憶に残りやすい。

イントロの…博物館で話を聞く子供達の中の、紫の髪の男の子の言葉がいちいち面白い。すごくかわいい。


まったく期待せずにたまたまTVで見かけて録画したのだけれど、これはすごくいい映画でした。大満足。この映画はキャラクター・デザインがすごく魅力的なので、たぶん何度も見直したくなるだろうと思った。