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2022年1月17日月曜日

CBS 『One Last Time: An Evening With Tony Bennett and Lady Gaga』★Lady GAGA 編



去年のクリスマスから2週間ほど休暇をとったので(家でだらだらしただけだけど)、記録しておかねばならぬものがたまっている。このテレビ番組が放送されたのは去年の11月28日。CBSチャンネルにて。

以前からレディ・ガガさんはジャズの大御所トニー・ベネットさんと何枚かジャズのアルバムを出している。私はつい最近まで知らなかったのだけれどYouTubeにもお二人のMVがいくつか上がってますね。


このライブのショーは、去年の8月3日にニューヨークのRadio City Music Hallでのトニー・ベネットさんの95歳の誕生日に開かれたスペシャルなコンサート。レディ・ガガさんが前座であり、司会であり、トニーさんのエスコートであり、デュエットのパートナーであり…と様々な役を華やかにこなしてます。素晴らしいです。
 



最初にこのライブのことを知ったのは、去年の10月に放送されたCBSのインタビュー番組『60 minutes』。実はトニーさんは近年アルツハイマー症を患っていらっしゃるというリポート。そしてその症状にもかかわらず、去年の8月3日の彼の誕生日に最後のライブ・コンサートを開いたという…その番組は、この11月28日の番組の紹介番組でもあったのですね。

さっそく拝見。
素晴らしかった
感動しましした。

トニー・ベネットさんの奇跡。そしてレディ・ガガさんの素晴らしさ。

トニーさんの95歳の誕生日に、彼を囲んで会場中が温かさに溢れてます。すごくいい雰囲気。これこそライブでならではの素晴らしさ。最高です。本当にいいショー。涙が出た。

トニーさんもガガさんもそれぞれが素晴らしかったので、それぞれの感想を記録。


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Lady Gaga

レディ・ガガ

彼女のことは長い間よく知らなかった。実は初期に出した『Born This Way』のサビがあまりにもマドンナの『Express Yourself』に似ていて(巷でもそう言われていた)、その印象もあったせいで私はずいぶん長い間彼女に興味を持たなかった。

彼女のことを最初にいいと思ったのは、2017年のスーパーボウルのショー。そこで歌ったバラード『Million Reasons』が素晴らしかった。とにかく歌が上手い。声に力とカリスマがある。そこで彼女がマドンナとは比べ物にならないほど歌が上手いと初めて知った。
 
Lady Gaga - Million Reasons (2016)


このトニーさんとのコラボも、トニーさんから直々デュエットのオファーがあったそう。このショーのMCで言ってます。



チャリティーのショーで歌った時に、個人的にトニーさんに呼ばれて「レディ、君はジャズシンガーだ。」と言われた。それを聞いてガガさんが「トニーさんありがとうございます。でもあなたは私の歌を2曲しか聴いてません」と答えると「それで十分なんだ。君はジャズシンガーだ。僕にはわかる。一緒にアルバムを出さないかい?」とトニーさんに誘われたんだそうです。

すごいですね。大御所中の大御所にたった2曲でデュエットのオファーをもらう。それほどガガさんの歌がすごいということ。それでお二人はコラボのアルバムを数枚出してます。


この、去年の8月に開かれたトニーさんのバースデー・コンサートでのガガさんは、彼女の素晴らしさを全て出し切ってます。トニーさんへのリスペクトと感謝、愛愛愛と思いやりにあふれるまなざし、トニーさんを気遣う仕草と言葉の数々。

そして彼女自身のショー…彼女の歌がこれ以上ないほど楽しい。歌が上手い。そして彼女は歌が上手いだけじゃない。彼女は歌に特別なものを加えてスペシャルなものにするお方。本当にすごいと思った。彼女のカリスマが歌を華やかにする。


ジャズのスタンダートは様々なボーカリストが歌っていてそれぞれ十人十色。みんなが知ってる歌だから、それらの歌はそれぞれ歌手の料理の仕方次第で印象が変わる。並のボーカリストなら(いやプロの歌手でさえ)歌との相性によっては結構つまらないものも多いのですよ。

ところが、ガガさんの歌は面白い。パフォーマンスもユーモアがいっぱいで楽しい。エネルギーに溢れていて、彼女がジャズのスタンダードを歌えば、まるでポップソングのように歌が活き活きと響き始める。それは彼女のカリスマと声の力による。本当に楽しい。そして彼女は常に観客に話しかけ、語りかけ、目配せをし、笑わせ、冗談を言い…。常に客を楽しませる。彼女は最高のエンタテイナー。本当に楽しい。ガガさんの凄さはこれなのですね。ものすごくいいライブ。驚くほど素晴らしい。


彼女は今36歳だそう。今までスーパースターとして活躍し、大きなステージで何百、何千ものショーを成功させてきた力とキャリアの長さもあって、ジャズのスタンダードの歌も堂々とおおらかに楽しそうに歌っている。難しい歌も楽々と余裕で歌いこなす。本当にかっこいいです。声は今がピークかもしれません。最高。

こんなにエキサイティングで楽しいジャズ・シンガーはめったにいないと思う。やんちゃな男の子みたいに元気一杯に飛び跳ねながら、踊りながら、歌う歌う歌う。沢山のユーモアに笑う。ガガさんの歌は楽しい。それがよ~くわかったショーでした。見てよかった。


そして大先輩トニーさんへのリスペクトと愛が素晴らしい。お二人の楽しさが伝わってくる。ガガさんが本当にいい人なのですね。大先輩のトニーさんを立てて支えるのが心から嬉しくて楽しそう。トニーさんも嬉しそう。本当にいいショーです。

彼女はこれが出来る人。ニューヨーク育ちのお嬢さん。トニーさんへのまなざしはリスペクトに溢れていて温かく、そして愛情深く、その上で御本人も爆発的にいいショーをする。すごい女性だと思う。 比べちゃ悪いが…マドンナにはこれは出来ないと思う。マドンナさんは60歳を過ぎた今でも「私が私が」とエゴばかり(昔大ファンだった私がそう思う)。 しかしガガさんはこのショーでエゴを全く出すことなくトニーさんを愛で包み、トニーさんにエネルギーを吹き込みながら支えながらショーをやっている。歌声は最高。ものすごいエンタテイナーだと思った。完全にガガさんに惚れました。
 

トニーさんの前座としてのガガさんのセットで、最後の「Theme From New York, New York」は絶品。そのMCもいい。まずトニーさんを紹介するように見せかけて、ニューヨークの歌を紹介する

「紹介したい人がいるの。でも彼をただ紹介はできない。彼の事を歌わなければ。その歌は私の心にとって真実で、歌う時に誇りに思う歌です。私がニューヨークのストリートを、ピアノを引き摺って歩いていた頃…「いつか誰かが私に才能があると思ってくれますように。そしていつか、私の祖先たちの努力が報われますように」と祈っていた。その頃にわからなかったことが、今はわかる。それは私の足の下にあったと…。/I have someone to introduce. But I can't just introduce him by talking. I gotta sing him. And that song feels truest to my heart, and the song when i sing it I feel so proud. That I walk these street dragging my piano around New York, praying that someday somebody would think I was talented. That someday all the hard work that the legacy of my ancestors put in would come through. And what I would never knew that I know now, is that it was right under my feet.」 (←ニューヨークのことを言っている)

そして歌い終わると、次のトニーさんのショーへ繋げるためのトーク。目の前のニューヨークのオーディエンスに向かって、トニーさんに声援を送るようガガさんが客を煽る。鳥肌が立つほどかっこいい…

「彼は私の友人。彼は私のミュージカル・コンパニオン。そして彼は世界で一番最高のシンガー。ニューヨークよ、あなたに任せたわよ。…彼を笑顔にさせて、彼に声援を送って、彼に叫んで、そして笑って、そして泣いて、あなたの魂を投げだしてちょうだい。だって…それはあなた次第、ニューヨーク、ニューヨーク! /He's my friend. He's my musical companion. And he's the greatest singer in the whole world,. And I'm counting on you New York, to make him smile. So you better cheer, you better yell, you better laugh. You better cry. You better give your soul. Because it's up to you, New York New York.」

あまりに素晴らしいのでまだこの録画が消せないでいる。しばらくHDに残そうと思う。お二人に大きな拍手。素晴らしい素晴らしい。


One Last Time: An Evening With Tony Bennett and Lady Gaga
at radio city music hall
CBS


Setlist
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Lady Gaga
Luck Be a Lady (Frank Loesser) (Orchestra)
Orange Colored Sky (Milton Delucc, William Stein) (Orchestra)
Let's Do It (Cole Porter cover)
Theme From New York, New York (John Kander, Fred Ebb) (Big Band/Orchestra)

Tony Bennett
Watch What Happens (Michel Legrand, Jaques Demy, Norman Cimbel) (Orchestra)
Steppin' Out With My Baby (Irving Berlin) (Quartet)
Fly Me to the Moon (Bart Howard) (Guitar) (snippet)

Tony Bennett & Lady Gaga
Happy Birthday to You (Lady Gaga & Audience to Tony Bennett)
Lady is the tramp (Richard Rodgers, Lorenz Hart) (Orchestra)
Love for Sale (Cole Porter)
Anything Goes (Cole Porter) (Big Band)

Tony Bennett
I Left My Heart in San Francisco (George Cory, Douglass Cross)

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