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2018年1月19日金曜日

映画『グレイテスト・ショーマン/The greatest showman』(2017):王道ミュージカル。美しい映画の魔法に泣く。







 
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The Greatest Showman2017年)/米/カラー
105分/監督:Michael Gracey
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映画を見て泣く。大泣き。本当に素晴らしい映画です。これよこれ。これこそがミュージカル映画。映画の魔法。ミュージカル映画に期待する全てがここにある。なんと美しい。なんとゴージャスな。なんと華やかな。なんと楽しい。なんと元気の出る…。いくら言葉を繋いでも言い足りない。こんな映画は本当に久しぶり。思い出すだけでも涙が出る。この映画を作ってくださった方々に感謝します。大きな拍手。

映画の魔法とは…大きな映像と大きな音で現実を忘れさせてくれるもの、言葉もないほど幸せな気持ちにさせてくれるもの、我を忘れさせて夢中にさせてくれるもの、登場人物達と一緒に泣き、笑い、心は共に踊る…ミュージカル映画とはそういうもの。

La La Land』?あんなのはミュージカルじゃない。あんな踊れない歌えない俳優がミュージカルなんてやっちゃいかんのよ。ミュージカルはこれ。これです。プロのヒュー・ジャックマン様を拝むべし。これが本物のミュージカル映画です。

あらためて、まだミュージカル映画をちゃんと作れる人達がいたことにほっとする。ありがとうありがとう。

とにかくこれだけ涙を流したら公正な批評なんでできるわけがない。もうワタクシはThe Greatest Showmanのファンなので、そういう感想を書く。ああ幸せな105分間。


最初は曲1曲であまりにも事が速く進んでいくので「あ~これはミュージック・ビデオを見るような映画かも」と思った。最初から中身がスカスカだとも思った。ところが時間が経つにつれて、音楽と画面の豪華さにドップリ浸ることそのものが快感になる。そうなったらもう抜け出せない。…それにこれいい話じゃないの。

効果的なライティング。最高のカメラワーク。巧みな編集。足を踏み鳴らし一緒に歌いたくなる歌歌歌。そして場面ごとにいちいち輝く俳優の皆様。この監督さんは人物達をかっこよく美しくゴージャスに撮れる人。これぞ映画。これぞ王道のエンタメ。画面から溢れるパワーだけでぐっと心を摑まれる。

そう。そうなのよ。ミュージカル映画はこうでなくちゃ。画面の中で歌い踊り、私達を魅了する才能に溢れたゴージャスな人々。世間から「奇人変人/Oddities/フリークス」と呼ばれる人々を扱った映画なのに全員ぶっちぎりでかっこよくて楽しくて豪華。それでいいんです。ショーはこうでなくちゃ。ミュージカル映画はこうでなくちゃ。

いい映画は魔法だから。全てがフェイクな魔法だから。なんと素晴らしい嘘の世界。私はこれが好きだ。おとぎ話に惑わされて笑い、ドキドキわくわくして一緒に泣いて人生は素晴らしいじゃないかと思う。いいじゃないですか。そんな映画を、誰が神妙な顔で批評出来るだろう。

私は1回見て感動して、またあの音楽が聞きたくて、数々のシーンが見たくて、皆に会いたくて、もう1回見に行きました。また見たい。追記:3回目見てきた!3回目もやっぱりよかった。ところで下の文で採り上げた人物達の台詞は映画とトレイラーで違っていたぞ(1/20 Sat.)。


この映画の出演者は全員がプロです。皆歌って踊れる。それが一番すごいと思います。プロのエンタテイナー達の力技を見せ付けられる。

主演は中年女性のアイドル・ゴージャスな:ヒュー・ジャックマン様=主人公P・T・バーナムこんなに華やかななミュージカル・スターだったとは(『レ・ミゼラブル』は深刻でしたね)。いい男。共演の女性達が皆嬉しそうなの。御本人もすごくいい人なんですよね。そのヒュー様に当て書きされたかのような明るくて元気な主人公。彼だからいいんです。ヒュー様だからこの映画がこんなに素晴らしくなった。

おっとびっくり歌って踊れるのね:ミシェル・ウィリアムズさんバーナムの奥さんチャリティ一番地味なキャラ。しかしキャラとして奥さん/お母さんはこういうものかも。少女のようなイノセンスに時々おばさんの表情が顔を出す。

男臭いアイドルザック・エフロン君フィリップ・カーライル。彼はちょっと影があるのよね。青い目の古典的な正統派男前。ちょっと古臭い男臭さ。ガッチリ体形のこのお方がこんなに歌って踊れるとは。

驚愕のスタイルのかわいい美女21ゼンデイヤちゃんアニー・ウィーラまだ21歳。こういう方がアメリカには出てくるのよね。すごいな。あのアクションは御本人がなさったらしいです。すごいわ。
 
北欧の古典的美女レベッカ・ファーガソンさんジェニー・リンド。ああこのお方は古典的な美女。北欧の正統派の美女だから、このキャラクターにも説得力が生まれる。お見事です。

パワフルな声に圧倒される:キアラ・セトルさんレティ・ルッツパワーパワーパワー。サーカスの団員達のリーダーの彼女のパワーに圧倒されて涙が出る。

…スターはもっともっといる。この映画では皆がスター。
全員がスターです。

 
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ところで余談だけれど、この映画、アメリカのプロの批評家には大変評判が悪い。Rotten Tomatoesは現在55点。なんと酷い。これはインテリが通ぶって文句を言ってるんだけなんですよね。

プロの批評家に評判の悪い理由は2つ。一つは悪名高い19世紀の興行師PT・バーナムを善人に仕立て上げたことが倫理的に正しくないから+歴史的に嘘だから気に入らない。そしてフリークショー(異形の人々を見世物にするショー)を心温まる美しい話に仕立て上げたことも倫理的に正しくないから+無神経だから気に入らないらしい。史実はもっと深刻で辛い話なのに砂糖菓子で覆ったように軽々しく綺麗ごとにしちゃったのが気に入らないらしい。

馬鹿ですね。全然この映画の趣旨がわかっていない。だからアメリカのインテリは薄っぺらいんだわね。アホですね。ほんとに。あきれてものも言えない。

この映画はそもそもファンタジーなのに…驚くほどポジティブで元気の出るファンタジー映画なのに。バーナムなんて悪名高い人物の(史実をすっ飛ばして)枠組みだけ借りてきて、究極のポジティブ・メッセージをこれでもかこれでもかと直球で観客に投げかけている作品なのに…。

アメリカの批評家は「人種」や「人権」、「フリーク」「見世物小屋」のタグだけで神経質になりすぎて(明らかに良くできた)映画も公正な目で見ることさえ出来ない。アメリカはやっぱりこじらせてますね。インテリほどそうなのかも。もっと映画そのものを楽しめばいいのに。

そんな世間体ばかりを気にするおろかな批評家達の心配をよそに、一般の観客は大喜び。ムービーデータベースの一般投票は810点。感想を読めば多くの人が大絶賛している。ポジティブなメッセージを織り込んだこんなにも楽しく美しくパワーに溢れた映画は、問答無用で人の心に直接訴えるんですね。理屈はいらない。一般の観客は正しい。

ちなみに史実のバーナム氏のサーカスとは、去年を最後に幕を閉じた有名な「リングリングサーカス」の元になったものだそうです。びっくり。
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ここからは、自分用の記録のために内容に踏み込んで感想を書いていきます。まだ見ていない方は読まないほうがいいかもしれない。まず劇場にいって、何の前情報にも邪魔されることなくただスクリーンを見つめて、豪華なシーンと音楽に浸ってこの映画を楽しんだ方がいいと思います。


★ネタバレ注意
感動した場面場面をまとめておこう。「」内は楽曲名。

●冒頭The Greatest Show
短いけれど最初から魅せてくれる。ヒュー様かっこいいわ。最初に白い馬がポクポク出てきたところでああああっと思う。ああ素敵だ。

A Million Dreams
バーナムとチャリティ夫婦の子供時代を駆け足で。息をつく暇も無い。ヒュー様は歌が上手い。ミシェル・ウィリアムズさんが歌って踊れるとは知らなかった。

Come Alive
サーカスと見世物小屋がオープンして全員で歌い踊る。最高。脚をバタバタさせて手を叩き立ち上がって一緒に踊りたい。圧倒される。ダンサー達がかっこいいのね。最高。ああまた見たい。

The Greatest Showman - Come Alive (2017)  歌詞和訳

●ヒューとザックThe Other Side
バーでバーナムがカーライルをビジネスに引き込む交渉の場面。かっこいいですねぇ。最後はバーテンダーも踊り出す。気持ちいい。

●北欧の美女Jenny LindさんのNever Enough
この歌を聴くヒュー様の表情がたまらない。あの目。呆然と立ち尽くして目には涙。これは恋だわね。彼女の歌声を聴いて雷に打たれたように男は立ちつくすす。これからのビジネスの成功とか彼女の歌の実力とか…いろんな他の理由もあるだろうけれど、この場面のバーナムさんは、とにかくジェニーさんの歌声と美しさに圧倒されて一瞬で恋に落ちているのよ。間違いないです。あの男の目はね…ああいう目で見られたらどんな女も嫌とは言えない。恋は化学反応。ジェニーさんもヒュー様のあの泣きそうな表情を見て「全てを捨ててこの人と一緒にアメリカでやってみよう」と思ったんですね。最高ですこれ(涙)。それを奥さんのチャリティさんが心配そうに見る場面もなかなか苦しい…。その後のパーティーでの会話では、もうジェニーさんがバーナムを誘っている。ジェニーさんももちろんバーナムに惹かれているのね。ヒュー様はいい男だものね。困りましたね。それはともかく、ジェニーさんが文句の言いようのない古典的な美女なのがすごい。美女を画面に大写しにするだけでも涙が出そうになる。だから一瞬で恋に落ちるヒュー様の気持ちもよくわかる。昔のシルバースクリーンの女優さんとはこういうものだったのよ。

●魂のさけびThis Is Me
パーティーから締め出されたサーカスの団員達が立ち上がる。髭のレティさんが仲間を率いて踊り歌う。パワフルです。キアラ・セトルさんの声が響き渡る。世間から奇人変人/Oddities/フリークスと呼ばれる者達(=自分が周りに上手く馴染んでいないと思う者なら誰でも)が「私は負けない。もう隠れたりもしない。前に向って歩く。もう見られることも恐れはしない。もう恐縮もしない。これが私だから」と誇り高く歌い上げる。傷ついた者の魂の叫び声です。もう………この歌でね、私は涙腺崩壊。止めようとしても涙が溢れ出て止まらない。だって白人の家族に嫁いだアジア人の私もぶっちゃけ自分をフリークだと思うことが実際にあるから。ありがとうこんなに励まされる歌は他にない。泣いて泣いて今も泣く。みんな本当にかっこいい。みんなが美しい。そうだ元気を出さなきゃ。ありがとう。

The Greatest Showman - This Is Me (2017)  歌詞和訳

●ザック君とゼンデイヤちゃんの禁断の恋Rewrite the Stars
人種問題を扱ったパート。上流階級のぼんぼんと黒人娘の空中ブランコのり。社会的に大問題なわけです。この映画の時代は南北戦争より前。まだ実際に奴隷がいた時代なのね。だけどザック君は美しいゼンデイヤちゃんに一目ぼれしちゃう。最初に好きになったのは彼。彼女は戸惑っている。ザック君はハイソな両親に「HELPの子と付き合うなんて恥ずかしい」と咎められ「世界は変化しているんです(トレイラーのみ)」と訴える。
人種と階級の壁に阻まれる二人の歌は会話のよう…ザック君が「大丈夫だよ」と言えばゼンデイヤちゃんは「大丈夫じゃないわ」と答える。その二人の歌をゼンデイヤちゃんの空中ブランコの練習シーンで演出。これもすごいシーンですよ。どうやってこんな振りを考えたんだろうと思う。もう言いようも無いほどゴージャスで溜息。これはすごいです。
歌って踊れるザック・エフロン君。青い目が綺麗。彼がこんなに動けるとは驚き。そして21歳のゼンデイヤちゃんの才能。長い脚。あんなに美しくて歌って踊れる。そして病院でザック君に付き添う時の涙ではもらい泣き。こういう才能のある若い人が出てくるアメリカはやっぱりすごいと思う。

●そしてヒュー様とジェニーさんの別れ
ジェニーさんのツアーでのホテルで、ジェニーさんは当たり前のようにバーナムとお近づきになろうとする。ジェニーさんの猫のような青い目。狙いを定めて獲物を逃さない目。それを善人ヒュー様は受け止めるのか…。
この場面では私はジェニーさんの味方になってました。だって彼女の恋心に火をつけたのは元々バーナムの方だから…最初の舞台でヒュー様にあんな目で見られたから、ジェニーさんも「この人と一緒にアメリカでやってみよう」と思ったのに。(ステージ上とはいえ)一度は間違いなく惹かれあった二人なのに…。
そこが問題なんですね。舞台上での一瞬の恋は間違いなく本物。だけどそれは現実の世界には存在しないもの…。それなのにいつの間にかジェニーさんの恋は本物になってしまっていた。そもそも男女が二人でツアーに出ているのに何もないわけがなかろう。それをヒュー様が突然現実に引き戻す。んまーあの場面で私はヒュー様の横っ面をひっ叩きたくなりましたね。今さら何を言っているのよ。…彼女がかわいそうだわ。
確かに二人が仲良くなれば不倫。しかし男女が惹かれあうのは理屈ではない。そもそもこのバーナムは善人設定なのだから、彼がジェニーさんに一歩踏み出すことはありえないのだろう。それでも(どんなに真面目な既婚の善人でも)誰かに理屈抜きで魅了されることはあると思う…それが恋というもの。だからジェニーさんとのこのエピソードはいいんですよ。ちょっと心動かされますね。…そしてバーナムが一歩踏み出さない…踏みとどまるからまたいいわけだ。

From Now On
ヒュー様がバーで落ち込んでいる時にサーカスの団員達がやってくる。「あなたは私達を見世物にしたけれど(トレイラーのみ)本当の家族も与えてくれたわ」そしてバーの中で皆で踊り狂う。この団員達は皆プロのダンサーの方々なのね。ダイナミックに全員が『Fame』スタイルで踊り狂う。全員が輝いてます。圧倒されます。いい場面です。ヒュー様は家族を迎えに行く。ヒュー様の声が素晴らしい。

●最後は豪華なテントでのショーのシーン
数頭の象が出てきて、シンメトリーにライオンが輪をくぐる。CGだとわかっているけれど、いいんです。ゴージャスならそれでいい。なんと美しい。なんと楽しい。なんとエキサイティングな…。ああこの映画は本当に素晴らしい。ああ王道のエンタメとは本当に素晴らしい。

こんな映画を作ってくれて感謝です。心から楽しかった。映画を見てこんなに興奮したのは久しぶりです。ありがとう。ありがとう。大きな拍手喝采。また見たい。