CONTENTS

2012年7月18日水曜日

NHK ドラマ10『はつ恋』第8回-Only Love


ありゃー安っぽく仕上げたなーというのが今回の感想。びっくり。やっぱり7回目の修羅場の後、8回目に終わらせるには誰かを殺すしかないのか…。しょうがないのかな。

前回までは素晴らしかったです。緑さんが感情に流されてよろめいた後、旦那さんに三行半を突きつけられるまで、自分の犯した過ちに気付けなかった愚かさがものすごくリアルで、見ていて腹が立つほど。潤ちゃんの激しい怒りも納得。そんなリアルさを包み隠さず見せたところがすごいドラマだと思った。



だからこそ今回のまとめ方は余りにも簡単すぎて納得し難い。7回目まであれだけよかったのだから、もう少しなんとかならなかったのか。

とにかくこのドラマ、40代の女性をターゲットにした話らしいんだけど、いったいどういうつもりでこの最終回を締めくくったのか疑問。あまりにも安っぽいエンディング。この緑さんは自分勝手に好きな道を選んだのに、周りの人達がいい人ばかりで全て許されてそれでおしまい。何から何まで、緑さんに(浮気をした女性に)都合のいい話になってしまって興ざめ。あーあ…。


浮気をするのなら覚悟を決めていただきたい。旦那さんを裏切り、子供を裏切り、それでも突っ走りたいのならあっぱれ。でももし覚悟をする暇もなくよろめいてしまって、それでも子供の事を考えるのなら、旦那さんになりふり構わず懺悔して元の生活に戻れるよう許してもらうか、それとも嘘をつきとおして一生十字架を背負うかのどちらか。緑さんはどちらもせずに飛び出した。一度は突っ走ったのに、ふらふら帰ってきてなんだかなーという感じ。反省してるの? ごめんなさいは?

特に、潤ちゃんのキャラをあれだけいい人に設定にしたのだから、再会の場面で緑さんが謝らないのもおかしい。潤ちゃんにこの期に及んで「ごめん」と「ありがとう」と言わせる脚本にもびっくり。この話、潤ちゃんには何の落ち度もないです。緑さんは潤ちゃんに対して、人としてあまりにも失礼。「明日死ぬからいいよね」ではいけないと思う。結婚は甘えじゃないです。結婚は他人同士がお互いに思いやりをもって寄り添って一緒に生きていくこと。潤ちゃんは一生懸命それをやっていたのに、ある日突然裏切られて、その後何の音沙汰もなく3年間。子供を旦那さんに押し付けたまま3年間。死ぬから許されるのかって、じゃあ死ななかったら健太君にも会わずじまい?

特に最後、三島君と潤ちゃんが、お父さんの床屋で健太君の話をしながら和んでいるのを見てげんなり。なんだか昭和のドラマで「亡くなった社長さんのお通夜に本妻と二号さん、三号さんが(いろいろあったとはいえ)顔を合わせ、言葉少ないながらも理解しあう」みたいな話を思い出した(笑)。これって緑さんが天国で「私の愛した男達が仲良くしてくれてるわ」と喜んでるような状態? げげっ。あんまりだわ。

とにかく癌の再発が分かってから、全員が何のわだかまりもなく和んでしまうのがとてもチープ。全然リアルじゃない。たずねていった翌日に、いきなり死んでしまうのも都合がいいけど、ああいう風に突然現われてすぐ死んでしまうなんて、健太君にはとんでもなく残酷。健太君に対してさえ自分本位。そんなところも緑さんが超自己中女に見えてしまう。結局潤ちゃんと健太君のことは捨てたんだから、今さら無理やり再会させる必要もないと思う。

昔、知り合いに、奥さんがよろめいて離婚した夫婦がいて、その旦那さんの怒りがすごかったのをよく覚えてる。一方的に裏切られた。子供もいる。憤懣やるかたないけど怒りのぶつけようが無い。怒って当然。もちろん即刻離婚して二度と解りあうことは無いだろうという状態。女性の浮気なんて決して綺麗には終わらない。

たかがドラマを見て熱くなるのも変だけど、このドラマ、それぐらい真剣になれた。設定がいろいろと無理はあっても、7回目まではいろいろと考えさせられた。だから今回の最後はうーん……夏目漱石の『門』のように、十字架(悲しみと後悔)を背負いながらも地味に日常の小さな幸せを噛み締める話のほうがいいな…。無理に決着をつける必要は無いと思う。

俳優さん達は素晴らしかった。俳優さん達の演技を見てるだけで最高の娯楽だった。ほんとうによかったです。幸絵さんの三島君への愛は、相手の幸せを思いやる大きな優しい愛ですね。彼女はいい女だな。

170cmの木村さんを軽々と抱き上げる伊原さんがかっこいい。脚が長いなー。