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2024年2月4日日曜日

米ドラマ FX『フュード/確執/Feud: Capote vs. The Swans』(2024) Feud シーズン2:Pilot第1話 カポーティのもうひとつの顔



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『Feud: Capote vs. The Swans』 (2024)
TV Series/米/カラー
/1話45分・全8話/
作:Ryan Murphy, Jaffe Cohen, and Michael Zam
監督:Gus Van Sant, Max Winkler, and Jennifer Lynch
脚本:Jon Robin Baitz』
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先週1月31日に米国 FXにて放送開始のドラマ。第1話を早速視聴。これはまたまた面白そうなドラマ。


作はライアン・マーフィー氏。このお方は本当に忙しいお方だ。とにかく多作。毎年のように新作が出てくる。

彼の作品群…2003年に『NIP/TUCK』がヒットし、2009年は『Glee』、その後2011からは『American Horror Story』のシリーズを開始、また2016年には『American Crime Story』シリーズ、2017年に『Feud』のシーズン1、2018年には『Pose』シリーズ…などなどとにかく話題作ばかりリリース。私は彼の作品の全てを見ているわけではないのだけれど、とにかくアメリカのエンタメ界隈では彼の名前がよく聞こえてくる。


今回2024年1月に放送開始の『Feud: Capote vs. The Swans』は、2017年の同シリーズ『FEUD: BETTE AND JOAN』『Feud』シリーズのシーズン2。

前回の『FEUD: BETTE AND JOAN』では、1960年代のハリウッド大女優・ベティ・デイヴィス(スーザン・サランドン)とジョーン・クロフォード(ジェシカ・ラング)の確執を描いた。このドラマはリリース時に見たのだけれど感想を書きそびれた。私はジェシカ・ラングのファンでこのドラマも楽しく見たと思うのだが、感想を書かなかったものだから内容をあまり覚えていない。

テーマが実在の有名人の「バトル/戦い」の話なので感想を書き辛かったのかもしれない。結局は有名人のゴシップ系の話だし。それまで知らなかったことを「ほ~そうかそうか すごいね」と眺めただけだったのかも。

ともかく今回はテーマに興味があるので、ドラマのお終いまで待たずに第1話の印象と、個人的に思うところを書いておこう。


今回の話は、米国の作家トルーマン・カポーティと、彼のニューヨーク上流社会の女友達…彼女達のニックネームは白鳥達(The Swans)…との確執。カポーティが1975年にエスクワイア誌に書いた…The Swans(白鳥達)に関するゴシップを元にした暴露小説『La Côte Basque 1965』により始まった彼と女性達との確執を描く。ちなみに『La Côte Basque 1965』は後にカポーティの未完の遺作『Answered Prayers』として出版された。


ドラマに登場する上流階級の女性達は…

★ Babe Paley (Naomi Watts ナオミ・ワッツ)
マサチューセッツ州ボストン出身。著名な神経外科医の娘で社交界の華。ヴォーグ誌の元編集者。米テレビネットワークCBSの創設者 Bill Parey の妻、完璧な美貌とスタイルでThe Swansのリーダー。

★ Slim Keith (Diane Lane ダイアン・レイン)
カリフォルニア出身の元モデル。映画監督Howard HawksとプロデューサーLeland Haywardと結婚し離婚の後、英国人の銀行家Lord Kenneth Keithと結婚。レディのタイトルを得る。

★ C.Z. Guest (Chloë Sevigny クロエ・セヴィニー)
マサチューセッツ州ボストン出身。英国首相チャーチルのまたいとこでポロ選手のWinston Frederick Churchill Guestの妻。ブロンドの美貌で芸術/文化系の有名人との繋がり多数。

★ Lee Radziwell (Calista Flockhart キャリスタ・フロックハート)

元大統領夫人Jacqueline Kennedy Onassisの妹。国際的な社交家。

★Ann Woodward (Demi Moore デミ・ムーア)
カンサス州出身の元ショーガール、モデル。社交家。後にニューヨークの銀行the Hanover Bankの跡取りWilliam Woodward Jr.と結婚。

★Joanne Carson (Molly Ringwald モリ―・リングウォルド)
カリフォルニア州ロサンゼルス出身。トークショー・ホストJohnny Carsonの元妻。友人として最後までカポーティを支える。


第1話は、カポーティの『La Côte Basque 1965』がエスクワイア誌に載り、Babe PaleyとAnn Woodwardのプライバシーが暴露されたことから、Slim Keith がPaleyに「カポーティに仕返しをしよう」と焚きつける場面で終了。ゴングが鳴って戦闘開始。


所謂ゴシップ系の実話を元にしたドラマで、いかにも西洋のファッション誌などに「ニューヨーク上流社交界の歴史」として載りそうな話。その中身も確かに面白いだろうけれど、しかしアラ還の私の世代にはそれ以上にもっと注目する目玉がある…出演している女優さん達の顔ぶれがすごい。

モリ―・リングウォルド?ぇえええ?久しぶりだ。第1話に出てきたデミ・ムーアって何歳だっけ?61歳?信じられない。うそみたいにすごく若くて綺麗。。ダイアン・レインも綺麗だけれどずいぶんおばさんになったものだ。彼女は若い頃は可愛かったのよ。キャリスタ・フロックハートって『アリー my Love』だ。彼女も久しぶり。もうこれらのメンバーだけでも見たいと思う。皆さん同世代で…みんなお綺麗ですね。ひ~

女優さん達の顔ぶれだけでも興味をひかれる。その上にライアン・マーフィーなら、見ますよそりゃ。見ます見ます。


さてそれらの女優さん達への興味は置いといて、私にとってもっと興味深いのは作家トルーマン・カポーティ。

私は大昔に彼の小説が好きだった時期がある。おそらく多くの映画ファンがそうであるように、私も『ティファニーで朝食を/Breakfast at Tiffany's 』と見てから小説を読んだ。ホリー・ゴライトリーの自由な心と孤独に魅了された。

そしてまた当時文庫本で出ていた小説もいくつか読んだ。その中で好きだったのは『遠い声・遠い部屋/Other Voices, Other Rooms』それから『クリスマスの思い出/A Christmas Memory』。どちらもカポーティの初期の作品で彼の子供時代の思い出を元にしているそうだ。

その両作品の登場人物達に向けられた作家カポーティの温かく優しい目線に彼の心の細やかさを感じて、私はカポーティという人は繊細で優しい人なのだろうと思い込んだ。

ずっと後に『冷血』に挑戦するものの挫折。ただ内容に入り込めなかったのが理由。文庫本は文字も小さい。今回写真を撮ろうと思って本棚を探したら、この小説の文庫を2冊持っていたことに今気づいた。何度か読もうとはしたらしい笑。



  
それから20代のバブルの頃、ファッション誌・マリ・クレール誌やエル誌などで西洋の社交界の話の記事などをよく見かけていたので、この「カポーティとThe Swansの話」も、おそらく当時少しは読んだのではないかと思うがあまり記憶していない。それらのゴシップ記事を読んでも、私の中のカポーティの「繊細な優しい人」のイメージは変わらなかった…いや自分で変えようとしなかった。好きな作家のイメージを自分の心の中に保ちたかったのだろうと思う。


そんなわけで私はカポーティに少なからず愛着がある。『冷血』は読んでいないけれど(そういえばフィリップ・シーモア・ホフマン主演の映画は見た)、しかしそろそろ彼のもう一つの顔…ハイソサイエティに出入りして各界の有名人たちと派手な交流を楽しみ、お喋りでゴシップ好きで毒を吐くカポーティ…のことをもう少し知るべきなのだろうと今は思う。その意味でもこのドラマには期待している。


カポーティを演じるのは Tom Hollander。声や印象がそっくり。

脚本はJon Robin Baitz。台詞が早くて固有名詞がどんどん出てくるので内容を1度で全て理解するのは大変。キャラクターたちの会話の内容もジョークもリファレンスが様々なところから出てくるので追いつくのも大変。チャレンジ。もちろんセットや衣装も豪華。旦那Aによると配役も役者達の演技もセットも脚本も描かれた時代の雰囲気も大変よくできたドラマだとのこと。


そういえば1話で、ダイアン・レインかナオミ・ワッツのキャラクターがカポーティのことを「宮廷の道化師/court jester」と呼んでいた。ひどい。それからカポーティが La Côte Basque  に連れてきた若いボーイフレンド兼マネージャーJohn O'Sheaに対する女性達の冷たさ辛辣さと言ったら…ひ~震えるほど怖い怖い。なぜハイ・ソサエティの方々はあれほど性格がきっついのだろうか?ほんとに恐ろしいわ。

なぜカポーティは彼女達と親しく交流しようとしたのだろう???


ともかくライアン・マーフィーですからね。期待しましょう。


※追記
今『遠い声・遠い部屋』のネット上の人々の感想を読んでみたのだけれど、私の思った印象とは違う感想を持った人も多いみたいだ。この本を読んだのは私が若い頃でずいぶん前なので詳しくは覚えていないのだけれど、読んでいて「この話がとても好きだ」と思った記憶がある。もう1回読み直してみようかと思う。