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2023年12月29日金曜日

映画『ゴジラ-1.0/Godzilla Minus One』(2023):最高の怪獣映画+人々の再生の物語







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『ゴジラ-1.0 (2023)/日/カラー
/2h 4m/監督:山崎貴』
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昨日見た。よかった。うん。これは文句なし。傑作。


…私にとってゴジラとは、とにかく破壊破壊破壊しつくしてくれればいい。恐ろしく荒ぶるゴジラがいい。徹底的に大暴れして欲しい。そしてまた人間が負けずにガンガン戦ってくれさえすればそれでいい。

キェォ~と叫び声をあげドドドドドドと大きな音を立て荒ぶるゴジラに人間がドヒューンドヒューンとミサイルを打ち込み、空からはババババッバババババッと弾を打ち込むとゴジラがキィガァーと叫べばまたドヒュンドヒュンドヒューンと人間が頑張る。最後はタメがあってボォオオオオオオオとゴジラが熱線砲を吐く…と派手にやってくれれば、ワタクシは顎がはずれたように口を開けたまま目を見開き鼻息も荒く茫然とスクリーンを見つめる。それこそがゴジラ映画。…それだけでよいと思っていた。


しかしこの映画が描いたのは人のストーリー。少し驚いた。戦争を経験した世代の方々への敬意も感じる。決して薄い話ではない。


時は戦後。登場人物達は皆何らかの傷を負っている。市民は家族を失い、軍人は「十分に役に立てなかった」「仲間と一緒に死ねなかった」と悔やむ。主人公の敷島もPTSDと後悔に日々苛まれている。

そこに襲ってきた巨大怪獣ゴジラ。米国は助けてくれない。政府も何もできない(ソ連を刺激する)。そこで元海軍の軍人達と兵器開発のエンジニア/科学者、(中小)企業の人々がゴジラ打倒のプランを実行する。残っていた戦闘機・震電に乗ってゴジラを誘い出すのは元特攻隊員の敷島。

傷を負った者達、「まだ戦争が終わっていなかった」者達が自らの再生のために戦う。全員が一丸となって巨大怪物に立ち向かう話。


感動しますよ。


私は普段からあまり泣かないのですけどね。いやぼろぼろ大泣きしたわけではないけれど。色んな場面でじわっときた。様々な思いが心をよぎった。いい話です。

ゴジラの映画なのにテーマは「戦争の傷からの人々の再生」。

人物達は、元特攻隊員、整備士、海軍の軍人達と技術班、兵器開発の科学者と中小企業の人々…彼らは全員それぞれがたった数年前まで国を信じ命がけで敵と戦っていた人々。「お国のため」の言葉になんの躊躇もなかった人々。そんな彼らの「生きる理由と目的」は「敗戦」により行き場を失った。

敗戦、失望、無念、後悔、そして彼らの「人の命を大切にしなかった」政府への複雑な気持ちなどなど…まだ「終わっていない」様々な思いを胸に…人々はまた立ち上がる。今度の敵は究極の怪物。


そして見どころはもちろん最高のアクション。ゴジラとの戦闘シーンに燃える。これがもうただただ嬉しい。興奮する。

私はどっぷりと昭和の平和教育の育ちだけれど…しかしなんだろうねこれは。燃えますね。私の中の「男の心」がアクション・シーンに震え立つ。昔からそう。子供の頃にも火を吐く怪獣や戦闘機や馬の絵ばかり描いていた。だから私は燃えるのだこういう映画に。心がメラメラと燃える。心が震える。だからこの映画はもうたまらん。膝の上に置いた手を握り締め興奮に震えながら目を見開き口も開けてスクリーンを見る。

特に怪獣/怪物相手の戦闘シーンに燃える。人間の戦争は全く見たくないのだけれど、架空のモンスター相手は異様に燃える。嬉しくてたまらん。この映画は戦闘の名場面が沢山。やり過ぎないCGが自然でまるでこういう生き物が存在するかのようなリアリティ。すごくいい。



★ネタバレ注意



このゴジラはいいぞ~。海から頭を出して泳ぐ。まるで怒り狂ったカバが水の中を泳いで船を追いかけるようだ。怖いね~。あんな小さいボートはひとたまりもないぜ。

そして機雷をゴジラに送る人間達。ぉおお頑張れ。よしっ口に入った。敷島はコントロールがいい。命中! おっと~ゴジラは平気だ

そして上陸するゴジラ。上陸したゴジラはちょっとゆっくりです。ドスン、ドスンと歩く。大きな足が一歩一歩踏み出す様子がリアルでいい。そして熱線砲はすごいぞ。ためにためて…なんだか興奮しすぎてそのシーンをあまり覚えていない。巨大な雲が出ていたな。そうそう。敷島が浴びた黒い雨は大丈夫なのか。

典子は握力が強い。大人はあれほど長く鉄棒にぶら下がれないものなのですよ。典子はずいぶん長くぶら下がっていましたね。そして海に落下。しかしその後普通に街を歩いていて驚いた。典子は不死身。


今回は(どちらかと言えば)海の中を泳ぐゴジラのほうがいい。泳ぐゴジラが最高にいい。戦いの場が海の中だから戦艦が出てくるわけだな。いいですね~。

昔から「バトルシップ」とか「戦艦」という言葉に私は燃える。「艦隊」の言葉の響きもかっこいい。だからあのバトルシップが並ぶ場面にも超興奮。かっこいい。もうかっこよ過ぎて嬉しや嬉しや。いいですね~。船がゴジラに向かうシーンだったかな… ダダダッダダダッダダダダダダダ…とあのテーマソングが流れる。ぅおおおおお震えるほど興奮した。


作戦名は「海神作戦(わだつみさくせん)」。

作戦は途中まで成功かと思った。深海でゴジラが止まる。おっと息がとまったか。よし、次は東洋バルーンの浮上作戦開始。ものづくり日本の企業の力を見せてやれ。ところがまたゴジラが止まる。どうした。浮き上がる噛み切られた風船の端切れ。ぉおおおおおおお~敵もやりやがる。く~。

というわけでじゃあゴジラを引っ張り上げようぜ。戦艦が両側から引っ張る。うーんパワー不足か。そこでやってくる小型船隊~きたーっ!水島(山田裕貴)がやってきた。またまた興奮興奮大興奮。涙が出そうになる。

そして上がったゴジラ。水圧の変化…全然平気だったっぽい。


そして敷島/神木隆之介くんの大活躍。もう~これが無茶苦茶かっこいいのだ。震電に一人乗り巧みに機体を操ってゴジラを惑わせる。この飛行機の後ろから撮るカメラワークがも~~~燃える。かっこいいぞ。機体は下のゴジラを見下ろしながら降下。ガラスのドームの中の神木さんの頭。その向こうに海の中のゴジラが下で口を開けているひ~。この時の神木さんの戦闘モードの表情がもう素晴らしい素晴らしい素晴らしい。かっこいいぞかっこいいかっこいいかっこいい。

あ~しかし、この後彼が何をするつもりか観客はわかっているのだね涙。しかし敷島の心は変わらない。決死の覚悟でスピードを増す敷島。…もうこの辺りで涙じわじわうるうるが止められない… ヤメテ 涙じわじわ


そしてその衝撃の後…………


あっ ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ…やった~~~~。ぉおおおおおおお満面の笑顔。そうかそうかそうか、よくやった、よくやったよくやった。ありがとうありがとうありがとう。

感動するわ。整備士の橘(青木崇高)のメッセージがいい。ありがとうありがとう。

そう。これはとても大切なメッセージですよ。整備士・橘も彼の後悔「終わらなかった戦争」に決着をつける。



思いつく限りのありとあらゆる様々なOKボタンをことごとく押して押して押しまくった見事なストーリー。

戦争/過去の間違いを否定しながらも過去を侮辱することなく、戦後の時代になお漂う人々の複雑な心を無視することなく取り上げた上で、フィクションの敵「ゴジラ」を登場させることにより、戦後を生きる者達のロストソウルを救い、(彼らの)過去に囚われていたそれぞれの思いに決着をつけさせ、人々が次の時代へ繋がる自信を勝ち取る…人々の再生の物語。

「終われなかった者達」は思いを遂げ過去に決着をつける。彼らは国や誰かに強制されることなく自らの強い意志で立ち上がった(←これ大切)。そして脚本はまた、戦争に行かなかった若者・水島(山田裕貴)の軽口を敷島が諫めるシーンで、無知のために「戦闘に憧れること」への警告も忘れない。…これは世界に胸を張って売れるストーリー。なにもおかしくない。隙がない。本当によく練られた話だと思います。


どの角度から見ても(アクション、戦闘、役者の演技、コンセプト…)この映画は素晴らしい。私はまず怪獣映画としてゴジラの戦闘シーンに無茶苦茶興奮した。倒れ行く高雄の最後の頑張り…壮絶なシーンに泣く。そして戦う男・敷島の決死のシーンに泣いた。そして人々の再生の物語にも、様々なお題のOKボタンの正しさと細やかさに唸りつくす。

役者さんが皆素晴らしい。みんな上手い方々。勇ましい顔が本気の神木隆之介さん、昭和の美人女優風浜辺美波さん、艦長・堀田の田中美央さんの威厳と低音、兵器開発・野田の吉岡秀隆さんの頭脳の科学者ぶり、整備士・橘の青木崇高さんの漢、隣人・澄子の安藤サクラさんのリアリズム、軍人・秋津の佐々木蔵之介さんの動じない笑顔、元気印水島の山田裕貴さん…皆それぞれ心に残るシーンがある。いい役者さん達に拍手。屋上でリポートする記者の様子は1954年オリジナルゴジラへのオマージュですね。沢山の役者さん達皆様に拍手。


ちなみに米国人の旦那Aも最高にいい映画だったと言っている。劇場を出て最初に出た言葉は「これほどいい映画は久しぶりに見た」。ゴジラが最高にかっこよくて最高にクール。大変興奮したそうだ。
今どきのハリウッド映画(ヒーローもの等)は映画全部がノンストップの全力疾走で休む暇もないが、この映画は緩急のバランスがよく(敷島の家の静かなシーンとゴジラのバトルシーンの違い)映画として見やすい。
そして登場人物達が昭和の映画の人物達のようにリアルだと感じたそう。普段は普通のおじさんたちが、戦うシーンになると強い男達に変わって真剣に戦う。彼らの世代こそが戦後の日本を立て直した人達だと納得する。素晴らしい映画。大変満足したそうだ。


この映画は、コロナが終わって初めて劇場で見た映画。やっと映画館に帰ってこれた。いい記念の映画になりました。最高にいい映画を見れてよかったです。


記念にうちのゴジラ猫