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2023年11月21日火曜日

映画『老後の資金がありません/What Happened to Our Nest Egg!?』(2020):人生に笑いは大切






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『 老後の資金がありません(2020)/日/カラー
/115 m/監督:前田哲』
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TVJapanで放送されたものを録画していた。全く前情報なしで鑑賞。

面白かったです。老後問題に対して真面目に考えさせられる映画ではないが、そのお題の上でお気楽に笑いましょうという映画。



★ネタバレ注意


最初は後藤家の嫁・篤子さん(天海祐希)の義父が亡くなるシーンから始まったので、コミカルな雰囲気でありながらも真面目なテーマで話が進むのかと思ったのだけれど、篤子さんと葬儀会社のスタッフ(友近)とのお葬式の打ち合わせあたりから、(想像上の)香典袋が天高く積みあがる様子や、その他細々と必要経費が絵になって宙に浮かび天海祐希さんのお顔を殴るシーンで「あ、これはコメディだ」と認識。

その後も後藤家の娘まゆみの恋人・松平くん(加藤諒)のメタル野郎の「餃子歌」や、旦那さん(松重豊)の風呂場で「さむさむさむさむっ」の一瞬のシーン、ヨガの先生(クリス松村)と友人(柴田理恵)…と次々に出てくる人物達が楽しくてどんどん引き込まれた。

この映画はず~っと積極的に笑わかせにきてくれる。それを喜んで見た。最初に大爆笑したのは 天海祐希さんがボーリングで娘の顔のピンを蹴散らして怒った時場面笑笑。その頃にはすっかりこの映画のノリに馴染んで「次は何が出てくるか、次は何か」と楽しんだ。小ネタが沢山出てくるのでず~っと飽きずに見れる。そうだ…他にも爆笑したのは、天海祐希さんが通勤のバスの中から…旦那・松重豊さんが若い女性と子供の手を引いているのを目撃する場面。笑った笑った。

テーマは一見重いのに中身は軽いコメディなのでちょっとびっくりしたが楽しかった。


「次に誰が出てくるか」そのものがネタなので、やっぱり1回目は驚きもあって一番笑う。竜雷太さんと藤田弓子さんのいでたち笑。佐々木健介さんと北斗晶さんが出てくればニコニコ。そういえば後藤家の娘・まゆみちゃんの新川優愛さんは『大富豪同心』のみすずさんではないか。柴田理恵さんの父親が毒蝮三太夫さん。そして三谷幸喜さんはなにをやっているのだ~~~笑。思わず「え?この映画って三谷さん監督なの」とすぐにネットで調べましたよ。いや監督さんは前田哲さんでした。

天海祐希さんが面白いしかっこいいし、松重豊さんがおとぼけでユーモラスで、何よりも草笛光子さん最高。すご~い。ノリノリやん。すごいわ…元祖SKDの逆襲「あら篤子さん宝塚は無理よ」笑笑笑笑。柴田理恵さんの家を草笛さんと天海さんと二人で訪ねた後…毒蝮三太夫父から逃げ出した場面で、お二人が自転車で大きな坂をぴゅ~っと全速力で走り下りる場面にも笑った。すごーい

今2回目を見終わったので記憶に残った場面を書きぬいてますけど、2回目の鑑賞は1回目の驚きを確認しながらにやにやする感じでございました。


タイトルが『老後の資金がありません』なので真面目な話かと思ったけれど、実用的アイデアが参考にできるような話ではない笑。最後に家を売ってシェアハウスなんて…え~~~~っと思うけれど、でもこの映画的にはあり。ほのぼのとしていい。

このシェアハウスのシーンというのは、私にとっては…昭和の家族の風景にも思える。シェアハウスなら他人同士だけれど、昭和の時代だったら…お盆やお正月に家族や親戚みんなで集まって、(私を含む)子供達がそこいらじゅうを駆け回り、女性たちが台所で雑談をしながらご飯を作って…そしてみんなで老若男女皆でテーブルを囲んでご飯を食べる…そんな風景。ちょっと懐かしい。それが…もしかしたら今の時代には難しくなったのかもなぁ…などと思ったりもした。


外国に出た人の間であまりこういうことを言う人はいないと思うけれど…。外国の人と結婚するとさ…ぶっちゃけやっぱ日常に笑いが足りないよね。ほんと。(旦那A本人は面白がり屋でよく笑う人なので彼にはまったく何の問題も無いけれど)なんだろう…大昔私が日本にいた頃…子供時代の家族との時間、小中高大の学生時代や会社勤めの頃の同僚との時間、友人たちとの時間を思い起こすと、若い頃の私の日常にはもっともっと「おかしみ」とか「滑稽」だとか「ユーモア」が沢山あった気がする。なんだか今のうちの夫婦、人生を小ぎれいに便利に効率的にと、日常のいろんな面倒な事を削除したり捨てたり省略した結果、なんだかものすご~くつまんない人生になっちゃったね…という感じ。覆水盆に返らず。

生きていく上で「正しい人間であること」は決して私の優先事項ではない…と今になってやっとわかった。私の人生に大切なのは「おもしろいこと」「楽しいこと」。それは間違いない。


そのせいだろうか…私は日本の「おかしみ」とか「慣れ合い」「滑稽」「アホであること」「くだらないこと」「自分がバカになること」「笑われること」「間違ってへへと笑うこと」「誰かのおやじぎゃく」「ユーモア」「ぼけ」「箸が転んでもおかしい」「笑ってはいけない場面で何かがツボにはまって笑いを嚙み殺せばますます笑いが止まらなくなる状況」などなどそういうものが好き。懐かしい。

そこなのよ。この映画のごたごたも大笑いして楽しかったし、今テレビでやっている『コタツがない家』のドタバタにも笑い、英国のドラマ『ブリーダーズ/Breeders』にも笑いながらほっこりしたり考えさせられたりするのも、私がそういうものを懐かしんでいるからだろうなと思った。

この映画はとても楽しかったです。
日本の家族いいやん。いいよね。懐かしいわ。