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2023年2月28日火曜日

NHK 趣味どきっ!『読書の森へ』本の道しるべ・第7回 鹿島茂


NHKの 趣味どきっ!…の『読書の森へ』本の道しるべ シリーズ。去年の12月から今年1月にかけての放送。録画を放送の後すぐに見たのだけれど、とても面白かったのでメモしようと録画を残していた。心に残ったものを記録しておく。


まずは第7回 
フランス文学者 鹿島茂さん
日本での初回放送日: 2023年1月24日
TV Japanにて


鹿島 茂(かしま しげる、1949年11月30日 - )
日本のフランス文学者・評論家。専門は19世紀フランス文学。元明治大学国際日本学部教授。オノレ・ド・バルザック、エミール・ゾラ、ヴィクトル・ユーゴーらを題材にしたエッセイで知られる。当初はフランス文学の研究翻訳を行っていたが、1990年代に入ると活発な執筆活動を開始し、1991年に『馬車が買いたい!』でサントリー学芸賞受賞、1996年『子供より古書が大事と思いたい』で講談社エッセイ賞、2000年『パリ風俗』で読売文学賞をそれぞれ受賞。古書マニア(19世紀フランスの希覯書が主な対象)としても有名。猫好き。映画マニア。2017年7月5日、書評アーカイブWEBサイト”ALL REVIEWS”を開設。(Wikipedia)

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★雑誌マニアである
雑誌は出版された時代を反映している

・La Revue Blanche Editions de la revue Blanche
1889年創刊~1903年 フランスの総合芸術雑誌。当時の有名な作家や芸術家が取り上げられていた。

・Art et decoration (1911)(アール・エ・デコラシオン)
若手アーティスト達の作品を紹介した芸術誌。魚や虫のデザインの壁紙は日本の影響を受けていた。


★苦行としての読書

読書への挑戦①
日本文学全集
中学生時代から、日本文学大全69巻 を5年かけて読破
印象に残っている作家 徳田秋声
全集を配本順に読む。好き嫌いに任せたらまず読まない作家に出会うことが出来た。徳田秋声は自然主義の大家。『仮装人物』は大傑作。いい出会い。様々な作家の本を読んでいくと鑑識眼が養われる。

読者への挑戦②
世界文学全集
自分に強制して読む。それが快感になる。
高校生時代に世界文学全集を読破。

読書への挑戦③
大長編を読む
・マルセル・プルースト『失われた時を求めて』
・平家物語
・ミハイル・ショーロホフ『静かなドン』
ロシア革命に翻弄される人々。数世代に渡る家族の物語。
長編小説(特にその時代を描いた小説)は、その国の様々なことがわかる。小説から得る知識はストーリーの喜びの他にある。退屈な部分も一つの楽しみ。とにかく最後のページまで読む。

修行のような、苦行のような読書。すすめます。本は予測不可能。読んでみないとわからない。


★コレクター人生

●翻訳の仕事からコレクターへ

・ルイ・シュバリエ/Louis Chevalier
『快楽と犯罪のモンマルトル/Montmartre du plaisir et du crime』 河盛好蔵訳

作者が固有名詞に注釈をつけない。翻訳に困る。当時の原資料に当たるしかない。鹿島さんは1984年にパリへ。日本で高額だった古書がフランスなら手に入れやすいことがわかる。

・ルイ・レイボー/Louis Reybaud
『ジェローム・パチュロ社会的地位を求めて/Jérôme Paturot à la recherche d'une position sociale』
(1846)
パリが舞台、青年の人生。

その挿絵はグランヴィル/J. J. Grandville (Jean Ignace Isidore Gerard)(1803 – 1847)
風刺画/動物戯画で知られる。鹿島さんはグランヴィルのコレクターに

Scènes de la vie privée et publique des animaux
『動物の私的・公的生活情景』
2巻
(Scenes of the Private and Public Life of Animals)
a collection of articles, short stories and satirical tales (1841 to 1842)
バルザック/Honoré de Balzacを始めとする作家が寄稿

・タクシル・ドゥロール/Taxile Delord
『もう一つの世界/Un Autre Monde』Paris, Fournier (1844)
ルイス・キャロルや後のシュールレアリズムに影響を与えたと言われる

昔のフランスでは、本は仮綴じの状態で出版社から売られ、それを購入者が装丁屋に持って行って装丁を個人注文する。結果、内容は同じ本でも装丁によって10倍から100倍の値段が違うことも。


★本の未来・未来の本

「(現在は)本が出てもそれが書店に並んでいるのはせいぜい数か月。本は完全に消費財になっている。季節もののモードと同じ。それを過ぎるとほとんど価値がなくなる。(その後)本は出版社の在庫として眠り続ける」


●鹿島さんが作った書評サイト
好きな書評家、読ませる書評

2017年開設。明治以来活字メディアに発表されたすべての書評を閲覧可能にする「書評アーカイブ」の構築を目指すという。好きな書評家、読ませる書評、雑誌や新聞の書評を無料で公開している。検索可。


●本の未来は?

「紙の本はなくなる。それを想定してトリアージ(選択)が行われるだろう。自己表現系以外の本は全部なくなる。特に情報系は。時代の必然だろう。活字本はかつての写本のようになっていく。それは避けがたい…」
 
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ネット上で追加した情報と共にメモ

「紙の本がなくなる」…確かにそうなのかも。もうすでにKindleなどで大量の本がデータになって出てますね。情報系はなくなるとのこと。まだ想像できないけれど、確かに。…歴史上のどこかの時代(例えばローマ時代)の地図などは現在、印刷された本が出ていますけど、あれもいずれgoogle mapとか…ああいうものに入力されていくのか。

これは音楽のメディアにも言えますね。録音された音楽を聴くのは、LPレコード。そしてカセット、CDと変わっていった。そのCDが今、日本以外はほぼ商品としては廃れてしまっている。今音楽を聴くならサブスク、それから配信/ダウンロード、それに無料の動画サイト…などなど。音楽を聴くためにCDを購入する習慣はなくなりつつある。

実は先日ここに文を書いたフランツ・リストの曲…ピアニストのジョルジュ・シフラが録音した曲はどのくらいあるのだろうかと思い、手持ちのCDと動画サイトを調べたのだけれど、何と…「シフラのリスト曲の録音はほぼ全曲YouTubeに上げられている」ことに気付いてしまった。シフラが録音したリストの曲は、全て無料で聴けるということです。すごい時代。

ということは今、(日本以外で)レコードやCDを買うという行為は、ノベルティー的なものを求めること(アイドルグッズを買うのと同じようなもの)以外は、ほとんどないということかもしれません。いずれ本もそうなっていくということか。


それにしても19世紀のフランスの本の話がとても面白かった。グランヴィルのことも初めて知ったし、シュバリエの『快楽と犯罪のモンマルトル』も面白そうだ。 ショーロホフ『静かなドン』はロシア革命好きの旦那Aに教えてあげよう。