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2023年1月11日水曜日

★「鎌倉殿の13人」好きだった人々2

北条政子 源頼朝 北条時政 りく 実衣 阿野全成 


北条政子 
最初に頼朝に会ったばかりの頃は元気いっぱいでユーモラスなかわいい女性。それなのに頼朝が亡くなった後、息子や娘たちが命を落とす頃から、彼女はあまり感情を表さなくなってしまった。大姫が病で命を落とし、頼家、一幡がいなくなり(彼女は彼らが弟・義時に討たれたことを知らなかった)、次男の実朝も孫の公暁に討たれる。そして公暁も討たれる。子や孫を亡くした母親として耐えられないほどの悲しみと苦しみだろうに、彼女は全てを静かに受け入れているように見えた。泣き叫ぶことも、憤ることも、病むこともなく、彼女は尼御台の座に座って全てを見守っていた。もしかしたら、あまりの悲しみに感情が麻痺してしまったのではないかと思うほど。心を閉じてしまったのかもしれませんね。三谷さんの描く新しい政子さんは静かな女性。静かにしていてもものすごいカリスマなのに印象は穏やか。ちょっと不思議なキャラだった。


源頼朝 
前半の主役。女好きで(たぶん)人たらし。ひょうきんでユーモアに溢れているのに、権力の階段を上りつめたとたんに人間不信になって全方向を警戒し始める。そして自分に一番近い存在の弟二人を殺害。ひょうきんさとユーモア、威厳とカリスマ、しかし心は空虚で人を信じられずにいる。自ら弟・義経を拒絶し殺害しておきながら、討ち取った後には首桶を抱えて泣きくずれる。一人の中に様々な相反する感情が存在する複雑な人物。しかし大泉さんの多面的な演技でその全てが信じられた。


北条時政 
陽気な下町のお父ちゃん。喧嘩が強い。短気。表裏のないわかりやすい人。実は子煩悩の家族思いの優しいお父さん。憎めない人。しかし途中から美人妻のりくさんの言いなりになって周りの御家人たちを攻撃し始め、それが北条家の進む方向を決めた。後に息子・義時が苦しむのも元はと言えば時政とりくの野心のせい。最後はのんびりとリタイアできてよかったですね。お父さんキャラは好きでした。


りく 
宮沢りえさんの力技。魅力的な悪女。生々しく野心に溢れる悪い女なのに憎めない。りくさんは悪くなればなるほど艶々イキイキと光輝く。色香で夫を操り…出会う全ての男を惑わせ自分の思い通りに操ろうとする。悪い女なのに見ていると楽しくなってくる。そんなりくさんが好きでした。宮沢さんの華がキラキラ艶々して輝いていて楽しかった。うまい女優さん。


実衣 
実衣さんはムーミンのミイだそうだ。最初の頃は何か情報を仕入れるとそれを人に言わずにはいられない。「黙っていろ」と言われたら必ず誰かに話して物事を大きくする。コミカルなキャラクターだった。夫・阿野全成の前では小さな女の子のよう。かわいかった。ところが全成が討たれる。その泣きの演技の力技に思わずもらい泣き。あの場面は「鎌倉殿」全体の中でも記憶に残る名演技だと思う。その後は仏を信じられないと出家せず、実朝を育てたことから政治にも野心を持ち始める。次第にエゴと政子への嫉妬が顔を出す。徐々に性格が変わっていく様子が見事。
 

阿野全成 
ちょっといいかげんで頼りにならないが、とことん優しい人。実衣さんには優しい旦那様。優しい表情に優しい声。こういう人と結婚したらきっと幸せ。人が良すぎて頼まれればNOを言えず、それが自らの命を縮める理由となった。彼が討たれて悲しかった。