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2022年12月1日木曜日

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」第44回「審判の日」11月20日放送



濃い回。文も長いです。

今までのオチ、落としどころと言うのか英語のpunchlineと言うのか、今までの「鎌倉殿」の長いストーリーの行きついた先がこの回でしょうか。とにかく様々な事柄がここに帰結するという回。見終わった後に大きくため息をついてはぁ…と考えを巡らせ言葉もない。濃い回。濃い脚本とそれを演出するカメラや音楽、そしてなによりも役者さんたちの熱演に驚き感動し心動かされドキドキして…(いい意味で)どっと疲れた。この回は傑作かもしれまんよ。


特に若い役者さん達の熱演が素晴らしかったです。実朝、公暁、そして驚いたのは今まで物静かだったつつじさん。彼女が涙ながらに公暁の行動を止めようとする場面は息を呑みました。

公暁の意図を察して止めに来るつつじさん。
つつじに「(おかしなことを考えず)あなたの道を生きろ」と言われて公暁が「では母上の道は何なのだ、父を殺され、息子を仏門に入れられ、暗君の妻として…」と問い詰めれば、つつじ「私は少しも悔いてはおりません。なぜだかわかりますか。頼家様が私に授けてくれたあなたがいたから」涙涙涙涙…名台詞。感動した。つつじさんは今までどんなに辛い思いをしてきたのだろう。それでもつつじさんは息子がいてくれたから彼女の人生に悔いはなかったと言う…もうただただ素直に感動するわこういう台詞。すごいなぁお母さん。拍手。大きく何度もうなずく。つつじさんは大切な息子に生きて欲しいのですよね。鎌倉殿の暗殺なんかしてしまったら間違いなく公暁も討たれる。それがわかっているからつつじさんは息子の計画をなんとしてでも止めたい。つつじさんを演じる北香那さん…以前幼い少女のようだったつつじさんが 今回は声のトーンも強く、しっかりと息子を説得しようとする母親になっている様子にびっくりしました。素晴らしいシーン。大感動。そして熱い公暁。お二人のシーンは感情がぶつかり合う熱い熱いシーン。お二人とも素晴らしい。拍手。

そして母と息子のもうひとつ心に残ったシーンは、
家族の過去を知った実朝が政子を問い詰めるシーン。この時の政子さんは辛い。政子さんは実朝から一方的に非難されている。実際に比企家を滅ぼしたのは、実朝の祖父の時政であり、それを実行した叔父・義時などの男たちなのに、実朝の怒りは母親の政子に向かう。政子さん辛すぎる。そしてまた政子さんが息子に責められる様子は、過去の頼家の時と同じ。頼家も政子さんを拒絶していた。政子さんつらすぎる。本当につらい。言葉を無くす政子さんと涙涙涙の実朝の絶望。また実朝の涙に泣く。

この二組の母と息子の様子が心に残った

公暁とつつじは…

お母さんが必死で息子の間違いを止めようとする。息子の命を救おうとする。
政子と実朝は…
息子がお母さんを非難する。拒絶する。
お母さん方お二人とも辛いです。息子達よ…もっとお母さんのことを考えてあげて。


このドラマは芝居の熱を感じるシーンがすごく多い。今までの回でも何度もそのような芝居のエネルギーを感じたシーンがあった。特に終盤に向かってますます熱いシーンが増えてきているように感じる。三谷さんがすごい。そして演出の方々も素晴らしい。


それにしても濃い。1回まるまる使って「実朝暗殺の当日1日」に全ての謎が明かされるというプロット。いや~なかなかすさまじい…これは大変。濃い濃い濃い濃い。

今回一番の驚きは、実朝が公暁を訪ねて行く話。びっくりした。
それにしても実朝が最後の最後に家族の過去を知る話は心理的に重い。ドラマチックにするため意図的に詰め込んだのだろうけれど実朝にとっては本当に辛いですね。それにしても(実際に)実朝は自分がなぜ甥に殺されたのか、その理由を知っていたのだろうか?


このようにみっちり情報の詰め込まれた回は一つの台詞も無駄がない。全部の台詞に意味がある。すごいです。


公暁の恨みと復讐計画
三浦兄弟は公暁の後ろに
泰時が不穏な空気に最初に気付く 三浦を牽制し実朝に注意を促す
実朝の京への希望 将来武家の要を京に移すと言う。
そのことに憤る義時
源仲章の野心…北条執権を蹴落とし親王の鎌倉殿を支えたい
そのことに憤る義時
大江「仲章には死んでもらう」
義時 公暁の企みを止めない=鎌倉殿を救わない 仲章はトウに命じる
トウの仲章暗殺 失敗
実朝が三善から過去の話を聞き出す
実朝が初めて過去を知りショックを受ける 政子を攻める
実朝が公暁を訪ねて謝る
公暁の意志揺るがず
式の始まり
三浦兄弟もまだやる気
泰時が太刀持の父義時を案ずる
仲章が太刀持に変わる
義時が夢に見る白い犬。



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前回43回の最後は建保6年(1218年)7月

この回は既に建保7年(1219)1月になっている。義時が運慶に作らせた十二神将像の一つの戌神像が鎌倉に届く。義時は半年前に戌の神の夢を見る…そこで薬師堂を建立することにした。

そしてすぐに建保7年(1219年)1月26日…実朝暗殺の前日に。公暁と三浦兄弟が「明日の計画」を話し合ったその後、すぐにその当日建保7年(1219年)1月27日に。

この回はその日1日に起こった様々な出来事。


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この日以前にあった記録に残る出来事は(以下wikipedia)
建保6年(1218年)1月13日、実朝、権大納言に任ぜられる。
2月に京を訪ねた北条政子が藤原兼子と「実朝の後継として後鳥羽上皇の皇子を東下させること」を約束し合う(43回)
3月16日 実朝は左近衛大将と左馬寮御監を兼ねる(43回)
10月9日 内大臣を兼ね、
12月2日 九条良輔の薨去により右大臣へ転ずる。武士としては初めての右大臣であった。
12月21日 昇任を祝う翌年の鶴岡八幡宮拝賀のため、装束や車などが後鳥羽上皇より贈られる
12月26日 随兵の沙汰を行う。
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実朝の右大臣拝賀式の準備も整った建保7年(1219年)1月27日当日。京からも参列者達が訪れている。


北条泰時(坂口健太郎)と仲間たち
平盛綱(きづき)北条朝時(西本たける)
式の警備を任された。昨日26日に八幡宮の坊主がやってきて行列の並びを聞いてきた。

源実朝(柿澤勇人)
式の日に母・政子に感謝を伝える。

源仲章(生田斗真)
のえと御所で貝合わせ。仲章はのえから北条の過去を聞き出そうとする。

のえ(菊地凛子)
仲章と御所で会っていたことを義時に咎められる「余計なことは言ってないだろうな」

泰時
蓑が八幡宮に運び込まれたことが報告される。
泰時の胸騒ぎ…三浦の館に武装した兵達。式の警備には数が多すぎる。
今日の拝賀式は取りやめたほうがいいかも。
公暁が鎌倉殿を襲うかも? ここで最初に問題に気づいた泰時

北条義時(小栗旬)泰時 三浦義村(山本耕史)
二人は三浦に問う。三浦は泰時と義時の懸念を完全否定「若君は鎌倉殿に取って代わろうなどという気はない」それが嘘であることを察する北条親子

実朝 仲章 義時
不穏な空気を受けて義時が中止を進言するが…
仲章「今更中止になどできるわけがない。京からの方々も鎌倉入りしている」
それなら警備の数を増やして。
仲章「私が任されてる。口出し無用」
実朝「…なぜ公暁が私を?…」
「それより考えがある。私はいずれ京に行こうと思う。ゆくゆくは御所を西へ。内裏に近いほうが都合がよい。六波羅にしよう。まだ先の話だけど。義時、今日の太刀持よろしくね」
義時が憤る

義時 仲章 廊下で
仲章が義時にカマをかける「頼家様になにがあった?」うまくかわす義時。しかし「なにかありそうだね」と仲章は食いつく「あとはとことん調べるのみ。主人殺しは最も重い罪」
義時「そなたの目当てはなんだ」
仲章「京で燻ってるよりここで自分の腕を試したい。人の上に立ちたい。目ざわりな(北条の)執権は消え、鎌倉殿は大御所に、新たに親王を将軍にお迎えし私がそれを支える」
バチバチ火花を散らす義時と仲章

大江広元(栗原英雄) 義時
大江「仲彰には死んでもらいましょう」

義時トウ(山本千尋)に仲章の殺害を命じる

政子(小池栄子)実衣(宮澤エマ)
式に参列するつもりでいたが雪が降ってきた。

泰時 

三浦館を訪ねる。泰時「今日の儀式には参加しないでくれ」

三浦兄弟 義村+胤義(岸田タツヤ)
「感づかれた。今日はとりやめ。若君にも伝えろ」

義時 泰時
帰ってきた泰時「やはり北条の兵を増やそう」
義時「その必要はない。謀反を示す証拠はない。詮索は無用」
怪訝な顔の泰時

公暁(寛一郎)と僧兵
「三浦は忘れる。我らだけで」

母の涙 つつじ

つつじ(北香那)公暁
公暁の母・つつじが訪ねてくる。公暁の様子から察したつつじが息子を止めようとする。
つつじ「おかしなことを考えてはいませんね」
公暁「なぜそうお思いですか」
つつじ「あなたの母親だからです。あなたが厳しい修行をしている隣で実朝様の右大臣の拝賀が行われようとしている。恨みも募りましょう。…あなたはあなたの道を生きるのです。立派な僧となって八幡宮の別当として鎌倉殿をお支えする。それが天から与えられた道」
反発する公暁「では母上が与えられた道とは何なのですか。父上を無残に殺され、息子を仏門に入れられ、暗君の妻として言われなき汚名を受けて生きなければならなかった母上の道とは」
つつじ「誰がそんなことを。私は少しも悔いてはおりません。頼家様が私に授けてくれたあなたがいたから。あなたがすべきは千日参篭を成し遂げること。命を危うくしてはなりません。生きるのです。父上の分も」

泰時 実朝に
鎧と短刀を持たせようとする。
断る実朝。実朝「太郎のわがまま、どうかお聞き届けください」

義時 運慶
(相島一之)

義時 時房(瀬戸康史)
義時「お前にだけは伝える。ここからは修羅の道だ。源仲章には死んでもらう。公暁が鎌倉殿を狙っておる。おそらく今夜だ。拝賀式の最中」 
うろたえる時房「すぐに公暁を取り押さえましょう」
義時「余計なことはするな」
この時の時房の表情の変化がいい。一秒一秒表情が変わる。
義時「もはや愛想は尽きた。あのお方は鎌倉を捨てて武家の都を別のところに移そうと考えておる。そんなお人に鎌倉殿を続けさせるわけにはいかぬ。断じて」

冷静 時房

実朝 三善康信(小林隆)
実朝「(公暁の恨みが)わからないではないが、どうもおかしい。仏門に入った公暁がなぜそこまで鎌倉殿にこだわるのか。あの頃のことを知っているものは数少ない。本当はなにがあった?」
↑ここで三善さんが実朝に全部話してしまうわけです。大問題

教えて三善さん

トウの仲章暗殺失敗 捕らえられる

政子 実朝
三善康信から「過去の話」を聞いた実朝が政子を問い詰める。
実朝「なぜ黙っていた?公暁が私を恨むのは当たり前。私は鎌倉殿の座を返上しなければ」
政子「公暁は出家しました」
実朝「それも母上が無理やりさせた」
政子「あの子を守るため」
実朝「いいえ、兄上が比企と近かったからです」
政子「北条が生き延びるにはそうするしかなかった」
実朝「全ては北条のため。私は鎌倉殿になるべきではなかった…」「教えてください、公暁をないがしろにしてなぜ平気なのですか。兄上がそんなに憎いのですか。私と同じ、自分の腹を痛めて生んだ子ではないですか。私は母上がわからない。あなたという人が」
このシーンも母と息子のシーン。過去を知った実朝が政子に詰め寄る。そして「あなたがわからない」と言う。これは政子さん、辛い。彼女は過去に頼家にも同じように拒否されているのですよね。頼家は比企を滅ぼした、せつを殺したと言って政子を拒絶した。そしてまた実朝も彼女を拒絶する。辛い。しかしいつも受け身だった政子さんに何ができたというのだろう。この時の実朝の芝居がまた熱い。政子さんは言葉もなく泣き崩れる。

そしてここでびっくり展開
実朝が公暁を訪ねて八幡宮にやってくる!
公暁に謝る実朝「さぞ私が憎いだろう。お前の気持ちは痛いほどわかる」
公暁「あなたに私の気持ちなどわかるはずがない。幼い頃からまわりから押し上げられ、何一つ不自由せず暮らしてきたあなたに、志半ばで殺された父や、日陰でひっそりと生きてきた母の悔しさがわかるはずがない。私はただ父の汚名を晴らしたい。それだけです。あなたが憎いのではない。父を殺しあなたを担ぎ上げた北条が許せないのです」
実朝「ならば我らで力を合わせよう。父上のおつくりになったこの鎌倉を我ら源氏の手に取り戻す。我らが手を結べば必ず勝てる。ただしこれ以上血を流したくはない。悪を討つなら戦ではなく正々堂々と裁きを受けさせればいい」
うなずく公暁。
しかしその後公暁「だまされるものか」

政子 義時
義時「私たちは自分のしてきたことを背負って生きるしかない。…正しいと思った道を選んでここまでやってきた。今更誰に何を言われようと怯んではなりません。私たちは正しかった」←やっと心が決まったのね。
政子さん、やっぱりちょっと冷たいのかもなぁ。あのように息子・実朝から拒絶されても真っ直ぐに座って普通に会話ができている。

義時 時房
しばらく前に太子堂で義時が話す
公暁が鎌倉殿を討ったら、その場で私が公暁を討ち取る。それで終わりだ」
義時はどちらも殺そうとしている。やっと迷わなくなったか。

式の始まり。雪の降る階段。美しいシーン。

うわあああ嫌な奴ー笑笑笑 仲章面白すぎ

義時 仲章
義時が太刀持の準備…
そこにキーンと耳障りな音。後ろから源仲章。トウに殺害を命じた仲章が生きている!
仲章「私を狙った雑色を捕らえた。必ず吐かせてみせる。しくじったな」

実朝 千世(加藤小夏)
千世「右大臣様 いってらっしゃいませ」
実朝「私は上皇様に二つ感謝しなければならない。このような過分な官位をくださったことと、お前を引き合わせてくれたこと」💕涙 千世ちゃんがかわいい。

外 雪が積もり始めている

三浦兄弟
「若君が見事本懐を遂げられた時は我らもすぐに挙兵する」

八幡宮内で式が行われている。
御簾の後ろには政子 

泰時と仲間たち 警護中 扉の外
偵察に行った平守綱「やはり公暁様は別当房にはいませんでした」
階段の絵図面を持ち帰ってきた。「これは公暁殿が潜むところ。イチョウの影か。これは鎌倉殿。もう一つ…まさか…父上」

粉雪は犬の刻を過ぎた頃から牡丹雪。