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2018年8月14日火曜日

映画『おまえうまそうだな』(2010):可愛い獲物・肉食のジレンマ







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『おまえうまそうだな(2010年)/日/カラー・アニメーション
89分/監督:藤森雅也』
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ちょっと前のTV  Japanでの放送の録画を鑑賞。
 
思いがけずシュールな映画。子供向けの映画だと思うのだけれど、印象はとてもシュール。変な話と言えば変な話。変な設定だから次の展開が予想できない…だから飽きずに最後まで見れてしまう。最後は無難にまとめたような感じもありますが、十分面白かった。
 
背景が絵画のように極彩色で綺麗なのに、肝心の恐竜キャラが子供の落書きのように簡単なデザインなのは何故だろう? そのアンバランスさもこの映画がシュールに見える理由のひとつ。絵のバランスが妙でちょっと変。
 
…と最初は思ったのだけれど、キャラをこういう単純なデザインにしたのは意図的なのかもしれない。肉食獣の描写を詳しく描きたくなかったからだろうかとも思った。子供向けの映画ですもんね。主人公のハートが結構獲物を殺して食べてますからね。子供向けの映画では恐竜同士が血みどろで戦ってはいけないのだろうな。
 
タイトルが「おまえうまそうだな」というぐらいなので、実はもっとショッキングなシーンが出てくるのかと思っていた。食べる食べないの話だけではなく…誰かが火山で死んでしまうとか…もっとキツイ場面があるのかと思っていたら、ほぼ皆無事だったのでちょっと拍子抜け。これも子供向けだからなのかな。
 
 
この映画の全体にシュールな感じは、食べる側と食べられる側が会話が出来ることからくるものだろうかとも思う。
 
肉食獣がいて食べられる側の草食獣がいる。そしてそれぞれが同じ言葉を喋ってお互いに会話ができるわけですよこの映画では。だから妙ですよね。さっきまで喋ってた相手を食べるって…それはとても変でしょう。ハートが肉食に目覚めたのも、意地悪な青い肉食恐竜の尻尾を食べちゃった場面。あれをリアルな描写でやったら絵的に困るのか。
 
…そんな風に話がとてもシュール。恐竜が喋ってキャラが完全に擬人化されているのに、お互いに食べる食べないをやっていて…妙。
 
人間に置き換えるならば、喋る=イコール心がわかるということで…。例えば人が牛や豚をペットとして飼って、彼らの心がわかるようになったら人間は彼らを食べられるだろう…か? たぶん食べたくないですよね。
 
私も猫さんと暮らすようになってつくづく思うのは…、四足の(人間以外の)哺乳類というのはみんなそれぞれそれなりに知恵があって感情もあって…驚くほど人間と同じような心を持っていて…どんな動物でもペットとして(家族として)一緒に暮らせば、人は彼らの心がわかるようになるのではないか。牛でも豚でも喜んだり寂しがったりする…人がそんな彼らの心の動きを実際に感じたとしたら、もしかしたら人間は彼らのこと食べられなくなるのではないか。そんなこともちょっと考えさせられた。豚は頭がいいらしいですもんね。懐いて可愛くなったらとんかつを見るのは辛いのかもしれない。
 
お母さんの声が妙に色っぽいと思ったら原田知世さんだそうだ。ちょっとかっこいい声のバクーは別所哲也さん。それにアンキロサウルスのウマソウ君は加藤清史郎君だそうだ。ウマソウ君の声がとても可愛い。