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2018年7月4日水曜日

映画『ぼくの名前はズッキーニ/Ma vie de Courgette/My Life as a Zucchini』(2016):子供らしい子供達・声が決め手







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Ma vie de Courgette2016年)/スイス・仏/カラー
66分/監督:Claude Barras
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Netflixで鑑賞。
- 2回目を見てきた(76)。1回目よりもっといい映画だと思った。かなりいい映画。感想もちょっと追加しました。 


★ちょっとネタバレ注意

ずっと気になっていた作品。去年劇場でリリースされた時に見逃したのだけれど批評家から高い評価を受けていた。トレーラーもとても可愛い。

素晴らしかったです。

なんだろうな…この映画は「傑作」とか「超感動した」とか「今年一番」とか「涙が出て止まらない」…なとどいう積極的な褒め言葉が似合う作品ではないのかもしれない。しかしじんわりといい。しみじみといい。
 
とにかく子供が可愛いんですよ。もーかわいい本当にかわいい。
 
孤児院の子供の話としては割に普通の話だと思う。子供達が施設にやってきた理由がかなりハード(アルコール、薬、不法移民、虐待…)ですが、ヨーロッパではそれほど珍しいことではないのかもしれない。それに子供も見るであろうアニメーションに、そういうハードな話を描くのも欧州らしいやりかただろうと思います。事実を隠すことはしないのだろう。主人公が最後に幸せになるのは予想どおり。軸は普通の子供達と普通の優しい大人達の話だろうと思います。問題のある大人もいればいい大人もいる。大冒険があるわけでもなし。宇宙人が現れるわけでもなし…。

しかししみじみといい。

子供達の自然な無邪気さがいい。子供が子供らしい。だから可愛い。(個人的な好みの問題だとは思うけれど近年のハリウッド製作の3Dアニメの子供キャラは不自然に大人びていてうるさくてしょうがない)この映画の子供達は戸惑いも迷いも弱々しさも本当にリアルに子供らしい。だからいい。


作り手の方々が丁寧に心を込めて作った作品。粘土で作った人形をコマ撮りしたストップモーション・アニメーションですが、全てのデザイン(美術)が可愛い。ママのビール缶も大切な凧も、四角い車も建物も、鉤針編みの子供のセーターも帽子も、風景もお布団のパックマン・モンスターの模様も全てが可愛い。そして子供達が可愛い。子供達が小さな口でフライドポテトを食べる様子がまたたまらなく可愛い。子供達は皆いつもびっくりしたような目なのに驚くほど表情豊か。

本当にかわいい。

そして優しく正しい大人達。警察官のおじさんや先生たちがいい人。イカール君を思いやって先生達も彼をズッキーニと呼ぶ。彼らがいるから子供達がのびのびと過ごせる。悪い大人もいるけれど優しく子供達を見守る正しい大人達もいる…普通のことだけれど本当に大切です。
 
 
メイキングが動画サイトにあがっていたので少し見たのだけれど、この作品の子供達の声は、声優の子供達にスタジオで実際に演技をさせて録音したものだそうです。監督さんが「この作品の半分は子供達の声にある」とおっしゃっていてなるほどと思った。確かに。この映画は子供達の声がいいんですよね。おとなしいズッキーニ(クルジェット)君も、かっこいいシモン君も、あの声だからいい。(日本語吹き替え版はズッキーニ君の声が大人の男性だそうですがなぜそうなった?疑問??)
 
本当に丁寧に作られていて小さな宝石のような作品。長さは66分で短いのだけれど綺麗に完結。いい映画を見た。宝物のように時々取り出してまたじっくり眺め味わいたい。
 
それにしても孤児院の話は、孤児院に残る子供達の事がいつも気になってしょうがない。あの子達はその後どうなったのだろう。皆幸せになって欲しい。