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2018年1月23日火曜日

NHK スペシャルドラマ『龍馬の遺言』・感想



年の初めに放送されたNHK時代劇を2つ見た。一つは正月時代劇の『風雲児たち』。もう一つはスペシャルドラマ『龍馬の遺言』。この二つのドラマがそれぞれ正反対の印象だったのが面白い。
 
言いたいことをまとめるなら
・『風雲児たち』はスターを見るドラマとしては面白いけど歴史ドラマとしては中身も面白味も無い。
・『龍馬の遺言』は歴史ドラマとして面白いけれどペースが遅くて眠くなる。

…以前からどうやったら大河ドラマを復活できるのか…などとと考えているのだが、その答えはこの二つの正反対のドラマの間のどこかにあるのではないかと思った。

それぞれの感想を書いていこう。

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●『龍馬の遺言』感想

録画をしばらく前に視聴。このドラマの日本での放送は去年の1229日。

いや~難しかった。海亀は実は幕末をよく知らない。途中でちょっと眠くなった(睡眠不足)。

しかし歴史ドラマとしてはかなりいいドラマだったのでは。龍馬さん周りの歴史をよく知らないので、このドラマの内容が唸るほどいいのかどうかはわからなかったけれど、真面目な歴史ドラマとしての雰囲気はとてもよかった。このドラマの演出は近年の大河ドラマとは全然違いますね。静かで穏やかなドラマなので少し眠くなったけれど内容は興味深い。(居眠りしたので)途中でわからなくなったがどうしても内容が知りたい…というわけで録画を3回見直した。理解できたと思う。面白かったです。


★あらすじ
龍馬の最後の30日の様子。龍馬の計画。そして暗殺。その後、その暗殺は誰がやったのか…の種明かし。


俳優さん達が大声を出さず呟くように芝居をする。それがすごく良かった。静かなドラマ。『半沢直樹』以降に増えた無駄にうるさいドラマとは全然違う。今どきこんなに静かな雰囲気のドラマは珍しいのではないか。すごくいい。

内容も真面目。内容は歴史のみ。キャラクターの人となりを掘り下げることも、ギャグに逃げる事もない。女性は一人も出てこない。資料を元にした真面目な歴史ドラマなのだろう。視聴者はある程度の歴史の知識がないと難しいかもしれない。いや元々このドラマは最初から歴史ファンだけのために作られたドラマなのだろう。

俳優さん達が歴史上の人物達を淡々と演じている。実は数名の有名な方を除いて馴染みのない役者さんも多い。どの俳優さんもスター性だけで売っている方々ではないのだろう。しかしそれがとてもいい。どの俳優さんも演じる歴史上の人物(役)が前に出ていて、俳優さん個人が前面に出ていないのがとてもいい


このドラマの役者さんのあり方は、三谷さんの『風雲児』とは正反対ですね。

三谷さんのドラマは、俳優さん達一人一人をスターとして輝かせるタイプのドラマ俳優さん個人の個性ありきで、その上にドラマが乗っているような演出。俳優さんに目が行くから内容が薄くてもとりあえず面白く見られる。しかしギャグや俳優さんの個性が邪魔になって歴史ドラマとしての面白さが見えなくなってしまう事も多い。

それに比べて、このドラマの芝居はあくまでも歴史上の人物を演じて物語りを伝えるためのもの。俳優さん達は個人の色を消しているようにさえ見える。近年のドラマはこういう静かな演技、演出がとても少ない。だからとても新鮮。


演出のせいで全体に役者さん達が地味なんですよ。そして静かだから眠くなる…ところが(内容を知りたかったので)3回も見直したら、見れば見るほど面白くなった。これは歴史ドラマのあり方としてちょっと考えどころかもしれないと思った。

歴史ドラマとしては、大変いいドラマのあり方なのかも。


とても静かで派手に気を引く演出ではないので、おそらく長期の大河ドラマなどには向かないのだろうと思う。しかし単発の歴史ドラマとしてなら十分可能性はあると思う。こういうのをまた時々見たいと思う。スターありきではなく俳優さん達が役を真摯に演じ、静かな演出で、歴史上の物語を見せるためのドラマ。歴史好きを唸らせ、視聴者に歴史を学ばせ、目を開かせて、考えさせてくれるような真面目な歴史ドラマ…を、時々単発でやって欲しい。


このドラマの坂本龍馬(新井浩文)は淡々と飄々とした人物。つかみどころが無い。穏やかな物腰なのにちょっと目が怖い。何を考えているのかわからない。ミステリアスな人物の設定なんでしょうね。詐欺師だと言ってますね。面白いです。

龍馬の新井さん以外にも伊藤さん、宇梶さん、筒井さん…と有名な方々は出ていらっしゃるのですが、それ以外の脇役の俳優さん達もいい雰囲気でした。渋い中根雪江(苅谷俊介)。不気味で怖い中村慎太郎(山本浩司)。どっしり西郷吉之助(井之上淳)は似ている。木戸準一郎(佐渡山順久)はイケメン…。演出のせいなのか皆さん全員が渋い…とても大人な役者さん達に見えた。ちょっと昭和の時代劇みたいな感じ。

★ネタバレ注意
龍馬は松平春嶽を新政府のトップに推していたが、その意図を誤解して幕府の旗元・永井尚志が龍馬を暗殺するというストーリー。

この辺りの歴史をよく知らないので、ちょっと調べようと思います。ドラマを見て史実を調べたくなるのがこういうドラマのいいところ。歴史を知るきっかけになるようなこんなドラマがまた見たいと思う。