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2017年11月14日火曜日

Joni Mitchell – Black Crow (1976)



ジャコさんのベースの音。




Joni Mitchell – Black Crow (1976)
 
Album: Hejira
Released: Nov 1, 1976
℗ 1976 Asylum Records

Album: Shadows and Light (Live)
Released: Sep 1, 1980
℗ 1980 Elektra/Asylum Records


このライブの映像は映像作品『Shadows and Light (1980)』から。1979年のジョニ・ミッチェルさんのライブ。バック・バンドのメンバーが大物ばかり。凄い時代。

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Joni Mitchell - electric guitar, vocals
Pat Metheny - lead guitar
Jaco Pastorius - fretless bass (Fender Jazz)
Don Alias - drums, percussion
Lyle Mays - electric piano (Rhodes), synthesizer (Oberheim FVS-1)
Michael Brecker - saxophones
The Persuasions - backing vocals on "Why Do Fools Fall in Love" and "Shadows and Light"
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今までジャコ・パストリアスさんのことを書かなかった理由は、(昨日書いたように)私がジャコさんの音楽のファンになる前に御本人のファンになってしまったことによる。ちと恥ずかしい。彼のことはアイドル的にかっこいいなと思ったのに、ベースのことは実はよくわからなくて彼の音楽のこともあまり語れなかったから。

でも今なら以前よりはもう少し彼の音楽を理解できるかもしれない。


若い頃に(たぶん今でも)ジャコさんの凄さがよくわからなかったのは、私がベースのことを全く知らないことによる。ベースの音が大好きなのに実はベースには触ったこともない(たぶん触る機会が今までなかった)。だからベースを弾く方々がプロもアマもジャコさんのことを神様のように語る理由がわからなかった。

先日の神/仮バンドのBohさんのトーク動画を見ていたら、フレットレスのベースで正確な音を出すのがいかに難しいのかということを説明なさっていた。知らなかった情報。フレットレスってそんなに難しいんだ…。ジャコさんがフレットレスを弾いていたのは知っている。ああきっとそういうのも凄いことの一つなのだろう。フレットレスの上に、あのリズム、あのフレーズ、あの技巧、あの音…私にはわからない色々な凄い事がきっと沢山あるんだろうと思う。それがわかる方々が少し羨ましい。


25年ほど前に彼の関わった音楽を手当たり次第に聴いていた頃に、一番好きだったのはジョニ・ミッチェルさんの曲だった。第一の理由はインストではなく歌だったから。単純にわかりやすかった。

ジャコさんのベースの音も好き。ジャコさんのベースはジョニさんのバックをしている時がたぶん一番好き。音の相性がいいのだろう。ベースの音もとても綺麗に聴こえる。

単純にジョニさんの作る音が気持ちよかったというだけなのかもしれないけれど。


この曲はアルバム『Hejira』からの好きな曲。ベースの音の綺麗な「Coyote」とどちらにしようか迷った。スタジオver.はベースのポーン・ポーンと高く響く音が気持ちいい。ジョニさんの楽曲ではジャコさんの音もクリアに美しく響く。それにギターの音も綺麗。この曲を聴くとなぜか泣きそうになる。


何事も、自分の知らないジャンルや分野に一歩足を踏み出すのは勇気がいる。いや踏み出す勇気どころか、単純に知る機会も無ければ一生知らないことだって沢山あるだろう。音楽も同じ。20代にどのような理由であれ、ジャコさんに出会って(背伸びをしながらも)それまで知らなかった音楽の分野に触れたことは本当によかったと今になって思う。

彼に導かれるままフュージョンやジャズを齧り、ジャコさんが関わらなければおそらく知ることもなかっただろうジョニ・ミッチェルさんの音楽にも出会うことが出来た。

20代に無理してジャズやフュージョンを齧ったから、その後もそのジャンルに継続して興味を保ち続けることができたし、後に英国で出会ったスムース・ジャズ、アシッド・ジャズにも抵抗無く馴染む事が出来た。その後日本のフュージョンや海外の大御所の音楽にも興味を広げられたのはきっと20代にジャコさんを知ったおかげ。

ちょっと齧っただけで、わからないからと投げ出さなくてよかったと思う。当時買い揃えたCDは今も棚に収まっている。聴こうと思えばいつでも取り出して聴ける。


このエントリーを書きながら今ジョニさんの『Mingus』を聴いている。いいアルバム。コヨーテが鳴く冷たい空気の流れる曲。静かなジャコさんのベースが聴こえる曲。本当に綺麗だ。

それにしてもジョニ・ミッチェルさんは素敵だ。声が好き。乾いたギターの音が好き。彼女の曲は琴線に触れる。

今なら英語が読める。歌詞ももう少し真面目に調べてみよう。

追記
2023年・訳した。どうやらツアーで疲れた時に書いた歌のようだ。
自分をやつれたカラスに例えている。


Black Crow
Joni Mitchell
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カラスが飛んでいる
黒く ぼろぼろの
木から木へ
彼は黒く 私を導くハイウェイのように
ほら 下降している
何か 光るものを拾うために
私は あの黒いカラスのように感じて
飛んでいる
青い空の中

フェリーに乗ってハイウェイへ
それから水上飛行機へドライブした
飛行機からタクシーへ
そしてタクシーから列車へ
私はあまりに長い間 旅をし続けて
どうやったら自分の家がわかるようになるのか
もう一度見るのか
私は 黒いカラスが飛んでいるよう
青い 青い空の中

愛と音楽を探し求めて
私の人生は
イルミネーションのよう
頽廃と
そして下降 落ちて 堕ちて 堕ちて
堕ちてから 全ての光るものを拾い上げる
まるで黒いカラスが飛ぶように
青い空の中

あの朝 見た
一晩中起きていた後で
バスルームの明かりで自分のやつれた顔を見た
窓の外を見た
そして私は ボロボロの魂が飛び立つのを見た
黒いカラスが飛んでいた
青い空の中

Ooh, 私はまるで黒いカラスが飛んでいるようなもの
青い空の中


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Songwriters: Joni Mitchell


Jaco Pastorius & Pee Wee Ellis - The Chicken (1969 The James Brown Band original)
Jaco Pastorius - Kuru/Speak Like a Child (1976)
Joni Mitchell - Black Crow (1976)
Joni Mitchell – Coyote (1976)