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2017年7月27日木曜日

NHK 土曜時代劇『澪つくし料理帳』全8回・感想



日本では513日から78日まで放送。

このドラマはウブな町娘黒木華さんと、彼女を上から目線で愛でる森山未來侍を見て楽しむドラマ。そこに誠実で優しい永山絢斗町医者がやってきて、黒木華ちゃんに片思い…でますます楽しい。

全体の物語はよく見ていなかった(すまぬ)。お料理はおいしそうだけどストーリーとしてはあまり入り込めなかったのかも。…しかし俳優さん達は素晴らしい。小日向文世さんがいい。俳優さん達を見るだけでもいいドラマ。

しかし私には、とにかく森山未來侍と黒木華町娘のほのぼのとしたやりとりがよかった。澪ちゃんは子供かと思うくらいウブ。そこに森山未來侍が上から目線でからんでくる。いいですねこの二人。化学反応なのかな。

森山未來侍/小松原が色っぽいんですよ。森山さんといえば2013年の『夫婦善哉』でも色気がある色気がある…と感想を書いたんですけど、今回も真面目な役柄にも関わらず、やっぱり強烈な色気。不思議な俳優さん。あの色気はどこからくるのか。やっぱり鼻の形がいい…声もいい。

森山さんは妙に男臭いのね。『夫婦善哉』では、大人の女・尾野真千子さんを相手に、色気ばかりあるダメ男をなさってましたが、今回は真面目な侍。実は御膳奉行だそうで、なるほどあの自信に溢れて落ち着いた大人な感じはそこなのか…。その大人の男が若いイノセントな小娘澪ちゃんを可愛がる。

一方、黒木華/澪ちゃんは純粋。黒木さんのイノセントな雰囲気はこういうドラマには本当にいい。近年の女優さん達にはあまりイノセンスを感じなけれど黒木さんには感じる。彼女も現代の若い女優さんなのであの初々しさは演技なのだろうけれど、澪ちゃんのイノセンスには納得できる。

例えば、永山絢斗町医者が明らかに自分に惹かれているのに、ウブな澪ちゃんは気付かない。気付かない振りをしているのではなくて本当に気付いていない。鈍感というかウブ過ぎるというのか…その様子が信じられるんですよ。他の女優さんがやったら「なんだわかっているくせに気付かない振りをしやがって…わるい女ね」と思うだろうに、黒木華さんがやると「ああこの子は本当にわからないのねぇ」と思ってしまう。

澪ちゃんのイノセンスに説得力があるのは黒木さんの持つ雰囲気。黒木さんのお顔は、6歳ぐらいの小さな女の子がそのままのお顔で大人になったような感じ。はにかみが何とも言えず可愛い。大変貴重。

森山未來侍/小松原が、そんな澪ちゃんを子供を相手にするように可愛がる。しかし色気があるんだよなぁ。澪ちゃんには色気は無い。それなのにこの二人には妙な化学反応があると思う。

話していた小松原が、突然澪ちゃんの額を指で突いて眉を「下がり眉」にする場面…困る澪ちゃん。外で話していても急に眉間を押されて澪ちゃんがまた戸惑う。節分の豆を小松原が片手でとって、澪ちゃんに渡す場面…澪ちゃんの「50個くらい?」に対して「38個くらいか」と豆を渡す。その時の澪ちゃんの一瞬の怪訝な顔もいい。小松原の思わせぶりな「(炒り豆が)この上なく好きだ」の言葉にも、澪ちゃんはどう反応していいのかわからない。この二人にはこういう小さな場面でいい化学反応が見えた。

澪ちゃんは小松原さんが大好きなんですよね。そして小松原さんも澪ちゃんのことを可愛いと思っていて…それなのに彼女はウブ過ぎて小松原さんの好意に気付いていない。いや気付いていてもどうすればいいのかわからない。彼女はただ小松原さんのことが好き。まるで子供のように。恋に恋する乙女のように。だから振り向かない小松原さんの後ろ姿を見つめるだけで満足している。

そんな(子供のようにイノセントな)澪ちゃんに、真面目な永山絢斗町医者が密かに思いを寄せる。澪ちゃんはそれにも全く気付いていない。切ないねぇ。

…しかし御膳奉行と町娘とは、今後も身分の違いで結ばれることはないでしょう。このドラマは続編があるのかな。あっても悲恋なのかなぁ。

…この二人は同じようなキャラ設定でいつか恋に落ちる様子も見てみたいな。歌舞伎役者とウブな町娘とかどうよ…?