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2017年4月13日木曜日

NHK大河ドラマ「真田丸」第49回「前夜」 12月11日放送



とうとう冬の陣の開始です。

この感想を書くのに、録画をまた見直しながら書いてるんですけど、去年の放送時にこの回を見たときにはさらさらっと見て印象が薄かった気がするんですよ。それなのに今回改めてメモを取りながらじっくり見ていると人物達に愛着が湧いているのか、一人一人倒れていくのが悲しい。

みんなの似顔絵を描いたからかなぁ…。後藤又兵衛も長宗我部さんも亡くなっちゃった。最後のみんなの頑張りはもう少し詳しく描いてくれればいいのに。みんなさらさらっといつの間にか戦死。

これ、脚本家や演出家の好みによっては、大坂の陣での見せ場になるところだと思うんですよ。馴染みの武将達がチャンバラを沢山見せた後で最後は討ち取られて死んでいく…。私はそういう場面を期待しているんだろうなぁ。どうもこのドラマはこういう場面がナレーションの多用と共に一瞬で終わっちゃうんで物足りない。

それでも今回は、じっくり見ればいい場面が多かったように思います。相変わらず情報が多いので、ひとつひとつの場面が短すぎて心に残らないんだけれど、じっくり見ればそれぞれの場面は悪くない。終わりに向って描きたい内容が多すぎたんじゃないのか。

時間配分を間違ったんじゃないのかなぁ。大坂夏の陣だけで34回分ぐらいできそう。もっと武将達一人一人の最後に踏み込んだ描写を見たかった。例えば、以前の信之とお通さんとの場面なんてどうでもいいんですよ。そういう話をカットして、もう少し大坂方の最後の頑張りに時間をとって欲しかった。


★それでは良かった場面。

・大坂へ幸村に会いに行くという信之お兄ちゃんに、鬼嫁稲ちゃんが説教「敵に内通すれば真田の家が危ない。真田とわからないように行って、必ず帰ってくること。」これは彼女が正しい。さすが武家の娘だ。

・血気盛んな秀忠「総攻め。豊臣の血はこの戦で断ち切るのです。秀頼を亡き者にせねば、この戦は終わりません。」確かに。きつく聞こえますけど実際にはこれが正論。豊臣の血を絶やす…というのは長い間安定した江戸時代のためには必要だったのでしょう。過去には平家と頼朝・義経の話もあるし、こういう考えは実際にあったでしょうね。秀頼を残さないことで、他の大名たちに反徳川で立ち上がる理由を与えない。秀忠がこれを言ったとは思わないけれど…こういうことを考えたのは家康でしょう(いやよくは知らない)。仮に秀頼が城を出て徳川に降伏したとしても、いずれ暗殺されたかも。徳川が天下を取るためにはしょうがない。中世では特に酷い話ではない。

・徳川からの降伏を促す書状に秀頼「徳川とは手切れといたす。」理由は牢人達を連れていけないから…。この秀頼くんは牢人を思いやるキャラですけど、実際の徳川との決別はどうだったんでしょうね。ここで降伏していれば救われた命は多かったかも…うーん。しかし牢人達はその後どこかの大名に召抱えられるのか、それとも農民になって無名のまま生きるのか…。それよりも大坂の陣で戦って歴史に名を残したことを良しとするのか。

塙団右衛門の死。あまりにもあっさり。先日似顔絵を描いたばっかりなのに…。彼は可愛かった。

・信尹叔父さんと信之お兄ちゃんが幸村に会いにきた。徳川は幸村に信濃一国を与えるという。しかし幸村は拒否。死ぬつもり。(別れの)酒を一緒に飲みたいと言った幸村を信之が拒否。うーん辛いねぇ。しかし信尹叔父さんはわかってくれているのね。幸村に対し「生きたいように生きればよい」=「ここで死にたいのならそれもいい」。このお方は以前信繁に「俺のようにはなるな」と言いましたね。幸村の決断を否定はしない。

・上杉と徳川。上杉「この戦には大儀がない。(幸村は)わしがそうありたいと思う人生を生きておる。」そう。このお方もドラマの最後に向って幸村の選択を賞賛。上杉、徳川の俳優さんお二人の台詞の間…重みがいい場面。

 …この信尹、そして上杉氏の台詞は現代の視聴者に対して幸村の死の理由付けをしてるんだろうと思います。この大坂夏の陣は、大坂方にとってはかなり無謀な戦争で、大坂方が負けるのは最初からわかっているんですよね。一方徳川は秀頼の命の保証と、幸村には信濃一国の領地を提示している。幸村がそれを拒否して死に向かっていくのは現代人の理屈には合わないわけです。名誉の死とか、ほまれ、名声、誇り、忠誠心…そういう古臭い美学を描かなければ、大坂方の死は無駄死にだと思う視聴者もいる。幸村が自らの選択で死に向かう話は、昭和には自然に受け入れられるものだったと思うけれど、現代の若い人達には難しいかもしれない。今の世の中が「名を捨てて実を取る」時代ですから。だから信尹叔父さんや上杉氏の台詞で幸村の死の理由付け…説明をしている。

・後藤又兵衛の陣。幸村「戦は心が乱れた方が負け」そのとおり。
・毛利勝永「なんで俺に声がかからん。」後藤さんと幸村が徳川に誘われたのを聞いて文句を言ってる。このお方にも愛嬌がある。
・木村重成。この若いイケメン君は誰?兜に香を焚き染めてきた。可愛いですね。
 
・夜明け、やってきたのは伊達政宗35000。ああ伊達さんの兜はやっぱりかっこいいな。ものすごく強そうだ。
・徳川本体は13万。
・伊達さんが強い。後藤又兵衛戦死。ああああっあっけない。もったいない。
・秀頼ショック。
木村重成も戦死あああこれももったいない。戦ったのは井伊軍だそうです。
長宗我部盛親も戦死ああああこれも雑な描写。もっと見せてくださいよぉ。なんだかみんな数秒でぱらぱらっと死んじゃうのが悲しい。長宗我部さんにも愛嬌があった。
・真のスパイは厨房のジジイ。
・幸村と徳川勢がぶつかる。大助負傷。幸村勢は城へ引き返す。ここで「関東勢百万と候え、男はひとりもなく候」と言ったそうな。台詞「徳川兵に真の武士は一人もおらんのか!」
・伊達さんがかっこいいな。幸村の様子を見て攻撃を止め「あいつもよくやる」とうなずいてます。こういうのはいい。敵であっても相手の戦いぶりを賞賛している。

・帰ってきた幸村、大坂城内の家族に別れを告げる。この場面の春ちゃんがとても綺麗です。騒ぎ立てず状況を受け入れているのね。夫にも息子にももう会えないことはわかっているだろうに騒がない。さすが武家の娘だ。「決して永久の別れではない。」いずれ天国で会いましょう。家族は伊達政宗のもとへ。ほおおこれは本当なの?伊達さんは懐が深い。伊達さんかっこいいわ。
・きりちゃんはどうなるか?幸村「千姫を送り届けて沼田に帰れ」。きり「ここにもどってきます。こうなったらお上様とご一緒しますよ、最期まで。源次郎様がいない世にいてもつまらないから。」おおっ…。ここで幸村がまばたき…いきなりきりちゃんをきつく抱き締め接吻。おぉ。きりちゃんの目に涙。これはいい場面だ。


この場面は素晴らしかった。今まで文句ばっかり言ってきたのに、最後はほろりとさせられました。きりちゃんの涙にもらい泣き。このあともう少し仲良くできたのかなぁ…『ベルバラ』のオスカルとアンドレのようだわね。