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2016年6月1日水曜日

映画『Love & Friendship』(2016):未亡人の上流階級サバイバル術




 
 
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Love & Friendship2016年)/アイルランド・蘭・仏・米/カラー
92分/監督:Whit Stillman
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最近は映画評やドラマの感想でも音楽CDのレビューでも、ぐだぐだ長々と駄文を重ねることが多い。どうもいかん。もう少し完結に文を書くようにつとめたい。

というわけで、英国のジェーン・オースティン原作の映画化…『Love and Friendship』原作邦題「レイディ・スーザン」のレビュー!

この映画も西洋…特にアメリカでは大変な高評価。プロの批評家の採点を集めたRotten Tomatoesでは堂々の99点!ほーっこれは見に行かなければ。西洋の時代劇も好きだしね。いつものように前情報は全く仕入れずに見に行く。


★ネタバレ注意

うーん…あまり面白くなかった。これはね…こういうお話が好きな人にはとてもいい映画なんだろうと思います。
 
英国18世紀末。美人の未亡人スーザンさんがお金持ちの親戚を訪ねて、自分と娘のために結婚相手を見つける為に立ち回るお話。きっつい女性なんですよ。お金のことしか考えていない。なんとしてでもお金持ちの男性を見つけて結婚する…それさえ出来れば一生安泰。まあそういうお話。
 
ロマンティック・コメディというよりも必死な女の頑張りを描写した…コメディかな?ロマンティックじゃないですよね。スーザンさんをちょっとイジワルな目線で見て笑い飛ばして楽しむタイプの映画なんだろうけど、ワタクシは退屈してしまったぞ。つまんない話。全体に救いようが無いほど軽薄なんだもの。まあいいけどさ…It’s not my cup of teaですな。相性が悪い。しょうがない。
 
 
じゃあ何故そんなに世間で高評価なの?

1.センスのいい監督によるジェーン・オースティン原作の巧みな映画化
監督はアメリカ人。都会的な、センスのいい映画を撮ることで有名な方らしいです(残念ながら私は彼の過去の作品を見ていない)。彼がジェーン・オースティンの短編をもとに脚本を書き90分の映画に仕上げたものらしく、これが非常にいい出来なんだそうだ。

2.ジェーン・オースティンのエッセンスを凝縮した映画
米の映画データベースサイトImdbに寄せられた感想を見てみたら、どうやらこの映画はジェーン・オースティンのファンにはたまらない映画なんだそうだ。小説が書かれた時代のエッセンスを凝縮して上手い具合に映画化したような作品らしい。機転が利いていて楽しく軽快で、尚且つ少しの毒もあって面白い…そういうことらしいです。

なるほどね…。この映画監督の作品も見ていないし、ジェーン・オースティンも読んでいないワタクシには、この条件付高評価がよくわからなかった。確かに、センスのいい現代劇を得意とする監督が200年前のジェーン・オースティンの小説を描く…というのは面白い組み合わせなのかもしれない。しかしなんというか…ぶっちゃけ…英国好きのスノッブなアメリカ人にとっては「この映画を楽しめるワタクシはインテリでイケてるのよ」などと密かに優越感に浸る映画なのかもしれませんな…ケケケ。


途中で笑える場面もあった。お金持ちなんだけどおとぼけお人良しキャラ=Sir James Martinさんは、英国のコメディアン=リッキー・ジャーヴェイスの『Office』に出てきそうなキャラ風でかなりおかしい。結構笑った。

衣装やセットは綺麗です。18世紀末の上流階級の家というのは本当に綺麗だ。衣装も「あのドレスの生地の艶はシルクなんだろうな…」などと思う。豪華です。

英国の時代劇らしく台詞はコチコチ。ワタクシはこういう堅い英国英語がとても好きだ。


しかしながらそんなコチコチなお堅い言葉で語られている内容は、苦しくなるほど中身が無くて軽薄。この主人公の女性は、計算高く嘘つきでガツガツしてあまり上品ではないのね。かなりキツイ女性。話として深みやオチがあるわけでもない。だからだんだん退屈になってくる。つまんない話。それを面白いと思えるかどうかが、この映画を楽しめるかどうかのポイント。

上流階級で生き残るために必死で頑張る美人の未亡人…気の強いスーザンさんに共感できたり、ただただ彼女のビッチぶりを笑うためなら楽しめる映画なのかもしれませんよ。

きっとそんなに悪い映画じゃないんですよね。しかしコッポラの『ゴッドファーザー(1972)』が98点なのに、この映画が99点なんて…ありえないと思います。だから文句も言ってみたくなる。