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2014年3月12日水曜日

NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」第10回「毛利襲来」



このドラマの一番の問題は、制作の方々が、このドラマの視聴率をいかに上げるか…、いろんな好みの分かれる視聴者全員をそれぞれバラバラに喜ばせようとして、いろんな方向に頑張りすぎて、何をやりたいのか分からない印象を与えていることではないですかね。

●歴史好きを喜ばせるために、戦闘シーンは真面目に撮る。
意図:男の歴史好き、歴女を喜ばせよう。

●ただし歴史オタク用のドラマにするわけにはいかないし、そもそも難しいものは一般に好まれないようなので、史実の難しいところはぜーんぶすっ飛ばして単純化。
意図:簡単で誰にでも解る話にしよう。

●主役はもともと軍師で地味なので、アイドルを起用。
意図:女子供が喜ぶ

●そのアイドルを出来るだけ多く女に絡めれば女はもっと喜ぶだろう。
意図:女子中学生からおばちゃんまで惹きつけよう。

●とはいっても軍師の話はやはり地味なので、戦国の大スター信長・秀吉にも頑張ってもらう。
意図:とりあえず信長・秀吉を出しておけばなんとかなる。


以前からこのドラマは、戦闘シーンはいい。甘いばかりのドラマでもないが、かといって歴史好きを喜ばせるほど史実に踏み込んでいるわけでもなく、やたらと官兵衛の女絡みの話が多くて毎回どこかでげんなりする…。とある回で戦国イケイケだと思うと、次の回では急に失速してがっかりする…という、なんだかな~にをやりたいのかな…という感じなんですよね。

歴史好きの男を喜ばせて、次の場面では歴史に興味のない女性視聴者を喜ばせて、両方失速する感じ。結果、二兎を追う者は一兎をも得ず。これって問題ですよね。


今回もまさにそんな感じ。

★戦闘シーンで本格大河ファンを喜ばせよう。

前半20分は、毛利来襲で戦闘イケイケなんですよ。この場面が重厚本格大河かどうかは分からないですけど、歴史時代劇ドラマとしては十分楽しめる出来。いや…私個人的には1回分全部使ってこの戦いをじっくり見てみたかったですけど…。

とりあえず、戦闘シーンはよかったけど、足早に20分でサササと終わらせて、あとはグダグダ。せっかく先週から毛利来襲で楽しみにしてたのに、実際に戦の場面は全体の半分の長さも使ってない。だから後半のホームドラマの場面でやたらとグダグダが目立った感じ。もうげんなりよ…ほんとに。もったいないよなぁ…。

前半は、官兵衛君ががんばってるのもよかったし、母里君や善助君、九郎君もよかった。小寺の殿がひっくり返るのもまあいいでしょう(笑)。お光さんが男以上に目をギラギラさせて女親分をやってるのもよかったし、いろいろと興奮しました。面白かった。


問題はその後です。

…というわけで今週のダメだし。

★官兵衛君を女に絡めて女子供を喜ばせよう

●戦の後、官兵衛君が光さんの膝で「こわかったよぉ~」と泣く。コラもっと強気でいてくれよぉ…。光ちゃんが「でも勝ちました」と言うと、嬉しそうに「ウン」とデレデレ…いちゃいちゃする場面で3分。オイもっとしっかりしろ!

●官兵衛、次女に薬ヌリヌリ事件。おい!そんなにベタベタ他人の女に触るな!そもそも戦国武将がわざわざ侍女の部屋に一人で入って自ら塗り薬をベタベタ塗るなんておかしいやろ。いかんやろ。この場面はダメダメ。それを光の侍女が盗み見をして浮気話に発展なんて……ああ…頭が痛い。この浮気話だけで3分。

制作側の、『元々あまり外見の評判がよくない黒田官兵衛という武将に、女子に人気の男性アイドルを配することで歴史に興味の無い若い女性、中年女性、女子中高生を釣る』という意図が見え見えで鼻白む。実はこれが一番脚本にも現れていて鼻につくところ。岡田さんは歴史の知識もあるし、渋くていい雰囲気の俳優さんだと思うけれど、脚本があまりにも彼を女性に絡ませすぎ。毎回毎回女との場面が多すぎ。今回も怪我をした侍女に薬ヌリヌリ事件…。光さんの膝で「こわかったよぉ~」と泣く。上司の妻・お紺様と照れながら談笑…。なんだか…がっくりですわ。制作側が、岡田君をとりあえず女性と絡めて、照れさせたり優しくさせたりベタベタ触らせたりすると、女視聴者が喜ぶと思ってるんでしょうね。困ったものです。もちろん岡田さんご本人に罪はない。

★とりあえず信長・秀吉

唐突に「ハゲねずみ」事件。このくだらない話に4分。これが最低。このドラマのねねさんはほんとに酷いです。政治の話を差し置いて、唐突にいきなり秀吉の浮気話を持ってくるのも問題だが、このねねさん、最後にはノブ様に「秀吉を叱る手紙を書いてくれ」と直接嘆願してるのね。もうあきれて物も言えない。なんとあつかましい。ほんとに恥知らずで下品な女。昔の大河ではね、同じエピソードも、酔っ払ったねねさんが信長にうっかりぐちをこぼして、あとで一人恥じ入っていたら、優しい信長さんからお手紙が届いた…という感じだったと思う。同じ話でも印象が違うんですよ。このねねさんは可愛げが無くて下品。もうダメだ。そもそもこの話…イラナイ。

 
そんなわけで、毛利来襲→撃退シーンは面白かったし、小早川隆景さんはかっこいいし、石山本願寺も不気味でまたいいし、善助君のラブストーリーもまあ微笑ましいし、いろいろと楽しめた部分もあったんだけど…、どうも女性視聴者へのウケ狙いの場面にがっくりする…という感じでした。これからもこうやって文句を言い続けると思います。