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2012年6月24日日曜日

日本人はスーパースターになれるのか-8

--西洋におけるアジア人の芸能活動への考察




なぜアジア人は苦戦するのか -2--------------


8-●アジア人の立ち位置1 保守的な西洋人達

アジア人(それにヨーロッパ人を含む外国人)がアメリカのショービジネス界で苦戦する第1の理由は、この国の白人層が驚くほど保守的だということだろう。保守的とは、自分達の文化、社会、宗教、習慣、食生活その他様々な事に大変満足して、それが自分達の幸せのあり方だと信じて疑わないこと。そのため異文化の導入による刺激の必要性を全く感じない生活を送っているということだ。


仮に異文化に興味を持つとすれば、彼らの目はまずヨーロッパに向けられる。彼らの目には、同じ英語を話すイギリスでさえ憧れの異国だ。イギリス訛りもちょっと頭がよさそうに聞こえたりする。イタリアは情熱の国、フランスはおしゃれな国…そんなヨーロッパの国々に憧れる人は一部いる。それでも、わざわざイタリア語を学んでローマに住んでみたいと思う人はめったにいない。統計は知らないが、わざわざイタリアン・ポップスやフレンチ・ポップスを聴く人も少ないのだろう。


自分達のルーツであるヨーロッパでそれなら、訳のわからないアジアなんて興味さえ無い人がほとんどだ。彼らは寿司を食べ、TOYOTAの車を運転し、SONYのテレビを見、UNIQLOを着て、YAMAHAの楽器を演奏し、彼らの子供達は Wiiで遊ぶ。 しかし彼らの中に、こういうものを使いながらそれらが「憧れの国日本で作られたもので、そんな素晴らしいものを作っている日本人とお友達になりたい」などと思う人はまずいない。


これは第二次大戦以降、いや明治維新の頃から日本人がいかに欧米(異文化)に憧れの目を向け、その全てを良きものとして受け入れてきたかを考えれば、非常に対照的だということがわかるだろう。日本人が西洋に住んでみて一番驚くことは、私達が長い間西洋(異文化)に対して非常にオープンであったのに対して、西洋にはそのような習慣や考え方が一切無いということだ。これは人種差別などというものではない。大雑把に言えば、彼らはただ異文化に興味が無いということだ。


もう今の若い人たちはそんなことを知らないかもしれないが、日本には70年代ぐらいまで、舶来品=高級品という意識があった。当時はまだまだ西洋は憧れの国。1ドルのレートも何百円もして海外旅行は一般的ではなかった。海外は文字通り憧れの遠い国だっだのだ。広告でも雑誌でも、モデルは全てが白人。ハーシーのチョコレートが明治や森永やロッテ(当時は日本の会社だと思っていた)のチョコレートより不味くても、それがアメリカ製だというだけで有り難がっていた。トヨタの車がアメリカで売れていた頃、日本人にとってアメリカやヨーロッパ製の車は憧れの存在だったのだ。そんな頃に流行っていたアメリカのビルボードチャートのヒット曲のレコードは日本でもよく売れていた。そんな風に私達は西洋の文化を常にオープンに受け入れてきた。


そのような異種文化に対するオープンさは、ヨーロッパやアメリカには存在しない。それが、アジア人が西洋で苦戦する第1の理由だ。