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2012年4月10日火曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第14回「家盛決起」


まず、良いところから。今回、画面が綺麗です。確実に改善しました。黒はくっきりと黒。顔も明るいので表情もハッキリ見える。室内の画がはっきりくっきりでとても綺麗です。顔が見やすいと、人物の内面もよく見えるような気がする。外はそのままのようだけど、室内の場面ならこれでTVの画としては十分満足です。

それから、玉木義朝君はいいですね。最近あまり見かけない激しい男キャラがいい。うん


さて本題に…。辛口でいきます。

へぇ~~~っと思った今回。頼長さん、そういうお方なんですか…。そうですか。それにしても、今年のNHKは勇気があるというのか…無謀というのか…。宮中の男女のウダウダもそうだけど今度は男色か…。いいんですよ、うん、いいんです。しかし、本筋の政治的なお話が霞んでしまっています。お話もコーンスターチが舞っている。正直くだらない。人間、みんな男女のことや、よそ様の閨の事は興味津々だろうけど、はっきりと申しましょう、こういうもので視聴者を釣るのは最低ではないか…。

もし話が描けているのであれば、男色も大いに結構。まったく結構。しかしこの大河、最初からどうも話が薄いです。男色も、鳥羽院やたまこさま、得子さんがらみのウダウダもいいけれど、肝心の登場人物の人となりの構築と、その行動の心理:政治的な裏工作、権力欲、派閥同士の争い、嫉妬、妬み…、それにそんな世の中だからこそ光る正義感、友情、希望、家族愛…等など、複雑な人の感情を描かないと話が薄いままで終わってしまう。人物がなぜそんな行動を起しているのかの心理をきちっと描いてないと、何をやっても唐突にしか見えない。

清盛君は今回も脇。明らかに今もってダメダメ君。後にあんな大業を成し遂げた人なのに、将来性の片鱗も見えない。主人公でさえ一貫性をもって描けてないのではないか。ちょっと前に「オレは平家を背負うていく男よ」と宣言したのに、今週は弟にあっさり「お前が後を継げ」。…どっち? これでは、ちょっと役者さんが可哀想。

平忠正叔父さんも、最初は怒ってばっかりの真面目な頑固者だったのに、最近はお茶目キャラ? 西行となった義清も、最初は優雅な詩人なのに、ある日突然ストーカー件幼児虐待男。家盛もちょっと前までお兄ちゃん大好きっ子だったのに、ママの一時的な苦悩を目撃しただけで、ころっとお兄ちゃん嫌い。和久井ママは清盛を心から可愛がっているのに、未だに30年前のよその女に苦悩している(旦那さんはその女となんの関係も持っていない)。時子は野蛮人なんか嫌いなはずなのに、いつの間にかその野蛮人と結婚して光の君と呼んでいる…。どうも人物達に一貫性がない。もちろん人の感情が時間の経過につれて変わるのは当たり前だけど、このドラマではその変わった理由も経過も十分に描かれていない。

頼長も家盛と仲良くなるのはいいけれど、どうしてそんなに早く自分の魂胆をバラしてしまうのだ。早すぎる。あんな話なら最後まで騙して一人薄ら笑いをするぐらいのほうが面白いのに…。それに男色なんて当時から普通にあっただろうから男が手篭めにされたからといって、それほどショックを受ける必要もなかろう。若い女性じゃあるまいし、既婚の成人男性の貞操なんてないと思うが…。(史実はどうだったのか知らないけど)

なによりも、演じていらっしゃる俳優、女優の方々が素晴らしいのにもったいない。今回の和久井映見さん、家盛の大東駿介さんなんてほんとに素晴らしいのにどうも唐突な印象。「あたりまえの母」というのも妙な台詞…。普通は言わないと思う。

それから、今回のタイトルの「家盛決起」。なんと家盛くん、あのまま落馬して来週亡くなってしまうのですね。決起してないじゃない。家族の会話が決起なのか…。(この時代の歴史は全く知らないので)決起なんて言うからプチ戦が始まるのかと思ってた。こんな程度で決起とは言わないと思うが、もう言葉の感覚があわないのだろうか。


今年も脚本との相性が悪いらしい…。話は非常に面白いのに。


追記:来週、この家盛と頼長の関係が重要な話として使われるらしい。くだらないぞ。くだらんっ! あんなものあの時代には普通にあった事らしいのに、まだひっぱるのかっ。パパ忠盛でさえそんな噂があった時代なのに…。