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2012年2月7日火曜日

NHK大河ドラマ「秀吉」-2 -配役1


織田信長=渡哲也
信長が怖い。おそらく史実の信長とは全然違うのだろうと思う。年齢のせいもあるのだろうが(渡さん当時55歳)実際の信長はあんなに重々しく落ち着いていないだろうと思う。が、あの存在感。キレたときのあの怖さは尋常ではない。あの信長は渡信長という特別なキャラクターなのだと思う。声が凄まじい。怒鳴られるとほんとに怖い。この人が怒ると急に場の空気が凍りつく。予想不可能な狂気、威厳、父性、それにとてつもない魅力を全て併せ持ち尚且つ「こういう人もいるかもしれない」と信じられる存在感は渡信長以外に考えられない。

秀吉が場面上臭いせりふを言ったりするのだが、カメラがこの人に移った途端、そんな臭いせりふも吹っ飛んでしまうほどの迫力。この渡信長と竹中秀吉のコンビは最強だと思う。渡哲也さんのような特別な存在感のある俳優さんは、もう日本には出てこないかもしれない。石原軍団を長年率いてきたリーダーの貫禄なのだろうか。すごいな。


秀吉=竹中直人
この竹中直人という人、私には彼のコメディアンとしての顔の強さのほうが強烈に頭にあって、どんな配役も同じに見えてしまっていた。ところが、この役はピタリとはまった。史実の秀吉、「人たらし」と言われるほど、天才的に話術の上手い人。あれだけ猿だ醜いなどと言われながら、実際に戦国の武将達を魔法のように説き伏せてしまう不思議。頭が非常に良かったというのがまず第一だろうが、変顔の、出自もルックスも良くない人間があそこまで上り詰めるのは歴史上の奇跡としか言いようが無い。それがこの竹中さん、ぴたっとはまった。

そもそも役柄のためのオーバーアクションとメイクのせいだろうが、まぁーそれはそれは変な顔。日焼けして真っ黒。大きな眼はいつも四白眼。米粒を口から吹き出し、まあ大いに変な顔だ。おまけにすぐに裸になる。それなのに、どこか惹かれてしまう。面白いし、とてもイイ奴なのだ。この人情味溢れる竹中秀吉は何をやってもどこか憎めない。その一生懸命な姿を応援したくなるのだ。可愛い奴なのだ。

最初の頃は先輩にもいやがられて足蹴にされていたのに、いつの間にか上位の武将達にも同僚として受け入れられている。まさか史実の秀吉がこんなに善人だとは思わないが、ドラマとして十分に納得できる設定だ。そもそも農民の倅が関白の位にまで上り詰めるこの人の人生そのものが奇跡なのだが、この竹中秀吉を見ていると「もしかしたらこういうふうだったのかな」などと思えてくる。史実の秀吉もこの竹中秀吉のように、人を魔法のように惹きつけて出世の階段を駆け上ったのだろうと思う。ともかく渡信長とともにこの竹中秀吉、すばらしい。


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何よりもこの二人の関係がこのドラマをひっぱっていく。絶対的な上司と部下の信頼関係。これに心を動かされる。これは秀吉の立身出世物語なのだが、同時にこの二人の信頼関係の話でもあると思う。この二人の場面はどれをとっても言葉に出来ないほど素晴らしい。