能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2015年10月25日日曜日

映画『オデッセイ/The Martian』(2015):2億2530万キロの孤独…火星のぼっち・マット君を救え




 
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The Martian2015年)/米・英/カラー
144分/監督:Ridley Scott
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先週はスピルバーグ、今週はリドリー・スコット。贅沢な季節です。アカデミー賞を狙ってのタイミングでしょうか…ここのところ急に高評価の映画が増えた気がする。

さてこの映画…よかったですよ。なんだか泣けた。単なるエンタメ映画とわかっているんだけど、エンタメそのもので泣けることもある…そうだそうだ。どこで泣けるかは見た人にもよると思います。私はジェシカ・チャスティンちゃんのキャプテンに泣けた
 

顔がね、映画館を出た後も
こんな風。目尻のあたりが暫くヨレヨレする。涙はそんなに出ないのに。
 
 
★以下ちょっとネタバレ注意
 
女優のジェシカ・チャステインさんが素晴らしかった。彼女のことは以前から好き。…そういう女優さんや俳優さんて時々いるんですよ。小さい役なのに気になってしょうがない人。カリスマなのか上手さなのかも分からないのになぜか気になる。私が以前見た彼女の映画は2011年の『ツリー・オブ・ライフ/The Tree of Life』と『The Help/ヘルプ』だけ。それでもこの二つの役がまったく違うタイプだったので驚いたのを覚えている。
 
この映画も全く違うタイプ。なんと宇宙船の船長さん。クルーを率いるリーダーです。場面もそれほど長いわけではないんだけど、本当にかっこよかった。マット・デーモン君を助けに行く決断をし、クルーを率いて火星に向かう。今年38歳だそうですが、こんなに知的で頼りになる冷静なリーダを演じられるとは。かっこいい…。彼女が船内から「助けるわよ…」とマット君に話しかける表情で涙が出た❤❤❤❤❤❤❤❤❤素敵素敵素敵。
 
 
★あらすじ
 
時は2030年代。宇宙船アレス3のクルーが火星に送られるが、任務中に火星の砂嵐に巻き込まれる。やむなく火星を脱出することになるが、クルーの一人・マーク・ワトニー(マット・デーモン)が事故で火星に残されてしまう。マークは生きていた。さてマークは生き延びる事が出来るのか。人類は彼を救う事ができるのか。
 
 
これは娯楽映画です。原題は『火星人』。一人火星に残されて自給自足で生き延び、文字通り火星人になってしまった男ということか。火星のロビンソン・クルーソーですね。日本版のタイトルが『オデッセイ』とはなんと雰囲気ばかりで意味不明のタイトルか…。
 
さてリドリー監督でSFと言えば『エイリアン』を思い出す。あれからもう36年も経ったなんて。あれから比べると宇宙船の船内の様子も随分変わりました。今回の宇宙船は内部が白くて綺麗です。
 
もちろん話の内容は『エイリアン』とは全く違うんだけど、
宇宙、事故、危機、予測不可能な事態、孤独、極限。諦めない、ハラハラドキドキ、大丈夫なのか? これはどうなるんだろう。ドキドキ、あ~また問題発生。どうする? ドキドキ…など、
宇宙で人間が極限状態になる話と思えば共通点が無いわけではない。こういう映画を撮らせるとリドリー監督は本当にいい。やっぱり『エイリアン』の監督だと納得する。だから安心して見られます。必ずドキドキさせてくれる。ディザスター・ムービー(パニック映画)の王道。大変素晴らしい。
 
 作中ところどころ…ガムテープとビニールシートでドアの修繕が出来るのか?とか…なんでそこを爆発させるのよ?とか…多少の疑問点はありますが、まあそういうところを細かくつつくのは無粋…気になりますけどね。しかしこういう話はSF宇宙映画の浪漫浪漫浪漫…フィクションとして楽しむべし。
 
『エイリアン』と違うのは、主人公の敵はモンスターではなく、火星の環境と孤独、そして自らの生存の可能性。少ない資源でどこまでいけるのか、いつまで生きられるのか…それを科学者のマット・デーモン君が必死で探し出そうとします。本当に必死です。ほとんどの普通の人にとっての極限無理ゲーを、彼はなんとかクリアしようとする…そこが見所。私ならまず最初の30分ぐらいで諦めていたと思う。
 
そしてもう一つの大きな違いは、マット君には地球から助けの手が差し伸べられるんですね。しかしそれも簡単なことじゃない。火星に再度行くだけでも莫大な費用と長い時間がかかってしまう。危険も伴う。地球上でも「たった1人のためにどこまで…?」なんて生々しい会話もあったりする。うわー大変よ。そんな地球側の話にもドキドキさせられる。
 
いろんなことが決まっていっても、そこはもちろんパニック映画、すんなりと丸くは収まらない。いろいろと問題が出てくる。
 
ここで手を差し伸べるのがとある国です。1997年のSF映画『コンタクト』で同じような問題に助け舟を出したのは日本でしたが、最近こういう映画での日本の影は多少薄くなったかもしれません。ほぼ20年前に比べて、ある国がいろんな意味でパワープレイヤーになったのは事実で、この映画にもそれが反映されています。人類の共通の目的の為にいろんな国が協力し合うことは理想。映画でのこういうメッセージはいいことです。
 
そして俳優マット・デーモン君。もちろん素晴らしい。たぶんこの役のために体重を増やしたり減らしたりしていると思う。冒頭に自分で怪我の手術をする場面での一人芝居からドキドキしてひきこまれる。自らの行動を記録する為にカメラに向かって話しかけながら、全編一人芝居。一人でも落ち込まずに妙に元気がいいぞ。最後に、火星上空の宇宙船内のキャプテンから話しかけられて泣く彼の泣き顔で、またこちらも泣く。…そうそうこの場面で目尻がヨレヨレになった。
 
なんだかいろいろとまとまりのない感想ですが、パニック映画の感想なんてこんなもんでしょう。いろんな場面で、あーこれはいかん…うわー痛いな…はーよかったよかった…ぁーまた問題か…うわー大変…もったいないなぁ…あーまた問題…ほーそうかそうか…おおすごいね…おーいいね…うはーかっこいい…涙涙…。なんだかわけもわからず感情を揺さぶられて目尻がヨレヨレになる…のがこういう映画の醍醐味。
 
面白かったです。あまり深みのある映画ではないけどSF映画としてドキドキできて楽しい。適度にリアルで面白いと思ったらNASAのお墨付きだそうです。
 
さてGloria Gaynor「恋のサバイバル」David Bowieの「スターマン」はわかるけど、ABBA「恋のウォータルー」はなんでや?ドナ・サマー姐さんもあるぞ。これから15年以上の未来に彼らはなぜDiscoを聴いているのだろう。


2015年10月22日木曜日

Led Zeppelin – Wanton Song (1975)



Page & Plantの思い出



Led Zeppelin – Wanton Song (1975)

Album:  Physical Graffiti (Remastered)
Released: Feb 24, 1975 ℗ 1975 Atlantic Recording Corporation,
a Warner Music Group Company.
Marketed by Rhino Entertainment Company,
a Warner Music Group Company.


ワタクシ2013年の4月頃にこのブログで、Perfumeの初ロンドン公演の箱がShepherd's Bush Empireに決まったと聞いて大騒ぎをし、勢い余ってその箱で昔見たPage & Plantのことを思い出し、そのライブ映像のリンクを貼って大興奮していたのでございますが、そのページを今見直したらリンクが切れていた。

Perfumeの記事のおまけとして書いたものなので、好きな音楽リストにも取り上げていなかったので、改めてこの曲を取り上げてMusic Listに入れておこう。

そのライブは1998年の325日。ショーの開始はこの曲でございました。


 
Page & Plant Pt1: Wanton Song,Bring It On Home, Heartbreaker
 Shepherds Bush Empire, London. 25.03.98.



こんな大物が2000人キャパの箱で見れるとあって、チケットは発売日に即完売。友人と「無理だよねぇ」などと言いながら、たまたま買った情報誌Time Outを見たら「明日当日券を箱で限定発売」と出ていた。

「これは行かねばならぬ!」

…んで並びました。友人と午後1時くらいからShepherd's Bush Empireに行ったらもうコアなファンが20人ぐらい並んでいた。全員おじさんばかり。そして延々…午後7時過ぎぐらいですかね…ドアが開くまで並んだ。脚が痛くなった。
 
途中6時くらいに金髪の若い美人がやってきて私達の前にいた男グループに知人のように近づき「ちょっとここ入ってもいい?」と列に割り込んだ。「コノヤロウ!」と怒ってもしょうがない。もちろん何も言わない。男グループは嬉しそうにニヤニヤして彼女を受け入れている。ロンドンはそういうところは結構ゆるい。しかしチクショーこっちはもう5時間も並んだんだぜっ!
 
それから午後4時くらいですかね。Shepherd's Bush Empireのバックステージへの入り口は正面玄関に向かって右の奥にあるんだけど、そこに若作りをした金髪ミニスカートの女性ファン2人が入っていったのを目撃。昔からのおなじみのファンだったんろうなぁ。彼女達はたぶん17年前の時点で40歳を超えていたんじゃないかな。
「うわーコアなお姉さんファンだ…スゲー (*´_`*)」と思った。
 
その後正面のドアが開いたころには、私達の前の20人は50人ぐらいに増えていた。さっきの美人みたいな割り込みもあるだろうし、最初から遅れてくる予定だった人も結構いたんでしょう。
 
そのあたりも皆文句は言わない。喧嘩も起こらない。細かいこともチクチク言わない。箱に入れれば皆それで幸せ。ロンドン人も皆嬉しかったんだろうな。だってこんな小さい箱ではこんな大物見れないですもん。

貴重な経験。ほんとうにもったいないくらいのありがたい経験。その場にいられたことがただただ嬉しい。いい思い出。

…ライブの感想は、うわージミー・ペイジだ、うわーロバート・プラントだ、うわーあの曲だ、といちいち興奮したこと以外よく覚えていない。


このツアーは1998221日にクロアチアから始まってそのままヨーロッパを回り、上記のこの日はイギリスに帰って来てからの最初のショーでした。その後5月から9月の終わりまでアメリカをツアー。11月に英国に帰ってきて各地を回り、1156日にロンドンのWembley Arena
 
ちなみにこのライブの模様は、後に新宿でブートのCDを見つけて購入。それから今はYoutubeにこの日の公演の様子があがっています。


Led Zeppelin - Achilles Last Stand (1976)


2015年10月21日水曜日

シャープ・ロボホン…「妖精配給会社」星新一の世界が現実に



こういうものが出来たそうです。


RoBoHon コンセプトムービー
 
オッケー … (*´ェ`*)


いやーまいったな。可愛いな。なんだか欲しいな。

シャープ株式会社の新製品だそうです。名前はRoBoHon(ロボホン)。ロボット型の携帯電話です。まず外見が可愛いですが、電話以外の機能も充実。

1.電話(通話・ハンズフリー通話)
2.メール(アプリ使用可)
3.歩く(起き上がる・ダンスも)
4.話が分かる(音声操作)
5.あなたを覚える(顔認識で人を識別)
6.写真やムービーを撮影
7.プロジェクターで写真や動画を投影
8.音楽やゲームも可

だそうです。全ての機能を、ロボホン君に話しかけてコマンドを送ることが出来るのはすごい。なんだミニロボットじゃないか…。


でもね、これ電話としての実用性はほとんどないでしょうね  (^_^;)。だって携帯電話としてはやたらかさばって重くて壊れやすいですよね。手や足が取れたりしないのかな。いちいち持ち歩くにも大きすぎる。

でも可愛いんだな。この可愛さだけで欲しいと思う人はいますね。実用的な機器としてではなく、人工の可愛いペットです。それなら可能性は十分あると思います。

おそらくネットに繋いで情報を見る便利機能をコンセプトのひとつにしたことから、ついでに必然的に電話の機能も付けたんだろうけど、電話としてなら重くて不便。でもいろんな便利機能を持ったペットとしてなら楽しい。


私ならむしろこういう製品なら、このサイズと可愛らしさのままで、ソフトのダウンロードでアップグレード可能な最高の人工知能を付けて会話が可能な人工ペットとして欲しい。声も可愛いですね。有名なロボット博士・高橋智隆さんが共同開発でコラボしているそうな。このお方のロボットのデザインは可愛い。ロビ君とか可愛いな。

いやーほしいほしい…。実は昔、2005年製のアメリカのファービーが可愛くて2体も買ったんですけど、あの子は頭が悪くてね…あまり気持ちが入りませんでした。どうして会話が可能なA.I.搭載の人工ペットが無いんでしょうね。小さいロボットがいろいろと勝手に喋ると面白いのにな。

…おそらくこういう製品に会話型の人工知能を搭載すると、ほぼ間違いなく下品な言葉を教えこむに違いない男子中学生の存在が、製品化をストップさせているんでしょうね。教育上悪いなどと…PTAからの苦情がありそうですね (^_^;)


ところでこの↑ビデオで、ロボホン君をポケットに入れて持ち歩いてる場面がありますが、これを見てまず一瞬で浮かんだのが、星新一さんの『妖精配給会社』! うわーこの話が現実になったのかと思いましたもん一瞬。

星新一さんの『妖精配給会社』はSFのショート・ストーリーです。最初の出版は1964年。

「ある日突然、空から卵が降りてきて、その卵から孵った灰色の毛皮の「妖精」。それが卵でどんどん増えて、世界中にペットとして広まり爆発的に増える。なぜ増えたのか…それは、その「妖精」が限りなく気持ちのいい言葉を人間に喋ってくれるから。そのペットを人間はどこに行く時も連れていって、常に気持ちのいい言葉を話しかけてもらう。それで社会はどう変わったのか…。」

という話なんだけど、今読み返したら、これ現代の人間とパソコンの関係にかなり似ています。あ…スマホもそうですね。妖精の話す「おべっか」とスマホの「便利さ」を取り替えれば、パソコンやスマホが人に与えた影響とそれで変化した現代の生活は、このフィクションに書かれた状況とかなり似てきているのかも。

スマホやパソコンには可愛い顔がついていないけれど、このロボホン君は外見もペットと思えるほど可愛いし、人間の行く所にどこにでも連れて行って、それなりの会話(コマンド)をするわけでしょ。これはロボット版の「妖精」じゃないか…!

これに機能として「優しい言葉」だけを発する会話能力を付ければ、ほぼ完璧。面白いわー。

便利機能なんてどうでもいいから、これがA.I.搭載で会話が出来たら私もたぶん買う。もちろん丁寧な言葉で話しかけて優しく育ててカワイイカワイイロボットにしたい。

可愛いは正義。日本はこういうものが上手い。

 

2015年10月20日火曜日

NHKスペシャル・私が愛する日本人へ ~ドナルド・キーン 文豪との70年~



ここのところ、猫と遊んだり他の事が忙しくてなかなかTV番組の録画を見る時間が無い。放送から何週間も経った後にやっと番組が見れたりする。この番組も録画していたものを視聴。

日本での放送は1010日。日本文学者・ドナルド・キーンさんへのインタビューを交えながら、日本文学と共に歩いたキーンさんの人生を追う。


まず思ったこと。

谷崎潤一郎の『細雪』を読もう。

この番組を作ってくださったNHKさんに感謝いたします。いい番組でした。キーンさんは有名なお方なのでお名前は存じ上げておりましたが、お仕事の内容はほとんど知りませんでした。これほどまでに日本人の心を掘り下げて下さったお方だったとは…その事を知ることができてとても嬉しい。

ここはうだうだと私の番組への感想を書くよりも、心に響いたキーンさんのお言葉(ドラマ内の台詞も含む)を記録しておきたい。…キーンさんを演じた川平さん、素晴らしかったです。川平さんのスタジオ・パークの出演で番組の事を知りました。感謝。


特に心に残ったのは番組の最後。
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戦時中、谷崎潤一郎氏が月刊誌に『細雪』の連載をしていたところ、途中で出版社から
「…(戦時下に)好ましからぬ影響あるやを省み、この點遺憾に堪へず、ここに自粛的立場から、今後の掲載を中止いたしました。」
…と連載を中止されてしまう。その後も谷崎氏は疎開先で『細雪』の執筆を独自に続けていた。
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●そのことについて…キーンさん
『細雪』には日本人の伝統的な営みがゆったりとした調子で書かれています。それが、戦意を高揚させる文学ばかりが推奨される時代の空気とは合わなかった。それでも、日本文化の素晴らしさを『細雪』に書いたことこそが、谷崎先生の静かな抵抗だったのではないかと…。連載が中止されてもなお、谷崎先生は強い意志をもって『細雪』を書き続けたんです。
 
●ナレーション…いつの時代も私達は社会全体を巻き込む大きな渦の中で生きざるを得ない。その中でも淡々と自分の信じる道を進む日本人がいた。
 
●公演で…キーンさん
 谷崎先生が…伝え続けたメッセージ。それは「日本人の本当の美しい部分を忘れるべきではない」。時代に決して流されることなく、自分の信じる道を歩み続けた谷崎先生。その姿こそ、日本人の素晴らしい生き方として、私は皆様に知っていただきたいのです。
 
●インタビュアー・渡辺謙さん…日本人は大きな渦に流されやすいが…
 
●キーンさん
 (日本人は)皆そういう感じ。大きな(渦の中の)人達と一緒にいることを喜ぶ。谷崎先生の目的は「こういう文化のある国だった」とか、日本は(戦時中の)戦争戦争というようなところではなく「日本人には美しい音楽、美しい小説、美しい庭がある」と感じていた。そして彼(谷崎)は「もう以前のような日本はないかもしれない」(と考えて)それを記録して、未来の人が「これが本当の日本だった」とわかるように、谷崎先生は『細雪』を書いたと私は思う。
 
渡辺謙さん…世間の大きな渦に流されず、書いていたことに驚く…
 
●キーンさん
家族のこともある。いろいろ問題があるから、そう簡単に自分一人で立ち上がることはできない。本当に勇気があったと思う。多くの人が「私達は仕方がないから自分も(他の人と)同じことをやろう」と満足するのは良くない。ともかく、そういう人がいたことは日本の誇りだと思います。
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この谷崎潤一郎さんの『細雪』をめぐる話は、偶然なのだけど、先日感想を書いたスピルバーグ映画『Bridge of Spies』の主人公・ジェームス・ドノバン氏の生き方=スピルバーグ監督のメッセージにも似ていてはっとさせられる。
 
~周りに流されず淡々と自分の信じた正しい道を歩く。周りからのプレッシャーもあって困難でも、勇気を持ち強い意志で正しい道を進む~
 
 
戦後70年。現代の日本人は谷崎さんから見れば未来人なんだろう。その中のひとりである私も谷崎さんの書いた戦前の「本当の日本」を今とても知りたい思う。
 
海外に住んで長い時間が経てば、自分の中身が現実には何パーセント日本人らしいのかわからなくなることもある。昔の日本。戦前の日本。伝統的な日本…。『細雪』に描かれた日本は、実際には、おそらく戦前の数十年間の時代に限った日本らしさなのだろうとも思う。それでもそこにはその時代独自の美しさがあった。谷崎さんが未来の日本人のために残したかった「日本の姿」を、その当時に書かれた言葉で読んでみたいと思う。
 
ドナルド・キーンさんに感謝いたします。