能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

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2023年5月1日月曜日

NHK NHK BSプレミアム「BS時代劇」『大富豪同心』全10話・感想



2019年に放送されたNHKのドラマ『大富豪同心』が、TV JAPANでは今年の1月から放送されている。現在『大富豪同心2』が放送中なのだが、まずはシーズン1の感想を書いておこう。

日本での放送は、NHK BSプレミアム「BS時代劇」枠にて2019年5月10日から7月12日まで。

私が放送に気付いて録画を始めたのは2話「鬼姫の初恋!」から。初回は見逃した。


ドラマを見始めたきっかけは、2話の溝口左門/山口馬木也さん(剣の師匠で美鈴の父親)の殺陣。

山口馬木也さんの殺陣の上手さに気付いたのは、2020年の『麒麟がくる』の桶狭間の戦いの回。とにかく山口さんの殺陣はかっこいい。力強く綺麗な殺陣。本物だなと思った。それで彼の名前を覚えていて、機会があればまた山口さんの殺陣が見たいものだと思っていた。

『大富豪同心』を見始めたら、たまたま最初に見た2話で山口さんの殺陣が見れたので「これはいい」と録画予約。…その後は残念ながら彼の殺陣のシーンはなかったのだけれど、それ以上にこのドラマの全体の雰囲気や魅力的な人物達を見るのが楽しくなってすっかりドラマのファンになってしまった。ほのぼの。いいドラマ。


主人公は江戸一番の札差・三国屋の孫・八巻卯之吉(中村隼人)。彼はお金持ちのぼんぼんの遊び人でお人よし(過去には医学を学んだらしい)、しかしあまりに放蕩がすぎるからと祖父から南町奉行所の同心に就職させられる。その卯之吉が事件を解決していくドラマ。

このドラマは癒しです。登場人物が皆いい人。もちろん毎回(殺人を含む)事件があるので、問題を起こす人々は悪人なのだけれど、その悪人への裁きも毎回綺麗に収まる。時代劇なのにほとんど人が斬られることもない…多くは峰打ち。全体にほのぼのとしていつもいい気持ちで見終わる。


そのほのぼのとした雰囲気の理由は主人公の八巻卯之吉/中村隼人さんのキャラ。かわいい。おだやか。ユーモラス。彼の口調がいかにも優しい穏やかなお坊ちゃん風で癒し。見ている私も「いいものだねぇ~」とあの口調で感想を言いたくなる。

彼の古風な恋の相手が溝口美鈴(新川優愛)。かわいい。新川さんは綺麗な女優さん。2話で着ていたオレンジ色の着物も綺麗だったけれど、(卯之吉の好む)若武者の格好がまた凛々しくていい。彼女はほとんどノーメイクに見える薄化粧なのに本当に綺麗。
2話では「鬼姫の初恋!」のタイトル通り、彼女が卯之吉に惹かれる回でしたが、彼女の恋の行方がドラマのサブテーマでしょうか。この卯之吉と美鈴さんの関係がウブで古風でいい。美鈴さんは卯之吉のことが一途に好き。それがかわいい。それなのに卯之吉は彼女の気持ちを素直に受け入れない。二人がなかなか上手くいかないところがまたドラマとしてじわじわと楽しい。


主な登場人物達もいい人ばかり。

卯之吉の恋の相手には美鈴さん。卯之吉の遊び相手のお姉さんには深川一の芸者・菊野(稲森いずみ)。美鈴さんに思いを寄せる大名家の御曹司・梅本源之丞(石黒英雄)。卯之吉の身の回りの世話をする銀八(石井正則)…「~でげすねぇ」という彼の言葉が昭和の時代劇風でいい。なぜか卯之吉を敬愛する江戸の侠客・荒海ノ三右衛門(渡辺いっけい)。卯之吉を警護する凄腕剣豪の浪人・水谷弥五郎(村田雄浩)とそのボーイフレンドの女方役者・由利之丞(柳下大)。卯之吉の先輩・南町奉行所の筆頭同心・村田銕三郎(池内博之)。卯之吉の上司・内与力の沢田彦太郎(小沢仁志)。そして卯之吉の祖父・三国屋徳右衛門(竜雷太)。

彼らを中心に、毎回ほぼ1話ごとに事件が解決されていく。
卯之吉の人のよさ。心地よい人物たちの関係。全体にほのぼのと癒しです。ドラマ最後のダンスも楽しい。


私は普段はフィクションの時代劇はほとんど見ないのだけれど、このドラマは馴染みの人物達を見守る楽しさにはまった。中村隼人さんは歌舞伎役者さんで着物での身のこなしが美しい。上品で穏やかでおっとりと魅力的。それにかわいい。彼を見るのが毎回癒し。

というわけで今『大富豪同心2』を見続けてます。また見終わったら感想を書こう。



2023年1月25日水曜日

NHK BSプレミアム 「忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段」






贅沢なドラマ。ものすごく丁寧に作られた作品。今の歌舞伎役者の方が江戸時代の歌舞伎役者を演じるという贅沢さ。そして脇を固めるベテランの上手い役者さんの方々。出演なさっている俳優さん達が皆うまい!!!!セットも豪華。素晴らしい素晴らしい。

あまりに面白かったから1回目を見終わってすぐに2回目を見直し始めた。1回目の最初にぼんやりと見ていた場面も、ストーリーが解ってから見るともっと面白い。本当によくできた質の高いドラマだと思います。


このドラマは第77回文化庁芸術祭大賞(2022年) を受賞したそうです。


日本では元々…2021年12月4日と11日にNHK BSプレミアム・NHK BS4Kで放送されたテレビドラマ。それを2022年12月10日と12月17日に、1話38分×5話に再構成したものが地上波の総合テレビで放送された。私が見たのはその2022年12月ver.。TV Japanで年末に放送された。


主人公は実在の江戸時代の歌舞伎役者中村仲蔵(初代)
元文元年〈1736年〉 - 寛政2年4月23日〈1790年6月5日〉。江戸時代中期の伝説の歌舞伎役者。「名人仲蔵」とよばれた名優。
…このドラマは、裸一貫から這い上がりスターの座を掴み取った歌舞伎役者の初代 中村仲蔵の出世物語を歌舞伎演目『仮名手本忠臣蔵』を軸にドラマ化したもの。脚本・演出は源孝志さん、主演は六代目 中村勘九郎さん。

実在の人物だったのですね。ドラマを見終わってから調べて知った。


六代目 中村勘九郎さんが江戸時代の歌舞伎役者をなさる。その様子がとにかくかっこよくて見惚れた。あ~やっぱり歌舞伎のお方は歌舞伎をなさるプロ(あたりまえだけれども)…しかしまぁなんとかっこいいのだろうと。ほれぼれ。は~やっぱりすごいんだねぇ。今の歌舞伎役者のお方が江戸時代の歌舞伎役者をなさる説得力。そのことにまず感動した。だって勘九郎さんが腕を構えて見得を切る様子が本当に決まっている…ぁあこれが東洲斎写楽の役者絵のリアルな再現…江戸時代の歌舞伎の再現なのだわ…ととても感心して見入りました。

そんな写楽の時代の歌舞伎の世界の再現が楽しい楽しい。そして役者さん達は皆さんプロ。プロ中のプロの方ばかり。これはすごいドラマだと思いますよ。ほんとほんと。贅沢。


私は日本のテレビを見る機会が(日本に住む場合に比べて)少ないので、中村勘九郎さんと言えば唯一大河ドラマの『いだてん』しか知らなかった。で、その『いだてん』での勘九郎さんはとにかく素っ頓狂で…こんな人、現実にはいないだろう…だって水を被って「ひゃ~っ」と奇声を上げる人なんていませんよねぇ笑。これはお笑いメインのコメディなのかそれとも真面目な大河なのかわからんっ!…という印象だったのですが、


中村仲蔵の中村勘九郎さんは

プロ!役者!


すっごくかっこいい…💕

このドラマの中村仲蔵のキャラクターが信じられる。こういう人がいたんだろうなと思う。子供のように純粋で真面目。芝居が大好きで実力もあるのに、運で一旦は役者を廃業。しかしそこからまた努力して歌舞伎のスーパースターになるお話。それをコミカルなタッチでドラマ化。 

中村勘九郎さん最高でした。ほんと。仲蔵はかわいいし仲蔵が笑えば嬉しくなる。仲蔵が呉服屋の旦那に言い寄られれば大笑い、そして「稲荷町」から再スタートで虐められれば共に泣く。 中村中蔵の名前を持つことの意思表示には勘九郎さん御本人の本気を感じた。『忠臣蔵』の初演の後でお風呂で水を被りながら泣く様子がリアル…ぁあ悲しい。そして認められて堂々と舞台に登場して見得を切る…かっこいい~!!!拍手。

勘九郎さんのお顔と表情は普段はどこかかわいい感じなのに、歌舞伎の化粧をなさると別人のように男臭くごつい大男に見える不思議。すごく華やか。御本人から出るエネルギーも変わる。歌舞伎の魔法なのだろう。すごいです。 勘九郎さんの表情豊かな芝居に説得力…仲蔵は一所懸命。応援したくなる。勘九郎さんが仲蔵のキャラクターにぴったりはまっていて、私もドラマにはまった。

仲蔵の頑張りと成長と成功を見ていい気持ちになった。面白かった。いい話です。それにしても歌舞伎役者さんの見得をアート寄りのカメラワークで撮ると本当にかっこいい。絵のようだ。素敵。見惚れる。


そして他の役者さん達も素晴らしい。仲蔵の奥さん・お岸の上白石萌音さん。なんと芸達者な。彼女は三味線を弾いて長唄を歌う。ものすごくうまい。かわいらしくて魅力的でユーモラス。彼女にも説得力。唸りましたよ。あまりの巧みさに。彼女はやっぱり歌が上手い。いい声。

そして蕎麦屋「十六屋」に間借りするかわら版屋・鵜蔵に吉田鋼太郎さん。この鵜蔵が我ら観客を江戸の歌舞伎へ導いてくれる。江戸の歌舞伎の世界には厳しい階級があることや、芝居小屋の舞台裏の様子を教えてくれる。それが楽しい。どんどん江戸の歌舞伎の世界に引き込まれる。吉田鋼太郎さんの口調も滑らかでノリノリで、鋼太郎さんがこの役を楽しんでいらっしゃるのが伝わってくる。鵜蔵を見るのも毎回楽しかった。

上品な初代市川染五郎の二代目 中村七之助さん。仲蔵との友情がいい。七之助さんと勘九郎さんは御兄弟なのですよね。それがまた贅沢。本物の歌舞伎役者さんの身のこなしが…またすご~いとため息。もっと見たい。 大きなお父さんのような四代目 市川團十郎の市村正親さん。威厳があってかっこいい。 狂言作者の金井三笑の段田安則さんは怖いのになぜかコミカル。 仲蔵の師匠・二代目 中村傳九郎の高嶋政宏さんの4話の本当の涙。 呉服屋の旦那・吉川仁左衛門の谷原章介さんはエロな役がよく似合う笑。 ユーモラスな芝居の神様コン太夫の石橋蓮司さん。 またまたコミカルな中村直團次の笹野高史さん。「稲荷町」のいじわるな中村任三郎の山西惇さんが怖い。 仲蔵の義母の志賀山お俊 若村麻由美さんがかっこいい。 おっと蕎麦屋の女将は名取裕子さんじゃないかお綺麗だ。 そしてかっこいいのにコミカルな謎の侍 藤原竜也さん。 そして初代 尾上菊五郎には二代目 尾上松也さんがいるではないか~後鳥羽上皇! 本当にビッグネームばかり。


そして私が何よりも魅せられたのはあの江戸の芝居小屋、劇場・中村座の建物。あの建物がそれはもう素敵。あんなに小さな場所で歌舞伎が見られたらどんなにいいだろうと想像する。あの時代の芝居小屋はああいう感じだったのでしょうね。いいなぁ。役者さんが近い近い。手を伸ばせば触れそう。そして上の階の楽屋。それから地階の奈落のからくり。面白いですね。見に行きたい。なんて魅力的な場所。ああいうところで江戸時代に逆戻りして歌舞伎を見る…な~んて浪漫。楽しいだろうなぁ。見たいですね。

NHKのネット上のページを見ると美術さんが「映る映らないにかかわらず、濃密に飾りこむ事にこだわりました。演技者のみなさんに本当の江戸時代の中村座にいるような感じでお芝居していただきたかった」とおっしゃっていて…ああすごいな。また録画を見直そうと思う。本当に素晴らしい。


ところでこのドラマは、日本の芝居文化…江戸時代の歌舞伎の世界の再現ですが、もしこのドラマが、シェークスピアを愛するイギリスで(字幕入りで)公開されたら英国の芝居ファンにはどう受け止められるだろうかと思った。あの浮世絵の役者絵の再現…だと面白がってはくれないだろうか。
彼らも16世紀の劇場を再現した「シェイクスピアズ・グローブ」で今も芝居をやっているのですよね。あそこはキャパが1,570人らしいけれど採算は取れているのかな?


このドラマの演出と脚本をなさっているのは源孝志さん。このお方はのドラマは以前2作品見てます。2016年の『スーパープレミアム 漱石悶々 夏目漱石最後の恋 京都祇園の二十九日間』と、2021年の『正月時代劇 ライジング若冲 天才 かく覚醒せり』。両作品ともここで少し感想を書いてますが特に『漱石悶々』は面白かった。宮沢りえさんを前にしてドキドキする豊川悦司さんがおかしかった。そういえばあの劇中の効果音の使い方はこの『忠臣蔵狂詩曲』のものと似ている。コンコン トロロン…と間を埋める和楽器の効果音がすごくおかしい。


なんだか色んな意味ですごく濃くリッチで贅沢なドラマでした。また録画を何度も見直して江戸の歌舞伎役者の様子を堪能したい。

歌舞伎いいなぁ。もし今歌舞伎を見たらきっと面白いだろう。中村勘九郎さんや七之助さん 尾上松也さんに、『鎌倉殿』で見た坂東彌十郎さん、八代目 市川染五郎さんも舞台で見てみたい。テレビで見る方々を舞台で見たらきっと楽しいだろう。東京に住んでいたらはまったかも。前述の『ライジング若冲』の感想(ぼやき)でも書いてましたが、島暮らしはリタイア暮らしなので日本の文化が遠くて悲しいわ。シクシク



2020年4月2日木曜日

NHK土曜時代ドラマ『蛍草 菜々の剣』全7話



今録画を見終わった。
泣きましたねぇこれは。じわっときた。嬉しくて。よかったよかった。いい話。

…橋の上。後ろから子供達の「菜々」と呼ぶ声。風早家の子供達二人が駆け寄ってくる。二人に菜々が驚いていると旦那様の声。顔をあげると風早市之進が立っている。優しい音楽。…じわっときますね。

旦那様・風早市之進が、江戸へは行かず「ここで暮らす…菜々を妻として…」と伝えると、ふんわりと微笑む菜々。そこに蛍草の水彩画が重なる。涙。

うれしくて目尻がヨレヨレになる。菜々ちゃんよかったねぇ。いいドラマ。

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このドラマは、日本で20197月に「BS時代劇」で放送されたものを、2020125日から321日までNHK総合「土曜時代ドラマ」として再編集で放送されたもの。
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綺麗なドラマでした。
 
気持ちのいい綺麗なドラマ。まず言葉が綺麗。特に風早家は、若い俳優さんや女優さん達が、皆落ち着いた綺麗な言葉を話すのが本当にいい。(原作と脚本と演出がそうなのだろう)ちょっと昭和の昔の映画のように皆落ち着いているんですよ。丁寧な言葉が自然に使われていて、それぞれ相手を気遣う様子はとても綺麗でした。
 
ストーリーは仇討ちもの。いい人々がいて悪い人々がいる。最後はいい殿様が出てきて一件落着。綺麗にまとまってます。
 
しかしこのドラマのよさは、一話一話ごとの小さなストーリーの積み重ね。奉公人の若い娘を家族のように受け入れる武家の若い夫婦。綺麗な言葉の会話。美しい家族の風景。姉妹のように仲のいい二人の女性。若い娘を助ける町の人々。毎話ごとに、健気に生きる若い娘・菜々を応援する。
 
 
菜々の清原果耶さんは表情がどんどん変わる女優さん。子供達への穏やかで優しい表情。苦しい時、危険に晒されたときの真剣な顔。強い意志を持った目。若い娘さんらしい可愛らしい笑顔。泣く時は本当に泣いている。もらい泣きをしそうになる。 最終話の御前試合で、轟と向かい合い白装束をまとった彼女の真剣な表情はとても綺麗でした。
 
他の出演者もいい。風早家の旦那様と奥様。可愛い子供達。優しい甚兵衛。そして菜々を囲んで皆親切な町の仲間達…だんご兵衛さん、お骨さん、死神先生、駱駝の親分。皆それぞれ優しい。
 
北村有起哉さんの轟平九郎はわかりやすく悪い人。怖い。
 
 
風早家の旦那様・市之進の町田啓太さんが綺麗。このお方も現代劇よりこういう古風な役のほうが綺麗さが際立ちますね。実直で真面目。誠実。だからいい。若い俳優さんが綺麗な日本語をお話しになる様子は本当に素敵です。
 
そして奥様・佐知の谷村美月さん。以前『八重の桜』での彼女の落ち着いた演技をよく覚えています。穏やかな大人の女性の佇まい。非常に美しい。まず1話目で「このドラマはいいドラマ」だと思ったのは、佐知と菜々の会話の台詞でした。佐知と菜々が姉妹のように仲がいい。その様子が素晴らしかった。
 
 
番組の予告CMを見て録画したのですが、1話目から見始めて、丁寧に作られたいいドラマなのはすぐにわかった。毎回最後の蛍草(ツユクサ)の水彩画と穏やかな音楽で、ああいいなぁと思う。
 
いいドラマ。日本語が綺麗なドラマは気持ちがいい。綺麗な台詞は原作からなのだろうか。

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蛍草を見ながら菜々に話をする佐知の言葉を記録しておこう。

小さな花に目がとまるのは、心が豊かな証です。

この花は朝早くに咲いて昼過ぎには萎れてしまいます。たった半日の命しかないのです。だからこそ儚げで美しいのでしょう。蛍のように。

午後に萎れた蛍草を見て
でも朝にはまた別の花が開きます。そして命を繋いでいくのです。

花の命は短いけれど、でも精一杯に咲いて実を結び命を繋ぐのが使命です。おなごとは花と同じ。あなたのこの手も大切な命を守るためにあるのですよ。そのことだけは決して忘れないで。

菜々が武家の娘なのを隠していたことを告げると
誰でも人に言えない悩みや苦しみを持っています。菜々はそれを知っているから人に優しく出来るのだろうと思います。
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2018年1月23日火曜日

NHK スペシャルドラマ『龍馬の遺言』・感想



年の初めに放送されたNHK時代劇を2つ見た。一つは正月時代劇の『風雲児たち』。もう一つはスペシャルドラマ『龍馬の遺言』。この二つのドラマがそれぞれ正反対の印象だったのが面白い。
 
言いたいことをまとめるなら
・『風雲児たち』はスターを見るドラマとしては面白いけど歴史ドラマとしては中身も面白味も無い。
・『龍馬の遺言』は歴史ドラマとして面白いけれどペースが遅くて眠くなる。

…以前からどうやったら大河ドラマを復活できるのか…などとと考えているのだが、その答えはこの二つの正反対のドラマの間のどこかにあるのではないかと思った。

それぞれの感想を書いていこう。

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●『龍馬の遺言』感想

録画をしばらく前に視聴。このドラマの日本での放送は去年の1229日。

いや~難しかった。海亀は実は幕末をよく知らない。途中でちょっと眠くなった(睡眠不足)。

しかし歴史ドラマとしてはかなりいいドラマだったのでは。龍馬さん周りの歴史をよく知らないので、このドラマの内容が唸るほどいいのかどうかはわからなかったけれど、真面目な歴史ドラマとしての雰囲気はとてもよかった。このドラマの演出は近年の大河ドラマとは全然違いますね。静かで穏やかなドラマなので少し眠くなったけれど内容は興味深い。(居眠りしたので)途中でわからなくなったがどうしても内容が知りたい…というわけで録画を3回見直した。理解できたと思う。面白かったです。


★あらすじ
龍馬の最後の30日の様子。龍馬の計画。そして暗殺。その後、その暗殺は誰がやったのか…の種明かし。


俳優さん達が大声を出さず呟くように芝居をする。それがすごく良かった。静かなドラマ。『半沢直樹』以降に増えた無駄にうるさいドラマとは全然違う。今どきこんなに静かな雰囲気のドラマは珍しいのではないか。すごくいい。

内容も真面目。内容は歴史のみ。キャラクターの人となりを掘り下げることも、ギャグに逃げる事もない。女性は一人も出てこない。資料を元にした真面目な歴史ドラマなのだろう。視聴者はある程度の歴史の知識がないと難しいかもしれない。いや元々このドラマは最初から歴史ファンだけのために作られたドラマなのだろう。

俳優さん達が歴史上の人物達を淡々と演じている。実は数名の有名な方を除いて馴染みのない役者さんも多い。どの俳優さんもスター性だけで売っている方々ではないのだろう。しかしそれがとてもいい。どの俳優さんも演じる歴史上の人物(役)が前に出ていて、俳優さん個人が前面に出ていないのがとてもいい


このドラマの役者さんのあり方は、三谷さんの『風雲児』とは正反対ですね。

三谷さんのドラマは、俳優さん達一人一人をスターとして輝かせるタイプのドラマ俳優さん個人の個性ありきで、その上にドラマが乗っているような演出。俳優さんに目が行くから内容が薄くてもとりあえず面白く見られる。しかしギャグや俳優さんの個性が邪魔になって歴史ドラマとしての面白さが見えなくなってしまう事も多い。

それに比べて、このドラマの芝居はあくまでも歴史上の人物を演じて物語りを伝えるためのもの。俳優さん達は個人の色を消しているようにさえ見える。近年のドラマはこういう静かな演技、演出がとても少ない。だからとても新鮮。


演出のせいで全体に役者さん達が地味なんですよ。そして静かだから眠くなる…ところが(内容を知りたかったので)3回も見直したら、見れば見るほど面白くなった。これは歴史ドラマのあり方としてちょっと考えどころかもしれないと思った。

歴史ドラマとしては、大変いいドラマのあり方なのかも。


とても静かで派手に気を引く演出ではないので、おそらく長期の大河ドラマなどには向かないのだろうと思う。しかし単発の歴史ドラマとしてなら十分可能性はあると思う。こういうのをまた時々見たいと思う。スターありきではなく俳優さん達が役を真摯に演じ、静かな演出で、歴史上の物語を見せるためのドラマ。歴史好きを唸らせ、視聴者に歴史を学ばせ、目を開かせて、考えさせてくれるような真面目な歴史ドラマ…を、時々単発でやって欲しい。


このドラマの坂本龍馬(新井浩文)は淡々と飄々とした人物。つかみどころが無い。穏やかな物腰なのにちょっと目が怖い。何を考えているのかわからない。ミステリアスな人物の設定なんでしょうね。詐欺師だと言ってますね。面白いです。

龍馬の新井さん以外にも伊藤さん、宇梶さん、筒井さん…と有名な方々は出ていらっしゃるのですが、それ以外の脇役の俳優さん達もいい雰囲気でした。渋い中根雪江(苅谷俊介)。不気味で怖い中村慎太郎(山本浩司)。どっしり西郷吉之助(井之上淳)は似ている。木戸準一郎(佐渡山順久)はイケメン…。演出のせいなのか皆さん全員が渋い…とても大人な役者さん達に見えた。ちょっと昭和の時代劇みたいな感じ。

★ネタバレ注意
龍馬は松平春嶽を新政府のトップに推していたが、その意図を誤解して幕府の旗元・永井尚志が龍馬を暗殺するというストーリー。

この辺りの歴史をよく知らないので、ちょっと調べようと思います。ドラマを見て史実を調べたくなるのがこういうドラマのいいところ。歴史を知るきっかけになるようなこんなドラマがまた見たいと思う。


NHK 正月時代劇『風雲児たち』蘭学革命篇・感想



年の初めに放送されたNHK時代劇を2つ見た。一つは正月時代劇の『風雲児たち』。もう一つはスペシャルドラマ『龍馬の遺言』。この二つのドラマがそれぞれ正反対の印象だったのが面白い。

言いたいことをまとめるなら

・『風雲児たち』
スターを見るドラマとしては面白いけど歴史ドラマとしては中身も面白味も無い。
・『龍馬の遺言』
歴史ドラマとして面白いけれどペースが遅くて眠くなる。

…以前からどうやったら大河ドラマを復活できるのか…などとと考えているのだが、その答えはこの二つの正反対のドラマの間のどこかにあるのではないかと思った。

それぞれの感想を書いていこう。


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●正月時代劇『風雲児たち』
 
録画していたドラマ。
 
これ、三谷幸喜さんによるドラマで、登場人物達がことごとく『真田丸』に出ていた役者さん達なんですね。それだけでも面白かった。いや実はそこが一番面白かった。
 
★ネタバレ注意
ストーリーは単純。時代は江戸中期。蘭方医の前野良沢と杉田玄白が「解体新書」出版するまで。杉田玄白のアイデアでオランダの解剖学書「ターヘル・アナトミア」を翻訳して出版するのだが、完璧主義者の前野良沢が入稿直前に「まだ完全な訳ではないので私の名前を載せたくない」と言いだし、「解体新書」は彼の名を載せることなく出版される。

原作の『風雲児たち』とは、1979年に始まったみなもと太郎氏の歴史ギャグ漫画だそうです。長いシリーズから「解体新書」のエピソードをとりあげた。


それにしても配役だけでほとんど満足できたのがドラマとしていいのかどうかわからないけれど、とにかく『真田丸』づくしでした。最初はその事を知らなかったので、新しい役者さんが登場するたびに「あ、おこうさんだ、内記さんだ、板部岡さんだ、真田のパパだ、長宗我部さんもいる」といちいち喜ぶ。だって2016年は『真田丸』の登場人物達の似顔絵を一年間描いてましたもん。みなさんよ~く覚えてます。そこが一番楽しかった。

冒頭から「これは大河ではない(有働さんナレーション)」とありましたが、まぁ軽いエンタメドラマですね。そのとおりそのとおり。でもこれはこれで楽しい。原作はギャグ漫画だそうなので最初から重苦しい歴史時代劇でないのは明らか。楽しければそれでいいし、実際とても面白かったです。


しかしこういうドラマを見ると、あらためて私がいかに大河ドラマにこれとは違うものを求めているのかというのもよくわかる。もっと真面目にやって欲しいんですよ。大河ドラマには(このドラマと比べて例えるのなら)昭和の劇画調の重苦しい雰囲気を求めているんですよきっと。「明日のジョー」とか「巨人の星」とか「ゴルゴ13」とか(←どれも読んでいないけれど)…昭和の漫画は手塚治虫さんの漫画だってかなり暗くて重苦しかった。根性とか努力とか忍耐とか規律とか礼節とか…かなり重苦しい「思い込んだら試練の道を行くが男のど根性」←こういうやつ。ひゃ~歌詞を書くだけでも苦しい。

重厚大河とか本格大河なんて実際そういう重苦しさがあってこそではないのか。しかし今の若い世代の人達はそんなの見たくはないんですよね。

今回の三谷さんのドラマもかわいいんですよ。歴史的なリアリズムはゼロ。重苦しさも一切無い(役者さん達は大変素晴らしいけれど)。きっともう時代が違うのだな。時代が違えば人々がドラマに求めるものも変わってくる。今はほどんどの視聴者が「根性」や「努力」「忍耐」の話なんて見るのもめんどくさいんだろう。まぁそういう時代ということだ。

近年今まで何度も大河ドラマを見ては「軽い軽い」と文句ばかり書いていたんですけど、もう文句を言っても無駄なんだろうなとも思った。もう重厚な歴史大河ドラマが作られることは二度と無いのかも。それなら感想を書く側もそれを受け入れなければならないのだろう。

このドラマが面白かったからこそ、なんとなくそんなことを思った正月時代劇でした。


2017年7月27日木曜日

NHK 土曜時代劇『澪つくし料理帳』全8回・感想



日本では513日から78日まで放送。

このドラマはウブな町娘黒木華さんと、彼女を上から目線で愛でる森山未來侍を見て楽しむドラマ。そこに誠実で優しい永山絢斗町医者がやってきて、黒木華ちゃんに片思い…でますます楽しい。

全体の物語はよく見ていなかった(すまぬ)。お料理はおいしそうだけどストーリーとしてはあまり入り込めなかったのかも。…しかし俳優さん達は素晴らしい。小日向文世さんがいい。俳優さん達を見るだけでもいいドラマ。

しかし私には、とにかく森山未來侍と黒木華町娘のほのぼのとしたやりとりがよかった。澪ちゃんは子供かと思うくらいウブ。そこに森山未來侍が上から目線でからんでくる。いいですねこの二人。化学反応なのかな。

森山未來侍/小松原が色っぽいんですよ。森山さんといえば2013年の『夫婦善哉』でも色気がある色気がある…と感想を書いたんですけど、今回も真面目な役柄にも関わらず、やっぱり強烈な色気。不思議な俳優さん。あの色気はどこからくるのか。やっぱり鼻の形がいい…声もいい。

森山さんは妙に男臭いのね。『夫婦善哉』では、大人の女・尾野真千子さんを相手に、色気ばかりあるダメ男をなさってましたが、今回は真面目な侍。実は御膳奉行だそうで、なるほどあの自信に溢れて落ち着いた大人な感じはそこなのか…。その大人の男が若いイノセントな小娘澪ちゃんを可愛がる。

一方、黒木華/澪ちゃんは純粋。黒木さんのイノセントな雰囲気はこういうドラマには本当にいい。近年の女優さん達にはあまりイノセンスを感じなけれど黒木さんには感じる。彼女も現代の若い女優さんなのであの初々しさは演技なのだろうけれど、澪ちゃんのイノセンスには納得できる。

例えば、永山絢斗町医者が明らかに自分に惹かれているのに、ウブな澪ちゃんは気付かない。気付かない振りをしているのではなくて本当に気付いていない。鈍感というかウブ過ぎるというのか…その様子が信じられるんですよ。他の女優さんがやったら「なんだわかっているくせに気付かない振りをしやがって…わるい女ね」と思うだろうに、黒木華さんがやると「ああこの子は本当にわからないのねぇ」と思ってしまう。

澪ちゃんのイノセンスに説得力があるのは黒木さんの持つ雰囲気。黒木さんのお顔は、6歳ぐらいの小さな女の子がそのままのお顔で大人になったような感じ。はにかみが何とも言えず可愛い。大変貴重。

森山未來侍/小松原が、そんな澪ちゃんを子供を相手にするように可愛がる。しかし色気があるんだよなぁ。澪ちゃんには色気は無い。それなのにこの二人には妙な化学反応があると思う。

話していた小松原が、突然澪ちゃんの額を指で突いて眉を「下がり眉」にする場面…困る澪ちゃん。外で話していても急に眉間を押されて澪ちゃんがまた戸惑う。節分の豆を小松原が片手でとって、澪ちゃんに渡す場面…澪ちゃんの「50個くらい?」に対して「38個くらいか」と豆を渡す。その時の澪ちゃんの一瞬の怪訝な顔もいい。小松原の思わせぶりな「(炒り豆が)この上なく好きだ」の言葉にも、澪ちゃんはどう反応していいのかわからない。この二人にはこういう小さな場面でいい化学反応が見えた。

澪ちゃんは小松原さんが大好きなんですよね。そして小松原さんも澪ちゃんのことを可愛いと思っていて…それなのに彼女はウブ過ぎて小松原さんの好意に気付いていない。いや気付いていてもどうすればいいのかわからない。彼女はただ小松原さんのことが好き。まるで子供のように。恋に恋する乙女のように。だから振り向かない小松原さんの後ろ姿を見つめるだけで満足している。

そんな(子供のようにイノセントな)澪ちゃんに、真面目な永山絢斗町医者が密かに思いを寄せる。澪ちゃんはそれにも全く気付いていない。切ないねぇ。

…しかし御膳奉行と町娘とは、今後も身分の違いで結ばれることはないでしょう。このドラマは続編があるのかな。あっても悲恋なのかなぁ。

…この二人は同じようなキャラ設定でいつか恋に落ちる様子も見てみたいな。歌舞伎役者とウブな町娘とかどうよ…?



2017年4月16日日曜日

NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」第15回「おんな城主 対 おんな大名」4月16日放送・短い文句



文句を言いながらもまだ見てるんですけど(大河ドラマだし)
…しかし酷い。


日本では秩序のために昔からあまり抗議をや文句を言わないのが大人の常識とされているんでしょうけど、このドラマ…酷いですね。黙ってられない。こういうのって誰か言ったほうがいいんじゃないかね。記録だけしておこうか。

あの中野直之って誰? 
公式のサイトにいってあらすじを見ても、城主・直虎さんの

家臣

と出ている。

その男、家臣なのに城主・直虎に対して「あのアマ」と言った?どうしたんですか?以前から男ヒステリーで直虎を怒鳴り散らしてありえないキャラ設定だとは思っていたけれど、自分の国の領主を「アマ」と言った? これ女性の蔑称ですよ。わかってますか? おかしいですよNHK。明らかにおかしいですよ脚本家さん。制作のスタッフも誰もおかしいとは思わないのだろうか?

そのような無礼者
 
打ち首にしろ。かまわん。

もう見ないかな。俳優さん達にとっては災難ですねこのドラマ。