能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

この度の能登半島地震で 被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。 一日も早い復興をお祈りいたします。 ★NHK による様々な支援情報 能登半島地震 義援金・支援金の受け付け始まる 窓口まとめ 【随時更新】 https://www.nhk.or.jp/shutoken/ne...

ラベル 平清盛 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 平清盛 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2012年12月26日水曜日

NHK大河ドラマ 第50回 最終回「遊びをせんとや生まれけむ」


清盛君の大河ぼやきマラソン、完走いたしました! 途中で脱落もしかけたけど、さすが大河枠。やっぱりついつい見続けてしまった。
 
今回は1年分の感想を総括したい。辛口です。
 
 
しかし今年は苦しかった。いいところもいっぱいあったんです。例えば室内の美術。平安時代の建築の知識なんて無い私には、貴族の館などの内装はすごく綺麗で楽しめた。賛否両論だった画面もだんだん明るくなった。
 
平安を描くという挑戦もよかった。マンネリ気味の戦国や幕末に比べれば、新鮮で面白い題材だった。
 
リアルを追求する姿勢も悪いとは決して思わない。昔80年代までの、真正面から光を当てるようなライティングよりはずっといい。ただ問題はバランス。ケムケムのコーンスターチの多用や、逆光ばかりの初期の映像は確かに辛かった。そういうのも最近は改善して見やすくなってました。
 
俳優さん達は若い人ばかりで、説得力のある配役ではなかったと思うけれど、個々の俳優さん達は頑張っていたと思う。1年間の長丁場、視聴率の苦戦など、戸惑うことも多かったのではないかと思うが、全員1年間精一杯頑張ったことには大きな拍手を送りたい。おつかれさまでした。
 
ただやっぱり6050歳以上の人物を20代ばかりで見せるのはどうしても無理。これは配役が決まってしまってからはどうしようもなかったのだろうと思う。
 
 
しかし、視聴率の低下が予算にも影響したのか、最近は話を回していくのも辛そうだった。史実を見せずにナレーションのみ。俳優さんが演じるのは、個人の小さな話だけ。人物の気持ちだけで話を回していくものが多くなっていた。
 
そのあたりが、実は今年の大河の第一の問題ではないかと思った。大河ドラマはあくまでも歴史のドラマ。まず歴史のうねり、流れを描くのが基本。その大きな流れ(歴史)を見たいから「大河」を見る。その大きな流れの上に登場人物たちが乗っていなければ面白くない。それなのに、今年「大河」として描かれたのは、裏庭にチョロチョロと流れる小川のようなもの。そのせせらぎを後ろに聞きながら、人物が前面でうんうん唸って感情的な芝居をやっているような感じだった。だからつまらなかった。
 
史実を描く時も、大きな流れの中での事件というより、個々の事件がぶつ切りにツギハギされているような印象。羅列しただけ。そのせいで歴史のうねりが見えない。だからつまらなかった。
 
 
視聴率が落ちて予算が減ったために「大河の流れ」が描けなくなったのか、それとも最初から「大河」を描く意志がなかったのかは、今では分からない。鶏と卵のようなもので、それが私達視聴者に分かることはないのだろうと思う。
 
今週の最終回は、その「大きな河が描けなかった」最たるもので見ていて可哀相になるほど。絵として撮りたい場面(清盛の死、壇ノ浦時子、錨をかかえた知盛、額に矢を受けた弁慶)だけを撮影し、残りの人物は過去の映像の使いまわし。ドラマチックなはずの平家の滅亡を全て敵=頼朝のナレーションで足早に終わらせた。
 
それなのに、清盛が亡くなった後も、壇ノ浦、義経の最後、その後まで長々と話を引き摺った意図はよくわからない。ピンポイントで大雑把に事件だけを見せられてもなんの感動も沸かない。あれなら清盛の死から壇ノ浦までで終わってもよかった。
 
 
結局、このドラマの一番の問題は、何が描きたかったのかが見えなかったこと。歴史でもない。魅力的な人物でもない。人物同士の関係も双六をしてにらみ合うだけ。その上に、話を食ってしまう過剰な演出。意図が不明で鼻につく衣装、人物デザイン。くどい台詞の繰り返し。唐突でくどい音楽の繰り返し…。一貫性の無い人物像、話に思想や意図の見えない脚本を始めとして、これら周りの様々なものが不快な不協和音を奏でていた気がする。脚本が弱く、話の軸を真っ直ぐに通せなかったために、個々の不協和音が増幅されてしまったような感じ。結果「大河」が見えなくなった。そして人物達も話も見えなくなってしまった。
 
 
今年の大河は実験と言っていいのだろうと思う。その実験に乗っかった俳優さん達も辛かったろうと思う。もっともっといい話は書けたはず。もっともっと俳優さん達を活かす事は出来ただろうと思う。例えば今週、錨を抱えた知盛なんて大変な迫力だったけど、今まで過去に彼が表に出てきた場面は一度も無かった。知らない人物の大立ち回りを見せられても気持ちが動かない。盛国の上川隆也さんほどの俳優さんを、1年間も座らせてただけというのも信じられない。彼に限らず多くの俳優さん達が一度も輝くことなくこのドラマを通り過ぎていったんだろうと思う。ほんとうにもったいない。
 
もっと面白くなったはず。もっとドラマチックな大河に出来たはず。平安、源平だからダメだったんじゃない。人物さえ描ければ、平安、源平は決してつまらない素材じゃないと思う。むしろ私のように当時の歴史に詳しくない者には、戦国に比べれば新鮮で面白い素材だった。
 
ドラマは人物が輝くから面白いこと。そして何よりも、大河ドラマは歴史を描くからこそ面白いのだということ、1年もの時間をかけて丁寧に歴史を描くことは「大河ドラマ」だからこそ出来るのだということを、もう一度考えなおして欲しい…と思いながら最終回を見終わった。
 
それにしても老けない深田さんは綺麗だった…。みなさんお疲れ様でした。
 
 
 
 
 

2012年12月3日月曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第47回「宿命の敗北」


簡単に…。

絵はいいんですよね最近。

ドラマそのもの(脚本、演出、思想)には、匙を投げたんですが…
それにしても清盛の松山さんはよくがんばってると思う。いろんなことを一人で肩に背負っているのが不憫じゃ…。時々演技に力が入りすぎてるのは実年齢の若さのせいでしょう。でも老獪で醜悪なジジイを一生懸命熱演してるのはいいと思う。今どきの27歳であそこまで自分を崩した演技が出来る人も少なかろう。まだ若いのになりふり構わず破壊的でいいと思う。なんかこのドラマで吹っ切れたのか。それとも元々こんな人?

対する源氏。頼朝君はもうちょっと肉を食って精をつけたほうがいい。なんとなくいつもほや~んと見えてしまう。奥さんのほうがずっと男前。それにかわいい義経君のほうが元気がいい。お兄ちゃんはもうちょっと元気を出しましょう。

あとは…深キョンが若い…。あきれるほど若い(ほぼ)60歳はいいのか…。




 

2012年11月26日月曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第46回「頼朝挙兵」

 
先週褒めたので、そのままにするのは公正さを欠くので正直に書こう。また吼えます。もちろん私の個人的な意見。楽しんだ方は読まないで下さい。
 
 
今週は期待はずれ。
 
先週あんなに期待したのに、またつまんない大河に逆戻り。面白いはずの場面を3秒とナレーションで終わらせて、あとはぐだぐだ。
 
平家の軍勢が源氏を襲う場面で、忠清の顔が映ったのが1秒。矢をばーっと討つのに1秒。あともう1秒。戦はそれだけ。その後唐突に頼政親子が屋内でさようなら劇をやってる。以仁王の討ち死にもナレーションだけ。八条院がぼーっとして庭にいるだけ。先週の盛り上がりが全部盛り下がり。史実の具体的な描写がほぼ皆無。いい役者さん達がもったいない。
 
それなのに清盛が白拍子2人を呼びつけていじめる場面は延々とやる。こんなものどうでもいい話じゃないかっ。こんなグダグダばっかりで大河ドラマを撮らないでくれ。ほんとにたのむから。
 
1人が何かやると、その直後に周りの人物全員の顔を順に大写しにしてリアクションらしいものを撮る。そのリアクションも全員ボーっと見てるだけ。人のリアクションばかりを面白がって撮るような演出は悪趣味。品が無い。そんなものを1年間もやっている。
 
頼朝の挙兵も題名ばかり。映ったのは3秒?後はナレーションで済ませて清盛の顔芸をやってる。これじゃ題名やるやる詐欺。その後の話の展開も意味不明。
 
…役者さんはよくがんばってると思うけど。
 
もうとにかく今後は歴史を語る歴史のドラマだけをやって欲しい。史実はそのまんま絵として再現するだけで十分に面白いはず。NHKさんどうかお願いします。日本の歴史は、こんな顔芸ばかりの安っぽいドラマで語っちゃいけない。これだけのお金をかけて、いい役者さん達をつれてきて、顔芸だけの内輪話とは本当にもったいない。もっと日本の歴史を、歴史上の人物達を尊重してくれ。たのみます。
 
 
 
 

2012年11月20日火曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第45回「以仁王の令旨」


久しぶりに…なんだか今回面白かったかも。
 
またまた視聴率の記録を塗り替えたそうですが、いや今回、内容はよかったと思います。ほんとよ。歴史が動いた。動けばいいんです動けば。このドラマ、どうも歴史をナレーションで済ませて人物達のパーソナルな悩みや葛藤ばかりを拡大するので、なんだかつまんないなーという回が多いのだけど、今回は歴史が動いたぞ。歴史の動きが見えれば面白い。動く歴史に翻弄される人物達の心理描写もいいバランスで絡めていたと思う…。
 
なんだか妙な衣装があったり、肝心なところで合わない音楽が鳴ったりしていたけど、演出はすんなりと自然で鼻につく場面もなく話に集中できた。内容が盛りだくさんにもかかわらず、それなりに順をを追った状況展開があった。
 
 
くすぶる源氏と腐り始めた平家のあらすじ
 
源頼朝君は武芸のお稽古。奥州では義経が弁慶とじゃれている。お世話になってる藤原秀衡さんは平家にご不満らしい。
 
一方京では、平家に所領を奪われた以仁王が憤懣やるかたなく、(同じく)いろいろと我慢している源頼政に平家打倒をけしかける。
 
平家の宗盛はお兄ちゃんが亡くなって重圧に耐えかねたのかグレてます。頼政の息子はこの人に大事な馬を取り上げられて怒り心頭。頼政親子はだんだん頭にきている。源氏はくすぶってます。
 
清盛爺は孫の安徳天皇を即位させ、自分は福原で酒と女に溺れる。日々白拍子をはべらせて、周りには無理難題を怒鳴り散らす。重臣盛国も困り顔。老害はもう手のつけようがない。平家に陰りが見えてきた…。
 
満を持して以仁王が全国の源氏に平家打倒の令旨を発令。火がついたぞ。よしよし…盛り上がってまいりました。
 
 
不満を募らせ動き始めた源氏に、陰りの見え始めた平家の対比。そこに発令された以仁王の令旨。これがはっきり見えて面白かった。個々人の感情は歴史の大きな流れの中の飾り程度。いいバランスだと思う。
 
それにしても惜しむらくは俳優さん達が皆若いこと。これは今さらどうにもならないことだけど、平家側にもう少し(せめて)30代後半の俳優さん達がいれば、これから力をつけてくる若い源氏との対比が面白かったろうにと思う。時子さんも時忠も後白河法皇ももっと老けてたほうがいい。松山さんが一人ジジイになってがんばっている。
 
 
なんだか先週と全然違うな。やっぱり脚本や演出にムラがあるのかな…?ともかく最後に向けてラストスパートでしょうか。来週は「頼朝挙兵」。このままあと数回、面白いといいな…。


2012年10月8日月曜日

第39回「兎丸無念」


不快ですね。もうダメですねこれは。この大河はもう改善も改良も無理でしょう。このまんま最後まで進むんでしょうな…。
 
 
先々週あたりから出てきた「カムロ」ちゃん達。別にいいんですよ、出てきても。だけどね、どうして演出であそこまで邪悪にしなきゃいけないのか…。どうしてあんなにとってつけたようなオドロオドロしい感じにしなくちゃいけないのか…もう分からん。先週も酷かったけど、今週も酷いね。なんだか画面から悪い「気」が出てきそうだ。こんなので(本来は大河の命綱の)60歳以上の視聴者が喜ぶとでも思ってるんだろうか。お年寄りは縁起の悪いものを嫌うのよ。
 
 
暫く前の崇徳上皇マリリン・マンソンの回でも呆れたのだけど、このカムロさん達もそうね。いかにも癖のある「アートですよぉ」的な演出。カムロなんて「童子」らしいけど、このドラマでは明らかに厚化粧をした27歳ぐらいの女優さん(男性だそうです)。白塗りに真っ黒のアイラインで前衛舞踏か?ホラー映画か?もういい加減にしてほしい。こんなのでいい気になってる演出のスタッフの浅はかさを考えると、薄ら寒くてゾッとするわ。
 
 
そもそもカムロさん達というのは歴史上の記述でも「平家の悪口を言う者を密告した」子供らしいんだけど、じゃあこのドラマでカムロさん達が、あの羽に刃物がついたみたいなので人を殺しているのも「また」創作?今回兎丸さんのサヨナラ回だったけど、あんな殺され方なんて拷問よ。史実ならともかく、なぜ創作してまでああいう邪悪なシーンを見せるんですかね。不快。丁寧にカラスまで連れてきて得意満面でしょこのスタッフ。とんでもねえぜ。ほんとにとんでもねえ。ましてや今週の主役の兎丸は架空の人物…。
 
 
最後のキメは頼朝君のナレーション。「その後、1年をかけて平清盛は、ついに大輪田泊を完成し宋国の使者を迎えた…。」っておいおいおいおい、ナレーションで終わり???あれだけ「宋の皇帝の名代とも言える宋・明州の長官」を迎えるためにジタバタしたのにナレーションで終わり??これが史実かどうか知らないけど、話としてすごく盛り上がる場面なんじゃないの?なんでナレーションで済ますかなー。解らん、さっぱり解らん。そういえば大輪田泊の工事現場も一切見ませんでしたね。CGはどうした…?どう考えても力の入れどころが間違ってますよねこのドラマ。
 
 
脱落しそう…。
 
最後に、私は個人的には俳優さん達を攻めるつもりはない。とにかくこの脚本でこの演出じゃ誰がやっても難しいでしょう。むしろ俳優さん達が可哀想だ。ほんとにどうしちゃったんだろう…。
 


 

2012年9月20日木曜日

脚本について考える:『平清盛』と『薄桜記』


 
NHK大河ドラマ『平清盛』が相変わらず苦戦しているそうだ。たまたまなのだがNHK BSでの時代劇『薄桜記』にすっかりはまっている。面白いのだ。何が違うのだろうと脚本について考えてみることにした。

 
まず一番に思うのは『平清盛』に比べて『薄桜記』の人物達が圧倒的に魅力的であること。たった10回しか見ていないのに人物達が人として理解できる。堅物で真面目、律儀で友情に厚く男らしい丹下典膳。その典膳を一途に慕う健気な千春。言葉は荒くても非常に知的、昭和の頑固親父風吉良の殿様、熱い堀部安兵衛。控えめに典膳を慕うお三。計算高いがいざと言う時には力になってくれそうな白竿屋…etc. 話の本筋とは関係の無い小さな場面の積み重ねで、人物の描写に深みが出るということは『薄桜記』第9回の感想にも書いた。

一方『平清盛』。回数を重ねて既に36回も見ているのに、主役の清盛はもちろん、○盛○盛の家族、時子さんさえどういう人物なのか未だ正直よく分からない。俳優さん達は皆大変よく頑張っていると思う。それなのに未だそれぞれの人物像がはっきりと見えてこない。理解が出来ないから魅力的に見えない。当然話は進んでいる。だけど人となりの見えない人物達が、歴史上のぶつ切りにされた時の中で個々の場面だけを表面的に泳いで話が進んでいくような印象。このことは以前、同番組の感想にも書いた。

 
この二つのドラマを見て考えたのは、『平清盛』は『薄桜記』に比べて人物描写のための細かい場面の積み重ねが足りないんじゃないかということ。要は、事件の積み重ねはあっても、人物を知るための場面の積み重ねが少ないのではないか。もっと酷い事を言うのなら、この大河ドラマは脚本で人物を構築する事をせず、俳優の方々の魅力(顔がいいとか、可愛いとか、背が高いとか)と演技だけに頼って人物を作ろうとしていないか…。そうだとしたら、ドラマ作りとしてはとんでもないぞ…。

 


そんな事を考えていてあらためて思ったのは、もしかしたら近年のドラマや映画の脚本は漫画っぽくなってきているのではないかということ。一般的に漫画は限られたページ数で話を進めるため、一見無駄に見えるような場面は好まれない。話が間延びしないように事件に事件を重ねて話を紡ぐものが多いのではないかと思う。結果、そのような表現の方法では、話は劇的に回っていっても、細やかな人物像を構築することは難しいのではないか。もしそうだとしたら大変なことだ。

私達が普段から実生活で出会う人々を知っていくのは、その個人のふとした仕草だったり、色んな場面での細やかな表情、普段は見せない意外な一面だったりする。人を表現するのはそれぐらい繊細なものなのだろう。だからこそ人物の人となりを表現するための場面は、むしろ本筋とは関係ないもののほうがよかったりする。近年の脚本にはそのような一見無駄な場面が少なくなってきているのではないか。

古典的に丁寧な人物描写をする『薄桜記』の人物達を理解できて、漫画の筋のように事件を箇条書きで追い続ける『平清盛』の人物達につかみどころが無いと感じるのもそのような理由によるものではないか…。

 

私は古いタイプの人間なのだろうと思うが、映画やドラマは人物に惹かれて話に引き込まれる。人物描写が十分に出来ていなければ話にも興味が持てない。『平清盛』の問題は脚本のスタイル。近年余りにも世間に広がりつくしてしまった漫画スタイルの脚本のせいではないのか。もしかしたら若い世代の脚本家の方々は『薄桜記』のような丁寧な人物描写が出来なくなってきているのではないか。

おそらく漫画のように事件を重ねるスタイルの脚本は、単発のドラマや映画には向いている。しかし50回も回を重ねるような連続ドラマではかなり辛い。登場人物に惹かれ、自分の家族のように応援したくなってこそ毎週連続で見続けようと思うからだ。まず人に惹かれてこその連続ドラマ。『薄桜記』を見ているとづくづくそう思う。

日本では漫画は限りなくポピュラーな大衆文化だ。誰でも読む。絵と台詞で構築された漫画は、一見ドラマや映画の脚本と同じだと思われることも多いのだろう。しかし実は全く違うものかもしれないのだ。個人的な極論だろうと思うが、『平清盛』と『薄桜記』の二つのドラマを見ていてちょっとそんなことを考えた。
 
 
 
 
 

2012年9月9日日曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第35回「わが都、福原」



やっぱり見てます。今回ちょっと面白かった。

杏ちゃん登場。このケンワタナベの娘さんは昔どこかのTVで実は歴女だと聞いたぞ。たぶん戦国あたりがお好きなのではないかと思うが、ご本人が歴史好きなら資料読みも苦痛ではあるまい。時代劇をやるのに俳優さんの歴史の教養は必要。歴史好きな女優さんとして期待したい。しかしパリコレモデルにすごいメイクだな…何歳の設定だっけ…?

頼朝君はキャラがダメダメですね。あんなに長い間意気消沈しているなんて、ちょっと役としてありえない。だってこの人、将来自分の弟を殺して平気な人でしょ。前の子供のことでだろうけど、なんだか極度に弱々しいボンボンという感じ。こんなんで将来キャラの辻褄が合うんだろうか…。

清盛君は頭を剃ったそうです。立派立派。ずいぶん青白っぽいカツラだと思ったら、本当に剃っちゃったそうだ。気合入っているじゃないですか。いいと思います。坊主になって良くなったと思う。しかしあの赤い衣装を着ていると中国の魔法使いのようにも見える。

余談だけど中年以降の男性の方で、薄くなる髪を心配される方もいらっしゃると思うが、剃ってしまっても似合う人が結構いるのではないかと思う。この番組の西光さんも、坊主になってずっと良くなった。結構みんな似合う事を知らないだけかもしれない。

頼盛くんも久しぶり。がんばってます。この俳優さんはアイドルの方らしいけど、小柄ながら将来じっくりと俳優をなさってもいいんではないかな…。

30回「平家納経」でマリリン・マンソンが出てきてから、もう真面目に感想を考えるのは止めようと思ったのだけど、その後もとりあえず見続けてました。その後もなんだか歴史の表面だけをなぞる展開で記憶に残らなかったり、急に、いったいいくつ?な聖子ちゃんが出てきたり、清盛君の50歳のお誕生会で1回分使ったり、病気になったり…もういったいぜんたいなんなんだろうと思っていたのだけど、たまーにこんな回もあったりする。兎にも角にもやっぱり大河ドラマなのだ。日本史のドラマが好きであるなら、何であれともかく見届けるしかない。腹を立てながらも見続けるしかない。大河をサポートしなくてはならない…。ただ滋子の髪は許すまじ。

とりあえずマラソンは続いている。




 

2012年8月4日土曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第30回「平家納経」


もう無理かなぁ…。

今までいろいろと書いてきたけれど、先週の滋子の巻き毛、それから今週、崇徳上皇がマリリン・マンソンに変わったのを見て何かが落ちた。

制作のスタッフの方々がノリノリなのは分かる。初回から熱意はいろんなことから伝わってきたけど結局若い人向けのセンスなんだろうなぁ。私のような年寄りには全て空回り。熱意が面白味として見れる間はなんとかなったけど、不快になってきたらもう無理。

あとは頼朝君の検討を祈る。




2012年7月22日日曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第29回「滋子の婚礼」



おのれNHK、開き直ったな…(大笑後脱力溜息)。


( 滋子さんの髪型であまりにも頭にきたので文句を言ってます。この回を楽しんだ方は読まないで下さい)
もうね、あきらめますわ今年。今回で歴史ドラマとしての最後の砦が崩壊。もうどうでもいいや。真面目に考えるのも無駄。そういえば今回、お二人の重鎮キャラも亡くなったんですね。後に残るのは若造ばかり。安心して見れるのは宇梶さんと上川さんと和久井さんぐらい?

一応気になったんで、滋子のこと調べたんですよ。髪で苦労したとか…。一切無いですそんな話。ということはNHKの制作の方々がよってたかってこのうねうね髪にまつわる話を1回分捏造したわけだ。あーあ…またやっちまったんだ。くだらない。実にくだらない。こんなものに時間をとる暇があるのなら、もっと語らなきゃいけないことも沢山あるだろうに。 
これからもこの調子で若造ばかりをワイワイ出して、史実の405060代の人物達の話を青春話のように演じさせていくんだろうな。そこかしこに冗談ばかり飛ばして顔芸満載。ほんとに困ったもんだ。

役者さんたちには何の落ち度もなかろう。 むしろ役者さん達は大変素晴らしいと思う。頑張ってます。しかし脚本家とNHKの制作の方々がこのような戯れ事で内輪受けして喜んでるようなことを続けるのなら、もうこの時間枠を大河ドラマなどとは呼ばないほうがいいと思う。もう少し歴史を尊重すればいいのに。

まだ清盛マラソンを棄権するつもりはないが、ほんとに困ってしまった。




2012年7月15日日曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第28回「友の子、友の妻」


今、公式のサイトに行ったら清盛君が坊主になってた…。

今回も落ち着いて見れたと思います。義朝君は早かったです。あっという間にいなくなった。なんだかあっさりし過ぎていた気もする。玉木さんも正清の趙さんもおつかれさまでした。

悪源太義平君の最後が見れなかったのが残念。

清盛君はとても落ち着いてきたと思う。頑張ってます。ただ一つ気になった。時子とのシーンでのこと、状況として、もしこれが現代劇なら松山さんの演技は何もおかしくない場面。ところがこのシーンでの彼の演技が「平清盛」像としてはとても軽く見えてしまっていた。結果として役に合ってない演技に見えてしまう。それで思ったのは、もしかしたら俳優さんは現代劇でなら十分にリアルな演技をしているのに、時代劇に合ってないんじゃないかということ。往年の時代劇の大スターの方々、松平健さんや、高橋英樹さんなどの演技は、かなり時代劇向けの様式美の演技。現代劇に持ってきたら、たぶん大げさな演技。時代劇ならではのリアルさというのか、そんな時代劇用の演技の型みたいなものがあるんじゃないか。近年、若い俳優さん達が時代劇で軽く見える違和感は、彼らに時代劇の様式が身についていないことからくるのではないか…などと思ってしまった。

それから頼朝君への清盛の説教の場面。また泣く。やっぱり泣かない方がいいと思う。叔父さんを殺すような時代なんだもの。そんな極限を生きてる人たちは簡単に泣かないと思う。泣かれるたびに興ざめ。自分の台詞の良さに酔って泣いているように見えてしまう。



いつも思っていたけれど、池禅尼の和久井映見さんが素晴らしい。歳を重ねた女性の声。この落ち着き。以前はどちらかと言えば可愛いタイプの女優さんだったと思うのに、演技でこんなに変われるなんてすごいと思う。

それから、今回は頼朝君が素晴らしかった。中川大志さんはまだ14歳だと聞いているが、既に声が落ち着いている。清盛に殺してくれるよう頼む声が14歳とは思えないほど深い。たいしたものだと思う。これから身体も大きくなって、声ももっと低くなったらすごくいい俳優さんになるかも。

坊主になった西光(加藤虎ノ介さん)。一瞬誰だか分からなかった。この人の目力がいい。公家さんメイクの時には気付かなかった。坊主頭がすごく似合う。

常盤(武井咲さん)。先週はっとしたのだけど、この女優さんは美しい。武井さんの顔はよく見ると、大きな目以外はほとんど能面に見える。輪郭が能面。丸い鼻も能面のそれ。能の女面は長年日本の美女の顔。目が小さいのが現代の美女と違うところだけど、武井さんの顔は、能面に大きな目をくっつけたような顔だと思う。 常盤は1000年前の絶世の美女。武井さんは現代の能面風美女。すごくいいと思う。目がすごく綺麗。

筋の速い流れや思想の甘さ、脚本の台詞がぎこちないところなどいろいろあったけど、全体的に落ち着いて見れたと思います。ただ音楽はベタですね。ドラマドラマ…ドラマチックやなーという音楽の入れ方はどうもつらい。

さて直後の予告で、滋子のチリチリ頭がイキナリ出てきて「えぇーーっ」と大声が出た。はぁーやっぱりちょっと心配。拒絶反応に近い。ふざけた回になるのかなー。




2012年7月9日月曜日

NHK大河ドラマ「平清盛」第27回「宿命の対決」



よかったです。男祭り。大きな拍手。やっぱいいよね、戦の再現。



 もうね、玉木君、惚れたわ♪ ステキ。いい男。惚れ惚れ…見とれる…(笑)。ファンになった。あ、武将の時だけね。彼が画面に出てくるだけで、ほえ…と見惚れる。ステキ。この人は絵になる。時代劇の男としてすごく絵になる。先週スタジオパークに出ていたのを見たけど、普段はふつーのイケメン君なのね。なんだかご本人は現代風に洗練されすぎた優男であまりピンとこなかったけど、武将をやると最高にいい。こんなドSで荒々しくて乱暴で怒鳴ってばっかりの単細胞をやると最高にはまる。前回も書いたけど、この俳優さんには時々時代劇に出て、激しい日本男児を演じ続けて欲しい。45歳ぐらいになって貫録がついたら、この人の男振りの右に出る者はいなくなるかも。これは楽しみ。怒鳴り声が最高。素晴らしいです。映画やドラマの業界の方々には、こういう俳優さんに、昔気質の激しい男を演じる機会を作ってあげて欲しい。現代の優男ばかりなんて、ほんとにつまんないわ。


それから前回あんなに清盛君の文句を言ったのに、今回どうよ。いいじゃないですか。今回清盛君がかっこいいの。どうした。やればできるじゃない…。えーびっくりだわ。玉木君が勢いでガウガウ言ってるのに対して、清盛君は静かな知将という感じですか。ほんとなの、今回、前回と打って変わって清盛君がかっこよく見えた。それもカメラワークとか照明で意図的に良く見えるように撮っている感じ。

公卿の二人が会いに来て、清盛君にひれ伏している場面なんて、清盛君を大きく見えるように下から撮ってる。一人でサイコロを振ってた後立ち上がった時もそう。意図的に強い大きな男に見えるように下からのアングルで撮ってるんです。どうしてこんなに週ごとに印象が変わるんだろうと、ほんっとに不思議。

先週の信西の首を見上げる場面なんて、カメラが信西の首の位置から清盛君を見下ろしていて、あれだとどうやったって清盛君が小物にしか見えない。上を見上げて睨み付けるのも子供が泣きながら文句を言っているようにしか見えなかった。でもそれはカメラの位置のせい。一族の棟梁を撮るのに決していいアングルではないです。それなのに今回、清盛君が小さい男に見えた場面がなかった。今回は彼を魅力的に撮ってる。声も腹から出ていたし威厳もあった。静かに座っている場面も、ちゃんと知将がいろいろと考えているように見えた。なんだか演出も監督も全然違う感じで、ほんっとに不思議。



全体の荒々しい雰囲気もとても良かったです。前回の保元の乱でも書いたんだけど、戦の回なんてアクション映画と同じで、わらわらがやがや鎧や刀がぶつかって、人物もガウガウわめいていれば、それなりに形になるもの。後はカメラで、熱演をされている役者さんたちの勢いを撮って、効果的に編集すればばそれでいい。今回の戦の場面はそれがすごくよく出来てたと思う。ほんとに久々に興奮しました。

何よりも嬉しいのは、若い俳優さんたちが、思いっきり弾けて武将をやってたこと。みんな男の子だもんね。武将のコスプレをして刀を振り回すのが、楽しくないわけがない(笑)。みんな活き活きしてるんだもん。そりゃ楽しいと思う。見てるこちらも楽しい。

 重盛君。声が腹からしっかり出てる。この重盛という人は非常に頭のいい武将に描かれているんだろうと思う。どちらかといえば頭でっかちタイプ。だけどそんな彼も、戦では興奮して怒鳴り散らしてるのがいい。

それに対して義平さん。この人がまたいい。誰にも抑えられないような切れるような激しさが、武将としてすごくいい。ああいう血の気の多いタイプが、武将なんて職業には一番あってるんだろうと思う。小粒でもピリッと辛い。この俳優さんにもまた時代劇をやって欲しい。

それから、頼盛君。この人も化けたね。やっぱり男の子はアクションものが嬉しくってしょうがないんじゃないかな。みんなのなかで一番活き活きしてた。普段は可愛すぎるぐらいの優男で小柄、顔立ちも繊細なのに、まあー化けた化けた。殺陣もさまになってる。かっこいいです。目が据わってるんだもの。本気。この人は俳優として、いろんな引き出しがあるんじゃないかな。いいですね。

そんなこんなで、ただただ男祭りを楽しんだ回。それでいいと思います。楽しかったわ。なによりも若い俳優さんたちがよかった。普段は優しい現代の男の子達が、武将のコスプレで活き活きと漢を演じているのを見るのはとてもうれしい。まだまだ日本も捨てたもんじゃない。こういうのもいいじゃないですか。だって最近の現代劇なんてみんな女の子みたいな優男ばっかりなんだもの。ほんとにつまんないわ。せめて時代劇ドラマの中だけでいいから、彼らが本来持っているはずの男らしさを見せてもらいたい。じゃないといつか日本はだめになる。ほんとよ。



さて最後の、清盛VS義朝の一騎打ち。これで多くの視聴者がひっくり返ったと思う。史実でもないし無理もない。いろいろ設定としてもおかしな感じ。だけど100歩譲って、一騎打ちの場面そのものはいいと思いたい。というのも始めのころから今回まで、長々と引きずってきた義朝と清盛の友人設定が、ここでクライマックスという流れから、こんな場面もしょうがないと思うからだ。二人の関係が最初から話の機軸なので、これはドラマとして避けられなかったのでしょう。

それに一騎打ちのアクションもそれほど悪くはなかった。たぶんお二人とも殺陣を普段からやってる方々ではないと思うので、真田広之さんのような本格的なキレを求めてもしょうがない。俳優として与えられた殺陣の型をやってるのだとしたらあれで十分。それにあの場面の映像は決して悪くなかった。緊張感もあったし。なんだか対戦型格闘ゲームのようにも見えたけど。お二人とも大柄なので(特に清盛君)、重さを感じられるアクションもよかったと思う(出来れば日本刀を持って欲しかったけど)。

ただ一つ気になったのは、義朝君をあそこまで追い詰めておきながら、殺さずに逃がしてしまったこと。おそらく次回1回分で義朝君の最後を語るためなんだろうけど、あれはちょっと惜しい。(ありえないとは分かっていても)清盛君が刀を取り出したときは、一瞬あのままざくっといくのかと思った。そしたらやっぱり殺さずに涙なのね。そこからは、現代友情お涙劇になっちゃった。清盛君もまた声が裏返ってるし…。ドラマとしてあそこで義朝君を殺せないのは解る。しかし、実際にはあのまま逃がしてしまった方がずーっと残酷なのよ。落ち武者として雑魚に殺されるより、あのまま清盛君が首をとったほうがずっと優しいの。だけどそもそも一騎打ちがありえないのだから、いろいろと無理があったんでしょう。



ところで清盛君は馬を走らせるとさまになる。馬上で剣を両手で持った場面もあった。乗馬が上手いのかな。ところで清盛君はよく泣くけど、もうあまり泣かない方がいいと思う。それから突然出てきた潤ちゃん青木さん鬼若(弁慶)の迫力は異常。男臭さがはんぱない。やっぱりこの人はいい。

さて来週はどうなるか。義朝君の最後。悲しいわ。涙涙かな…。