能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

能登半島地震 ─ 寄付・支援情報

この度の能登半島地震で 被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。 一日も早い復興をお祈りいたします。 ★NHK による様々な支援情報 能登半島地震 義援金・支援金の受け付け始まる 窓口まとめ 【随時更新】 https://www.nhk.or.jp/shutoken/ne...

2022年1月31日月曜日

Vinesto - Both Ways (2021)



若い才能



Vinesto - Both Ways (2021)
Both Ways – Single
Vinesto
Released: October 29, 2021
℗ 2021 Vinesto Music



新人です。Vinestoさん。18歳。ウクライナ出身で11歳からロンドンのボーディング・スクール/寄宿学校へ留学。外国の地での寂しさを音楽を聞くこと+作曲で慰めた。

そんな彼の才能が英国内やアメリカのプロデューサーに知られることになり、様々なサポートを受けるようになる。2020年11月にオリジナルのファースト・シングル「Alive」をリリース。2021年2月に「Take Our Heart」、9月に「Wish That We」、10月に「Both Ways」をリリース。どの曲もYouTubeに上がってます。

この曲「Both Ways」は、彼の迷いと自己発見のプロセスの歌だと言ってます「人生は白黒に分けられるほどシンプルではない。戸惑ってもいい。混乱してもわからなくてもいい」

4曲入りのEPを今年の1月にリリース。レコーディングはロサンゼルスだそうだ。


まだ18歳ですからね。歌のテーマはティーンの戸惑いが多いらしい。11歳で親元を離れて海外で暮らし、不安や戸惑いを感じたらしい。そうですよね。18歳ならまだ様々なことに迷いますね。それを歌に出来るのは才能です。

この歌は数週間前に英国のダンスチャートに上がっていたのでメモしておいた。いい歌です。アレンジもいいのですよ。ベースラインがすごくかっこいい。注目です。


訳注
●①What it feels for youの意味はwhat my heart feels for you
●②In my skin, look in the mirror and love who I see の意味は Inside myselflook in the mirror...
●③Honestly, let all the hate roll off of meの意味は、例えば布が水を弾いて水玉が転げ落ちるイメージ= disappear…「僕からヘイトを消えさせる」だけれど「僕がヘイトを無視する」と訳した


Both Ways

Vinesto
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隠れてる
僕の秘密が追いついてきた
僕は嘘をつき続けて
影の中を彷徨って
入り込まないようにしてる
毎日新しい仮面をかぶり
裏切りの海に 漂流 漂流して
砂に真実を ふるいにかけ続けながら

僕は板挟みになってしまった
君が 見ている人(僕)と
僕が なりたい人の間で
ほんの少しの間 自分を見失ってる
誠実さを見つけようとしてる
僕は若くてワイルドで自由でいながら

教えて
僕の心に 感じることを止めるように どう伝えればいいのか
僕の心が 君に対して何を感じてるのか ●①
皆は間違ってると言うけれど でも僕の愛は
境界を知らない
そして僕の心は どちらにも向いている


確実に幸せでいられればいいのに
僕の全ては ●②
鏡の中の自分の姿…僕が見ているものを愛している
正直、全てのヘイトを無視して ●③
僕は戦うたびに 強くなる
君を愛することはきっと正しいし 間違ってないはず

僕は板挟みになってしまった
君が 見ている僕と
僕が なりたい人の間で
ほんの少しの間 自分を見失ってる
誠実さを見つけようとしてる
僕は 若くてワイルドで自由でいながら

教えて
僕の心に 感じることを止めるように どう伝えればいいのか
僕の心が 君に対して何を感じてるのか 
皆は間違ってると言うけれど でも僕の愛は
境界を知らない
そして僕の心はどちらにも向いている

どうすればいいのか教えて
僕の心に 感じることを止めるように どう伝えればいいのか
僕の心が 君に対して何を感じてるのか
皆は間違ってると言うけれど でも僕の愛は
境界を知らない
そして僕の心はどちらにも向いている

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2022年1月30日日曜日

Tiësto & Ava Max - The Motto (2021)



エヴァちゃんはダンスもうまい



Tiësto & Ava Max - The Motto (2021)
 
Official Lyric Video
The Motto – Single
Tiësto & Ava Max
Released: November 4, 2021
℗ 2021 Musical Freedom, LLC under exclusive license to 
Atlantic Recording Corporation for the world.



MVが前回のYears & YearsのMVに似ているので思い出した。この曲は去年の年末頃から気になっていたのだけれど、どうしようかなと思ってた。雰囲気はいいのだけれど曲は単調すぎるかなと思った。でも結構耳に残るしキャッチー。じゃあやっぱり記録しようか。Eurythmicsの「Sweet Dreams (Are Made Of This)」を思い出した。

エイバ・マックス(Wikipediaではこの表示)/Ava Maxさんはアメリカのシンガー・ソングライター。この曲は1月の末になってから欧州でチャートに上がっている。ここ数週間英国のダンス・チャートにも入ってる。…アメリカの曲は時々欧州では遅れてチャートインすることもありますね。この曲もアメリカでは去年の11月にビルボードのダンスチャートに上がっていた。


さて彼女はこれから大きくなるのか。

彼女のアメリカのビルボードのチャートでの今までの成績は…、トップ10入りは1曲。トップ20入りが3曲だけ。実力から言えばもっといけると思うのだけれど、彼女は今どれぐらいアメリカの若者に知られているのだろう?

MVを見る限りダンスはうまい。2:43あたりからグループの中心でカメラに向かってダンスする様子はすごくかっこいい。粘りのあるファンキーないいリズムの取り方をする。曲によく乗って自然に身体の動く人なのだろう。アティテュードもいい。

歌は十分うまい…しかしこの曲のライブ動画の様子は安定してない。「My Head & My Heart」のライブビデオでは生歌もうまいかと思ったのだけれど、もっと場数を踏んだ方がいいのかも。ライブは途中で息切れしてるので体力がないのか。それなら身体を作ったほうがいい。声の質はいい。


彼女はご両親がアルバニアの出身だそう。彼女は生まれも育ちもアメリカのアメリカ人の女の子なのだけれど、アメリカは人種に関して保守的な人が多い国。もしかしたらそのようなことが彼女の評判に影響を与えているのか。レコード会社も彼女の売り方を迷っているのではないか。MVにはお金をかけているけれど。

ユニバーサルなポップスターとして売るのか、異国趣味で売るのか?

(そのせいなのかどうなのか)異国風味/Exoticismに偏見のない英国では彼女は結構売れているのですよ。そして英国のダンスチャートで売れればヨーロッパ全域で売れる。彼女は今のところアメリカよりもヨーロッパの方が売れている。この曲もオランダのDJと組ませて、ダンス曲として売っている。最初から欧州狙いかもしれませんね。


Tiësto
オランダ出身の大物DJ。Tijs Michiel Verwestさん。1969年生まれの53歳。このMVでは2:35あたりでエヴァちゃんの手をとる背の高い人。


 The Motto

Ava Max and Tiësto
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それがモットー
お酒をストレートであおって 問題なし
モエを開けて baby 泡をはじけさせて
ジェラートのべイプを吹かして モノが二つに見えるまで(酔いたい)
やるときはやんなきゃ

信じてよ 私達しばらくここを離れるつもりはない
友達みんなにもここに来るように言って
週末は眠るつもりはないから

わかってるでしょ それがモットー
札を投げ入れて シャンペンのボトルを開けて
お金をばらまくのよ 宝くじに当たったみたいに
夏中忙しくしてた
たくさん稼いだ
言ってよ 今私どもった? ちゃんと聞いてなかったの?
それがモットー

ちょっと札を投げ入れて シャンペンのボトルを開けて
お金をばらまくのよ 宝くじに当たったみたいに
夏中忙しくしてた
たくさん稼いだの
言ってよ 今私どもった? ちゃんと聞いてなかったの?
それがモットー
それがモットー


レンジローバーに飛び乗って 顔の感覚もなくなったから 窓を下げて
うちに帰ったら バースデーケーキが出てくる
このまま一晩中いけそう
充血した目はいらない
だから私のお酒を持ってて さあ行こう

信じてよ ここを離れるつもりはない
友達みんなにもここに来るように言って
週末は眠るつもりはない

わかってるでしょ それがモットー
ちょっと札を投げ入れて シャンペンのボトルを開けて
お金をばらまくのよ 宝くじに当たったみたいに
夏中忙しくしてた
たくさん稼いだの
言ってよ 今私どもった? ちゃんと聞いてなかったの?
それがモットー

ちょっと札を投げ入れて シャンペンのボトルを開けて
お金をばらまくのよ 宝くじに当たったみたいに
夏中忙しくしてた
たくさん稼いだの
言ってよ 今私どもった? ちゃんと聞いてなかったの?
それがモットー
それがモットー

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Source: LyricFind
Songwriters: Amanda Koci / Claudia Valentina / Pablo Bowman / Peter John Rees Rycroft / Sarah Blanchard / Tijs M. Verwest
The Motto lyrics © Warner Chappell Music, Inc


Ava Max - My Head & My Heart (2020)



2022年1月27日木曜日

Years & Years, Galantis - Sweet Talker (2021)



オリー君  かわいいね



Years & Years, Galantis - Sweet Talker (2021)
Official Lyric Video
Sweet Talker - Single
Years & Years and Galantis
Released: November 24, 2021
A Polydor Records release; ℗ 2021 Universal Music Operations Limited



Years & Yearsのオリー君。かわいいです。彼は役者。MVでは表情豊かに演じてます。お金をかけたゴージャスなビデオ。楽しい。最初はちょっと酔う。

男の子が恋人に話しかける歌ですが、相手の事を「僕の夢の男」と言っても今は自然に聞こえる。LGBTQの歌も、受け取る側が自然に受け取れるようになってきました。和訳も穏やかな男の子の言葉。普通の恋の歌。僕は君が好き…という歌。


★Years & Yearsは以前のバンド構成から2人が抜けて、現在ソロでOlly Alexanderさんのみ。彼は英国のsinger-songwriter、 producer、 and multi-instrumentalist。1990年生まれ

★Galantis
スウェーデンのEDMプロダクション、作曲とDJのデュオ。メンバーはChristian Karlsson さん、 Linus Eklöwさん。活動は2012年から。ジャンルを見るとEDM関連のナンデモ屋みたいです。英国でもアメリカでもよく売れているらしい。


Sweet Talker

Years & Years, Galantis
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君はロマンスを書いて スローにダンスして
僕の手の中に入ってきた 僕が気づく前に 
君は僕の奥にある弱みを見つけたんだね
秘密にはできなかった それは君だったんだよ

僕は降参しないように 必死に抵抗してる
でも君は いつも何を言えばいいのかわかってる
Oh なぜ Oh どうして Oh なぜ 僕は聞いてしまうんだろう
君がいつか破る約束を

君は スウィート・トーカー
君は 僕に信じさせる
全ての嘘を 美しい響きで

君は 甘い言葉の達人
僕の夢の男
おしえて 君は何処 君は今何処にいるの?


Sweet talker (uh)


僕は追いかけたい 味わいたい
この熱望は なにものにも代えがたい
また一瞬だけ 期待する
僕が 君の求める男になれることを

僕は降参しないように 必死に抵抗してるんだよ
でも君はいつも何を言えばいいのかわかってるね (you always know, know)
Oh なぜ Oh どうして Oh なぜ 僕は聞いてしまうんだろう
いつか君が破る約束を

君は スウィート・トーカー
君は 僕に信じさせる
全ての嘘は 美しいサウンド

君は 甘い言葉の達人
僕の夢の男
おしえて 君は何処 君は今何処にいるの?


Sweet talker (uh)


Would you lie 嘘をつくの、僕に嘘をつくの?
Would you lie 嘘をつくの、スウィート・トーカーさん?
Would you lie 嘘をつくの、僕に嘘をつくの?
Would you lie 嘘をつくの、甘い言葉の達人さん?

(僕に話し続けてハニー )
Would you lie 嘘をつくの、僕に嘘をつくの?
(今僕に話しかけて)
Would you lie 嘘をつくの、スウィート・トーカーさん?
(僕に話し続けてハニー)
Would you lie 嘘をつくの、僕に嘘をつくの?
(今僕に話しかけて )
Would you lie 嘘をつくの、甘い言葉の達人さん?

君はスウィート・トーカー
僕の夢の男
おしえて 君は何処 君は今何処にいるの?

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Songwriters: Christian Karlsson / Mark Ralph / Max Wolfgang / Olly Alexander
Sweet Talker lyrics © Sony/ATV Music Publishing LLC, Universal Music Publishing Group





2022年1月26日水曜日

大阪編が終わったのかな…1964年頃『カムカムエブリバディ』第13週 60話



なんと…もう大阪編が終わったのかも。59話でるいちゃんは自暴自棄のジョー君を海で救い、今回60話ではとうとう結婚してしまう。すごいな。るいちゃん早いね。勇気がある。まだ20歳ぐらい?すごいと思う。

前回57話の感想では、ジョー君がダメダメだと書いたのですけど、るいちゃんは諦めてません。すごいわ。それよ。それがね…愛を貫く女性の強さ。強い愛。きっと幸せなんだろうな。すごいと思う。私には出来ないですもん。あ、そうか…とすぐやめる。ジョー君は特に物を投げたりして大変だもの。面倒見きれない。るいちゃんすごいわ。


それにしても大坂編はもう終わりだろうか?もう大坂編の人々は出てこないの?私この大坂編の人々が大好きだった。クリーニング店の優しい竹村平助(村田雄浩)+和子(濱田マリ)夫妻。それからジャズ喫茶の穏やかな木暮洋輔(近藤芳正)さん。それにほのぼの近所の西山おじさん(笑福亭笑瓶)。それにいつも宙を見つめるイイ奴トミー(早乙女太一)。みんないい人ばかり。すごく好き。だから彼らがもう出てこないのかと思うと寂しい。

なぜるいちゃん達はそんないい人達を離れて京都に行ってしまったのだろう?


るいちゃんは場所を変えますね。岡山も離れた。また大阪も離れる。心機一転。また再出発。しかし移動を重ねる人生も結構大変だと思うぞ。

このドラマは、るいちゃんが土地を離れた後、前の場所に全く戻らないのが不思議。岡山の実家には全く帰っていないのだろうか。勇叔父さんには会いにいっていないのか。それなら大阪のクリーニング店のおじさんおばさんにも会いに帰ってこないのかな。なんか…また彼らに会いたいですよね。木暮さんにも。ジョー君はトランペットを完全に諦めるのだろうか。

まだまだどうなるかわかりません。キレるジョー君とうまくやっていけるのだろうか。


楽しんで見てます。るいちゃんの深津絵里さんが若い娘さんに見えるのが本当にすごいと思う。ジョー(オダギリジョー)君はまたほのぼのジョー君に戻るのか。それともまた時々キレるのか。どうなるかわからないぞ。るいちゃんがんばれ。

ベリー(市川実日子)さんは京都の人なのでまた出てくるかな。今日のベリーさんはピンクの着物がすごく綺麗だった。


2022年1月25日火曜日

BUMP OF CHICKEN - 才悩人応援歌 (2007)



~解放へ



BUMP OF CHICKEN – Sainoujin Ouenka (2007)
たぶん埋め込みのリンクはブロックされると思います
Album: Orbital Period
Released: December 19, 2007
℗ 2007 TOY'S FACTORY / LONGFELLOW



「才悩人応援歌」。この曲は取り上げようかどうしようかと迷った。3日間ぐらい悩んだ。なぜならこの曲を取り上げれば、海亀がどういう人間なのかが一発でわかってしまう。恥ずかしいじゃないですか。 この曲を聴いたのは中途半端な中年…40代半ば。40代半ばでこの曲を聴いて穴に入りたくなった。たぶん泣かなかったと思うけれど、初めて聴いた時はただ心臓をえぐられたようで無口になった。歌を聴いてこんな思いをしたことは他にない。


BUMP OF CHICKENの歌を聴いて、泣いたとはっきり覚えているのは「飴玉の歌」と優しい「beautiful glider」。 BUMP OF CHICKENの藤原基央さんはすごい歌をお書きになる。

「乗車権」のわけのわからない焦燥感には覚えがある。「イノセント」には今でも心震える。「分別奮闘記」のユーモアに笑う 。「ギルド」は中途半端な中年で聴くとこたえる。 その他「メーデー」「スノースマイル」「supernova」「時空かくれんぼ」「魔法の料理 ~君から君へ~」「宇宙飛行士への手紙」…いい曲が沢山。バンドの音もいい。QUEENが時々出てくる。POLICEもある。radiohead、90年代のギターバンドも出てくる。音もすごくいいバンド。


「才悩人応援歌」…40歳を過ぎてこんな歌に出会ってびっくりした。まー的確ですよね。驚いた。やられたなと思った。刺さった。


なぜ40代も半ばを過ぎた人間に刺さったのか。 その頃の私は、既ににいろんな事に決着をつけたと思っていた。「もうだいじょうぶ」だと思っていた。当時は自分の心を文章にすることは無かったけれど、まぁだいたい「私の人生なんてこんなものだろう」と納得しようとしていた。

…18歳で大きすぎる希望を持って上京。大学へ。自分に才能があるんだろうと思い込んだ。それで就職。仕事も結構うまくいった。しかし行き詰まりも感じた。そんな時に旦那Aに出会って海外へ飛んだ。それまで築いた仕事上の経験も信頼も自信も全て捨てた。悔いは無かった。またゼロからやり直し。冒険の再出発。学びなおし。そのまま家族になるとも思っていた。いろいろあって子供を持たないことになった。 …結局30代後半で、仕事もなく、人の親になることもなかった。何も残らなかった。だからユースレスのルーザーでドアマットの役立たずなクリープだと自分を恥じ英国で2年間ノイローゼになった。40を過ぎて東京でなんとか持ち直す。また移住してふらふらして誤魔化して、この地に落ち着いた。安堵した。

もう悩まない。自意識や叶わなかった夢や色んなモノ…全てクリアしたつもりで「こんなもんだよね」とだらだらしていた。そしたらこの歌に出会った。

  得意な事があった事  今じゃもう忘れてるのは
  それを自分より 得意な誰かがいたから

  ずっと前から解ってた  自分のための世界じゃない
  問題無いでしょう  一人くらい 寝てたって

  期待される様な 命じゃない

  問題無いでしょう 一人くらい 消えたって


今NHKの朝ドラ『カムカムエブリバディ』でトランペットを吹くジョー君が悩んでいる。先日は彼のルイちゃんに対するキツイ言葉を聞いて頭にきて文句を書いたのだけれど、考えれば…彼も追いつめられて悩んでいるわけだ。そりゃ辛いだろう。確かに。人に当たるのはよくないけれど。

40代半ばの頃の私も、そのような自分の過去…何かを頑張ってたこと、自分に期待していたこと、出来なかったこと、思ったようにならなかったこと…そんなものを時々振り返って「これでよかったのかな~でもしょうがないよね」などと思いながら、まだその現実を心の中で受け止めきれずにいたのだろう。だからこの歌の歌詞の言葉の一つ一つが刺さった。落ち込むわけではなかったけれどすごい歌だと思った。こんな歌を書く人はどんな人だろう。尊敬した。


あれからほぼ10年ぐらい経った。もう迷いはない。夢?なんですかそれ?いや…嘘じゃない。もう全て終わってる。何もいらない。でも落ち込んでいるわけじゃない。淡々と生きる。自分のことはあまり考えたくない。今でも自分を好きになったとは言いがたいがそんなことはどうでもいい。十分に幸せ。自分は幸せだとわざわざ自分に言い聞かせなくてもいい。

私の夢はなんだったのだろう? きっと私は胸を張って自分を自慢できる人間になりたかったのだろうと思う。得意な事をやって皆に褒められたかった。自分が好きな人間になりたかった。それが出来なかったからずいぶん長い間悩んだ。中ニの秋が40半ば過ぎまで続いていた。結局自分のことしか考えてこなかった人生。実にくだらない人生。面白かったけど。


50代も半ば。60に近づく頃になると、そのような悩みはなくなる。もう全て終わった。これから生きても、今のように脳が動くのはせいぜい20年ぐらい。いやもっと早く衰えるかもしれない。あっという間だ。もうお終いに向かっている。そんな年齢になると達観し始める。過去に何かが出来なかったからと落ち込むこともない。ただ今あるものを感謝して淡々と生きればいい。

紅白でひさしぶりにBUMP OF CHICKENを見た。 たぶん10年ぶりぐらいにこの歌を聴いた。最初はなぜこの歌が刺さったのかも思い出せないくらいだった。何度か聞いているうちにだんだん思い出してきた。

面白いもので、40代半ばで刺さった歌は、今は勝利の歌にも聴こえる。妙な爽快感。不思議。もう悩まなくていい。私は私に関する悩みから解放されている。歌えば間違いなく「自分のための歌」が歌えるようになっている。今は満面の笑みでこの歌が歌えるようになっている。今でもこの歌は心に沁みる。

20代でこの歌を聴けば…どう感じただろう。30代、40代。50代で聴いてもそれぞれに違う角度から心に響く。この歌はそんな歌。すごい歌。



2022年1月24日月曜日

映画『時の面影/The Dig』(2021):大英博物館で実物を見たい






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『The Dig (2021)/英/カラー
/1h 52min/監督:Simon Stone』
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週末に見た映画。Netflixにて。

英国の東海岸の側…イースト・アングリアのサフォーク州ウッドブリッジ近く。同地での1939年の考古学的大発見の再現映画。実際の出来事を元に書かれたJohn Prestonによる小説の映画化。


1935年.サフォーク州の海岸沿いに広大な土地を所有する未亡人エディス・プリティが、アマチュア考古学者バジル・ブラウンを雇い、その土地にある墳丘墓を発掘。考古学上の大発見をする。ほぼその再現映画

時代は1935年。20世紀に起こった事実を元にした話の再現なので当時の資料も多く、ほぼそのまま…ドラマチックな脚色も少なく事実を再現したもの。淡々とストーリーは進み、映画としてはそれほど面白いものではないかもしれぬ。

面白いと思うかどうかは、その考古学上の大発見にロマンを感じるかどうかだろう。旦那A、それから遠方の年配の男性の友人は面白いと言った。私は淡々と見た。


この大発見で発掘された宝物は大英博物館に展示されている。

英国にいた頃に大英博物館には数え切れないほど行った。渡英したばかりの頃は、数日かけて一部屋一部屋全てのものを丹念に見た。残念ながらこのSutton Hooの宝物を見た記憶や記録(写真)はないのだが、この発掘での宝物は考古学上英国最大級のものだというので、見ていないはずはない。ガーネットを施した金の装飾品には見覚えがあるような気もする。

こういう話は、映画を見たあとで実際に博物館に行って実物を見てみたい。ロンドンに住んでいた頃はそれが出来ていた。なんと贅沢な。

このSutton Hooの場所も、英国ナショナル・トラストの管理で観光地「The Royal Burial Ground at Sutton Hoo」として訪ねることが出来るらしい。いいな。英国に住んでいたら訪ねていただろう。


ともかく自分の所有の土地を試しに掘ってみたら、とんでもないものが出て来た…というロマンのある話。これは…映画で見たあとで、実物を見てみたくなりますね。英国は遠いわ。


ネタバレ注意


Sutton Hoo/サットン・フー とは

イングランド東部イースト・アングリアのサフォーク州ウッドブリッジ近くで発見された6世紀から7世紀のアングロサクソン時代の船葬墓。1939年に発掘され、豊かな副葬品が出土した。中世初期のイングランドを知るうえで極めて重要な考古学的資料で、最も著名なイギリスの考古遺跡のひとつである。出土した多数の副葬品は現在、ロンドンの大英博物館に展示されており、豪華な金銀の装飾品や武具、武器などがある。 また西暦625年の銘をもつ金貨が出土していることから年代も絞られ、624年に死去したイースト・アングリア王レドワルド(英:Rædwald)の墓ではないかと推定されている。(Wikipedia)

ちなみに発見された27 mの木造の船は、1935年の発見当時も、1300年の間に酸性の土により朽ちて残ってはいなかったそう。しかし船の型が(腐った木による土の色の変化などで)土地に残っていた。それをを掘り起こしたのだそうだ。



2022年1月23日日曜日

藤井風 - キリがないから (2020)



神童は羊の夢を見るか?



Fujii Kaze – Kiri Ga Naikara/ Cause It's Endless (2020)
Album: HELP EVER HURT NEVER
Released: May 20, 2020
A UNIVERSAL SIGMA / HEHN RECORDS release; 
℗ 2020 UNIVERSAL MUSIC LLC



藤井風さんの曲も取り上げておこう。この曲は、去年の夏頃に初めて彼の評判を聞いて、動画サイトに出てるものを聴いてみて一番好きだった曲。

このお方は、私には未だつかみどころがない。まだ詳しく動画サイトを見尽くしたわけでもなく、このお方のことを詳しく調べたわけでもなく、だから枝葉を見て森を語るべからず…で、彼のことをまだまだジャッジできずにいるのだけれど。とにかく才能に溢れたお方だというのは間違いない。

動画サイトを見てみたら、13歳だか14歳だかでショパンを弾きこなし、15歳でサックスで「DONNA LEE」を吹く。笑。なんじゃそら。ヤバいやつが出て来た笑。なんだかすごいねぇ。

こういうお方はどう拝見すればいいのかもわからんのよ。すごすぎて。ただただ妙な笑いがもれる。


色んなモノを既に楽々とクリアして、まだ24歳。名前は。身長180cm以上。スタイルもいい。お顔は最近人気のティモシー・シャラメに雰囲気が似ている。ダンスも(まぁまぁ)踊る。自作の曲の解説を英語でぺらぺら喋る(達者。私よりもボキャブラリーがありそう)。人前に出ればカリスマに溢れ、既にオオモノのように堂々としている。ピアノは中学生までにショパンを楽々、サックスはチャーリー・パーカー。24歳で日本一の神の子…あのMISIAさんに名曲を提供して紅白で共演。

なんじゃそら。なんじゃそら…なんじゃそりゃ~ 笑

こういうお方の中身がどうなってるのか…わからないですよ。ほんとに。レベルが高すぎる。どんな感じなの?神童からスーパースターへすいすいと人生を歩む。もう既に順風満帆な人生?そんな人の心がわかるはずがない笑 すんげ~

こういうお方に共感ができるはずもなく(もちろんそれは私の思い込みだけれど)、それならただただ彼の作り出すものをありがたがればいいのか。そんな歌もあるのですよね。「旅路」とか「帰ろう」「きらり」とか…素晴らしい曲…24歳の人が書いているとは思えない歌詞もある。どうなっているんだろう???

そんな中でこの曲には少し心が見えた気がした

 キリがないから ここで終わらす さもなけりゃ永遠に彷徨う
 あとがないから ここで戦う この旅はそんなに甘かない
 彷徨う間に月日は立ち 気付けば二十歳は遠い過去
 いつまで引きずる中ニの秋…
 ここらでそろぼち舵を切れ

これって葛藤なのかな。こんなお方にも葛藤があるのか。葛藤も高いレベルなのだろう。

この曲をまず好きになったのは「音」なのですけどね。音がかっこいいのよ。声もいい。「あ~あ~あ~あ」のコーラスのバックのピアノがキラキラして綺麗。

藤井さんはちょっと面白いので注目。
天才型なのか飄々としているのが面白い。
悩みは無いのかな?



MISIA - Higher Love (2021)



MISIAさん藤井さんありがとう



MISIA - Higher Love (2021)
Album:  HELLO LOVE
Released:  December 1,  2021
℗ 2020(6,8,10),2021(1-5,7,9,11) Sony Music Labels Inc.

やっぱこれだ!
MISIA – Higher Love / THE FIRST TAKE




紅白の感動を留めておこう。できればあの紅白でのMisiaさんと藤井さんの共演をどこかに公式で残して欲しい。あれは素晴らしかった。お二人の演奏もそう。NHKさんのカメラワークとかオーケストラにホーンセクション…様々なものがとにかく素晴らしかった。なかなかああいうものは見れるものじゃない。感動しましたよ。

感謝します。ほんとに。ありがとう。ありがとう。
音楽はいいものだ。美しいね。


MISIAさんは…、もう何と言えばいい。きっと神様に愛されてる人なのだろう。綺麗。ほんとに、美しい人。テレビの画面で拝見するだけでこちらも笑顔になる。

今回彼女とコラボしたのは、若く才能あふれる藤井風さん。こういうコラボはどうやって生まれたのだろう。藤井風さんのコメントで「機会を授かった」とあったので、MISIAさんの側からの提案なのかな。お若い方なのにすごいものだ。

同じく藤井さんのコメントに…「降りてきたのは、崇高な愛(Higher Love)を求める、人間くさいゴスペル」とあるので、やっぱり藤井さんはいろいろと降りてくるお方なのだろう。MISIAさんのような特別な人を、どんな歌や歌詞が輝かせられるのかキャッチできるお方なのだろう。

紅白の舞台で共演をなさって、またそこに降りてきたものもあったのだろう。なんだかね…私は「愛」だと感じましたよ。MISIAさんが天に向かって手を伸ばす。それを藤井さんが押し上げるように愛で包む。高次元の愛。幸せな時間。

そもそもこの歌の歌詞も藤井さんがお書きになったそうだ。

 遥か遠く遠く
 いるような気がしてたけど
 本当はいつも一緒だったのね

 届け higher love
 この手にhigher love
 この身の中に宿る確かな愛を引き上げて

いや~まー…すごいっす。


藤井さんが嬉しそうなのね。そりゃそうだろう。御本人はたった24歳。それで日本一(世界レベル)の歌手…神様にも愛される特別なアーティストに歌を書いて、彼女がそれを目の前で歌う。それをサポートしてピアノを弾きコーラスを歌う。エクスタシーだよなぁ。まさに。いい化学反応。愛が溢れる。

素晴らしかったです。感謝感謝。ありがとう

スタジオver.もいい。藤井さんのコーラスが聴こえますね。あの声がいい。 お二人の声が一緒の響きがいい。 



2022年1月20日木曜日

おい大月錠一郎!…~1964年『カムカムエブリバディ』第12週 ~57話



しばらく『カムカムエブリバディ』の感想を書いてなかったのですけど、今もほのぼのと見てます。ルイちゃん編になって随分時間も過ぎました。12月末から始まったルイちゃん編は、その後彼女が大阪に落ち着いて、才能のあるトランペッター大月錠一郎と出会い、結婚の約束をするところまでいったのですが…。


この57話で、一旦東京に出たジョー君は原因不明の症状でトランペットを吹けなくなり、岡山に帰ってくることになった。それでばったりルイちゃんと出会うわけですが…。

おい錠一郎!めんどくさいわ~。
なんかジョー君、キャラが変わった?


東京でプロになる…と上京したのにうまくいかなくなった。うむ。 しかし彼はその様子を、大阪に残してきた婚約者のルイちゃんに何も言わない。ルイちゃんが何度お手紙を書いても返事も書かない。そのままほったらかし。

ひどいじゃん。


上京してうまくいかなくてバツが悪いとか…そういう理由らしいのだけれど。ジョー君て、そんなにプライドが高い人だったっけ? 大阪にいた時はすごく控え目で穏やかで、ぼ~っとしたほのぼのキャラだったのに。

だってトランペットのコンテストにも周りから押されるまで出場しないくらい控え目だったじゃん。それなのに東京でうまくいかなかったからって…急にプライドが高くなったのか。

もし彼が大阪のみんなに「俺はお前達より全然大きいんだよ。こんな小さい所出て行って東京でスターになってやるぜ」などと大見得を切って出て行ったのならともかく、彼はみんなに祝福されて温かく送り出されたのですよね。身体の調子が悪いのはしょうがないじゃない?彼はなぜそんなにプライドが高くなったの?


そして大阪に帰って来て、ルイちゃんにばったり会って、突然「(笹川社長の娘の)奈々のことが好きになった。せやからお前とは終わりや。」って、ええええええええ何を言ってるのよ。馬鹿じゃないの。ジョー君て、女の子を「お前」なんて言うようなキャラだったの?サイテーじゃん。

…で、実際はどうなの?ジョー君は奈々さんとつきあってるのかな。そんな描写はなかったですよね。じゃあなぜ嘘をつくのだ。


もうさぁ、ルイちゃん…まだ19歳でしょ。なぜそんな辛い思いをしなければならないのよ。ジョー君が東京でうまくいかずに大阪に帰って来てバツが悪いのは、ジョー君の勝手な思い込み。うまくいかなかったのを自分で勝手に恥じてるわけでしょ。勝手に自己完結してる。ルイちゃんに説明もせずに。

ルイちゃんはジョー君のことがただただ好きなだけで、トランペットがうまいからとか…あまり関係ないですよね。彼女は条件付でジョー君のことが好きなわけではない。

ジョー君は何を勘違いしているのだろう。トランペットが吹けなくなったからルイちゃんに嫌われるとでも思ったのだろうか。自分がかっこわるいと思ったのだろうか?バカデスネー。女の子はそんなもので好きになったり嫌いなったりしませんよ。


もっと普通でいいじゃん。東京から帰って来て「うまくいかんかった。残念やった」と素直に正直に言えばいいのに。誰もそれでジョー君を嫌いになったりしませんよね。


それから最後の場面で、奈々さんがその場にたまたまやってきて、ルイちゃんが目の前にいるのに「こんにちは」も言わない。もっと普通でいいのにね。普通に挨拶して「こんにちはー」で会話を始めればいいのに。東京で何があったか説明すればいいのに。もっとはっきりして欲しいわ。ほんと。

ルイちゃんやめたほうがいいかも。こんな小さい不都合も説明できずに、恋人をほったらかしにして、恋人が手紙を書いても無視するような男はまず誠実じゃないですよね。不誠実。おまけに自己完結型。会話もできない。こういうのは結婚しても問題になりますよ。 

男は正直で誠実であればよし。そして会話ができればいい。それだけでいいんですよ。それだけでいいの。妙な男のプライドとか…んも~めんどくさくてしょうがないわ。もうこんな男ぽいっと捨てちゃいたい。


トミー君とベリーちゃんがいいよね。



2021 紅白歌合戦観戦記 2021/12/31



毎年恒例の紅白感想文を書く。


今回の一番の目玉はトリのMISIAさんと藤井風さんの「Higher Love」でしょう。いや~すごかった。この曲は藤井さんの作曲なのだそう。それで夢の共演。MISIAさんをサポートして藤井さんが大声でハモる。MISIAさんがすごいのはよく知られたことですけど、彼女に向かい合って大声を出す藤井風 24歳。も~このお方は大物だ。彼はカリスマがある。既に大物 24歳。だからお二人とも揃って大物アーティストの共演に見えてしまう。化学反応が起こってました。

共に高みに上っていく。すごいね。藤井さんがMISIAさんに全く遠慮していないのも驚き。彼は楽しそうだ。嬉しそう。愛だね。愛が見えた。藤井さん嬉しいんだろうな。幸せそうだもの。彼のピアノでMISIAさんがどんどん上に上っていく。高く高く。いや~すごいものを見た。こういうテレビでの共演で化学反応が起こるのは面白い。大昔にテレビでASKAさんと岩崎宏美さんのすごいデュエットを見た事がある。もう30年ぐらい前だと思う。こういうことはたまに起こる。それにこれ紅白だからライブですもん。すごいね。大変素晴らしかった。この二人のライブが見たいわ。今回の紅白はこの二人が全部持ってった。



まずは目玉の話をしましたが、それでは全体の印象。

今回の一番の違和感は、紅白のステージじゃなかったことです。色合いが白と赤じゃなかった。それが寂しかった。暗かった。全体に黒いバックに壁のような花花花…印象が暗かったです。NHKホールじゃなかったというのも大きな理由かもしれません。

今回赤と白の演出を止めたのは、どうやら(ポリコレ的に)男女を白と赤に分けて戦わせるのをやめよう…ということだったらしいのですが。いや~残念。なぜなら紅白って日本人にとっては昔からお祝いの色だから。メデタイ色。明るく楽しい色の組み合わせ。だからこそ「紅白歌合戦」も元々は「紅白で明るく大騒ぎして年を越そうよ」という意味ではなかったのかと思う。それが青や黒のバックに花花花…って、それはメデタイ色ではない…と思った。花はちょっと萎れてたかも。元気がなかった(あくまでも個人的な印象です)。

これからこの「紅白」の扱いがどうなるのかわからないのですけど、私は昔の人間で、赤と白のお目出度い「紅白」が無くなるのは寂しいと思った。…それならどうだろう…これからは男・白と女・赤で分けるのが問題なら、歌手の方々の自由な選択で白か赤か決めてもいいのかも。「今年は私は赤組で歌うからドレスを着るけど、来年は白いパンツスーツで白組で歌おう」とかでもいいじゃん。



さて音楽です。今回も大晦日に旦那Aとわいわい感想を言いながら見て、その後しばらく熟成。そしてあらためて二回目、「ヘッドフォンで曲を聴いて」その印象で感想を書く。


今回考えさせられたのは、
なぜこの紅白のステージでは演歌歌手が輝くのか。それに比べてアーティストの曲、特に動画サイトなどで人気の出た曲はどう見えるのか? 

…というのもステージに出て来た時の印象が全く正反対のタイプの方々がいると今回特に思ったから。

エンタテイナーとして、演歌の方々は全員心地良く見れる。全員歌が上手い。そしてお客へのサービスも見える。ステージ上から歌でコミュニケーションをとる正統派のエンタメ。楽しい。

一方、近年のアーティストの中には別のタイプが確かにいる。淡々と歌う人。客を拒絶するように歌う人。勝手に歌う人。楽曲は面白いのだけれど、そんな曲を紅白で初めて聴く場合は、私は正直戸惑ってしまうこともある。

客とコミュニケーションを取るアーティストはステージで映える…特に紅白みたいなステージでははっきりとわかりますね。今年も様々印象のアーティストがいました。


それではまたまた私が個人的に好きだったり、面白かったリスト。見ながらメモしたカジュアルな感想。

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LiSA「明け星」
うまいね 絞り出す声
郷ひろみ「2億4千万の瞳 -エキゾチック・ジャパン-」
郷さんはいい。お若い よく走る
山内惠介「有楽町で逢いましょう」 
昭和歌謡。ヘッドフォンで聴けばもっといい。アレンジもいい。山下さんはお綺麗なのよ。うふふ 楽しいわ
Awesome City Club「勿忘」
いい曲 いい歌 ギター おしゃれ
GENERATIONS「Make Me Better」
ダンスの曲だから馴染む 作曲はニューヨークのJustin Reinsteinさん いい曲
純烈「君がそばにいるから」  
純烈も楽しい いいなぁコテコテのエンタメ 皆エエおとこ ユーモア 歌うまい
天童よしみ「あんたの花道~ブラバンSP~」 
よしみさんは元気が出る!ブラスバンドもいい お祭りだ 楽しいわ
上白石萌音「夜明けをくちずさめたら」
この歌は「みんなのうた」で知ったのですよ。ここでも以前取り上げた。この歌を歌ってくださって私はとても嬉しい。アンコちゃん歌も上手いのね。上白石さんは才能に溢れるお方。清い。
まふまふ「命に嫌われている」 
演歌の反対側にいると感じたお方。すごい歌詞。生バンドで歌っていらっしゃるのね。すごいわ。
水森かおり「いい日旅立ち」 
清水寺での生歌唱がよかったです
松平健「マツケンサンバ II」 
いいっすねぇ~ お茶目 曲がいい 楽しい ダンサー ダミ声が伸びる お祭りですもの
〜明日への勇気をくれる歌〜東京都交響楽団 
すぎやまこういち氏 ドラクエのインスト 美しい
AI「アルデバラン」 
最後モリアガル いい歌 稔君の学ラン+安子ちゃん
三山ひろし「浮世傘~第5回 けん玉世界記録への道~」 
カメラに食いつくようにお歌いになる がっつり目力もすごいぞ。楽しいね。エネルギー。歌がうまい 低音の正確さが気持ちいい けん玉もノリノリでやっていらっしゃるのがすごいなと思う 三山さんはエンタテイナー!
平井大「Stand by me,Stand by you.」 
心地良い いい歌 ギターもいいね
ケツメイシ「ライフイズビューティフル」 
いい歌 お客さんとのコミュニケーションが素晴らしい 歌詞に聴き入った
Perfume「ポリゴンウェイヴ」
全く歌わない彼女達は特殊枠 やっぱりダンスがうまいな~ 職人芸 プロ中のプロ かっこいい。曲線(人の身体)のPerfumeに、直線で構成されたバックとのコントラストがいい
millennium parade×Belle(中村佳穂)「U」 
曲がいい 上手いバンド しかし客とのコミュニケーションが見えない 演者もマスクで顔が見えない 勝手にやってる感じ 今風 アート系 昔のトーキングヘッズとか思い出した
細川たかし「望郷じょんから」「北酒場」 
大親分 面白い 「望郷じょんから」はアートっぽいと思った そして「北酒場」は大衆エンタメ すごいな。楽しい。このお方をステージで見たらきっと圧倒されると思う 大泉クンもうまいね 紅白っぽくなった 細川さんは王道エンタメ いい
坂本冬美「夜桜お七」 
安定 好き いい女 毎年言ってる 艶っぽい このお方はステージが見てみたい 美人が歌う演歌はいいのですよ
藤井風「きらり」「燃えよ」
家でぼそぼそやっていて「なめてるな」と思ったら企画だったのね。ステージに出てきてよかった。藤井さんのことは去年の夏ごろに知った。中学生の頃に幻想即興曲を弾いている動画が出てきて「これはヤバいな」と思った。好きな曲も数曲ある。テレビで演奏をなさるのを見るのは初めて。このお方はカリスマがありますね。うまいわ なにからなにまで大物。風貌も自信満々な様子もキメキメのカメラ目線もオオモノ。神童からスターへ。すでにオオモノの風情。もふもふ緑のスリッパ。大柄なのね。堂々としてすごいな24歳 ほんまにぃ~
星野源「不思議」 
おしゃれ スティーリー・ダンを現代に持ってきたみたいな センスのいいメロディーメイカー 
あいみょん「愛を知るまでは」 
以前は弾き語りの女の子だったけれど、今回はフルバンドを率いてリーダーになってた。堂々と歌を聞かせるかっこいいミュージシャン 成長したわね
BUMP OF CHICKEN 「天体観測」「なないろ」
「天体観測」はご褒美だ。すんごいうれしい。10年ぐらい前に聴いてた。彼らのことはPerfumeのかしゆかさんが当時ファンだと言っていて知った。すごくいいバンド。BUMP OF CHICKENさんの歌詞はなぜか何曲も涙が出た。本当です。
さだまさし「道化師のソネット」
さださんはコミュニケーター 歌で語りかける
東京事変「緑酒」 
面白い歌詞 林檎さんの金切り声 かっこいい 上手いバンド 着物も素敵
薬師丸ひろ子「Woman“Wの悲劇”より」
綺麗 美しい いい歌だなあ 名曲。今の若い人には彼女の歌はどのように聞こえるのだろう 彼女はアイドルだったのですよ こんなに芸術的な曲がアイドルの歌だったのだ 
石川さゆり
「火事と喧嘩は江戸の華」with MIYAVI, KREVA
ロックでラップ 旦那Aにおおうけ さゆりさんかっこいい 
「津軽海峡・冬景色」
大御所 歌うまい 小柄な方なのに大きく見える 綺麗
氷川きよし「歌は我が命」
語りかけるように 歌詞が響く 心を込めて 綺麗ね 拍手
布袋寅泰「さらば青春の光 <紅白SP>」
ロックの人 これはチープトリックとか懐かしのパワーポップ 聞きやすい ギターが楽しいね 布袋さん笑顔で楽しそうだ
MISIA
「明日へ 2021」すごいね 彼女は空気を変える
「Higher Love」これはいい 夢の共演 いい歌 藤井さんの声がいい 声を張り上げて 化学反応 愛だわ これは愛 愛ですよ。いやすごいすごいすごい素晴らしい 楽しそうお二人とも 最後のMISIAさんの声がすごい

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2022年1月18日火曜日

お猫様H:またまたごろごろする



なんといつの間にかもう1月の半ばも過ぎていたのね。 え~早いな。週末が15日だったのか。今年も日々が過ぎるのが早い早い。






2022年1月17日月曜日

CBS 『One Last Time: An Evening With Tony Bennett and Lady Gaga』★Lady GAGA 編



去年のクリスマスから2週間ほど休暇をとったので(家でだらだらしただけだけど)、記録しておかねばならぬものがたまっている。このテレビ番組が放送されたのは去年の11月28日。CBSチャンネルにて。

以前からレディ・ガガさんはジャズの大御所トニー・ベネットさんと何枚かジャズのアルバムを出している。私はつい最近まで知らなかったのだけれどYouTubeにもお二人のMVがいくつか上がってますね。


このライブのショーは、去年の8月3日にニューヨークのRadio City Music Hallでのトニー・ベネットさんの95歳の誕生日に開かれたスペシャルなコンサート。レディ・ガガさんが前座であり、司会であり、トニーさんのエスコートであり、デュエットのパートナーであり…と様々な役を華やかにこなしてます。素晴らしいです。
 



最初にこのライブのことを知ったのは、去年の10月に放送されたCBSのインタビュー番組『60 minutes』。実はトニーさんは近年アルツハイマー症を患っていらっしゃるというリポート。そしてその症状にもかかわらず、去年の8月3日の彼の誕生日に最後のライブ・コンサートを開いたという…その番組は、この11月28日の番組の紹介番組でもあったのですね。

さっそく拝見。
素晴らしかった
感動しましした。

トニー・ベネットさんの奇跡。そしてレディ・ガガさんの素晴らしさ。

トニーさんの95歳の誕生日に、彼を囲んで会場中が温かさに溢れてます。すごくいい雰囲気。これこそライブでならではの素晴らしさ。最高です。本当にいいショー。涙が出た。

トニーさんもガガさんもそれぞれが素晴らしかったので、それぞれの感想を記録。


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Lady Gaga

レディ・ガガ

彼女のことは長い間よく知らなかった。実は初期に出した『Born This Way』のサビがあまりにもマドンナの『Express Yourself』に似ていて(巷でもそう言われていた)、その印象もあったせいで私はずいぶん長い間彼女に興味を持たなかった。

彼女のことを最初にいいと思ったのは、2017年のスーパーボウルのショー。そこで歌ったバラード『Million Reasons』が素晴らしかった。とにかく歌が上手い。声に力とカリスマがある。そこで彼女がマドンナとは比べ物にならないほど歌が上手いと初めて知った。
 
Lady Gaga - Million Reasons (2016)


このトニーさんとのコラボも、トニーさんから直々デュエットのオファーがあったそう。このショーのMCで言ってます。



チャリティーのショーで歌った時に、個人的にトニーさんに呼ばれて「レディ、君はジャズシンガーだ。」と言われた。それを聞いてガガさんが「トニーさんありがとうございます。でもあなたは私の歌を2曲しか聴いてません」と答えると「それで十分なんだ。君はジャズシンガーだ。僕にはわかる。一緒にアルバムを出さないかい?」とトニーさんに誘われたんだそうです。

すごいですね。大御所中の大御所にたった2曲でデュエットのオファーをもらう。それほどガガさんの歌がすごいということ。それでお二人はコラボのアルバムを数枚出してます。


この、去年の8月に開かれたトニーさんのバースデー・コンサートでのガガさんは、彼女の素晴らしさを全て出し切ってます。トニーさんへのリスペクトと感謝、愛愛愛と思いやりにあふれるまなざし、トニーさんを気遣う仕草と言葉の数々。

そして彼女自身のショー…彼女の歌がこれ以上ないほど楽しい。歌が上手い。そして彼女は歌が上手いだけじゃない。彼女は歌に特別なものを加えてスペシャルなものにするお方。本当にすごいと思った。彼女のカリスマが歌を華やかにする。


ジャズのスタンダートは様々なボーカリストが歌っていてそれぞれ十人十色。みんなが知ってる歌だから、それらの歌はそれぞれ歌手の料理の仕方次第で印象が変わる。並のボーカリストなら(いやプロの歌手でさえ)歌との相性によっては結構つまらないものも多いのですよ。

ところが、ガガさんの歌は面白い。パフォーマンスもユーモアがいっぱいで楽しい。エネルギーに溢れていて、彼女がジャズのスタンダードを歌えば、まるでポップソングのように歌が活き活きと響き始める。それは彼女のカリスマと声の力による。本当に楽しい。そして彼女は常に観客に話しかけ、語りかけ、目配せをし、笑わせ、冗談を言い…。常に客を楽しませる。彼女は最高のエンタテイナー。本当に楽しい。ガガさんの凄さはこれなのですね。ものすごくいいライブ。驚くほど素晴らしい。


彼女は今36歳だそう。今までスーパースターとして活躍し、大きなステージで何百、何千ものショーを成功させてきた力とキャリアの長さもあって、ジャズのスタンダードの歌も堂々とおおらかに楽しそうに歌っている。難しい歌も楽々と余裕で歌いこなす。本当にかっこいいです。声は今がピークかもしれません。最高。

こんなにエキサイティングで楽しいジャズ・シンガーはめったにいないと思う。やんちゃな男の子みたいに元気一杯に飛び跳ねながら、踊りながら、歌う歌う歌う。沢山のユーモアに笑う。ガガさんの歌は楽しい。それがよ~くわかったショーでした。見てよかった。


そして大先輩トニーさんへのリスペクトと愛が素晴らしい。お二人の楽しさが伝わってくる。ガガさんが本当にいい人なのですね。大先輩のトニーさんを立てて支えるのが心から嬉しくて楽しそう。トニーさんも嬉しそう。本当にいいショーです。

彼女はこれが出来る人。ニューヨーク育ちのお嬢さん。トニーさんへのまなざしはリスペクトに溢れていて温かく、そして愛情深く、その上で御本人も爆発的にいいショーをする。すごい女性だと思う。 比べちゃ悪いが…マドンナにはこれは出来ないと思う。マドンナさんは60歳を過ぎた今でも「私が私が」とエゴばかり(昔大ファンだった私がそう思う)。 しかしガガさんはこのショーでエゴを全く出すことなくトニーさんを愛で包み、トニーさんにエネルギーを吹き込みながら支えながらショーをやっている。歌声は最高。ものすごいエンタテイナーだと思った。完全にガガさんに惚れました。
 

トニーさんの前座としてのガガさんのセットで、最後の「Theme From New York, New York」は絶品。そのMCもいい。まずトニーさんを紹介するように見せかけて、ニューヨークの歌を紹介する

「紹介したい人がいるの。でも彼をただ紹介はできない。彼の事を歌わなければ。その歌は私の心にとって真実で、歌う時に誇りに思う歌です。私がニューヨークのストリートを、ピアノを引き摺って歩いていた頃…「いつか誰かが私に才能があると思ってくれますように。そしていつか、私の祖先たちの努力が報われますように」と祈っていた。その頃にわからなかったことが、今はわかる。それは私の足の下にあったと…。/I have someone to introduce. But I can't just introduce him by talking. I gotta sing him. And that song feels truest to my heart, and the song when i sing it I feel so proud. That I walk these street dragging my piano around New York, praying that someday somebody would think I was talented. That someday all the hard work that the legacy of my ancestors put in would come through. And what I would never knew that I know now, is that it was right under my feet.」 (←ニューヨークのことを言っている)

そして歌い終わると、次のトニーさんのショーへ繋げるためのトーク。目の前のニューヨークのオーディエンスに向かって、トニーさんに声援を送るようガガさんが客を煽る。鳥肌が立つほどかっこいい…

「彼は私の友人。彼は私のミュージカル・コンパニオン。そして彼は世界で一番最高のシンガー。ニューヨークよ、あなたに任せたわよ。…彼を笑顔にさせて、彼に声援を送って、彼に叫んで、そして笑って、そして泣いて、あなたの魂を投げだしてちょうだい。だって…それはあなた次第、ニューヨーク、ニューヨーク! /He's my friend. He's my musical companion. And he's the greatest singer in the whole world,. And I'm counting on you New York, to make him smile. So you better cheer, you better yell, you better laugh. You better cry. You better give your soul. Because it's up to you, New York New York.」

あまりに素晴らしいのでまだこの録画が消せないでいる。しばらくHDに残そうと思う。お二人に大きな拍手。素晴らしい素晴らしい。


One Last Time: An Evening With Tony Bennett and Lady Gaga
at radio city music hall
CBS


Setlist
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Lady Gaga
Luck Be a Lady (Frank Loesser) (Orchestra)
Orange Colored Sky (Milton Delucc, William Stein) (Orchestra)
Let's Do It (Cole Porter cover)
Theme From New York, New York (John Kander, Fred Ebb) (Big Band/Orchestra)

Tony Bennett
Watch What Happens (Michel Legrand, Jaques Demy, Norman Cimbel) (Orchestra)
Steppin' Out With My Baby (Irving Berlin) (Quartet)
Fly Me to the Moon (Bart Howard) (Guitar) (snippet)

Tony Bennett & Lady Gaga
Happy Birthday to You (Lady Gaga & Audience to Tony Bennett)
Lady is the tramp (Richard Rodgers, Lorenz Hart) (Orchestra)
Love for Sale (Cole Porter)
Anything Goes (Cole Porter) (Big Band)

Tony Bennett
I Left My Heart in San Francisco (George Cory, Douglass Cross)

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CBS 『One Last Time: An Evening With Tony Bennett and Lady Gaga』★Tony Bennett編



去年のクリスマスから2週間ほど休暇をとったので(家でだらだらしただけだけど)、記録しておかねばならぬものがたまっている。このテレビ番組が放送されたのは去年の11月28日。CBSチャンネルにて。

以前からレディ・ガガさんはジャズの大御所トニー・ベネットさんと何枚かジャズのアルバムを出している。私はつい最近まで知らなかったのだけれどYouTubeにもお二人のMVがいくつか上がってますね。

この番組のショーは、去年の8月3日にニューヨークのRadio City Music Hallでのトニー・ベネットさんの95歳の誕生日に開かれたコンサート。レディ・ガガさんが前座であり、司会であり、トニーさんのエスコートであり、素晴らしいデュエットのパートナーであり…と様々な役を華やかにこなしてます。素晴らしいです。



最初にこのライブのことを知ったのは、去年の10月に放送されたCBSのインタビュー番組『60 minutes』。実はトニーさんは近年アルツハイマー症を患っていらっしゃるというリポート。そしてその症状にもかかわらず、去年の8月3日の彼の誕生日に最後のライブ・コンサートを開いたという…その番組は、この11月28日の番組の紹介番組でもあったのですね。

10月に放送されてさっそく拝見。
素晴らしかった
感動しました。

トニー・ベネットさんの奇跡。そしてレディ・ガガさんの素晴らしさ。

トニーさんの95歳の誕生日に彼を囲んで会場中が温かさに溢れてます。すごくいい雰囲気。これこそライブでならではの素晴らしさ。最高です。本当にいいショー。涙が出た。

トニーさんもガガさんもそれぞれが素晴らしかったので、それぞれの感想を記録。


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Tony Bennett

トニー・ベネット

このトニーさんのラスト・コンサートの事は、前述の『60 Minutes』のレポートで知った。トニーさんは近年アルツハイマー症を患っていらっしゃる。それなのに歌を歌えば歌詞もリズムも一切間違うことなく歌い上げることができる。それが脳科学的に見ても特別だという話だった。

60 Minutes
Despite his Alzheimer's, Tony Bennett prepares to perform with Lady Gaga
https://www.youtube.com/watch?v=yNrvXw9juNs 


トニーさんはいつもニコニコ笑顔。セントラルパークを見下ろす部屋でトニーさんは穏やかに暮らしていらっしゃる。『60 Minutes』のアンダーソン・クーパー氏が訪ねていってインタビューをしても会話はほぼ成り立たない。物事の記憶もほぼ残らないのだそうだ。それなのにピアノの伴奏を聴けば歌の記憶がよみがえる。今まで会話もできなかったのが嘘のように、まるで時間が遡ったかのようにしっかりとした声で歌詞も間違えることなくトニーさんは歌をお歌いになる。


トニーさんの誕生日は8月3日。レディ・ガガさんと共にトニーさんは8月3日と5日の二日間、 ニューヨークのRadio City Music Hallのステージにお立ちになった。そのことにまず感動する。

テレビで放送されたライブは全45分ほどに編集されたものらしいが、実際のライブではガガさん10曲。トニーさんのソロで11曲。そしてデュエットで3曲。アンコール1曲のずいぶん長いショーだったらしい(Setlist com.で確認)。トニーさん15曲もお歌いになったのですね。驚いた。


ガガさんの前座が終わったあと、幕が開いてトニーさんが登場。声がしっかり。まず95歳の方の声だとは思えない。すごいです。しっかりとした声。やっぱり上手い。歌詞もしっかり。彼が歌ったセットは全部で15曲。このお方が普段会話もままならないほどの状態だと誰が想像できるだろう。

トークは少ないけれど、観客のリアクションを見て「Wow!」ととても嬉しそう。観客に向かって親指を何度も上げ満面の笑み。トニーさんは本当に嬉しそう。その彼を包む会場の温かさ。それがいい。テレビなのに感動してしまって涙が出そうになる。本当に素晴らしい素晴らしい。


トニーさんがソロのパートを終えて、ガガさんがステージに出てくる。そして彼が「Wow, Lady GAGA!」と彼女の名前を呼ぶ。その時のガガさんのリアクション。 このことは前述の『60 Minutes』のリポートで知っていた…。このコンサートの準備期間中、トニーさんはガガさんの名前を一度も呼ぶ事がなかったのだそう。彼女の名前を思い出せなかったのだそう。それなのに、8月3日のその日、ショーの真ん中、観客の見守る中、トニーさんが突然「Lady GAGA」の名前を思い出し彼女を呼んだ。だからガガさんがステージ上で泣きそうになってる。私も泣く。

奇跡ですよね。音楽の力。トニーさんは人生の全てで歌を歌ってきた。その歌は彼の脳に深く深く刻まれていて、それらの歌はアルツハイマー症になっても消える事がない。歌の記憶は音楽で呼び起こされる。そして音楽に刺激を受けて、またステージ上で歌を歌っていることの刺激によって脳が覚醒。それまで思い出せなかったガガさんの名前を突然思い出し彼女の名前を呼ぶ。それは医学的に見ても特別なことなのだそう。

芸術の奇跡を見た。すごい話。芸術の力とはそういうものなのかも。一生をかけてやってきた経験は決して脳から消えることはない。認知症であってもトニーさんはステージに立ち、しっかりと歌い、声も歌詞も淀むことなく何曲ものセットをプロとしてショーを成し遂げる。感動感動感動。本当にすごいことが起こったのだと思う。泣。

ステージ上のトニーさんは心の底から幸せそうだ。その笑顔に幸せをもらえる。感謝感謝感謝。この録画は消せませんね。時々見直して幸せを感じたい。


One Last Time: An Evening With Tony Bennett and Lady Gaga
at radio city music hall
CBS


Setlist
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Lady Gaga
Luck Be a Lady (Frank Loesser) (Orchestra)
Orange Colored Sky (Milton Delucc, William Stein) (Orchestra)
Let's Do It (Cole Porter cover)
Theme From New York, New York (John Kander, Fred Ebb) (Big Band/Orchestra)

Tony Bennett
Watch What Happens (Michel Legrand, Jaques Demy, Norman Cimbel) (Orchestra)
Steppin' Out With My Baby (Irving Berlin) (Quartet)
Fly Me to the Moon (Bart Howard) (Guitar) (snippet)

Tony Bennett & Lady Gaga
Happy Birthday to You (Lady Gaga & Audience to Tony Bennett)
Lady is the tramp (Richard Rodgers, Lorenz Hart) (Orchestra)
Love for Sale (Cole Porter)
Anything Goes (Cole Porter) (Big Band)

Tony Bennett
I Left My Heart in San Francisco (George Cory, Douglass Cross)

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2022年1月12日水曜日

Billy Porter – Children (2021)



かっこいいね


Billy Porter – Children (2021)
英語歌詞
Children – Single
Billy Porter
Released: October 15, 2021
An Island Records / Republic Records release; 
℗ 2021 Universal Music Operations Limited



ビリー・ポーターさんの曲。UK Commercial Pop Club Chartに入ってます。リリースは10月。

ビリーさんが、若い世代の人々に色々と教えましょう…と歌ってます。「ママは色んな経験をしてきたから皆に教えてあげるわ」という歌。

こういうLGBTQのリーダーの方々というのはメッセージ性の強い歌をお歌いになる。後ろに続く者達…今迷って苦しんでいる若者達を救おうとしているのですね。ビリーさんは以前にもこういうタイプの曲を歌ってました。過去に苦労をされてきた方だからこそ、若い人達を助けたい。世の中を変えていきたい。そんなメッセージが込められてます。

数日前に映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』の感想で、西洋には、特にアメリカには同性愛者に寛容ではない伝統がある…と書いたのですけど、そんな環境があるからこそ西洋のLGBTQの方々は強いメッセージを発しているのですね。皆に強くあれと。愛が全てを救うと。年長のものは若者を助けようと。そんなポジティブなメッセージが彼らからは常に聞えてくる。素晴らしいと思います。

ビリーさんはかっこいいのね。なんと今年52歳。それでも超ハイヒールを履いて踊っていらっしゃる。ルポールさんもそうだけれど本当にすごいなと思う。身長178 cmだそうなのでヒートを履けば2 mぐらいかな。かっこいいわ。

ノリのいいダンス曲です。「Show you how to grow…」からのリズムが気持ちいいですねぇ。踊りたくなる。


歌詞について
I've been there, done that, worn that dress
日常でも「アビンデァ、ダンダー」と言うんですけど直訳「そこにも行ったしそれもやった」というのは「色んな経験をした」ということです。I've been thereには「ある状況にそこにいた」とか「とある状態になった」などの意味もある。worn that dressは語呂合わせでしょうか。ドラァグをなさるから「色んなモノを着たわ=色んな経験をした」という事でしょう。歌詞では直訳してます。
So you know mama knows it best
「ママはよくわかってるのよ」のママはビリーさんのことです。子供達に対して言ってる。
Gotta let these children know what time it is
サビのこのtimeは「今何時?」というのもあるし、それ以上に今の現実はこういう時なんだよ。今はこんな時なんだよ、今こそがその時なのだと…色んな意味を重ねているらしいです。It's time to do…の「~するべき時」の意味のtimeですかね。


Children
Billy Porter
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今は 辛い時代ね
Yeah 心からそう思うわ
あなたは戦いに負けてるわけじゃない
愛が解決する なぜなら私は
そこに行ったし それもやったし あのドレスも着た 
だからママが一番よくわかってる 
Hey


子ども扱いしてるわけじゃない
Baby 実はあなたと同じ気持ちなの
でもわかって欲しい それじゃないって
変化は今日から始まる さあ涙を拭いて

あなたの生き方を批判する人達もいる
でも謝っちゃだめ 決して負けちゃだめ
Baby 子供達こそが未来のある場所
変化は今日から始まる さあ涙を拭いて

わかってる 今は難しい時代 (あなたは生き抜けるわ baby)
心の底からそう思うわ
あなたは戦いに負けてるわけじゃない
愛が大丈夫にする だって私は
そこに行ったし それもやったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる

子供達に 今がその時だと知らせなければ 
子供達に 今はその時だと教えなければ
子供達に 今がその時だと知らせなければ
だって私はそこに行ったし それもやったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる


色んな人生を 生きてきたわ
私には 初めてのことじゃない
沢山の落ち込みと 沢山の高揚と
真摯に生きている
私の手を取って 一緒に参加して
わかってるでしょ あなたもいずれ理解することになる

わかってる 今は難しい時代 (あなたは生き抜けるわ baby)
心の底から言ってる
あなたは戦いに負けてるわけじゃない
愛が全てを大丈夫にする だって私は
だって私はそこに行ったし それもやったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる

子供達に 今がその時だと知らせなければ
子供達に 今はその時だと教えなければ
子供達に 今がその時だと知らせなければ
だって私はそこに行ったし それもやったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる

成長のしかたを教えてあげる
知識の広げ方を教えてあげる
子供達に教えましょう
今がどんな時、どんな時なのかって

成長のしかたを教えてあげる (oh, yeah)
知識の広げ方を教えてあげる (oh, yeah)
子供達に教えましょう
今がその時、その時だって (yeah)

成長のしかたを教えてあげる (oh, yeah)
(子供達に育ち方を教えなければ)
知識の広げ方を教えてあげる (oh, yeah)
子供達に教えましょう(oh, yeah)
今がその時、その時だって(oh, yeah, yeah, yeah)

成長のしかたを教えてあげる (oh, yeah)
(yeah, yeah, yeah, yeah, yeah, yeah, yeah, yeah)
知識の広げ方を教えてあげる (oh, yeah)
行ったし やったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる


子供達に 今がその時だと知らせなければ (what time it is)
子供達に 今はその時だと教えなければ (what time it is)
子供達に 今がその時だと知らせなければ
だって私はそこに行ったし それもやったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる

子供達に 今がその時だと知らせなければ (what time it is)
子供達に 今はその時だと教えなければ (今こそ) (what time it is)
子供達に 今がその時だと知らせなければ (yes it is, yes it is)
だって私はそこに行ったし それもやったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる


成長のしかたを教えてあげる(oh, yeah)
知識の広げ方を教えてあげる(oh, yeah)
子供達に教えましょう
今がどんな時、どんな時なのかって(yeah)

成長のしかたを教えてあげる(oh, yeah)
知識の広げ方を教えてあげる(oh, yeah)
行ったし やったし あのドレスも着た
だからママが一番よくわかってる

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Source: LyricFind
Songwriters: Jade Thirwall / Jonathan Shave / Uzoechi Emenike
Children lyrics © Spirit Music Group, Sony/ATV Music Publishing LLC, Warner Chappell Music, Inc


The Shapeshifters feat. Billy Porter - Finally Ready (2020) 



2022年1月11日火曜日

映画『ラブ・ハード/Love Hard』(2021):アジアの男よ自信を持て!





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『Love Hard (2021)/米/カラー
/1h 44min/監督:Hernan Jimenez』
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去年のクリスマスの頃に見た映画。ロマンティック・コメディです。かわいかった。いい映画です。これもNetflixオリジナル。


若い人向けのロムコムになぜ興味をもったのか? 男の子がアジア人だったからです。アジア人の小柄な男の子+南寄りの欧州系ミックス(かな?)の女の子…の二人のストーリーらしいのでいったいどんな話だろうと興味を持った。

すごくいい話だった。ほっこり心温まるクリスマス映画。結構おかしい笑。


ロサンゼルス在住の女の子ナタリー。ランダムにデートアプリで出会った人とデートし、その失敗ストーリーをレポートするライター。今回見つけた相手はニューヨーク州の北レイク・プラシッドの男の子ジョシュ・リン君。何度か電話で話してみたらイイ感じなので、ナタリーはクリスマス・ホリデーにジョシュ君をアポ無しで訪ねて行く事にする。



★ネタバレ注意


…アポ無しで会いにいったら、アプリ上のプロフィール写真のジョシュ君は違う人だった。ジョシュ君は小柄で肌の綺麗なつるんとした男の子。しかし彼が載せたプロフィールの写真は面長+髭面+アゴがでかい…いかにもモテそうなオトコクサイ・アジアンミックスの若者=友人タグ君の写真。ジョッシュ君はルックスのいい友人の写真を載せていたのですね。泣  (←こういうオンラインのデートサイトでなりすましに騙されることをbe catfishedと言うらしい)

それでもかわいいの。このジョシュ君が。かわいい~。それにいい人。いい子。優しい。繊細な心。頭もいい。頼りになる。…私の年齢から見ればすごくいい男の子…と娘にもおすすめ。かわいい息子だ。


しかしね、場所はアメリカ。アメリカの女の子達はみんな「いい男のステレオタイプ」をメディアに刷り込まれてるのですよね。「いい男のステレオタイプ」とは…

大柄。肩幅が広い。腕が太い。筋肉質。背が高い。足が長い。顔は面長か四角。アゴががっしり。大きな口。鼻はまっすぐ。髭が濃い…剃っても青い/伸ばせば熊。眉毛が太い。ほりが深い。表情豊かな温かい眼差し。睫がバシバシ。全身毛深い。ワイルドワイルドワイルド………ってこれ全部白人寄りのルックスだわ。

確かに…ジョシュ君が使った友人タグ君の写真は、アジアンミックスとは言ってもそのようなワイルドなパーツが多いお顔。モテるオトコクサイ系。…ナタリーさんもそのルックスに惹かれたのですね。 そうか…

そしてジョシュ君ご本人も、自分のルックスの世の中での立ち位置というのがよくわかっているのですよね。だからも~~~家族写真までひかえめに…泣…涙なしには語れない……抱き締めてきっと大丈夫、大丈夫やでと言ってあげたい。


ナタリーももちろんジョシュ君を見てびっくりする。しかしはるばる西海岸から東北の果てにやってきたのだからなんとかしたい。というわけでジョシュ君に協力してもらってなんとかプロフィール写真の本人タグと仲良くなろうと試みる。

まぁそんなわけで二人はナタリーとタグを結びつけるために長い間時間を一緒に過ごすうちに…という話なのですが。

いい話だった。ラブリー


だってあのロッククライミングでナタリーが降りれなくなった時、助けてくれたジョシュ君はかっこよかったよね。そうなのよ。いろいろと彼の事を知れば知るほどステキに見えてくる。ナタリーのアドバイスで自信を持ち始めるジョシュ君もいい。すごくいい。そうよそうよ。ステキやんジョシュ君。

というわけでいい話でした。ちょっと泣いた笑。クリスマスのハート・ウォーミングなお話でした。ジョシュ君の家族も温かい。いいね。

人を好きになったら正直に。誠実に。



昔、10月頃にドライブ旅行でレイク・プラシッドに一度行った事がある。あそこは寒いぞ。冬は。小さな町ですが昔1980年に冬季オリンピックをやったらしい。スキーのジャンプ台があった。ローカルの体育館に行ったら地元の高校生がアイスホッケーの練習をしてた。空気が澄んで綺麗だった。


ところで小柄なアジア系の男性と白人女性のカップル。実はこの南の島では珍しくないのです。結構見かける。街でも普通に出会います。人種も民族もルックスもそれぞれ違う色んなカップルがいる。知り合いにもアジア系の男性と結婚している(または結婚していた)白人女性が数名いる。いろいろと混ざって平和。いいところ。



2022年1月10日月曜日

映画『ロスト・ドーター/The Lost Daughter』(2021):女であり母であり/悦びと後悔と





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『The Lost Daughter (2021)/ギリシャ・英・イスラエル・米/カラー
/2h 1min/監督:Maggie Gyllenhaal』
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数日前に見た映画。これもNetflixのおすすめに出てきて良さそうなので見た。これも賞取りシーズンでノミネートされている良作らしいし、中年女性の話ならなお良し。


中年女性レダが主人公。彼女はギリシャの海辺の町にホリデーでやってきた。イギリス人だが、現在は米国のハーバード大で文学の教授をやっている。48歳。一人旅。ビーチで出会った家族…若い母親ニナとその娘の様子が、過去のレダと彼女の娘二人を思い起こさせる。


中年女性がたった一人、ギリシャのビーチでホリデー。彼女は不機嫌で気難しそうだ。彼女がビーチで和んでいると騒がしい家族がやってきた。彼女はその家族を観察し始める。特に美しい母親と小さな娘に興味を持ったらしい。

映画の最初の20分ほどの彼女の様子を見て、これは女版『ベニスに死す』だろうかと思った。美しい母と娘を見て、中年の女が一人…海辺で哲学をするのかと思った。しかしそのような話ではなかった。

この映画は女の映画でした。

女性の作家(Elena Ferrante)の小説を
女性の監督(Maggie Gyllenhaal)が映画化

女性が女性を描く映画。

女とは…母であることと女であることの間で揺れ動く。



ネタバレ注意



ギリシャの海辺に休暇にやってきた中年女性レダが過去を思い出す。レダの若い頃のあやまち。レダは過去に不倫をして娘二人と夫を3年間捨てた。彼女に一生付き纏う後悔。


これは母親の恋の話。母親の不倫は罪…だと世間は言う。それは母親本人が一番わかっているはず。それならなぜ彼女達は母親でいながら恋に落ちるのか? いや母親であることと恋は関係ないのか?

母であること、女であることに引き裂かれる女性。


レダのストーリー

彼女は若くして結婚し子供を持った。子供はかわいい。しかし子供はぐずる。子供は四六時中母親に欲求し続ける。泣き叫ぶ。子供の欲求が満たされることは無い。子供は母親に「休憩」をくれない。それは永遠に続くようにも思える。母は子供の欲求に振り回される。

レダは優秀な女性。勤勉で常に上を目指し努力を続けてきた。自分を磨いて学んでもっともっと上に上る。彼女は博士号を取って教授になるぐらいの女性だ。レダには常に夢と野心があった。その彼女が今、一日中止むことの無い子供の欲求に時間を取られ続けている。

結婚して子供を持つのが早すぎた。

そんな時、大学にスター教授ハーディがやってきた。文学の世界では有名な教授だそうだ。彼女にとって彼は、ロックスターやスポーツのスター選手が身近にやってきたようなもの。そしてハーディーは彼女に個人的な興味を示してくれた。

ハーティはレダに「君の名前。レダとはprovocative(扇情的)な名前だね(=エロい名前だねと同じ意味)」などと言って誘惑する。

……レダはギリシャ神話の女性。全知全能の神ゼウスは美しいレダに惹かれた。ゼウスは自らを白鳥の姿を変えレダの元に舞い降り彼女と交わる……

そのハーディの誘いに若いレダも反応する。彼女はその頃、英国の詩人イェイツの作品『レダと白鳥』をイタリア語に翻訳していた。二人はインテリ同士の言葉で誘い誘われ酒に酔い、結局レダはその教授と関係を持つ。

まさかあの髭面の教授ハーディが白鳥だとは思えないが、それでも、それまで様々な理由で煮詰まっていたレダにとってハーディは白鳥のようにも見えたのかもしれない。全能の神ゼウスにさえ見えたのかも。大きな力のある魅力的な男がやってきて愛を囁いてくれた。


その場面。女として正直な気持ちを言うならあの場面のレダの気持ちは苦しいほどわかる。もちろん彼女は家族を裏切っている。しかし彼女の気持ちはわかる。彼女が頬を紅潮させ興奮するその気持ちの高ぶりはよくわかる。


ぐずる子供が原因ではない。子供がいるのにたまたま外の男性に惹かれた。誘われた。好きになった。そんなつもりはなかったのに。そして彼女は家を出る。子供を夫の元に残し家を出る。そして教授と3年間暮らした。

子供はかわいい。かけがえの無い宝物。家族を去るのは苦しい。決断力を要する。しかしレダは情熱に負けてしまう。そしてその後その事を一生後悔し続ける。

情熱は止められなかった。あやまちを犯す。3年間の夢。娘達に対して一生続く後悔。それでもいい。彼女の恋は止められなかった。


それにしてもレダは酷い女性なのですよね。子供にも夫にもひどい。許されるものではない。しかし彼女は自分を止められなかった。女性はず~っと我慢してある時ぱっと思い切ってしまう。そうしたら彼女を止めることはもうできない。そしてそんな「自分を止められない経験を持った女性」は、きっと結局は女である自分として後悔はしていない。周り中の皆を傷つけて全員に「こめんなさい」を言い続ける一生だったとしても、きっと女としての彼女自身はそのことを後悔していない。


昨今日本ではメディアやSNSで不倫をした者を糾弾する風潮があるようだ。不倫は罪。もちろんそうだ。しかし人にはそれぞれのストーリーがある。

人間は正しく生きるべき。それはまっとうな考え方だ。しかし人は「正しくあること」を指針に/人生の目標にして生きるべきではないのかもしれないとも思う。「正しいことの定義」は時代によって変化する。

しかし人の愛や情熱や喜びはどんな時代であっても変わらないものだ。

人が「正しいことの定義」のみに従って生きるのはむしろ問題だと思う。人間とは不完全なもの。不正確なもの。あやまちも犯す。しかしどんな時代にも、人間はそのあやまちを芸術として昇華してきた。人の人生にはエラーが起こる。バグもある。そんな人間のエラーやバグは、いつの時代にも文学や芸術の糧になってきた。



旦那Aがこの映画の最後に聞いてきた。

「若い母親ニナは、若い頃のレダと同じ間違いを犯そうとしている。レダはなぜニナを止めないのか?なぜ説得しないのか?」 実は正直私も同じ事を思った。しかし男の旦那Aが知りたがったから女の私はこう答えた。

「女にとって婚外の関係は、崖からジャンプするのと同じ。ものすごいリスクを背負う。それでもジャンプしてしまうのは、その瞬間、彼女達が無上の喜びを感じられるからだろう。気持ちの異様な高まり、興奮。熱情。それほどの喜びを感じることは他にないのかも。その喜びは何ものにも変え難いから。

レダが、若い母ニナを説得も止めることもしないのは、その喜びを彼女が一度経験して知っているからだろう。皆を不幸にしようがどうなろうが、情熱に駆られる女を止める事ができないのは、レダが自らの経験から知っている。

どうせ家は借りた誰かのアパート。鍵を渡せばレダに責任は無い。ニナはニナのやり方で勝手にやればいい。女は皆それぞれだから」



いろいろと書きましたけれど…情が薄く堅物な私が想像で書いている。女成分の強い女性とはそのようなものなんだろうね…と憧れとともに眺めたりする。

この…女が描く女の映画の主旨はそのようなものなのだろうと思うけれど、それにしてもサスペンス風味で、時々理解できないシーンがあったのは戸惑った。

松ぼっくりは木から落ちてきたのか?それとも誰かが投げたのか?
レダはなぜ人形を盗んだのか?盗んだシーンが無いから、私は誰かが彼女のバッグに人形を勝手に入れたのだろうと思っていた。
それにレダはなぜ人形を家族に返さなかったのだろう?
そして最後のシーン。レダが刺された後で何時間も過ぎた朝、海水に漬かった状態のまま目を覚まし、彼女はまだ生きていて、その上で娘と電話で話している。あの最後のエンディングが全くわからなかった。もしかしたらレダは刺された傷で瀕死の状態で幻覚を見ているのではないかと思った。


女とはなんだろう…と色々と考えさせられた。私はレダのような経験をしたことはない。それでも彼女のような女性を非難することはできない。人間のエラーは浪漫でもあると思いたい。子供がいないからそういうことを考えるのだろうと思う。


監督はインテリ・セクシー女優(そんな印象)のマギー・ジレンホールさん。女成分の強そうな女優さん。彼女にはすごく女哲学がありそうだ。初監督だそうです。脚本も担当。すごいね。

女優さん達も素晴らしい。うまい方々。

2時間の長い映画なのに中だるみもなく惹き付けられた。
やっぱり女を描く映画は面白い。




2022年1月9日日曜日

映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ/The Power of the Dog』(2021): 怒りの鎧を纏う男





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『The Power of the Dog (2021)/英・加・豪・新/カラー
/2h 6min/監督:Jane Campion』
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既に巷で話題になっている映画。先週Netflixで鑑賞。
原作の小説は読んでいない。


冬の賞取りシーズンで目立つところに出てくるであろう作品。様々な賞にノミネートされ、おそらく主演のカンバーバッチ氏は何かの賞を受け取ることになるのだろうと予想される。…と思ったら、今日ゴールデン・グローブ賞で作品賞を取ったらしい。

アメリカのインディーズ作品かと思ったら、ニュージーランドの女性監督Jane Campion氏の作品。ああ、それでアメリカ西部の話の主人公を英国人のカンバーバッチ氏が演じているのかと思う。それならアメリカ風味とは少し趣が違うのだろう。

ほぼ前知識の無い状態で見る。あらかじめ目にしたタグはLGBTQモノ?の印象。カンバーバッチが西部劇?…そんな程度の情報。ただ名作らしいと聞いたので見ようと思った。


★1925年のモンタナ州の大牧場。経営者はフィルジョージのバーバンク兄弟。フィルは荒野の荒くれ者カウボーイ。弟のジョージは穏やか。ジョージが食事処の女将ローズと結婚。ローズには医者を目指す繊細な息子ピーターがいる。



★ネタバレ注意

すぐにネタバレの話をするので、映画をまだ見ていない方は読まないほうがいいと思います。



ズバリ見所は…、
…「これはこういう話ですよ」…と最初に提示された情報が、映画の最後に向かって反対の方向に変わっていくことだろうか。メインの二人のキャラクターの立ち位置の変化を見て唸る映画。

荒野の荒くれ者フィルと、彼の弟ジョージと結婚したローズの連れ子・繊細なピーターの二人の関係が話の主軸。この(一見)正反対の二人の関わりを描くストーリー。


映画を見終わって少し読んだレビューで、この映画の題名「The Power of the Dog/犬の力」の解説…最後にピーターが開く聖書のページの一節=Psalm 22:20:

Deliver my soul from the sword; my darling from the power of the dog./私の魂を剣から、私の最愛の人を犬の力から救い出してください(←ネット上で拾った訳)

に触れ、ピーターが「犬=邪悪なもの=荒くれ者フィル」から「最愛の人/母ローズ」を守った話…だというのをいくつか読んだのだけれど、しかし私はそれが主題の映画ではないと思う。たぶん。結末の説明だけで全てを納得できるとという映画でもないだろう。


最後にショッキングな結末を持って来たことで、そればかりが印象に残るのかもしれないが、この2時間の映画の主旨は、カンバーバッチ演じる主人公・荒野の荒くれ者のフィルの内面を知る過程…彼の内面の苦悩を知る事だろうと思う。

フィルは苦悩の人。これ以上ないほど孤独な人物。しかし誰も彼の苦悩の本質を知ることはない。なぜなら彼は己を恥じ、彼自身の本質を誰にも知られないように自分の周りに巧妙に壁を築き、そこへ誰も踏み込ませない人生を送っているから。彼の荒野の荒くれ者のキャラは、彼の本質を隠すための鎧

その彼の本質とは
彼が同性愛者であること。
男性を愛することを指向する男性であること。
そして彼はそのことを誰にも言えない。


1925年のアメリカで…ましてやモンタナ州の荒野+田舎町で、男性が同性愛者であることは大変な問題。口にも出来ないほどのご法度。(この事柄については私も全てを理解しているわけではないのだが)アメリカの本質…神の国、正義の国、正しい国、キリスト教の教えの元に新しく築かれた国のルールとして、同性愛は大変なご法度だったらしい。とある説では(聖書の解釈次第によって)同性愛とは神に反する背徳行為である…罰せられて当然の行いである…そう思う人々もいる。迫害されることも少なくなかった。

今から100年も前の20世紀初頭のアメリカは同性愛者には大変生きづらい国だった。

その同性愛が「大変なタブー」だという感覚は、日本人には理解することも難しい。というのも日本なら歴史のわき道の話をほんの少しでも読めば、信玄や信長や前田利家あたりの衆道の話を目にするし、近代なら三島由紀夫氏が有名…。だから日本人はそのような話を聞いても「神に逆らった罰当たり。罰せられて当然の背徳者である」などと思う者はあまりいないだろう。同性愛者に対して日本人が(アメリカの人々が感じるような)根本的なタブーを感じることはあまりないのではないか。

しかしアメリカには同性愛者にとことん厳しい歴史があった。フィルの苦悩を理解するためにはまずそれを知る必要がある。


フィルのように、19世紀の終わり頃にアメリカで同性愛者として生まれた男性の苦悩は想像も出来ないほど。彼は裕福な牧場経営の家庭に生まれ、優秀で大学にも進学した。大学を出たら街でホワイトカラーの職に就くこともできたはず。牧場は弟に任せるか、または誰かを雇って経営さえすればいい。

その彼がなぜモンタナ州の荒野で自ら荒くれ者のカウボーイをやっているのか?

おそらく彼は大学で欧州の文学やギリシャの歴史などに触れ、自分の性的指向に気付いたのだろう。しかし時代は20世紀初頭。同性愛者への世間の目は厳しい。そして彼自身もまたそんな時代の厳格な環境/考え方の中で育った。だから彼は自分を許せない。己の性的指向が許せない。しかしどうすることもできない。苦しむ。その苦悩を隠すために荒野に出て荒々しく振舞う。いかにも荒くれ者で過剰に男らしく、男の中の男のように。彼は「荒野の荒くれ者」の鎧を纏い自分の本質を隠して長い間暮らしてきた。

その彼の苦悩が玉葱の皮を剥くように次第に明らかになっていく。それがこの映画の主題だろう。この映画はそれだけでOK。それ以外はおまけでもいい。

フィルは孤独。孤独は彼の人生に常に付き纏う。だから弟のジョージが結婚することにも腹を立てる。ジョージは女と幸せになった。ジョージは女に取られてしまった。ジョージの嫁ローズが憎い…。 

己の本質に正直に生きれば社会から迫害されることがわかっている男フィル。彼は常に心に不満と怒りを抱えている。そして彼の怒りは、自分よりも弱い者=女性と繊細な若者へと向けられる。


ストーリーは進む…

そんな鎧を被った荒くれ者のフィルの前に、ローズの息子・繊細なピーターが登場。そのピーターをフィルは苛める。紙で造花を作るピーターを女みたいな奴だと笑う。フィルは自分を抑えてきた苦悩から、ピーターの男らしくない繊細さにイライラさせられるのだろう。

しかしピーターはただの繊細な男の子ではなかった。


この映画のレビューをいくつか読むと、ピーターも同性愛者ではないかというものが多い。旦那Aもそうだろうと言う。しかし私は、彼が同性愛者である必要はないと思った。確かにピーターは一見繊細。しかし繊細なヘテロの男性は存在する。それに一見繊細そうに見えても、ピーターは優しい思いやりのある人物には見えない。いやピーターは恐ろしいほど冷酷。

一見女性的でヤワな青年に見えるものの、ピーターはそのような人物ではない。もしかしたら予測不可能な恐ろしいタイプ。実はサイコパスではないか。彼は常に無表情で心が読めない。小動物を顔色一つ変えずに殺せる…のはそれだけでかなりヤバくないか?

ピーターの性的指向がどのようなものかはストーリーにはあまり関係ないだろう。そのように描いているわけでもない(と思う)。

しかしフィルは思い違いをした。ピーターの繊細そうな外見や物腰から、フィルはピーターを彼の性的指向への理解者=同じ同性愛者だと思い、うっかりピーターに心を開いてしまう。

フィルは、彼がなぜ伝説の「ブロンコ・ヘンリー」を崇拝しているのかの理由もピーターに話して聞かせる。ブロンコ・ヘンリーとの思い出はフィルの大切な宝物。

フィルはピーターに隙を見せた。


そしてピーターの計画的行動。フィルの死。そしてその後、劇中の最後に聖書の一節「私の魂を剣から、私の最愛の人を犬の力から救い出してください」が出たことから、ピーターの本音がわからなくなってしまったようにも見えるが、彼の本質はただただ冷酷なサイコパス。彼の意図は「邪魔者は消せ」。 それにもしピーターに同性愛の指向が無いのだとしたら、ピーターはむしろフィルの事を「神へ逆らった背徳者は罰せられるべし」と思ったとも考えられる。

ピーターの心は読めない。冷酷で心が無いようさえ見える。もしかしたら彼は母ローズへの愛が異常に強すぎて、過去には自分の父親も殺したのかもしれない。そして将来もしかしたらジョージも…背筋が寒くなる。ピーターはまともな人間ではないのかも。


そんなわけでこの映画は対照的な二人の人物の立ち位置の逆転

フィル
「迫害する者・荒くれ者」から「苦悩を抱える孤独な男 時代の犠牲者」へ
ピーター
「迫害される者・繊細で物静かな青年」から「冷酷なサイコパス 殺人鬼」へ

…彼らの変化を見て唸る映画です。


カンバーバッチ氏が苦悩の男を熱演。しかし彼は目の色が薄いせいか表情が読み辛い。意図的な配役なのかも。彼は何か賞をとるかも。

そしてピーターのKodi Smit-McPhee氏はこれまた読めない。怖い。ウサギの場面あたりから何かやらかすんじゃないかとヒヤヒヤした。


音楽はRadioheadのJonny Greenwood氏。神経を張り詰めたような雰囲気が2時間。キリキリと緊迫した空気のせいか尺が長過ぎるとも感じなかった。引き込まれた。ロケはニュージーランドだと思うが、広大な荒野が美しい。



2022年1月4日火曜日

Perfume - Polygon Wave (2021)



なんとMVができていたぞ!



Perfume - Polygon Wave (2021)
Polygon Wave EP
Perfume
Released: September 22, 2021
A UNIVERSAL J / Perfume Records release; 
℗ 2021 UNIVERSAL MUSIC LLC



なんと「Polygon Wave」のMVが公開されていた。
知らなかったです。ぉおおおおおお不覚。

昨日、年末の紅白歌合戦の直前のプロモ番組の録画を見ていたら、今回の紅白の出演者の紹介ビデオでPerfumeのこのビデオをが一瞬流れた。「Polygon Wave」のMV? えっ、出てたの?

さっそく拝見。
いいっす
いいっすいいっすいいっす素晴らしいっす。かっこいいね。よしよし。Perfumeはいいね。やっぱりいいね。綺麗。今回の紅白のPerfumeもよかったですよ。

私にとってのPerfumeはやっぱり踊ってなんぼ。曲も踊れてなんぼ。この「Polygon Wave」はいい。彼女達のダンスも曲も気持ちいい。

この曲は去年の9月にEPも出ていたのですね。リミックスや新曲も2曲。な~んと…聴きましょう聴きましょう。


Perfumeも大人になった。このブログを始めたのもPerfumeがきっかけでございました。去年の12月で、このブログも開始から10年が経ちました。 2011年の終わり頃にPerfumeに関して書きたいことがあって初めてブログなどというものを始めたのですけれど、な~んとあれから10年も経ってしまった。今は感想文ブログですが、日々趣味として楽しんでます。Perfumeに出会わなければ、このブログも始めていなかった。感謝してます。

今もPerfumeは美しい。楽しい
彼女達が元気に踊ってくれるのがとても嬉しい。応援してます。