2018年4月24日火曜日

OPERA★『エフゲニ・オネーギン/Евгений Онегин/Yevgény Onégin/Eugene Onegin』by Pyotr Ilyich Tchaikovsky, - April 20, 2018



グレーミン公爵のアリア「恋は年齢を問わぬもの」
Prince Gremin's Aria  'All men surrender to Love's power'
Любви все возрасты покорны
Lyubvi fse vozrastï pokornï

Nicolai Ghiaurov
Sir Edward Downes--Conductor
London Symphony Orchestra
1965


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Eugene Onegin
Opera by Pyotr Ilyich Tchaikovsky
Language:  Russian
Based on ‘Eugene Onegin’ by Alexander Pushkin
Premiere:  29 March 1879, Maly Theatre, Moscow
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Blaisdell Concert Hall
April 20, Friday, 7:30pm


チャイコフスキーです!

今回は下調べが全くできなかった。実はこのオペラがチャイコフスキーだということさえ調べる暇がなかった。会場についてからチャイコフスキーだと聞いてちょっとだけほっとする。たぶんそんなに難しい音楽ではないだろう。

もちろん原作も知らない。そもそもタイトルさえ聞いた事が無い。いやチャイコフスキーがオペラをやっていることも知らなかった。ロシア語かしら。面白いかも。


★自分用の粗すぎるあらすじ

一幕1820年代。田舎町の地主の娘タチアナは小説を読んで恋を夢みる乙女。その妹のオルガは外交的。オルガには既に婚約者レンスキーがいる。ある日タチアナはレンスキーがつれてきたイケメンの友人エフゲニー・オネーギンに一目ぼれして熱烈なお手紙を書くが「僕はまだ結婚したくないから」とふられる。
二幕別の日、タチアナの家での舞踏会で退屈したエフゲニーは、レンスキーの前で彼の婚約者オルガを誘惑。怒ったレンスキーと決闘することになる。決闘でレンスキーが命を落とす。
三幕サンクトペテルブルク。数年間外遊して帰ってきたエフゲニーはとある貴族の舞踏会に出かける。そこにグレーミン公爵と結婚したタチアナがいた!いい女になっていた!よしそれなら…とタチアナに求愛するエフゲニ。しかし今度はエフゲニがふられる。


★感想

 下調べをしなかったので心配したのですが、面白かったです。

チャイコフスキーはキャッチー。

それをまず一番に感じた。わかりやすいクラシック。すぐ馴染めます。普通に綺麗な曲。キャッチーなのですぐに鼻歌で歌えそう。歌もキャッチーだが、状況を描写する音楽もわかりやすい。例えば第一幕:タチアナが徹夜でお手紙を書く場面の後の夜明け…空が次第に明るくなってくる場面の曲は現代の映画で使われてもしっくりくると思う。わかりやすくてキャッチーで綺麗な曲が場面場面を盛り上げる。お話が割に単純なこともあって、とても楽しかったです。
 
初めてのロシア語のオペラも面白かった…「ニェット」だけわかった😊。もちろん言葉は全くわからなかったけれど、字幕で翻訳されている台詞は面白かったです。エフゲニーが結構いやな奴、タチアナちゃんは重い乙女、パーティーでのフランス人もおかしい。グレーミン公爵は大人の紳士。素敵ね。お話としてキャラクターがわかりやすいのもよかった。
 
原作はアレクサンドル・プーシキンの韻文小説『エフゲニー・オネーギン』チャイコフスキーと作家のコンスタンティン・シロフスキーがリブレットを書いた。チャイコフスキーの全10作のオペラの中では最も頻繁に上演される作品らしい。


 ストーリーに妄想する

社交界のゴシップ的なわかりやすい話。わかりやすいから話に入りやすかった。
 
ラーリン家のウブな田舎娘タチアナちゃんに、熱烈なお手紙を貰って「え…ちょっとまって。僕はまだ結婚したくないし…キミもそんなに必死にならないほうがいいよ。じゃあね。」と彼女をふってしまう主人公エフゲニー君。きっと彼はイケメンのワルないい男なんですよね。いい女はいくらでも寄ってくる。だから洗練されない田舎の女の子なんてつまんないのね。タチアナちゃんは本ばかり読んで恋に恋する乙女。会ったばかりのエフゲニー君にちょっと優しくされて舞い上がっちゃったんでしょう。1820年代のお話ですが、ウブな若い女の子なんてどこでもいつの時代でも一緒。イケメンの男の子に一目ぼれして一方的に燃え上がって徹夜で熱烈なお手紙を書く。そしてそのお手紙をエフゲニー君に送りつける。

よほど重かったんでしょう。

エフゲニー君はひいてしまう「重いわ…この娘は重い」というわけで彼は逃げてしまう。そりゃそうだ。彼はもっと大人の洗練された女性達と社交界で軽く遊んでいたかったんでしょう。彼の気持ちもわからないではない。

 
(二幕で)いろいろとあったあとで…エフゲニー君は数年過ぎてまたタチアナに再会する(三幕)。なんとあのウブで面白味のなかったタチアナちゃんは公爵夫人になっていました。びっくり。と富で圧倒的に格上の公爵家に嫁いでいた。ふわーすごいな。何があったんでしょうね。シンデレラストーリーじゃないですか…田舎娘がお姫様に変身していた。それを見て急にタチアナを好きになってしまうエフゲニー君。しょーもないなぁこの男。タチアナちゃんが自分の手の届かない女になったら急にいい女に見えてきた「この娘は昔オレに惚れてたよな。いい女になっちゃって…まだオレのこと好きかな…」本当にしょうもないですね。タチアナちゃんが人のものになったから欲しくなったのかしら。それとも自分よりも格上の公爵に嫁いだからって公爵にライバル意識でも燃やしたんですかね。馬鹿な男ね。
 
 
エフゲニー君は数年経った後でもやっぱり色男なんですよ。ハンサムでちょっと危険。だから誘われたらタチアナちゃんの心もちょっとだけ揺れる。しかしやっぱり手に入れた大きな幸せを手放そうとは思わないわけです。あたりまえですね。女の恋は上書き保存。昔は昔。それに公爵様は圧倒的に裕福で優しくて…力強く愛してくれる年上の大人の紳士なんですよ。軽薄はエフゲニー君に勝ち目はない。残念でした。それにしても幸せな結婚をしているタチアナちゃんの邪魔をして彼は何をするつもりだったんですかね。ダメ男ですね。妄想が駆け巡りますが、まぁゴシップ記事のようなお話。
 
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ちょっとイケメン:エフゲニー・オネーギン
Ryan McKinny
なるほどちょっとイケメン。どちらかと言えば小柄。しかしピリッと小奇麗な男の子。ちょっと軽薄そうな感じもなかなかいい。若くてまだ落ち着いた感じではない。それが役に合っていて良かったです。バリトン。
エフゲニーとレンスキー
大柄な:タチアナ
Melody Moore
ちょっと大きい女優さん。ウブな乙女の役を考えるとちょっと大柄かな。しかし数年後に公爵夫人になって赤いドレスを着た姿はゴージャスで素敵でした。ソプラノ。
タチアナ、グレーミン公爵、エフゲニー
 一番の歌い手:レンスキー
Viktor Antipenko
この歌手のお方はロシアのお生まれだそうです。このお方はとてもいい声。上手い上手い。最初に出てきた場面で、ああこの人は上手いわ…とすぐに思った。ものすごく正確な音。正確な音というのはとても気持ちいい。第二幕で決闘の前に苦悩を歌う場面はすごかった。この舞台で一番素晴らしかった。テナー。

背の高い大人の紳士:グレーミン公爵
Sava Vemic
セルビアの方だそうです。歌手の御本人はお若い方だと思うのだけれど、白髪の入ったカツラともみあげで大人の紳士を演出。チャイコフスキーのこの公爵の歌が、公爵の力とタチアナちゃんへの大きな愛を表現していて、タチアナちゃんがこの人と幸せな結婚をしていることを納得させられました。大人の男。素敵なのよ。バス。

お茶目なフランス人:トリケ
Timur
カザフスタン系のアメリカ人だそうです。ご本人はロックバンドで歌ったり色々な活動をなさっているらしい。派手な衣装のおかしなフランス人キャラ。英語の字幕にフランス訛り(TheZe)が多用されていて可笑しかった。テナー。

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ステージセット
あいかわらずステージのデザインも素晴らしい。ロシアの大地をスクリーンに映した背景、その前面に(シンプルなデザインながら)貴族の館の内部。第一幕でタチアナちゃんが妄想の中でエフゲニ-にレースのカーテン越しに抱き締められる場面はおおっと思った。寒そうなグレーの風景の前での決闘場面。舞踏会では室内のセットの中央に大きなシャンデリアを下げて華やかさを演出。とても綺麗。
 
衣装
衣装もモダンに単純化せず、クラシックな19世紀風の衣装。この「史実に忠実な衣装」というのが私はとても嬉しい。帝政末期のロシアの貴族の生活が垣間見れるのが嬉しい。ロマンチック。特に第三幕・公爵の舞踏会での軍服がかっこいい。女性達は華やかなドレス。いいですねぇ。
 
 
イタリアのオペラほど有名ではないからなのか客席は空席が目立ったものの、最後は観客全員が立ち上がって拍手。レニンスキー役のロシア出身のViktor Antipenkoさんが本当に素晴らしかったので、彼のために早く立ち上がるべきだったとちょっと反省する。いいと思ったら感謝を込めて直ぐに立ち上がったほうがいい。
 
下調べもせず、お話も全く知らなかったにも関わらずとても楽しめました。チャイコフスキーは『くるみ割り人形』と『白鳥の湖』ぐらいしか知らないと思うが、曲のキャッチーさはさすが。思いつめた徹夜のお手紙場面、決闘に向けての苦悩の場面、華やかな舞踏会、公爵のアリア…曲それぞれがとてもわかりやすくキャッチーでとても楽しかった。
 
 
このオペラは今年アメリカの他の都市のオペラハウスとの共同プロダクションらしいです。共同プロダクションのオペラハウスは…シアトル/Seattle Opera、アトランタ/The Atlanta Opera、デトロイト/Michigan Opera Theatre、カンサス/Lyric Opera of Kansas City.

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Onegin: Ryan McKinny
Tatyana: Melody Moore
Lensky: Viktor Antipenko
Olga: Tara Venditti
Larina: Katharine Goeldner
Filippyevna: Suzanne Hendrix
Prince Gremin: Sava Vemic
Triquet: Timur
CONDUCTOR: David Charles Abell
STAGE DIRECTOR: Tomer Zvulun
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