2017年11月22日水曜日

Netflixドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界/Stranger Things』シーズン1(2016), シーズン2(2017):止められない止まらない面白いぞ



Season1 Trailer

Season2 Trailer


 
-----------------------------------------------------------------------------
Stranger ThingsTV Series (2016–)/米/カラー
51分/製作:Matt Duffer,  Ross Duffer
-----------------------------------------------------------------------------


このNetflix配信のドラマが去年から世間で評判になっているのをちょっと前まで知らなかった。今年の9月頃から視聴開始して、2週間前の週末にシーズン2を見終わった。すっかりはまって止められなくて最後は一晩で一気に4話分見た。見終わったらすっかりストレンジャー・シングス・ロス? ああーもっと見たい…。子供達がもっと見たい。これから出演者のコメンタリーをまとめた『Beyond Stranger Things』などと言うものも見ていく予定。

このドラマは今50歳ぐらいの人間にはたまらないです。だって今50歳ぐらいの中年は、このドラマの登場人物達の実際の年齢の世代だもの。正確に言えば主人公のマイクやエルちゃんはいくつか年下なんですけどね。あの高校生ぐらいのナンシーとかスティーブのあたりがほぼ同世代なのかな。面白いわ。

最初はあまり前知識もなく見始めて「あ~これはまた最近流行の80年代ものね…あ~少年が自転車にのって友人を匿うのは『E.T.』そのまんまやね」などと思いながら視聴。タイトルの赤いロゴもテーマのシンセ音も80年代のオマージュ。巧いものです。そして大人のキャラにウィノナ・ライダーとマシュー・モディーンの80年代アイドルが出てきて納得。やっぱりこれは私達の世代へのウケを狙ったドラマなんだろうな…というわけでますますハマる。

怖いんですよ全体に。ちょっと血生臭い。そういうのはあまり得意ではないはずなのに、やっぱり80年代オマージュだったらハマる。音楽も服装も…実際には私は日本からアメリカ映画を見ていたわけだけれど、旦那Aはそのまんまリアルなノスタルジーだそうです。そうやろうそうやろうねぇ。

というわけで、面白かったところを書いておこう。感想とか解説とかではなくて、ただ思いついた事をうだうだ書く。


 80年代の映画へのオマージュ
 
80年代の映画で印象的だったシーンの再現を織り込むのが上手い
…子供が自転車に乗る。夜中に森をうろうろする。得体の知れない研究機関。よく見えないもの。よくわからない怖いもの。ベタベタ不快な質感の有機的な物質。悪い大人。政府に狙われる弱い者。それを庇う男の子達。自転車で逃げる。盛り上がって飛び出してくる壁、超能力を持った子供、パワーが渦巻いて見える、凶暴なモンスター…。

映像や内容が似ている昔の映画で思いつくだけでも…
E.T.、グーニーズ、スタンド・バイ・ミー、未知との遭遇、グレムリン、エイリアン、エイリアン2、エルム街の悪夢、炎の少女チャーリー、ポルターガイスト、SF/ボディ・スナッチャー …そんなところか…まだまだありそう。なんだか懐かしいな。夜のシーンが特に雰囲気がいい。こういうオマージュ系は、ただただ懐かしくて嬉しい。それだけでハマる。

80年代の役者達
 
80年代に若くてアイドルだった俳優さんたちが、大人を演じるのがまたいい。…ウィノナ・ライダー(お母さん)マシュー・モディーン(悪い博士)エイリアン2の悪い人(シーズン2の博士)グーニーズの子供(ウィノナ・ライダー母の恋人)。…エイリアン2の悪い人の登場はうなりましたねぇうーん…。

★以下マイルドにネタバレ注意

●名子役達
 
子供達が全員いい。全員可愛いし全員すごくいい役者さん達。主役のエル(イレブン)のミリー・ボビー・ブラウンさんがあまりにもすごいので、他の子供達の良さに気付きにくいけれど、他の男の子たちも相当上手い人達なんですよね。どこから集めてきたんだろうと思うくらい皆上手い。

☆エル(イレブン)/ミリー・ボビー・ブラウン
この女優さんはもう見事としか言いようがない。本当に上手い。傷ついた小動物のように常に怯えている初期から、少しずつ男の子達と打ち解け、シーズン2では一人旅までやってのけて、最後には大仕事に立ち向かう(←涙もの)。
研究所での実験に悲しい顔で「Yes, Papa」と博士に従う様子が痛々しい。ところが恐怖と怒りで一旦キレると、首をちょっと動かしただけで23人の大人の首をへし折る。すごいですよー…ドキドキ。傷ついた少女が少しずつ真の強さを見につけていくのが見もの。最初は凍ったような無表情が次第に溶けて柔らかくなっていくのはマイク君への恋…なのかなぁ…。このエルちゃんと優しい男の子達…特にマイク君との関係はとても可愛い。彼女には幸せになってほしいですね…全てはミリー・ボビー・ブラウンさんの役者の力なんだろうと思います。すでに大女優。

☆マイク/フィン・ヴォルフハルト
優しい男の子。エルちゃんとの淡い恋が見所。エルちゃんを思いやる小さな紳士ぶりが本当に可愛い。きゅーんとしますね。彼は本当にミリーちゃんのことを好きになるんじゃないかなぁ。

☆ダスティン/ゲイテン・マタラッツォ
かわいい。いかにも80年代の子供。笑顔が最高にかわいい。モンスターの子供との関わりがドキドキさせられる。

ルーカス/ケイレブ・マクラフリン
この子も可愛い。このドラマでは今のところ地味だけれど、彼は実はブロードウェイで『ライオン・キング』に出演したミュージカル・スターだそうです。彼の口数の多い妹がまたおかしい。

ウィル/ノア・シュナップ
70年代の少女マンガに出てきそうな文字通り美少年。綺麗ですよ。目が大きい。まだ小さいので女の子みたいですが、大きくなったらどんなおっさんになるんだろう。想像できない。シーズン1では失踪していてあまり出てこなかったけれど、シーズン2では身体を乗っ取られた時の演技がなかなか真に迫っていて上手い。この小さな俳優さんは顔だけじゃないんですね。実は実力派。すごいわねぇ。

80年代アイドル
 
☆母ジョイス/ウィノナ・ライダー
久しぶりに見ましたね。外見はあまり変わってないかも。あまり上手い女優さんじゃなかったと記憶しているけれど、今もあまり上手い感じではないな。彼女は声が変なんですよね。どうも落ち着かない声。でもいいんですよ。あのウィノナちゃんだから。懐かしい顔だから出てくれるだけでも意味がある。

☆マーティン・ブレナー博士パパ/マシュー・モディーン
うわー…彼も久しぶりに見た。ウィノナちゃんも盛り上がるけれど私はマシューさんに大変盛り上がった。ファンではなかったんですけどね。なんだかすごく懐かしい。しわしわになっちゃったな。昔『バーディ』とか『フルメタル・ジャケット』を見た。微妙にセンターから外れたイケメン…ちょっとかっこいいんだけれどちょっと外れてる…けど気になる俳優さんでしたね。この博士は生きているのかな。

●優しいおっさんたち
 
一見どうかなと思うおじさん達が実はいい人達でエルちゃんに優しい。シーズン1ダイナーのおじさん最初にエルちゃんにご飯をあげた優しい人でした。それから準主役の警察署の署長ホッパーさん彼も一見怖いんだけれどこのドラマでは一番のヒーローです。大活躍。とくにシーズン2では彼が物事を進めてましたね。エルちゃんに亡くなった娘さんを重ねて可愛がる優しく強いお父さん。さてこれからウィノナ母とどうなるか。そしてウィノナ母のボーイフレンド(元グーニーズの)ボブさん。彼は最初から最後までずーっといい人。ユーモアに溢れた優しいおじさん。最後はひどいですね。しかしああいうのがあるからこういうドラマでは心揺さぶられるんだよな。とても悲しい。

●ナンシー、スティーブ、ジョナサン
 
☆ナンシー
ワタクシはたぶんこの3人の年齢に近いんですよね。シーズン1ではナンシーちゃんが(髪型のせいか)綺麗なのか綺麗じゃないのかわからない感じだったのに、シーズン2ではずいぶん綺麗なお姉さんになってました。ところでシーズン1では…木の幹に入り口が現れたからって一人であっちの世界に行ってみるのかね。ずいぶん勇気があるな。強い女の子ですよね。そういえばシーズン2で最後にモンスターを家の中で迎え撃つ時に銃を使えたのは彼女でした。やっぱり強いわ。
最後にパーティでダスティン君をダンスに誘う場面がいい。優しい。ダスティン君の笑顔が最高に可愛い。きっと彼はこの時のナンシーさんの優しさを一生覚えていると思います。人は優しくされたことは忘れないものです。本当にいい場面。涙。

☆スティーブ
最初は困りものキャラかと思ったら、途中からいい人になってました。特にシーズン2からはもっといい人になった。ビリーを殴り飛ばして欲しかったですね。しかし彼は殴られてばっかりで喧嘩が弱いのね。

☆ジョナサン
影がありますね。この影がいい。男の子の魅力というのは単純じゃないという見本。女の子は彼のようなちょっと癖のある暗い感じの男の子に惹かれることも多い。彼もいい役者さん。

●シーズン1は『エイリアン』/シーズン2は『エイリアン2

シーズンそれぞれの雰囲気がそんな感じがした。
 
☆シーズン1はミステリー
何が出てくるかわからない。何を相手にしているのかもわからない。だから怖い。得体の知れない恐ろしい敵が何なのか、何処にいるのか、いつやってくるのか…回が進むうちに少しずつ敵の正体がわかってくる流れ。シーズンの後半になってやっと敵の全身が現れる。敵の正体がわからないが故の恐怖…の設定が『エイリアン』に少し似ている。

☆シーズン2は戦争
敵の正体はわかった。敵の存在する場所もわかった。親分もいる。いろんな事がわかった上で、今度は敵が力を拡大しているのが明らかになる。敵の数も増える。うじゃうじゃいる。ゴキブリのように湧いてきて襲ってくる。数の多い凶暴な敵に立ち向かう設定が『エイリアン2』の設定に似ている。

●シーズン2の兄妹必要?

ビリーとマックスの二人の必要性を全く感じないんですけど。あの二人はこのドラマに必要なの?よくわからん。いてもいいんですけど、あの二人は性格が酷すぎて不快感しか湧かない。マックスは最後は可愛かったですけどね。あの兄ちゃんはなんなの?馬鹿野郎ですね。あまりに不愉快なのでスティーブとの喧嘩の場面ではTVに向って「そうだぶっとばせ!そんなやつ叩きのめしてやれ!」と何度も叫んでしまいましたとさ。

●シーズン3への課題
 
・エルの子供時代の友人・超能力者少女カリはどこにいった?。彼女8番とエル11番以外のほかの子供達はどこかに存在しているのだろうか?
・マシュー・モディーン博士はまた出てくるのか?
・ビリーの存在には何か意味があるのか?
・あちらの世界はまた襲ってくるのだろうか。
・地下通路で粉(?)をかけられたホッパーとダスティンは今後無事なのか?また口から何か出てこないのか?

さぁーどうなるか?シーズン3はあるのか?シーズン2の終わりも綺麗にまとまっていたので、万が一あれで終わりになっても心残りはないかもしれない。ともかくシーズン3が無事完成するのを祈りましょう。しかし今度のシーズンは男の子たちの声がきっと変わってますね。ミリーちゃんも女らしくなるかも。全体の雰囲気が変わるだろうな。

2017年11月21日火曜日

Superfruit – Imaginary Parties (2017)



お洒落


Superfruit – Imaginary Parties (2017)

Album:  Future Friends
Released:  Sep 15, 2017
℗ 2017 RCA Records, a division of Sony Music Entertainment



昔のフュージョンもいいけれど、今の音楽もいい。


CDを買ったのだ。このCDをオンラインで買ったらMP3もタダでついてきたぞ。ラッキー いいCDです。

このお二人はね、もう可愛いかわいい。


Superfruit - BAD 4 US (2017)
Superfruit - Heartthrob (2017)
Superfruit - GUY.EXE (2017)
Todrick Hall - Black & White (feat. Superfruit) (2017)

Superfruit - Imaginary Parties (2017)

 

2017年11月20日月曜日

映画『Jane』(2017):ジャングルのジェーン・美しさは世を動かす助けになるのか




▼今年の9月に米のトーク・ショーに出演なさった時の映像
2:15頃にチンパンジーの孤児ウンダを野生に返す時の映像が出てきます

Wounda's Journey: Jane Goodall releases chimpanzee into forest

 
 
-----------------------------------------------------------------------------
Jane2017年)/米/カラー
90分/監督:Brett Morgen
-----------------------------------------------------------------------------

 
いつの時代にも「変わり者/エキセントリック」と呼ばれる人がいる。

現代は(基本的には)誰もが生きたい生き方を選ぶことが出来る…またそれを夢見てそれを実現する為の努力をすることもできる…自由な時代なのだろうと思う。

しかし1970年代ぐらいまでは世の中はそれほど自由ではなかった。男性にも今ほどの自由はなかっただろうし、それ以上に女性が好きな生き方を選択するのは難しかったろうと思う。


このドキュメンタリー映画の主人公は、Dame Jane Morris Goodall/ジェーン・グドールさん。英国生まれの著名な動物行動学者、霊長類学者です。

動物好きの方なら彼女の名前を聞いた事があるかもしれない。

ジェーン・グドールさんとは…、
若い頃からアフリカ・タンザニアに移住しチンパンジーのフィールド調査に携わる。アマチュア研究者でありながらも大発見をして世界にその名を知られるようになり、動物行動学でPh.Dを取得した後、チンパンジーの研究を熱心に継続。革命的な研究成果によってチンパンジー研究の第一人者となる。野生動物研究・教育・保護団体を設立し、現在も執筆の傍ら、世界中を巡り、講演や教育活動を行っている…そのようなお方です。現在83歳。

海亀は、子供の頃に「野生のチンパンジーは道具を使ってシロアリの狩りをする」という記事を読んだのを今も覚えている。なんとこの女性が発見したチンパンジーの生態だったんですね。このお方のことはお名前は知っていたけれど、あの記事の内容がこのお方の発見だとは今まで知らなかったです。ちょっと感動。

近年グドールさんの若い頃の研究の様子を記録したフィルムが新しく発見されたらしい。この映画は、その古いフィルムの映像を中心に構成。彼女の若い頃の様子をドキュメンタリーにまとめたものです。


★感想

美女は絵になる。

偏見の塊と言われそうだけれど…ジェーンさんはお綺麗です。ちょっと戸惑ってしまうぐらいお綺麗な女性なんですよ。実は予告のトレーラーを見た時は、ジェーンさんがあまりにもお若くて綺麗なので「もしかしたらドキュメンタリーの形をとったドラマなのか?」と思ったくらい。女優さんが演じているのではないかと思うくらい彼女は美しい。

そうじゃないんですね。
この映像の女性は間違いなくグドールさん御本人。


…まずこの古いカラー・フィルムの保存状態に驚く。このフィルムが撮影されてからもう50年は経っているはずなのに、映像が信じられないくらい綺麗。普通はカラー・フィルムなんてもっと劣化するものだろうに、どうしてこんなに綺麗なのだ。

…映像の保存状態がいいから、記録された内容もよく見える。

 …よく見える映像の中のジェーンさんがまぁなんと綺麗なのだろう。お若い。可愛い。化粧っけの無いラフな格好なのにモデルさんのように美しい。それにもまた驚く。驚愕です。


映像の中の彼女が美しいのには理由がある。

この映画の映像の多くは、彼女の最初の夫…オランダの貴族出身の動物カメラマン/映像作家のHugo van Lawickさんによって撮影されたもの。元々Lawick氏は、彼女の研究に興味を示したナショナル・ジオグラフィック誌から派遣された動物カメラマン。彼はグドールさんの研究を記録する仕事でアフリカにやってきたのに、どうやらまんまと彼女の美しさの虜になったらしい。その後二人は結婚。男の子が一人生まれる。

映像の中の彼女が美しい理由は、旦那様がカメラを通して見た愛する奥様の映像だからなんですねきっと。この映像は被写体の女性に恋をしている男性の目線。だからいい。だからジェーンさんが信じられないほど美しい。参りましたね。微笑ましいな。

実は映画を通して一番記憶に残ったのはそこ
(いいのか悪いのかよくわからないけれど)。
 
ジェーンさんとチンパンジーの信じられないほど親密な交流を正確に記録している映像なのに、何よりも心に響くのはジェーンさんの美しさ。この映画は、動物の記録映画というよりも、

旦那さんが撮影した
愛する奥さんのイメージビデオ
…のよう。
 
それがすごーくこの映画を微妙にしている気もした…いいのこれ?微笑ましいんですけど…でもこれ本当に真摯な動物研究の記録なの?
 
 
実はこの映画を見終わって一番感動するのは、

ジェーンさんの生き方、
エキセントリックぶり

1960年代1970年代なんて、まだ女性の真の解放さえ実現されていなかった時代。どの国でも「女性は家にいて家庭を守り良い母親になる」のが当時の普通の女の子の人生だったわけです。そんな時代にこのジェーンさんというお方は、世間の目を全く気にすることなく、好きな事だけを見つめて好きなことだけのために生きた。とんでもないエキセントリックな女性だと思う。
 
いや憧れますよもちろん。決して非難などしない。こういう女性は大好きです。こういう生き方ができるなんて海亀(若い頃の)究極の夢です。ものすごく尊敬するしものすごく憧れる。実は私も子供の頃から野生動物が好きで、アフリカに住んでみたいなと思ったこともある。
 
しかし私には絶対無理。なぜなら海亀は凡人で俗物だからです。心も身体も強くないから…いい訳なんて百だって並べられる。彼女のような潔い生き方なんて私には絶対に出来ないです。だからこういう女性はただただ尊敬してしまう。
 
 
いつの時代にも、自分の意志を貫いて「好きなこと、良いと思うこと、正しいと思うこと」に人生を捧げる方々がいる。何事であれ強い意志を貫いて人生を送るのは男性にさえ難しいことなのに、世の中には女性でもそういう生き方をなさる方々がたまにいらっしゃるわけです。
 
このジェーンさんも、生活には困ることの無い中流階級の出身で、知性もあり、あれだけ美しいのであれば、どこにいても何一つ不自由することなく、女性として幸せな普通の生活が送れただろうと思う。
 
ところが彼女は1960年代に、「ただひたすら動物が好き。アフリカに住みたい。男の子にも結婚にも全く興味が無い」…若い頃からそういう女の子だったらしいんですね。ある意味「変わり者」と言ってもいい…。
 
好きなこと、やりたいことがはっきりしていたから、チャンスがあったらパッと摑む。そして未知の分野だろうと、未開のジャングルだろうと、全身で飛びこんでいって世界的な発見をしてしまう。彼女の人生そのものがすごい話なんですよ。
 
単純な話、どうしてこういうことが出来るんだろうと思う。不思議なんですよね。
 
 
そもそもアフリカのジャングルに若い女性がテント暮らしを何ヶ月も何ヶ月も続けるなんて信じられない話です。映像で見る彼女は涼しく微笑んでいるけれど、ジャングルなんてそんな気持ちのいい所じゃないと思う。
 
湿気、汗、まともなシャワーもない、トイレ問題。寝心地の悪いベッド。そしてやっかいな生き物たち(蚊、ダニ、ノミ、毛虫、毒虫、蜂、蟻蟻蟻…、ムカデ、蛭、蛇…)、得体の知れない病原菌の数々、怪我、病…、
 
研究の対象のチンパンジーも実質獰猛な猛獣。ひと噛みで肩の肉をもぎ取られるかもしれない。腕を引っ張られて脱臼。なぎ倒されて骨折、負傷…そんな可能性だってあったはず。野生動物特有の匂い…様々な不快な匂い。寄生虫…。
 
それに、若い女性が未開の土地に暮らすということはそれだけでも危険。女性であることによる身体の弱さ。ありとあらゆる危険…。もしかしたら命を落とす可能性だってあったかもしれないのに…。
 
彼女はきっとあの可憐なルックスの印象とは全然違う…私達の想像以上に頑強な肉体と強靭な精神力を持ったとてつもなく強い女性なのだろうと想像する。
 
 
この映画ではそういう現実の「辛いこと、苦しいこと」はあまり見えてこない。辛い事件の報告はあってもリアルな苦しみは見えない。構成のせいなのか全体に生々しさがなくどこか淡々とした印象なのは、撮影された時代の感性が今とは違うからなのだろう。

だからスクリーン上でただただ綺麗な女の子が大きなチンパンジーと楽しく戯れている様子は、もう

おとぎ話にしか見えない。

本当に妙な映画なんですよ。動物研究の本質を見せることなく、また彼女の実際の苦労を見せることもなく、かなり表面的なイメージビデオ風な映像を見て、観客は「自然って素敵ね」と思う…。見る前は、そういう映画だとは思っていなかったです。もっとリアルな野生動物研究の記録だと思っていた。

その事を旦那Aに話したら
「だからタイトルがJaneなんじゃないの?」
ああそうか…。これは単なる野生動物研究の記録映画じゃないんですね。主役はあくまでもジェーンさん。チンパンジーではない。これはあの伝説の霊長類学者ジェーンさんの素晴らしい研究とその勇気ある人生の全てを、彼女の若い頃の映像を見ながら称える映画。ジェーンさんという一人の女性の生き方を称える、彼女のファンのための映画。それでなんとなく納得。


それにしても美女は絵になる。

(私も女なのに正直に言わざるを得ない)もしジェーンさんが普通の地味な(あまり見映えのしない)ルックスだったら…、世の中は、これほど彼女を…彼女の研究を素晴らしいと称えただろうか…。

チンパンジーと一緒に無邪気に笑っている彼女はおとぎ話の中の妖精のように美しい。彼女がニコニコと笑っていかにも楽しそうに「研究」している様子を見ると、もしかしたらジャングルの生活もそれほど辛くないんじゃないかと思えてしまう。「いいなぁ…楽しそうだなぁ」と思ってしまう。それも不思議。彼女がスクリーンに映ると全てが魅力的に見えてしまう。

こういうことは言うべきではないのだろうけれど、
1960年代当時(彼女が研究するまで)未知の生き物だったたチンパンジーに(研究の成果の素晴らしさはもちろんのこと)世界中の興味の目を向けさせたもう一つの理由は、もしかしたら彼女の美しさにもあったのかもしれないとも思ってしまった。

「こんな美女が仲良くなれるのならチンパンジーは私達が思うよりももっと興味深い生き物なのかもかもしれない…」

なぜなら世間とはそういうものだから。


彼女はその美しさ故に男性ばかりの研究学会で苦労をし、しかしまたそれと同時にその美しさ故に研究の成果を告げる自らの声を世間により大きく響かせることも出来たのかもしれない。

そう思ってしまうほど映像の中の彼女は美しい。

彼女のジャングルでの美しいお姿が、愛に満ちた旦那さん目線の映像で残されたのは私達にとっての幸運。彼女のことが知れてよかった。